循環器トライアルデータベース

ARCTIC-Interruption
Assessment by a double Randomisation of a Conventional antiplatelet strategy versus a monitoring-guided strategy for drug-eluting stent implantation and, of Treatment Interruption versus Continuation one year after stenting-Interruption

目的 薬剤溶出性ステント(DES)植込み後1年以上のチエノピリジン系薬剤(clopidogrel,prasugrel)とaspirinによる2剤併用抗血小板療法(DAPT)継続の非継続に対する優越性を検証する。
最初にDES植込み予定例を血小板機能評価に基づく抗血小板薬治療群と血小板機能を評価しない標準治療群にランダム化して1年間追跡し(ARCTIC-Monitoring;一次エンドポイントに有意な群間差は認められず:N Engl J Med 2012; 367: 2100-9. PubMed),追跡期間(DAPT実施期間)中にイベントを発症しなかった患者を,DAPT継続群と中止群に再ランダム化し,6か月以降の転帰を比較した。

有効性の一次エンドポイントは,全死亡,心筋梗塞(MI),脳卒中/一過性脳虚血発作,緊急血行再建術,ステント血栓症の複合エンドポイント。
安全性の一次エンドポイントは,STEEPLE基準による大出血。
コメント 第一世代(40%),あるいは第二世代(60%)DES留置後,1年間イベントが発生しなかった症例をDAPT中止群とDAPT継続群とに分け,後者の優越性を検証した無作為化試験である。
結論としては1年以上の継続に有用性は認められず,いたずらに出血を増やすため DAPTの“interruption”を是としている。DAPTの継続期間や症例のリスクは異なるものの,従来のランダム化比較試験と同じ方向性を示した。
本試験を解釈する上で,バイアスのかかった非常に低リスク症例を対象としていることに注意が必要である。すなわち,当初よりSTEMIが除外され,ランダム化されたのは1年間のイベントフリーの後であり,さらに主治医の裁量でより高リスクのグループも除かれている。結果としてイベント発生率が低く検出力不足になっている点も残念である。(中野中村永井
デザイン 無作為割付け,多施設(フランスの38施設),intention-to-treat解析。
期間 追跡期間は17か月(中央値)。
ランダム化期間は2011年1月4日~’12年3月3日。
対象患者 1,259例。ARCTIC-Monitoringの参加患者(18歳以上のDES植込み例)2,440例において,追跡期間中に一次エンドポイント非発生例のうち,DAPT期間延長を要する新規の血行再建術・出血性消化器潰瘍などのaspirin継続禁忌・aspirin抵抗性のない症例。他に主治医の判断なども考慮。
ARCTIC-Monitoringの除外基準:ST上昇型心筋梗塞に対するprimary PCI,GP IIb/IIIa阻害薬投与予定者,長期抗凝固薬投与例,出血素因。
■患者背景:年齢中央値64歳,BMI中央値27kg/m²,女性(DAPT継続群20%,DAPT中止群19%),糖尿病(31%, 36%),脂質異常症(67%, 68%),高血圧(59%, 62%),現喫煙(23%, 24%),治療後血小板高活性(VerifyNow-P2Y12アッセイ≧235PRU:19%, 16%),MI既往(31%, 30%),PCI既往(43%, 40%),ACE阻害薬(53%, 52%),β遮断薬(61%, 58%),スタチン(両群とも67%),プロトンポンプ阻害薬(33%, 29%),DES植込み(98%, 99%;うち第二世代DES:62%, 64%),治療血管:左前下行枝:54%, 52%;回旋枝:33%, 29%;右冠動脈:30%, 36%。
治療法 DAPT中止群(624例):チエノピリジン系薬剤の投与を中止し,aspirin単剤に切替えた(DAPT期間12か月)。
DAPT継続群(635例):DAPTをさらに6か月間以上継続した(18か月)。
結果 [抗血小板薬治療]
ランダム化時はclopidogrel 75g/日がDAPT継続群89%,中止群86%,150g/日が10%, 14%(ともにp=0.039),prasugrel 10mg/日が両群とも9%で,aspirinは99%, 100%。追跡評価時はclopidogrelが72%, 15%(p<0.0001),aspirinが94%, 97%(p=0.0121),prasugrelが6%, 2%(p=0.0019)。
[一次エンドポイント]
・有効性
複合エンドポイントの発生率は,DAPT継続群と中止群で同等であった(24例[4%] vs 27例[4%]:DAPT中止群のハザード比1.17;95%信頼区間0.68~2.03, p=0.58)。
・安全性
STEEPLE 大出血イベントは継続群のほうが多かった(7例[1%] vs 1例[<0.5%]:0.15;0.02~1.20, p=0.073)。
大出血または小出血も同様だった(12例[2%] vs 3例[1%]:0.26;0.07~0.91, p=0.04)。
[主要二次エンドポイント:ステント血栓症+緊急血行再建術]
有意な群間差は認められなかった(8例[1%] vs 10例[2%]:1.30;0.51~3.30)。
[その他]
年齢(≧75歳),性別,BMI(>30kg/m²),糖尿病,喫煙などのサブグループ解析の結果も変わらなかった。
血小板活性とDAPT継続・中止との交互作用は認められなかった(p=0.78)。
★考察★DES植込み後1年間にイベントを発症しなかった患者において,1年以上のDAPT継続のベネフィットは認められず,むしろ有害なことが示された。ランダム化できなかった高リスク例については結論は導き出せなかった。
ClinicalTrials.gov:NCT00827411
文献
  • [main]
  • Collet JP et al for the ARCTIC investigators: Dual-antiplatelet treatment beyond 1 year after drug-eluting stent implantation (ARCTIC-Interruption): a randomised trial. Lancet. 2014; 384: 1577-85. PubMed

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収載年月2015.03