循環器トライアルデータベース

AATAC
Ablation vs Amiodarone for Treatment of Atrial Fibrillation in Patients with Congestive Heart Failure and an Implanted ICD/CRTD

目的 血行動態悪化や症候性イベントにつながる心不全と持続性心房細動(AF)の合併は少なくなく,心不全の重症度に伴い合併率は上昇するが(NYHA心機能分類I度:5%,IV度:約50%),その治療法としてカテーテルアブレーション(CA)がamiodarone(AMIO)より優れているかは明らかではない。
持続性AF合併心不全患者において,CAがAMIOより優れているかを検証する。

一次エンドポイントは,長期手技成功(抗不整脈薬非投与下で>30秒持続する不整脈[AF・心房粗動・心房性頻脈]再発の回避;ただしブランキング期間[手技後3か月]は除く)。
コメント AFFIRMやRACE研究で,薬物によるリズムコントロールとレートコントロールの有効性については差がないとされて以来,両治療法の有効性については議論が続いていた。心不全を合併したAF例を対象とした最近のアブレーションによるリズムコントロールと,薬物によるレートコントロールを比較した研究(ARC-HF[J Am Coll Cardiol. 2013; 61: 1894-903. PubMed],CAMTAF[Circ Arrhythm Electrophysiol. 2014; 7: 31-8. PubMed])では,アブレーション群で運動耐容能,QoLがより大きく改善することが示された。
本研究では心不全を合併した持続性AFに有効性が示されているアミオダロンによるリズムコントロールとアブレーションの有効性を24ヵ月間という比較的長期間にわたり追跡した。その結果は,アブレーションが優れていることを如実に示した。AF再発率,入院率,運動耐容能,QoL,死亡率がアブレーション群でアミオダロン群に優っていた。単純な肺静脈隔離のみの効果は乏しく,広範囲なアブレーションが必要なこと,平均年齢が60~62歳と心不全を合併したAF例としては若年者を対象としていること,持続性AFといってもその期間は8ヵ月に過ぎないこと,などの問題点がある。さらに,NYHAクラスIIIの心不全ではアミオダロンはプラセボより死亡率が高いことが過去に示されており,アブレーション(アミオダロンを使用しない)保存的治療で死亡率に差があるかについては,本研究の結果からは知ることができない。以上のような限界はあるが,本研究は心不全を伴う持続性AF例において,アブレーションはアミオダロンに代わる有力な選択肢であることを示唆している。(井上
デザイン 無作為割付け,オープン,多施設,intention-to-treat解析。
期間 試験期間は24か月(最長27か月)。
対象患者 203例。≧18歳の持続性AF,二腔ICD・CRT-D植込み例,過去6か月間のNYHA心機能分類II~III度,EF≦40%の患者。
除外基準:可逆的原因によるAF,外科手術を要する心臓弁膜症・冠動脈疾患(CAD),外科手術から3か月以内のAF,QT間隔延長,amiodarone≧200mg/日定期投与例など。
■患者背景:平均年齢(CA群62歳,AMIO群60歳),男性(75%, 73%),BMI(30, 29kg/m²),高血圧(45%, 48%),糖尿病(22%, 24%),CAD(62%, 65%),左房径(47mm, 48mm),EF(29%, 30%),6分間歩行距離(6MWD: 348m, 350m),Minnesota Living with Heart Failure Questionnaire(MLHFQ)スコア(52, 50),閉塞性睡眠時無呼吸(45%, 48%),ACE阻害薬・ARB(92%, 88%),アルドステロン拮抗薬(45%, 50%),β遮断薬(76%, 80%),amiodarone<200mg/日投与例(12例,15例)。
治療法 CA群(102例):肺静脈前庭部隔離を主目標とし,経心房中隔穿刺法により円形マッピングカテーテルガイド下でイリゲーションカテーテル(Thermocool)を使用して施行。目標活性化凝固時間300~400秒でheparinを静注。手技の4~5日前にdofetilideを中止。
AMIO群(101例):初期量~10gを2段階で投与(400mg×2回/日2週間投与後,400mg/日2週間),以後は維持量200mg/日を投与。digoxinは可能であれば中止あるいは≧50%減量とした。
登録・手技後3か月を治療期間,その後21か月を追跡期間とした。治療期間中に再アブレーション・AMIO用量調節・電気的除細動を行った場合はその時点から3か月を治療期間とした。
全例にうっ血性心不全に対する至適治療(ACE阻害薬・ARB[ACE阻害薬不忍容例]に適宜β遮断薬・利尿薬・digoxinを追加;ACE阻害薬・ARB不忍容例にはhydralazine+isosorbide dinitrateを推奨;NYHA III度の症例にはspironolactone)を実施。
結果 CA群の肺静脈隔離(PVI)のみは22例,PVI+後壁隔離術併用は80例。手技時間は168分,高周波通電時間は66分。初回アブレーション成功率には施設間差がみられた(29~61%)。
[一次エンドポイント]
再発不整脈に対する電気的除細動実施例は,ブランキング期間中がCA群3例(3%),AMIO群52例(51%),その後は15例(15%),25例(25%)。
試験終了時の一次エンドポイント達成(再発回避)率はCA群のほうが有意に高かった(平均1.4回の手技で71例[70%] vs 34例[34%], p<0.001)。
CA群のPVI+後壁隔離術施行例はPVIのみ施行例よりも再発回避率が有意に高かった(63例[79%] vs 8例[36%], p<0.001)。
AMIO群の再発例(67例)のうち,7例(10.4%)は有害事象(甲状腺中毒4例,肺毒性2例,肝機能不全1例)によるAMIO中止後の再発。
[不整脈再発の予測因子]
多変量解析で再発と有意に関連したのは,AMIO治療(vs CA治療:ハザード比2.5;95%信頼区間1.5~4.3, p<0.001),糖尿病(1.1;1.07~1.26, p=0.01)。
[二次エンドポイント]
CA群は予定外の入院(31% vs 57%, p<0.001:相対リスク0.55, NNT=3.8),全死亡(8% vs 18%, p=0.037:0.44, NNT=10)もAMIO群より有意に少なかった。
[その他]
死亡例26例を除外したCA群94例,AMIO群83例で,EFの改善(8.1% vs 6.2%),6MWDの延長(22m vs 10m),MLHFQスコアの改善(-11 vs -6)はCA群のほうが良好だった。改善は再発回避例(91例)のほうが再発例(86例)よりも有意に大きかった。
CA群の手技合併症は鼠径部血腫2例,心囊液貯留1例。
★結論★持続性AF合併心不全患者において,AFに対するカテーテルアブレーションはamiodaroneにくらべ2年間のAF再発が有意に少なく,予定外の入院と死亡も少ないことが示された。
ClinicalTrials gov No: NCT00729911
文献
  • [main]
  • Di Biase L, et al. Ablation versus amiodarone for treatment of persistent atrial fibrillation in patients with congestive heart failure and an implanted device: results from the AATAC multicenter randomized trial. Circulation. 2016; 133: 1637-44. PubMed
    Koplan BA and Stevenson WG: Atrial fibrillation in heart failure: should catheter ablation play a larger role? Circulation. 2016; 133: 1631-3. PubMed

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収載年月2016.09