循環器トライアルデータベース

RAFF2
A Randomized, Controlled Comparison of Electrical Versus Pharmacological Cardioversion for Emergency Department Patients With Recent-Onset Atrial Fibrillation and Flutter

目的 心房細動は,救急外来で遭遇する機会の多い不整脈の一つである。
しかし,救急外来における急性の心房細動患者の至適管理については明確なエビデンスが乏しい。
心拍数コントロールより洞調律化・維持の方が好ましいと考える医師は多いが,迅速な洞調律化において薬理学的除細動と電気的除細動の両方を行うべきか,電気的除細動のみでよいのかの判断は,まちまちである。また,救急外来で電気的除細動を実施する際の有効な電極パッドの位置についても見解は統一されていない。
RAFF2試験では,救急外来での急性心房細動患者に対する治療戦略において,洞調律化とその維持に薬理学的除細動+電気的除細動と電気的除細動のみのいずれが有効か, また電気的除細動のパッド位置の違いが影響を及ぼすのかについて検討した。

一次エンドポイントは,洞調律復帰と30分以上の洞調律維持。
コメント 急性の心房細動発作に対しては,まず抗不整脈薬を静注し,洞調律化しなかった場合には電気的除細動を試みるのが救急現場の定石であろう。しかし,この治療方針の有効性・安全性について,最初から電気的除細動を試みる方針との間で厳格な無作為比較試験が行われたこと(これまでは行われてこなかったこと)が驚きであった。本研究の結果,薬剤投与+電気的除細動と最初からの電気的除細動の間で有効性・安全性に差がなく,電気的除細動の場合の電極配置(前後方向と前横方向)にも差がなかった。注意点は,抗不整脈薬としてプロカインアミドが用いられたことである。本薬剤はわが国でも使用可能であるが,わが国の現場では他の抗不整脈薬の静注が行われることが経験上は多い。わが国で汎用される抗不整脈薬を用いた場合に同じような結果になるとは断定はできないが,同じような結果が得られるのではないかと思われる。わが国の多くの救急現場で行われている抗不整脈薬静注+電気的除細動という方針の有効性と安全性が改めて確認されたといえる。(井上
デザイン 無作為割付け,多施設(カナダ11施設の救急外来)。
プロトコル1 盲検,intention-to-treat解析。
プロトコル2 非盲検,modified intention-to-treat解析。
期間 追跡期間14日間。
登録期間は2013年7月~2018年10月。
対象患者 396例。急性の心房細動発現後,心房細動が3時間以上持続し,早期の薬理学的または電気的除細動による治療を必要とする状態の安定した成人患者*
* 48時間以内に心房細動を発症したことが明確/発症後7日以内で4週間以上にわたり適切な抗凝固療法を受けている(ワルファリン療法:PT-INR≧2.0または直接経口抗凝固薬服用)/発症後7日以内で経食道心エコーで左房内血栓を認めない,のいずれかに該当。
主な除外基準:永続性心房細動,血行動態が不安定で即時の直流除細動が必要な症例など。
■患者背景:平均年齢60歳,男性66%。
  • 心房細動発現から救急外来受診までの平均時間:10時間。
  • 心房細動既往の割合:68%。
  • 初回ECGの平均心拍数:119拍/分。
  • 登録時のCHADS2スコア≧2点の割合:44%。
  • 登録時の主な症状:動悸88%,胸痛8%,息切れ3%など。
  • 登録時の治療状況:抗凝固薬33%,抗不整脈薬6.6%,抗血小板薬27%,β遮断薬34%,Ca拮抗薬12%。
治療法 プロトコル1 Naチャネル遮断薬procainamide 15 mg/kgを30分で持続静注(最大量1500 mg)後,必要に応じて直流除細動**を行うdrug-shock群(204例)または直流除細動のみを行うshock-only群(192例)に1:1の比でランダム化。 
** 二相性波形200J以上で最大3連続ショックまで。
プロトコル2 プロトコル1で直流除細動を受けた者259例(drug-shock群のうちprocainamideを静注後も洞調律に復帰しなかった91例+shock-only群168例)を対象。除細動パッドを前―後に置く群(前:右鎖骨下― 後:左肩甲骨下)または前―外側に置く群(前:右鎖骨下―外側:左前腋窩)にランダム化(解析対象244例)。
結果 [一次エンドポイント:洞調律復帰と30分以上の洞調律維持]
  • drug-shock群196例(96%) vs. shock-only群176例(92%)[絶対差4%; 95%信頼区間(CI)0~9, P =0.07]。
  • drug-shock群における静注開始から洞調律復帰までの時間の中央値は,23分(四分位範囲14~35分)。
  • drug-shock群の106例(52%)は,procainamide静注のみで洞調律に復帰。

プロトコル1 試験終了後,入院せずに帰宅した患者の割合]
drug-shock群198例(97%)vs. shock-only群183例(95%)。

プロトコル2 電極パッドの位置と洞調律復帰]
洞調律復帰の割合は,前―後に置く群,前―外側に置く群で同等。
前―後群108例/117例(92%)vs. 前―外側群119例/127例(94%) [相対リスク(RR) 1.01; 95%CI 0.95~1.09; P =0.68]。

[その他]
  • 追跡期間終了時点(14日後)で,290例/306例(95%)で洞調律が維持されていた。
  • 追跡期間中の重篤な有害事象の発生および脳卒中の発生はなかった。
  • drug-shock群において,初発心房細動(100% vs. 91.8%)および70歳未満(98.6% vs. 92.4%)の患者で洞調律復帰の割合が高かった。

★結論★救急外来での急性心房細動患者に対する治療戦略において,薬理学的除細動+電気的除細動および電気的除細動のみのいずれも洞調律復帰に有効かつ安全であることが示された。しかし,薬理学的除細動のみで半数以上が洞調律化したことから,医療資源の有効活用の視点でみると両者を併用する方がより効果的と考えられる。また,洞調律化に電極パッドの位置の違いは影響しない。
ClinicalTrials. gov No: NCT01891058
文献
  • [main]
  • Stiell IG, et al: Electrical versus pharmacological cardioversion for emergency department patients with acute atrial fibrillation (RAFF2): a partial factorial randomised trial. Lancet. 2020; 395: 339-49. PubMed

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収載年月2020.03