循環器トライアルデータベース

SSaSS
Salt Substitute and Stroke Study

目的 ナトリウム量を減らし,カリウム量を増やした代替食塩が血圧を低下させることは示されているが,心血管や安全性に対する影響は不明である。本試験は脳卒中,心血管イベント,死亡,臨床的高カリウム血症について,代替食塩と通常の食塩を比較した場合のメリットとリスクの,全体的なバランスを明らかにすることを目的とした。

一次エンドポイントは脳卒中。
コメント カリウム塩による代替食塩摂取は心血管イベント抑制に有用
しかし臨床試験としては,不完全

本論文は,カリウム含有を増やした代替食塩を摂取した場合,カリウムを含まない純粋な食塩を摂取するより心血管合併症が減少するか否かを,オープンクラスターランダム化試験によって検討した研究である。しかし,その内容はかなり雑であるといわざるをえない。まず,対象が脳卒中既往例または60歳以上の高齢者で血圧管理不良例としているが,これらの2つの対象を同一に扱うことの意味がつかみにくい。60歳以上で血圧管理不良例に統一したほうがすっきりする。また,居住村ごと(各300村)にランダム化しているが,両群の臨床的背景に差がないか示されていない。主要エンドポイントである脳卒中の定義は,死にいたる神経障害または24時間以上持続する症状とあるが,これもかなり曖昧であり,CTやMRIによるとの記載はない。
カリウム塩の摂取が心血管合併症の予防に有効である可能性は,おそらく高い。しかし,より精度の高い大規模臨床試験がのぞまれる。(桑島
デザイン オープン,クラスターランダム化(中国,600村),intention-to-treat解析。
期間 平均追跡期間4.74年。
登録期間は2014年4月~2015年1月。
対象患者 20,995例。脳卒中既往例,あるいは60歳以上の血圧管理不良例(降圧薬服用の場合は収縮期血圧≧140mmHg,非服用の場合は同≧160mmHg)。
おもな除外基準:カリウム保持性利尿薬/カリウム製剤使用,既知の重篤な腎臓病を有するなど。

■患者背景:平均年齢65.4歳,女性49.5%,脳卒中既往72.6%,高血圧既往88.4%,平均血圧154.0/89.2mmHg,降圧薬使用79.3%。
治療法 居住村ごと(各300村)に,以下の2群にランダム化。
代替食塩群:10,504例。無料で提供された代替食塩(塩化ナトリウム75%,塩化カリウム25%)をこれまでより控えめになるよう使用。
通常食塩群:10,491例。通常の食塩をこれまで通り使用。
結果 追跡5年後,代替食塩群の91.7%,通常食塩群の93.6%が割り付け通りの代替食塩または通常食塩を用いていた。

[一次エンドポイント:脳卒中]
脳卒中の発症率は,代替食塩群の方が通常食塩群より低かった(29.14件/1,000人年 vs. 33.65件/1,000人年,発生率比0.86,95%CI 0.77-0.96,P=0.006)。

[二次エンドポイント:主要心血管系有害事象(MACE)および全死亡]
MACE,全死亡とも,代替食塩群の方が通常食塩群より発生率が低かった。
MACE:49. 09件/1,000人年 vs. 56.29件/1,000人年,発生率比0.87,95%CI 0.80-0.94,P<0.001。
全死亡:39.28件/1,000人年 vs. 44.61件/1,000人年,発生率比0.88,95%CI 0.82-0.95,P<0.001。

[安全性]
高カリウム血症による重篤な有害事象は,両群間に有意差は認めなかった(代替食塩群3.35件/1,000人年vs. 通常食塩群3.30件/1,000人年,発生率比1.04,95%CI 0.80-1.37,P=0.76)。


★結論★ 脳卒中既往,または60歳以上で高血圧の人において,脳卒中,MACE,全死亡の発生率は,代替食塩群の方が通常食塩群より低かった。
ClinicalTrials. gov No: NCT02092090
文献
  • [main]
  • Neal B, et al: Effect of Salt Substitution on Cardiovascular Events and Death. N Engl J Med. 2021; 385: 1067-1077. PubMed

▲pagetop
EBM 「循環器トライアルデータベース®」
ライフサイエンス出版
ご不明の点はお問い合わせください
収載年月2021.10