循環器トライアルデータベース

VINDICATE
Vitamin D Treating Patients with Chronic Heart Failure

目的 ビタミンD欠乏は慢性心不全の発症に関連し,慢性心不全患者の約90%が低ビタミンD血症を有すると報告されているが,慢性心不全患者においてビタミンD補給の有効性を検討した臨床試験の結果は一貫していない。
左室収縮不全による慢性心不全患者において,長期の高用量ビタミンD3(コレカルシフェロール)補給が運動耐容能と心機能にもたらす有効性と安全性を検討した。

一次エンドポイントは,12か月後の6分間歩行距離の変化。
コメント ビタミンD欠乏症の慢性心不全(HFrEF, EF≦45%)患者に,高用量ビタミンD3を1年間投与した結果,6分間歩行距離の延長は認められなかったが,左室逆リモデリングが認められ,左室駆出率は平均6%も上昇した。ビタミンDは,レニン産生を抑制することが知られており,本試験では測定されていないが,レニン・アンジオテンシン・アルドステロン系(RAAS)の抑制により,左室逆リモデリングが得られたものと考えられ,慢性心不全治療に新たな頁を開く可能性を示唆する。本試験は,規模が小さく,試験途中での脱落が多く,測定項目も限られているため,新たな治療法を確立するためには,大規模なpivotal studyが必要であるが,その期待は大きい。1)ビタミンD欠乏症でなくても有効か,2)ハードエンドポイント(死亡率および心不全入院)に対して有効か,3)充分量のRAAS抑制薬投与下でも有効かなどを検証する必要があるが十分期待できるものと思われる。(
デザイン 無作為割付け,プラセボ対照,二重盲検。
期間 追跡期間は12か月。
対象患者 163例。>3か月安定したNYHA心機能分類II~III度の慢性心不全,最大忍容量の薬物治療下(>3か月)でEF≦45%,25(OH)ビタミンD濃度<50nmol/Lの患者。
除外基準:3か月以内のカルシウム剤・他のビタミン剤の服用,未治療の心臓弁膜症・貧血・甲状腺中毒症による慢性心不全,ビタミンD補給の適応(骨粗鬆症性骨折既往,骨軟化症症状など),原発性副甲状腺機能亢進症・サルコイドーシス・結核・リンパ腫の既往,重篤な腎機能障害。
■患者背景:平均年齢(ビタミンD群68.5歳,プラセボ群69.0歳),男性(83.8%, 74.7%),白人(90.0%, 89.0%),虚血性心疾患(55.0%, 60.2%),糖尿病(21.3%, 24.1%),BMI(29.8, 30.3kg/m²),NYHA II度(92.5%, 85.5%),薬物治療(β遮断薬:95.0%, 95.2%,ACE阻害薬・ARB:92.5%, 91.6%,spironolactone:52.5%, 50.0%),ICD・CRT(26.3%, 32.5%),心房細動(47.3%, 42.9%),血圧(117.6/70.0, 122.9/72.8mmHg),6分間歩行距離(302.2m, 283.7m),EF(25.6%, 26.5%),左室拡張末期径(LVEDD)(57.6mm, 58.0mm),左室収縮末期径(LVESD)(49.8mm, 50.7mm),左室拡張末期容積(LVEDV)(161.8mL, 164.1mL),左室収縮末期容積(LVESV)(111.0mL, 119.4mL),25(OH)ビタミンD濃度(38.2nmol/L, 36.4nmol/L),PTH濃度(11.0pmol/L, 11.7pmol/L)。
治療法 ビタミンD群(80例):コレカルシフェロール100μg(4,000IU)/日投与。
プラセボ群(83例)。
結果 [血清濃度の変化]
ビタミンD群の忍容性,アドヒアランスは良好であった。
ビタミンD群では12か月後の血清25(OH)D濃度(中央値:ビタミンD群115nmol/L vs プラセボ群24.5nmol/L, p<0.0001),1,25(OH)2ビタミンD3濃度(121nmol/L)が正常化し,PTH濃度が低下した(8.70pmol/L vs 10.80pmol/L, p<0.0001)。
[一次エンドポイント]
ビタミンD3補給による改善は認められなかった(ビタミンD群-12.56m vs プラセボ群+10.10m,群間差-24.11m;95%信頼区間-65.81~17.60, p=0.255)。
[二次エンドポイント]
12か月後の左室機能,左室サイズはビタミンD群で有意に改善した。
EF:+7.65% vs +1.36%(+6.07%;3.20~8.94, p<0.0001)
LVEDD:-2.45mm vs -0.08mm(-2.49mm;-4.09~-0.90, p=0.002)
LVESD:-2.72mm vs -0.99mm(-2.09mm;-4.11~-0.06, p=0.043)
LVEDV:-16.47mL vs -3.83mL(-13.11mL;-25.63~-0.60, p=0.040)
LVESV:-18.77mL vs -8.49mL(-12.65mL;-24.76~-0.54, p=0.041)
[安全性]
ビタミンD過剰症,腎機能の変化,試験薬関連の入院・有害事象はみられなかった。
★結論★最新の至適薬物治療を受けている慢性心不全患者において,高用量ビタミンD3の1年間の補給により6分間歩行距離は改善しなかったが,左室サイズおよび機能の有意な改善が認められた。
ClinicalTrials. gov No: NCT01619891
文献
  • [main]
  • Witte KK et al: Effects of vitamin D on cardiac function in patients with chronic HF: the VINDICATE study. J Am Coll Cardiol. 2016; 67: 2593-603. PubMed
    Gupta DK and Wang TJ: Looking for a brighter future in heart failure: a role for vitamin D supplementation? J Am Coll Cardiol. 2016; 67: 2604-6. PubMed

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収載年月2016.11