循環器トライアルデータベース

EMBRACE
30-Day Cardiac Event Monitor Belt for Recording Atrial Fibrillation after a Cerebral Ischemic Event

目的 心房細動(AF)による虚血性脳卒中は抗凝固薬による予防が可能だが,発作性AFは無症候性の場合が多く,短期(24時間)のホルター心電図(ECG)では見落とされることがあり,十分に治療されない可能性がある。AFの検出能は,連続または長期ECGモニタリングにより改善する可能性が観察研究で示されている。
原因不明の虚血性脳卒中/一過性脳虚血発作(TIA)患者において,非侵襲的イベントレコーダーによる30日間の自由行動下ECGモニタリングのAF検出能を,標準的な24時間ホルターECGの追加記録と比較し,AF検出による治療の変化を検証する。

一次エンドポイントは,30秒以上持続するAF/心房粗動の新規検出(90日以内)。
コメント 原因が特定されない虚血性脳卒中(cryptogenic stroke)の原因として,発作性心房細動がどのくらいの頻度でつかまるかということは興味深いことであり,かつ臨床上重要な意義を持っている。ECGモニターの期間を長くすれば心房細動が記録される率も高くなることは当然予想される(たとえば,CRYSTAL AFなど)。この研究では体内植込み式ではない長期的ECGモニターが,通常の24時間ホルターECGの追加より心房細動の検出に優れていることが明らかにされた。といっても,90日間でわずか16.1%に過ぎない。逆のいい方では,原因不明と言いながら90日間のモニターで16.1%(4週間では14.8%)に心房細動があり,これらの例では当然抗凝固療法が適応となる。通常の検査で原因が特定されない虚血性脳卒中に対して,抗凝固薬をどのように使用するのか(心房細動がつかまってから開始する? 一定の期間心房細動がつかまらなかったら投与を中止する?)今後の検証で明らかにする必要がある。また,虚血性イベントから2~3ヵ月も離れてつかまる心房細動が果たしてそのイベントの原因と言えるのか?ということも検証が必要であろう。(井上
デザイン 無作為割付け,オープン,多施設(カナダの16施設),intention-to-treat解析。
期間 追跡期間は90日。
登録期間は2009年6月~'12年3月。
対象患者 572例。55歳以上,原因不明の虚血性脳卒中/TIA発症後6か月以内でAFの存在がつかまっていない患者。
除外基準:可能性の高い原因(大血管・細小血管疾患など)が既に特定されている症例。
■患者背景:平均年齢(イベントレコーダー群72.5歳,ホルターECG群73.2歳),≧75歳(36.4%, 41.4%),女性(46.2%, 43.9%),白人(89.9%, 91.2%),modified Rankin Scaleスコア≦2(95.8%, 92.3%),既往:高血圧(71.3%, 67.0%),糖尿病(19.2%, 19.3%),高脂血症(66.8%, 62.1%),心筋梗塞(16.8%, 14.7%),過去の喫煙(49.3%, 46.0%),虚血性脳卒中(15.7%, 12.6%),TIA(14.7%, 16.1%)。
発症イベント:虚血性脳卒中(65.7%, 60.4%),TIA(34.3%, 39.6%),ランダム化までの時間(76.6日,73.7日)。
治療法 イベントレコーダー群(286例):AFを自動的に記録するイベントレコーダー(ER910 AF Cardiac Event Monitor, Braemar社)によるモニタリング。目標装着期間を30日とし,30日以内にAFを認めた場合はモニターの装着中止可とした。
ホルターECG群(285例):従来の24時間ホルターECGの追加によるモニタリング。
結果 追跡終了は97.7%。
イベントレコーダー群でのモニタリング期間≧3週は233/284例(82.0%)。30日以内にAFを認めなかった240例のうち85.0%が≧3週,61.7%が4週間のモニタリングを終了。
[一次エンドポイント]
90日以内の30秒以上持続するAFの検出率は,イベントレコーダー群が有意に高かった(45/280例[16.1%] vs ホルターECG群9/277例[3.2%]:絶対差12.9パーセントポイント;95%信頼区間8.0~17.6, p<0.001, number needed to screen 8)。
[二次エンドポイント]
2.5分以上持続するAFの検出率もイベントレコーダー群が高かった(28/284例[9.9%] vs 7/277例[2.5%]:7.4パーセントポイント;3.4~11.3, p<0.001, number needed to screen 14)。
抗凝固薬の処方例は,ランダム化時は16/286例(5.6%),19/285例(6.7%)であったが,90日後はイベントレコーダー群が有意に多かった(52/280例[18.6%] vs 31/279例[11.1%]:7.5パーセントポイント;1.6~13.3, p=0.01)。
★結論★原因不明の虚血性脳卒中/TIA患者において,非侵襲的な30日間のECGモニタリングは標準的な短期のECGモニタリングにくらべAF検出能に優れ,抗凝固薬の使用率が増加することが示された。
ClinicalTrials.gov. No: NCT00846924
文献
  • [main]
  • Gladstone DJ et al for the EMBRACE investigators and coordinators: Atrial fibrillation in patients with cryptogenic stroke. N Engl J Med. 2014; 370: 2467-77. PubMed

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収載年月2015.04