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中等度以上の虚血を呈する安定冠動脈疾患(CAD)患者において,早期侵襲的戦略(早期の冠動脈造影および可能であれば血行再建+至適薬物療法[OMT])が,早期保存的戦略(初期はOMTのみ,奏功しなかった場合のみ冠動脈造影/血行再建術施行)と比較して付加的な価値があるか否かを検討する。 |
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ランダム化,多施設(320施設,日本を含む37ヵ国)。 |
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追跡期間中央値3.2年。 登録期間は2012年7月26日~2018年1月31日。 |
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5,179例。中等度~重度の虚血を呈する安定CAD患者。 おもな除外基準:eGFR<30mL/分/1.73cm²,最近の急性冠症候群,非保護左主幹部狭窄≧50%,左室駆出率<35%,NYHA心機能分類IIIまたはIV,最大用量の薬物療法を行っても許容できない狭心症症状。 ■登録時患者背景:年齢中央値は早期侵襲的戦略群64歳,早期保存的戦略群64歳。各群の男性76.6%,78.3%。人種:白人66.4%,66.3%,アジア人29.1%,28.8%,ヒスパニック/ラテン系15.5%,16.2%。高血圧73.4%,73.4%。糖尿病41.4%,42.2%。 |
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早期侵襲的戦略群(30日以内に冠動脈造影を行い,可能な場合は血行再建術+OMT),早期保存的戦略群(初期はOMTのみ,奏功しなかった場合のみ冠動脈造影/血行再建術施行)に1:1でランダム化。 |
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[一次エンドポイント:心血管死+MI+不安定狭心症または心不全による入院+心停止後蘇生] 早期侵襲的戦略群318例,早期保存的戦略群352例,推定ハザード比0.93,95%CI 0.81~1.08,P=0.34。 6ヵ月時:早期侵襲的戦略群5.3%,早期保存的戦略群3.4%,推定差1.9,95%CI 0.8~3.0。 5年時:早期侵襲的戦略群16.4%,早期保存的戦略群18.2%,推定差-1.8,95%CI -4.7~1.0。
[二次エンドポイント:心血管死またはMI] 6ヵ月時:早期侵襲的戦略群4.8%,早期保存的戦略群2.9%,推定差1.9,95%CI 0.9~3.0。 5年時:早期侵襲的戦略群14.2%,早期保存的戦略群16.5%,推定差-2.3,95%CI -5.0~0.4。
[心筋梗塞の定義の影響] 一次エンドポイントの発生率は心筋梗塞の定義の影響を受け,二次解析では臨床的重要性が不明な周術期の心筋梗塞が多くなった。
[死亡] 早期侵襲的戦略群145例,早期保存的戦略群144例,ハザード比1.05,95%CI 0.83~1.32。
★結論★ 中等度~重度の虚血を有する安定冠動脈疾患患者において,早期に侵襲的治療を行う戦略は早期に保存的治療を行う戦略にくらべ,虚血性心血管イベントや全死亡のリスクを低下させるというエビデンスは,中央値3.2年間では認められなかった。本試験の結果は,心筋梗塞の定義の影響を受けた。 ClinicalTrials. gov No: NCT01471522 |
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- Maron DJ, et al. Initial Invasive or Conservative Strategy for Stable Coronary Disease. N Engl J Med. 2020; 382: 1395-1407. PubMed
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