循環器トライアルデータベース

LEADLESS II

目的 大腿静脈よりカテーテルを用いて右心室に直接留置するバッテリー・電子機器・電極内蔵の小型のリードレス心臓ペースメーカーが開発された。経静脈リードもポケットの作成も不要なため,従来のペースメーカーで発生していた三尖弁逆流などの長期合併症リスクが低下する可能性がある。
恒久的心室ペーシングを要する患者において,リードレス心臓ペースメーカー植込みの臨床的有効性と安全性を検証する。本報は中間解析の報告。

有効性の一次エンドポイントは,6か月間の臨床的に許容できるペーシング閾値(0.4msecで≦2.0V)およびセンシング振幅(R波が≧5.0mVまたは植込み時の数値以上)。
安全性の一次エンドポイントは,6か月間のデバイス関連の重篤な有害事象の回避。
コメント ミニチュアサイズ(42mm×5.99mm)の心室内留置型のリードレスペースメーカーの有効性と安全性が確認された。通常のペースメーカーはリード(電極),ポケットに由来する合併症を完全に避けることはできなかった。この心室内留置型ペースメーカーであれば,リードやポケットに由来するトラブルを回避することができる。懸念される本体の脱落は6件(1.1%)で,いずれもカテーテルで回収できた。6ヵ月間の経過から電池寿命は15.0年と推定される。
問題点としては,長期追跡のデータがなく,長期間留置後の本体回収の可否が不明であること,心室単腔ペースメーカーであること,心電情報を外部に取り出せないことなどがある。胸壁のポケットがなく,リード損傷リスクがないことなどのメリットがあり,長期追跡の成績や技術の進歩によるデバイスの改良がなされれば,ペースメーカー植込み患者にとって本装置は福音となるであろう。(井上
デザイン 非比較試験,多施設(3か国56施設),intention-to-treat解析。
期間 平均追跡期間は6.9か月。
登録期間は2014年2月~’15年6月。
対象 526例。恒久的心室単腔ペーシングの適応例(房室・2束ブロックを伴う慢性心房細動,2度・3度房室ブロックを伴う洞調律で身体活動レベルが低下または余命が短い患者,低頻度のポーズまたは電気生理検査異常を認める原因不明の失神を伴う洞徐脈)。
除外基準:機械的三尖弁,肺高血圧症,既存の心内膜ペーシング・除細動リード,下大静脈フィルター,心血管・末梢血管手術後30日以内。
■患者背景(第1コホート):平均年齢75.7歳,男性64.3%,BMI 29.2kg/m²,白人89.7%,冠動脈疾患40.3%,CABG歴16.0%,心筋梗塞既往14.0%,PCI歴15.7%,高血圧84.0%,糖尿病27.3%,高脂血症69.3%,末梢血管疾患15.0%,うっ血性心不全14.3%,上室性不整脈既往77.0%,三尖弁逆流・逸脱19.7%,EF 57.1%,薬物治療(β遮断薬40.0%,ACE阻害薬26.7%,ARB 20.7%,抗凝固薬60.0%,抗血小板薬47.7%,I・III群抗不整脈薬9.3%)。
手技背景:総植込み時間(シース挿入~抜去)50.0分,総手技時間(カテーテル挿入~抜去)30.4分,透視時間14.9分,リポジショニング(なし68.9%,1回18.3%,2回8.3%),デバイス留置部位(心尖部48.4%,心尖中隔1.7%,流出路・中隔・その他49.8%)。
調査方法 リードレス心臓ペースメーカー(Nanostim LP, St. Jude Medical社)を植込んだ。プログラミングは担当医に一任。
最初の300例(第1コホート)が6か月の追跡を終了した時点(2015年6月)で一次エンドポイントを評価。また,同時点の全登録例526例(全コホート)でも重篤な有害事象を評価。有効性,安全性の一次エンドポイントの達成率を過去のデータに基づく目標値(それぞれ85%, 86%)と比較した。
結果 植込み成功は第1コホート289/300例,全コホート504/526例(95.8%)。
[有効性の一次エンドポイント]
有効性の一次エンドポイントを満たした患者は270/300例(90.0%;95%信頼区間86.0~93.2)で,目標値85%を上回った(p=0.007)。
[安全性の一次エンドポイント]
安全性の一次エンドポイントを満たした患者は280/300例(93.3%;89.9~95.9)で,目標値86%を上回った(p<0.001)。
[有害事象]
デバイス関連の重篤な有害事象は第1コホート20例(6.7%),全コホート34例(6.5%)。デバイスの脱落はそれぞれ1.7%, 1.1%,心穿孔は1.3%, 1.5%,デバイスの経皮的摘出と交換を要するペーシング閾値上昇1.3%, 0.8%,デバイス非関連の重篤な有害事象は6.3%, 5.5%。
デバイス関連の重篤な有害事象に術者の経験による影響はみられなかった。
死亡は全コホートの28例(5.3%;死亡時平均年齢79.1歳)で,6か月以内に68%,6~12か月に29%が死亡した。デバイス関連の死亡はなく,手技関連の死亡が2例であった。
★結論★リードレス心臓ペースメーカーは大多数の患者において事前に指定したペーシングおよびセンシング条件を満たした。デバイス関連の重篤な有害事象の発生はおよそ15例に1例であった。
ClinicalTrials.gov No.: NCT02030418
文献
  • [main]
  • Reddy VY et al for the LEADLESS II study investigators: Percutaneous implantation of an entirely intracardiac leadless pacemaker. N Engl J Med. 2015; 373: 1125-35. PubMed

▲pagetop
EBM 「循環器トライアルデータベース®」
ライフサイエンス出版
ご不明の点はお問い合わせください
収載年月2016.02