循環器トライアルデータベース

BASKET-PROVE II
Basel Stent Kosten-Effektivitäts-Trial PROspective Validation Examination II

目的 ステント径≧3mmのステント植込みを要する冠動脈疾患(CAD)患者において,生分解性ポリマーを使用した第2世代薬剤溶出性ステント(DP-DES;biolimus A9溶出Nobori®)と現在もっともよく使用されている第2世代耐久性ポリマーDES(BP-DES;everolimus溶出Xience-Prime®),生体適合性シリコンカーバイドをコーティングした薄型ストラットの最新世代ベアメタルステント(BMS;ProKinetik®)の長期有効性および安全性を,prasugrel+aspirinによる2剤併用抗血小板療法(DAPT)施行下で比較する。

一次エンドポイントは,2年後の主要有害心イベント(MACE;心臓死,非致死的心筋梗塞[MI],臨床症状による非MI関連標的血管再血行再建術[TVR])。
コメント 本試験は,目視で径3.0mm以上の冠動脈ステント植え込み予定患者を,(1) 生体吸収性ポリマーバイオリムス溶出性ステント(BP-BES),(2) 耐久性ポリマーエベロリムス溶出性ステント(DP-EES),(3) ベアメタルステント(BMS)の3群に無作為に割り付けて,2年後のアウトカムを比較する試験である。主要有害心イベント(MACE)についてBP-BESのBMS に対する優越性,DP-EESに対する非劣性が確認された。1年以降のMACEについてはBP-BESはDP-EEおよびSBMS と有意の差を認めなかった。
本試験は,1年以降のステント血栓症の主因と考えられるポリマーを生体吸収させることにより,第一世代耐久性ポリマー薬剤溶出性ステントにみられた1年以降の遅発性有害事象を抑制し,BMSと同等の長期成績が得られるという仮説の検証を目的としていた。実際にはDP-EESの成績が良好で,1年以降のステント血栓症の発症率が極めて低いために,検証を目的としていた仮説そのものが不適切であるという結果になってしまった。BP-BESと DP-EES の比較については,先行研究であるCOMPARE II試験,NEXT試験の結果と良く一致しており,2年までの結果ではポリマーを生体吸収させることによるメリットは明確ではないという結果であった。しかしながらDP-EESの5年以降の長期の成績は未だ明らかにされておらず,BP-BESと DP-EESの比較についてもさらに長期の観察が必要と考えられる。(木村
デザイン PROBE(prospective, randomized, open, blinded-endpoint),多施設(欧州4か国8施設),intention-to-treat解析。
期間 追跡期間は714日(中央値)。
登録期間は2010年4月1日~’12年5月21日。
対象患者 2,291例。目視で径≧3.0mmのステント植込みを要する慢性・急性CAD患者。
除外基準:心原性ショック,ステント再狭窄,血栓症,非保護左主幹部・グラフト病変,出血リスクなど。
■患者背景:平均年齢(BP-DES群62歳,DP-DES群62歳,BMS群63歳),男性(78%, 80%, 75%),糖尿病(21%, 17%, 19%),高血圧(66%, 66%, 67%),高脂血症(65%, 63%, 62%),現喫煙(35%, 35%, 37%),PCI適応(安定狭心症:36%, 35%, 39%;非ST上昇型MI:34%, 35%, 33%;ST上昇型MI:30%, 29%, 27%)。
手技背景:標的血管(左前下行枝:62%, 63%, 65%;右冠動脈:52%, 53%, 52%;左回旋枝:35%, 35%, 33%),多枝疾患(37%, 39%, 39%),ステント長<3.0mm(4%, 6%, 3%;p=0.001),GPIIb/IIIa拮抗薬使用(12%, 13%, 12%),治療部位数(1.2, 1.3, 1.3),ステント数(全群1.5),総ステント長(25.7mm, 27.1mm, 25.1mm),staged PCI(5%, 8%, 6%;p=0.02),血管造影上の病変成功率(96%, 96%, 95%)。
治療法 BP-DES群(765例・956セグメント),DP-DES群(765例・979セグメント),新世代BMS群(761例・962セグメント)。
全例に,prasugrel(ローディング60mg+維持量10mg/日;>75歳・体重<60kgは5mg/日)とaspirin(75~100mg/日)によるDAPTをDES植込み例で12か月,BMS植込み例で4週間施行。以後はaspirinのみを投与。
BP-DES群のDP-DES群に対する非劣性,BMS群に対する優越性を検証した。
結果 2年追跡終了は97.7%。
[一次エンドポイント]
MACEの発生率は,BP-DES群7.6%,DP-DES群6.8%,BMS群12.7%。
BP-DES群はDP-DES群に対して非劣性であった(絶対差0.78%;95%信頼区間[CI]-1.93~3.50%;非劣性マージン3.80%, p=0.042)。ただし,per-protocol解析では非劣性は示されなかった(95%CI上限4.15%, p=0.09)。
BP-DES群はBMS群にくらべMACEのリスクが有意に低かった(絶対リスク差-5.16;95%CI -8.32~-2.01;p=0.0011;ハザード比0.57;95%CI 0.41~0.79, p=0.001)。
これはとくに,非MI関連TVR(4.4%, 3.1%, 8.3%)の低下によるものだった(BP-DES群 vs BMS群:0.52;0.34~0.79, p=0.002)
1年後を起点とするランドマーク解析で,MACEにおけるBP-DES群とBMS群の差は最初の1年間は有意であったが(オッズ比0.42;95%CI 0.28~0.64, p<0.0001),以後は同等であった(1.22;0.63~2.37)。
[二次エンドポイント:安全性など]
安全性の複合エンドポイント(definite/probableステント血栓症+MI+心臓死)の発生率に有意な群間差はなかった(3.7%, 3.8%, 5.0%)。
definite/probableステント血栓症(0.4%, 0.7%, 0.8%),心臓死(1.3%, 0.9%, 1.8%),非致死的MI(2.4%, 2.7%, 3.2%)も同等であった。
DAPTを終了した1年後以降に,ステント血栓症の増加はみられなかった。
★結論★≧3mmのステント植込みを要するCAD患者での2年間のMACE抑制において,BP-DES群のDP-DES群に対する非劣性が示された。また,両群とも薄型ストラットの最新世代BMS群よりMACEのリスクが低かった。ただし1年後以降は3群間に有意差はなかった。 
ClinicalTrials.gov No:NCT01166685
文献
  • [main]
  • Long-term efficacy and safety of biodegradable-polymer biolimus-eluting stents. Main results of the basel stent Kosten-Effektivitäts trial- PROspective Validation Examination II (BASKET-PROVE II), a randomized, controlled moninferiority 2-year outcome trial. Circulation. 2015; 131: 74-81. (Epub 2014 Nov 19.) PubMed

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収載年月2014.12