循環器トライアルデータベース

ANSWER
Evaluation of the SafeR Mode in Patients with a Dual-Chamber Pacemaker Indication

目的 二腔ペースメーカーによる心室ペーシング(VP)が有害転帰をもたらすことは明らかで,VPリスクを抑えようと多くのペーシングアルゴリズムが開発されてきた。SafeRは,患者の房室(AV)伝導の状態に合わせて心房ペーシング(AAI)と二腔ペーシング(DDD)を切り替えるアルゴリズムで,AV伝導のある患者ではVP抑制効果が示されているが,AVブロックなどのペースメーカーの一般的な適応例での長期データは十分ではない。
一般的な二腔ペースメーカー適応患者において,SafeRモードの有効性,安全性,有益性を標準的DDDペーシングと比較する。

一次エンドポイントは,1) 1年後のVP,2) 3年後の心不全(HF),心房細動(AF),除細動による入院の複合エンドポイント。
コメント 右室心尖部ペーシングは,心室の収縮様式が洞性興奮の場合とは異なるため,心不全や心房細動を起こすリスクが高いと考えられていた。これを実証するため,これまでDANPACE,PREFER-MVP,MINERVAなどのトライアルが行われてきたが,今回のANSWERと同様に死亡,心不全入院,心血管入院などのエンドポイントに二腔ペーシングとAAI(R)ペーシングで有意な差はみられなかった。ANSWERでは初めて間欠性房室ブロック例においても心室ペーシングを減らすアルゴリズムが有効に作動することが確認された。この新しいアルゴリズムでは複合エンドポイントの抑制には至らなかったが,心不全入院や心臓死,あるいは心血管入院の抑制に関しては有用であることが示されている。これを日常診療の現場に応用するには慎重でありたい。(井上
デザイン 無作為割付け,単盲検,多施設(欧州7か国43施設),intention-to-treat解析。
期間 追跡期間は36か月,ペースメーカー植込み後平均919日。
登録期間は2007年12月7日~’10年3月10日,終了は2013年5月17日。
対象患者 650例。18歳以上,ペースメーカー適応(洞結節不全[SND]の診断,2度間欠性AVブロック,3度間欠性・永続性 AVブロック)患者で,1か月以内にSafeR搭載のペースメーカーを植込んだもの。
除外基準:永続性AF,持続性心室不整脈,先天性の完全AVブロック,血管迷走神経性失神。
■患者背景:平均年齢72.4歳,男性55.2%,冠動脈疾患28.2%,高血圧65.1%,糖尿病21.5%。ペースメーカー適応(SND 52.0%,間欠性AVブロック41.8%,永続性AVブロック6.2%),NYHA心機能分類I/II/III/IV度 43.0/50.7/5.8/0.5%,HF症状なし32.0%,EF 58.3%,心房性不整脈38.2%。
治療法 SafeRモードにプログラムしたペースメーカー(Symphony 2550/REPLY DR,Sorin CRM SAS)の植込みから1か月後,死亡・同意撤回などの18例を除外してランダム化。
SafeR群(314例),DDD群(318例)。
結果 1年追跡完了はSafeR群292例,DDD群285例,3年は242例,231例。
追跡期間中のペーシングモード変更は,DDD→ SafeR 11.9%, DDD→心室ペーシング(VVI)4.1%, SafeR→ DDD 7.3%, SafeR→ VVI 2.5%。
[一次エンドポイント]
1年後のVPはSafeR群がDDD群にくらべ有意に少なく(4.8% vs 95.4%, p<0.0001),この差は3年後も持続した(11.5% vs 93.6%, p<0.0001)。
HF・AF・除細動による入院には有意な群間差は認められなかった(ハザード比0.78;95%信頼区間0.48~1.25, p=0.30)。
[二次エンドポイント]
HFによる入院/心臓死(0.49;0.27~0.90, p=0.02),心血管関連の入院リスク(0.70;0.49~1.00, p=0.05)はSafeR群のほうが低かった。
[安全性]
死亡,失神,デバイス・手技関連の有害事象に群間差はなかった。
★結論★一般的な二腔ペースメーカー適応患者において,SafeRペーシング群は標準的なDDDペーシング群にくらべVPが有意に少なかったが,HF・AF・除細動による入院には差は認められなかった。
ClinicalTrials.gov:NCT00562107
文献
  • [main]
  • Stockburger M et al: Long-term clinical effects of ventricular pacing reduction with a changeover mode to minimize ventricular pacing in a general pacemaker population. Eur Heart J. 2015; 36: 151-7. PubMed

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収載年月2015.04