循環器トライアルデータベース

STOPDAPT-2
ShorT and OPtimal Duration of Dual AntiPlatelet Therapy-2 Study

目的 薬剤溶出性ステント(DES)留置後の抗血小板薬2剤併用療法(DAPT)の至適投与期間については,いまだ意見の一致をみていない。
日本人を対象とした先行のSTOPDAPT試験では,everolimus溶出ステント留置後のDAPT期間を3ヵ月に短縮する治療戦略の安全性が示されている。
STOPDAPT-2試験では投与期間をさらに短縮し,心血管および出血イベント抑制について,1ヵ月という超短期DAPT(+clopidogrel単剤療法の継続)は標準的な12ヵ月DAPT(+aspirin単剤療法の継続)に劣らないという仮説を検証する。

一次エンドポイントは,12ヵ月後の心血管および出血イベント[心血管死,心筋梗塞(MI),definiteステント血栓症,虚血性/出血性脳卒中,TIMI出血基準の大出血/小出血]。
コメント ランダム化比較試験の目的は臨床的仮説の検証,検証された仮説の一般化による標準治療の転換にある。PCI後の症例の血栓イベント発症率は日本では特に低い。3000例のランダム化比較試験により仮説検証が可能か否かを第一に考える必要がある。
DAPT 1ヵ月群のイベント数は35例,12ヵ月群では55例であった。オープンラベルの試験であるが,一番ハードな心血管死亡はDAPT 1ヵ月群のイベント数は9例,12ヵ月群では11例であった。統計学的にP <0.05になっていると言っても本研究は仮説検証研究というよりも仮説産生研究と理解されるべきである。本試験が公表されても,標準治療がDAPT 1ヵ月になるまでのインパクトはない。
科学的仮説検証と,検証された仮説の一般化のギャップを埋めるため,ランダム化比較試験では,primary endpointが150例以上から100例以下にする,などの絶対数の設定が今後は必要かもしれない。(後藤
デザイン 無作為割付け,オープンラベル,多施設(日本の90施設)。
期間 追跡期間1年間。
登録期間は2015年12月~2017年12月。
対象患者 3045例(主解析対象3009例)。
everolimus溶出性コバルトクロムステント(CoCr-EES;Xience)留置に成功し,経口DAPT(aspirinおよびP2Y12受容体拮抗薬)が可能な症例。
除外基準:aspirin,P2Y12受容体拮抗薬以外の経口抗凝固薬または抗血小板薬が必要,頭蓋内出血の既往,clopidogrel不耐性,Xience以外の薬剤溶出性ステント留置など。
■患者背景:平均年齢68.6歳,男性78%。
・登録時の併存疾患:高血圧74%,脂質異常症75%,糖尿病39%,安定冠動脈疾患62%,急性冠症候群38%。
・登録患者の過半数は血栓リスクおよび出血リスクが低~中等度:〈血栓リスク〉CREDO-Kyoto thrombotic risk score(<4):92%,PARIS thrombotic risk score(≦4):86%,〈出血リスク〉CREDO-Kyoto bleeding risk score(≦2):93%,PARIS bleeding risk score(≦7):80%。
治療法 1ヵ月DAPT群(aspirin+clopidogrelのDAPT*を1ヵ月間実施後にclopidogrel単剤療法を5年間継続)または12ヵ月DAPT群(aspirin+clopidogrelのDAPTを12ヵ月間実施後にaspirin単剤療法を5年間継続)に1:1の比でランダム化(1500例 vs. 1509例)。

* aspirin 81~200 mg/日+clopidogrel 75 mg/日またはprasugrel 3.75 mg/日。1ヵ月後,prasugrel使用例は両群ともclopidogrelに変更。
結果 1年間の追跡調査は,2974例(98.8%)で完了。
[一次エンドポイント]
・1ヵ月DAPT群35例(2.36%)vs. 12ヵ月DAPT群55例(3.70%)。絶対差:-1.34%(95% CI -2.57%~-0.11%),ハザード比(HR)0.64(95%CI 0.42~0.98)。非劣性のP <0.001,優越性のP =0.04でともに基準を満たしたことから,1ヵ月DAPT群の 12ヵ月DAPT群に対する非劣性,優越性が認められた。

[二次エンドポイント]
・心血管イベント**:1ヵ月DAPT群 1.96% vs. 12ヵ月DAPT群2.51%(絶対差-0.55%; HR 0.79)。非劣性のP =0.005,優越性のP =0.34より,1ヵ月DAPT群の 12ヵ月DAPT群に対する非劣性は示されたが,優越性は認められなかった。
・出血イベント:0.41% vs. 1.54%(絶対差-1.13%; HR 0.26)。優越性のP =0.004より,1ヵ月DAPT群の12ヵ月DAPT群に対する優越性が示された。

** 心血管死,MI,definiteステント血栓症,虚血性/出血性脳卒中の複合。
TIMI出血基準の大出血/小出血。

[サブグループ解析:≧75歳/ 急性冠症候群/ STEMI/ 糖尿病/ 総ステント長≧28mm/ 標的病変≧2枝/ 重度慢性腎臓病]
12ヵ月DAPT群と比較した1ヵ月DAPT群の一次エンドポイント抑制効果は,重度慢性腎臓病(交互作用のP =0.03)を除いて一貫して示された。
[その他]
definite/probable ステント血栓症の発生は,両群ともに非常に低かった[1ヵ月DAPT群 4例(0.27%)vs. 12ヵ月DAPT群1例(0.07%)]。

★結論★CoCr-EES留置後の1ヵ月DAPT+clopidogrel単剤療法は,標準的な12ヵ月DAPTにくらべ,1年後の心血管および出血イベントを有意に抑制した。
文献
  • [main]
  • Watanabe H, et al for the STOPDAPT-2 Investigators: Effect of 1-Month Dual Antiplatelet Therapy Followed by Clopidogrel vs 12-Month Dual Antiplatelet Therapy on Cardiovascular and Bleeding Events in Patients Receiving PCI. The STOPDAPT-2 Randomized Clinicl Trial. JAMA. 2019; 321: 2414-27. PubMed

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収載年月2019.08