循環器トライアルデータベース

SAFETY
Standard versus Atrial Fibrillation-Specific Management Strategy Study

目的 慢性心房細動(AF)による入院患者は高齢化と積極的な治療により増加している。看護師主導の集学的管理は慢性心不全患者で有用性が示されており,発作性AF患者を主体とした外来患者対象の試験では検討されているが,慢性AF患者でのエビデンスはない。
心不全を合併しない慢性非弁膜症性AF患者において,AFに特化した看護師主導の退院後管理により標準的管理にくらべ再入院が減少し,生存期間が延長するかを検証する。

一次エンドポイントは,全死亡と予定外の再入院(イベント回避生存率,実際の非入院・生存日数/最長非入院・生存日数比で評価)。
コメント 慢性心房細動患者を対象とした看護師主導の管理指導が,標準治療と比べて生存日数と非入院日数を延長したが,イベント回避日数は延長しなかった。これは,予定外再入院日数が管理指導によって短縮された(2.8 vs 3.6日)事実と一致する。確かに,患者に病態の知識や再入院のリスクをよく説明することは重要であるが,その内容と転帰がわが国でも同様の成果を生み出すかどうかは不明である。医療環境の相違を考えれば,本邦でも看護師やコメディカルのチーム医療の有用性についてエビデンスの構築が必要である。(
デザイン 無作為割付け,多施設(オーストラリアの三次医療機関3施設),intention-to-treat解析。
期間 追跡期間は905日(中央値)。
登録期間は2010年6月2日~'12年3月29日。
対象患者 335例。慢性AF(再発発作性,持続性,永続性)と診断された入院患者のうち,退院後に半径40km以内に自立して居住しているもの。
除外基準:弁膜症性AF,カテーテルアブレーション予定,心不全診断歴,アルコール性AF,緩和ケアを要する悪性疾患/末期疾患。
■患者背景:平均年齢72歳,男性52%,独居39%,教育期間<12年70%,BMI 29kg/m²;≧30kg/m² 43%,高血圧72%,現喫煙14%,高リスク飲酒16%,総コレステロール≧154.7mg/dL 55%,HDL-C≦38.7mg/dL 19%,AF関連(新規診断23%,無症候性17%,持続性90%,レートコントロール64%,CHA2DS2-VAScスコア3.6,入院時ECG所見でのAF 82%,ペースメーカー植込み9%),うつ症状36%,軽度認知障害65%,冠動脈疾患33%,2型糖尿病29%,脳血管イベント既往16%,腎障害35%,左房拡大86%,EF 57%,退院時血圧126/71mmHg,入院期間4.7日,CCU入院期間2.8日,AFによる入院66%,退院時の薬物治療(warfarin 56%,aspirin単剤48%,clopidogrel+aspirin 19%,RAAS阻害薬61%,β遮断薬49%,digoxin 35%,Ca拮抗薬22%,抗不整脈薬87%,利尿薬42%)。
治療法 SAFETY介入群(168例):循環器専門看護師主導の在宅ケアと通院を組み合わせたAFの特別な管理。退院後7~14日の家庭訪問,ホルター心電図モニタリング,電話連絡,長期フォローアップと必要に応じた多面的サポートなどを実施。
標準管理群(167群):ルーチンのプライマリケアと病院外来通院。
結果 同意撤回による脱落例は両群ともに11%。
[一次エンドポイント]
死亡は49例,予定外の再入院はのべ987例(総入院日数5,530日)。
全死亡+予定外の再入院はSAFETY介入群127例(76%),標準管理群137例(82%)で,イベント回避生存日数(中央値)に有意な両群間差はなかった(183日 vs 199日:ハザード比0.97;95%信頼区間[CI]0.76~1.23, p=0.851)。
死亡は19例(11%) vs 30例(18%)で,平均生存日数中央値には有意差を認めなかった(1,266日vs 1,204日:0.62;0.35~1.10, p=0.099)。
最長生存可能日数937日に占める実際の入院回避生存日数(中央値)は900日 vs 860日で,イベント回避生存率(最長入院回避・生存可能日数に占める実際の入院回避・生存日数の割合)はSAFETY介入群が有意に高かった(中央値99.5% vs 99.2%,効果量0.22;95%CI 0.21~0.23, p=0.039)。
★結論★心不全を合併しない慢性非弁膜症性AF患者において,AFに特化した退院後の管理プログラムでは標準管理と比較したイベント回避生存日数の延長は認められなかったが,イベント回避生存率は改善した。
文献
  • [main]
  • Stewart S et al: Standard versus atrial fibrillation-specific management strategy (SAFETY) to reduce recurrent admission and prolong survival: pragmatic, multicentre, randomised controlled trial. Lancet. 2015; 385: 775-84 PubMed

▲pagetop
EBM 「循環器トライアルデータベース®」
ライフサイエンス出版
ご不明の点はお問い合わせください
収載年月2015.08