循環器トライアルデータベース

ODYSSEY OPTIONS I

目的 PCSK9阻害薬のalirocumabと実地臨床でよく使用されているスタチン処方との比較はほとんど行われていない。
atorvastatin(ATV)20mgまたは40mgを投与している心血管疾患(CVD)高リスク~超高リスクの高コレステロール血症患者において,PCSK9阻害薬alirocumabの追加は,ezetimibe(EZE)の追加,ATVの増量,rosuvastatin(RSV)への切替えにくらべ有効かを検討する。

一次エンドポイントは,第24週の算出LDL-C値のベースラインからの変化率。
デザイン 無作為割付け,二重盲検,多施設(9か国85施設),intention-to-treat解析。
期間 追跡期間は32週。
試験期間は2012年10月~’14年5月。
対象患者 355例。18歳以上,ATV 20mg・40mg単剤または他の脂質低下薬(EZEを除く)との併用による治療を≧4週間受けているにもかかわらず,LDL-C≧70mg/dLのCVD超高リスク(冠動脈疾患[CAD]を含むCVD既往または標的臓器障害を伴う2型糖尿病)患者,あるいはLDL-C≧100mg/dLの CVD高リスク(CVD・CADの非既往で下記の危険因子を保有:欧州のSystematic Coronary Risk Evaluationによる10年致死的CVDリスク≧5%,中等度慢性腎臓病,標的臓器障害を伴わない糖尿病)患者。安定用量のATVを投与していない場合は,スクリーニング前≧4週間のrun-in期間中にATV 20mgまたは40mgを投与。
■患者背景:平均年齢(57.5~65.7歳),男性(56.4~76.6%),白人(73.3~91.5%),BMI(29.8~32.2kg/m²),CAD既往(38.6~74.5%),CAD相当リスク(17.8~34.0%),高血圧(73.3~81.8%),2型糖尿病(34.0~57.9%),LDL-C(98.9~116.4mg/dL)。
治療法 ATV 20mg群(169例),40mg群(186例)に層別後,下記7群にランダム化。
alirocumab追加群(57例,47例):ATV 20mg, 40mgにalirocumab 75mg 1回/2週(Q2W)皮下投与を追加。第8週に目標LDL-C(<70mg/dL[超高リスク例],<100mg/dL[高リスク例])未達成の場合は第12週に150mg Q2Wへ増量。
EZE追加群(55例,47例):ATV 20mg, 40mgにEZE 10mg/日を追加。
ATV増量群(57例,47例):ATV 20mg→ 40mg, 40mg→ 80mgへ増量。
RSV群(45例):ATV 40mg→ RSV 40mgに切替え。
治療期間は24週,その後8週間追跡。プラセボalirocumab注とオーバーカプセル化したEZE・ATV・RSV・プラセボ錠を使用して盲検化。試験薬以外のスタチン,フィブラート(fenofibrateを除く),紅麹製品の併用は禁止。全例にガイドラインに準じた食事療法を指示した。
結果 24週治療終了は,alirocumab追加群86.5%,EZE追加群81.4%,ATV増量・RSV群88.6%,脱落例の追跡期間中央値は9.5週,12.4週,12.1週。
皮下注射の平均曝露期間は全群同等であった(22.0週,22.1週,22.7週)。
[一次エンドポイント]
第24週のLDL-Cの低下率(最小二乗平均値)は,alirocumab追加群(-44.1%, -54.0%)が,EZE追加群(-20.5%, -22.6%;群間差:-23.6%[p=0.0004], -31.4%[p<0.0001]),ATV増量群(-5.0%, -4.8%:-39.1%, -49.2%[ともにp<0.0001]),RSV群(21.4%;-32.6%[p<0.0001])より有意に大きかった。
alirocumab追加群の8.0%, 2.9%が第12週に150mg Q2Wに増量。ほとんどの患者(86%)が75mg Q2Wを維持したが,LDL-Cの低下は一貫して認められた。
目標LDL-C達成率はalirocumab追加群(87.2%, 84.6%)が他の群より有意に高かった(EZE追加群:68.4%, 65.1%,ATV増量群:34.5%, 18.5%,RSV群:62.2%)。<70mg/dL(リスクレベルを問わない)達成率も同様の結果であった。
[その他]
alirocumab群では,ATVの用量を問わず,アポリポ蛋白B,non-HDL-Cが他の群より低下し,リポ蛋白(a)もATV 40mgへの追加で他の群より有意に低下した(全p<0.001)。
[安全性]
有害事象発現率はalirocumab追加群65.4%,EZE追加群64.4%,ATV増量・RSV群63.8%,有害事象による投与中止はそれぞれ6.7%, 4.0%, 5.4%。
死亡は2例でいずれもEZE追加群。
alirocumab追加群の抗薬物抗体発現は5/99例(5.1%)で,全般的に免疫原性は低く,alirocumabのLDL-C低下作用への影響や有害事象との関連はみられなかった。
★結論★atorvastatin 20mg・40mg投与にもかかわらずCVDリスクが高い高コレステロール血症患者において,alirocumabの追加は,ezetimibeの追加,atorvastatinの増量,rosuvastatinへの切替えよりもLDL-Cの低下が有意に大きく,目標LDL-C達成率も高かった。
ClinicalTrials gov No: NCT01730040
文献
  • [main]
  • Bays H et al: Alirocumab as add-on to atorvastatin versus other lipid treatment strategies: ODYSSEY OPTIONS I randomized trial. J Clin Endocrinol Metab. 2015; 100: 3140-8. PubMed

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収載年月2016.08