循環器トライアルデータベース

CRYSTAL AF
Cryptogenic Stroke and Underlying AF

目的 虚血性脳卒中患者の原因として認識されている心房細動(AF)は,発作性・無症候性の場合が多く,従来の検査法では検出されない場合がある。現行のガイドラインでは24時間あるいはそれ以上の心電図(ECG)モニタリングを提唱しているが,AFの検出に最も有効な至適モニタリング期間は明らかでない。
原因不明の虚血性脳卒中/一過性脳虚血発作(TIA)患者において,植込み型心電計(ICM)による長期ECGモニタリングのAF検出能を,標準的なECGモニタリングと比較する。

一次エンドポイントは,30秒以上持続するAFの初回検出までの時間(6か月以内)。
コメント 虚血性脳卒中の原因は血栓性と塞栓性に大きく分けられる。
成因によって再発予防法が異なる(抗血小板薬と抗凝固薬)ので,原因の同定は重要である。虚血性脳卒中後,通常の検査で原因が同定されていない例では,植込み型ECGモニタリングを行うと1年間で12.4%に心房細動がつかまった。この数字を多いとみるか少ないとみるか微妙である。ECGモニター期間を24ヵ月,36ヵ月と延長すると,心房細動検出率はさらに上がることも示されている。虚血性脳卒中発症後24ヵ月,36ヵ月経ってつかまる心房細動が果たして脳卒中の原因になっているのか? 因果関係を明らかにする検証(原因不明の脳梗塞例に対する抗凝固療法の予防効果)が必要であろう。(井上
デザイン 無作為割付け,オープン,多施設(欧州,カナダ,米国の55施設),intention-to-treat解析。
期間 追跡期間は36か月。
登録期間は2009年6月~'12年4月。
対象患者 441例。40歳以上,原因不明の脳卒中またはTIAと診断されてから90日以内の患者。TIAの登録は発語障害/四肢筋力低下/半盲を有する患者のみ。
除外基準:AF・心房粗動既往,経口抗凝固薬の永続的投与禁忌/適応,ペースメーカー/ICDの適応など。
■患者背景:平均年齢61.5歳,女性36.5%,白人(ICM群87.8%,対照群86.8%),卵円孔開存(23.5%, 20.9%),脳卒中(90.5%, 91.4%),TIA(9.5%, 8.6%),脳卒中既往(16.7%, 12.7%),TIA既往(10.0%, 12.3%),modified Rankin Scaleスコア0~2(83.3%, 84.5%),NIH Stroke Scaleスコア(1.6, 1.9),高血圧(65.2%, 57.7%),糖尿病(15.4%, 17.3%),CHADS2スコア(2:31.2%, 36.8%, 3:41.6%, 41.4%, 4:22.6%, 15.5%, 5:4.1%, 6.4%),高コレステロール血症(56.6%, 58.2%),抗血小板薬使用(95.9%, 96.4%),脳卒中/TIA発症~ランダム化の時間38.1日。
治療法 ICM群(221例):ランダム化後10日以内にREVEAL XT(Medtronic社;AFを自動的に検出・記録)を植込み,データを遠隔送信。
対照群(220例):担当医の裁量で来院時にECGモニタリング。モニタリングのタイプ,期間,全結果を記録。
両群ともに1,6,12か月後とその後6か月ごとに定期受診。症状を認めた場合,あるいはICMデータ送信後は,医師の指示があれば不定期受診。
結果 ICM群のICM植込み例は208例,10日以内の植込みは184例(88.5%)。22例はスケジュール,2例は医学的判断により植込みが6日(中央値)遅れた。
6か月追跡率は94.3%,クロスオーバーはICM群12例,対照群6例。
[一次エンドポイント]
6か月以内の初回AF検出率はICM群が有意に高かった(ICM群8.9% vs 対照群1.4%;ハザード比6.4;95%信頼区間1.9~21.7, p<0.001)。
ランダム化からAF検出までの時間は41日 vs 32日(中央値),無症候性AFは74%(14/19例) vs 33%(1/3例)。
[二次エンドポイント]
12か月以内の初回のAF検出率もICM群が有意に高かった(12.4% vs 2.0%;7.3;2.6~20.8, p<0.001)。
虚血性脳卒中/TIAの再発は,6か月後5.2% vs 8.6%,12か月後7.1% vs 9.1%。
経口抗凝固薬の使用は,6か月後10.1% vs 4.6%(p=0.04),12か月後14.7% vs 6.0%(p=0.007)。
[その他]
年齢,性別,人種,卵円孔開存,脳卒中/TIA,6か月後のCHADS2スコアによるサブグループ解析結果も変わらなかった。
36か月追跡した48例の解析で,AF検出率は30.0% vs 3.0%(8.8;3.5~22.2;p<0.001)。
[安全性]
ICM植込み例のうち,5例(2.4%)が植込み部位の感染症またはポケットのびらんのためデバイスを摘出。
最も多かった有害事象は,植込み部位の感染症(3例),疼痛(3例),刺激・炎症(4例)。
植込み継続は,6か月後98.1%,12か月後96.6%。
★結論★原因不明の虚血性脳卒中発症後90日以内の患者において,ICMによる長期ECGモニタリングは従来のECGモニタリングにくらべAFの検出能に優れていることが示された。
ClinicalTrials. gov No: NCT00924638
文献
  • [main]
  • Sanna T et al for the CRYSTAL AF investigators: Cryptogenic stroke and underlying atrial fibrillation. N Engl J Med. 2014; 370: 2478-86. PubMed

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収載年月2015.04