循環器トライアルデータベース

ODYSSEY FH I and FH II

目的 PCSK9阻害薬のalirocumabは,家族性高コレステロール血症ヘテロ接合体(HeFH)患者を対象とした小規模試験で,有望なLDL-C低下効果を示している。
最大忍容量の脂質低下治療にもかかわらずLDL-Cのコントロールが不十分なHeFH患者において,alirocumab長期投与のLDL-C低下効果と安全性を評価する。本試験は,FH IとFH IIの2試験からなる。

一次エンドポイントは,両試験ともに第24週のLDL-C(計算値)の変化率。
デザイン 無作為割付け,プラセボ対照,二重盲検,多施設(FH I:北米,欧州,南アフリカの89施設;FH II:欧州の26施設),intention-to-treat解析。
期間 追跡期間は78週。
対象患者 735例(FH I:486例,FH II:249例)。心血管イベントの既往がない,または心筋梗塞・虚血性脳卒中の既往があり,現行ガイドラインの目標LDL-C値を満たしていない(一次予防:≧100mg/dL,二次予防:≧70mg/dL)HeFH患者で,高用量スタチン単剤療法(rosuvastatin 20~40mg, atorvastatin 40~80mg, simvastatin 80mg;医師が正当な理由があると判断した場合[高用量不忍容など]は低用量を許可),または他の脂質低下薬との併用療法を≧4週間施行したもの(fenofibrateは6週間,その他フィブラートは不可)。
除外基準:FHホモ接合体,空腹時血清トリグリセライド>400mg/dLなど。
■患者背景:平均年齢(FH I:alirocumab群52.1歳,プラセボ群51.7歳;FH II:両群とも53.2歳),男性(55.7%, 57.7%;51.5%, 54.9%),白人(92.9%, 88.3%;98.2%, 97.6%),遺伝子型によるHeFH診断(39.9%, 38.0%;70.1%, 80.5%),BMI(29.0, 30.0;28.6, 27.7kg/m²),冠動脈疾患(CAD)(45.5%, 47.9%;34.7%, 37.8%),CAD相当リスク(16.7%, 15.3%;9.0%, 4.9%),現喫煙(12.1%, 18.4%;21.6%, 15.9%),高血圧(43.0%, 43.6%;34.1%, 29.3%),2型糖尿病(9.9%, 15.3%;4.2%, 3.7%),高用量スタチン使用(82.7%, 85.3%;86.8%, 91.5%),ezetimibe使用(56.0%, 59.5%;67.1%, 64.6%)。
治療法 alirocumab群,プラセボ群に2:1でランダム化。
alirocumab Q2W群(FH I:323例,FH II:167例):75mg 1回/2週(Q2W)皮下投与×78週。8週間治療してもLDL-C≧70mg/dLの場合は,12週後に150mg Q2Wへ増量。
プラセボ群(163例,82例)。
患者・介護者に自宅での自己注射の訓練を実施。試験中は安定用量のスタチンおよび他の脂質低下薬の投与を継続し,ガイドラインに準じた食事療法を行うよう指示。
治療終了後,3年間の延長試験(全例に非盲検でalirocumabを投与)への参加の可否を患者に選択してもらい,不参加の場合はさらに8週間追跡。
結果 FH I,FH IIのalirocumab群の85.8%, 91.6%,プラセボ群の87.7%, 90.1%が,試験治療を≧76週実施した。
[一次エンドポイント]
両試験ともにLDL-Cの変化率はalirocumab群が有意に大きかった(FH I:alirocumab群-48.8%[ベースライン時144.7→ 24週後71.3mg/dL] vs プラセボ群9.1%[144.4→ 155.6mg/dL],群間差-57.9%,FH II:-48.7%[134.6→ 67.7mg/dL] vs 2.8%[134.0→ 136.6mg/dL],-51.4%;ともにp<0.0001)。on-treatment解析の結果も同様であった。
これらの低下は78週後まで持続した(78週後のalirocumab群の平均LDL-C値:それぞれ84.0mg/dL, 69.7mg/dL)。
[その他]
24週後のLDL-C<70mg/dL達成率(一次予防・二次予防を問わない)は,59.8% vs 0.8%, 68.2% vs 1.2%(ともにp<0.0001)。
FH I,FH IIのalirocumab群の56.6%, 61.4%が,75mg Q2Wで8週後にLDL-C<70mg/dLを達成し,その後もこの用量で維持した。残りの患者は150mg Q2Wに増量後,LDL-C値がFH Iで15.1%(12週後104.3→ 24週後78.5mg/dL),FH IIで16.9%(98.6→ 71.8mg/dL)低下した。
治療による抗薬剤抗体の発現は,5.5% vs 0.6%, 8.6% vs 1.3%で,alirocumab群の抗体発現までの時間は12週(中央値)。
中和抗体はFH Iで2例(0.6%),FH IIで1例(0.6%),1例のみLDL-C低下率の抑制が認められたが,他の副作用はなかった。
[有害事象]
両試験の有害事象による投与中止は,それぞれ3.4% vs 6.1%, 3.6% vs 1.2%。
主な有害事象は注射部位反応(ほとんどが軽度)(12.4% vs 11.0%, 11.4% vs 7.4%),鼻咽頭炎(11.2% vs 7.4%, 12.6% vs 22.2%),上気道感染(6.8% vs 8.6%, 3.0% vs1.2%)など。
死亡はFH Iのalirocumab群の6例(1.9%)のみ。
両試験それぞれalirocumab群の6.2%, 7.2%で,2回以上連続してLDL-C<25mg/dLへの低下が認められたが,安全性の問題はみられなかった。
★結論★最大忍容量のスタチン単剤療法または他の脂質低下薬との併用療法にもかかわらずLDL-Cコントロール不良のHeFH患者において,alirocumabはプラセボにくらべ24週後のLDL-Cの低下と目標LDL-C達成率が有意に大きく,忍容性も良好であった。
ClinicalTrials. gov No: NCT01623115; NCT01709500
文献
  • [main]
  • Kastelein JJ et al: ODYSSEY FH I and FH II: 78 week results with alirocumab treatment in 735 patients with heterozygous familial hypercholesterolaemia. Eur Heart J. 2015; 36: 2996-3003. PubMed
    Laufs U and Parhofer KG: Simplified algorithm to facilitate communication of familial hypercholesterolaemia. Eur Heart J. 2015; 36: 3004-6. PubMed

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収載年月2016.06