循環器トライアルデータベース

HELP-VT
Heart Centre of Leipzig VT

目的 心室頻拍(VT)に対する高周波カテーテルアブレーションの有効性に関するデータは,試験によりアブレーションのアプローチ,短期・長期成功の定義,アブレーション後に使用した抗不整脈薬が異なるため,十分ではない。また,非虚血性拡張型心筋症(NIDCM)患者の転帰を評価した試験はほとんどない。さらに,VTアブレーション後の転帰の予測因子も不明である。
NIDCM患者と虚血性心筋症(ICM)患者において,VTアブレーション後の転帰を前向きに比較し,短期・長期成功の予測因子を探索する。
コメント 虚血性にくらべ非虚血性心筋症では,病気が進行性であり不整脈の発生源となる基質やトリガーが新規に形成される。このため,アブレーションによるVT根治率が低く,遅延電位や基質に基づいたアブレーションが実施できないことが多く,心外膜からのアプローチが必要となる。より複雑なアブレーション手技が必要となるが,臨床的/非臨床的VTの誘発が完全に抑制されれば,非虚血性VTでも長期予後(VT再発)は良好である。(井上
デザイン 前向き観察研究,単施設。
期間 追跡期間はNIDCM群20か月,ICM群27か月(中央値)。
アブレーション実施期間は2008年1月~’11年12月。
対象 227例(NIDCM 63例,ICM 164例)。再発性の持続性VTを有するNIDCMまたはICM患者。
除外基準:心毒性のある薬剤・栄養状態・全身性/内分泌疾患による拡張型心筋症,脚肢間リエントリー性VT。
■患者背景:平均年齢(NIDCM群59.2歳,ICM群67.4歳;p=0.0001),男性(82.5%, 88.4%),心房細動/粗動(47.6%, 50.6%),ICD/CRT-D(95.2%, 90.9%),electric storm*(54%, 40.9%),入院時β遮断薬使用(90.5%, 95.1%);amiodarone(33.3%, 39%),高血圧(47.6%, 82.3%;p=0.0001),糖尿病(28.6%, 40.2%),NYHA心機能分類>II度(55.7%, 63.2%),EF(33.7%, 32.3%)。
* ICD/体外式除細動器治療を要するVTが>3回/24時間発生。
・手技背景:遠隔磁気ナビゲーション(7.9%, 36%;p=0.0001),心外膜アブレーション(30.2%, 1.2%;p=0.0001),基質マッピング(66.7%, 89.6%;p<0.0001),entrainment(27%, 10.4%;p=0.002),手技時間(181分,155分;p=0.003),透視時間(39分,26分;p=0.0001)。
調査方法 NIDCMとICMは,冠動脈造影上の冠動脈疾患の有無により識別。アブレーション前に,可能な限り抗不整脈薬を半減期の5倍の期間休薬(ただし,多くの症例は救急でアブレーションを施行したため休薬できず)。手技は主に心内膜アプローチにより実施。頻拍中ではない症例では,プログラム電気刺激により単形性VTの誘発を試み,誘発されない場合は別の刺激を追加。アブレーション後の効果判定にも同じ誘発プロトコールを使用。
短期転帰は,臨床的VTのみの消失を「部分的成功」,臨床的/非臨床的安定単形性VTの完全消失を「完全成功」,アブレーション後に臨床的/非臨床的VTが再誘発された場合を「不成功」と定義。長期転帰はVTの再発とし,ベースライン時にICD/CRT-Dを植込んでいなかった症例には退院前にICD/CRT-D(4.5%)またはループレコーダー(3.9%)を植込んで追跡した。
結果 アブレーション前に頻拍中だったのは25例(11.7%),プログラム刺激による誘発例は166例(77.6%),非誘発例は23例(10.7%)。
[短期転帰]
有意な両群間差は認められなかった。
完全成功:NIDCM群42例(66.7%) vs ICM群127例(77.4%)。
部分的成功:14例(22.2%) vs 30例(18.3%)。
不成功:7例(11.1%) vs 8例(4.9%)。
入院中の死亡:3例(4.8%) vs 6例(3.7%)。
主要な手技関連合併症:7例(11.1%) vs 18例(11.1%)。
[短期転帰の予測因子]
NIDCM群では,心外膜アブレーションが完全成功率上昇の予測因子であった(オッズ比10.5;95%信頼区間2.52~44.0, p=0.001)。
手技中に誘発されたVTの回数は,両群における完全成功率低下の予測因子であった(VT 1回増加ごとのオッズ比,NIDCM群:0.46;0.26~0.82, p=0.008,ICM群:0.61;0.45~0.82, p=0.001)。
[長期転帰]
1年後のVT再発回避生存率(Kaplan-Meier推定)は,NIDCM群40.5% vs ICM群57%(単変量解析によるNIDCM群のVT再発ハザード比[HR]1.62;95%信頼区間1.12~2.34, p=0.01)。
追跡期間中の全死亡は8例(12.7%)vs 13例(7.9%)(p=0.307)。
[長期転帰の予測因子]
VT再発の予測因子は,完全成功と比較した不成功(NIDCM群:4.12;1.56~10.89, p=0.004,ICM群:4.48;1.2~16.65, p=0.025),部分的成功(3.28;1.25~8.65, p=0.016, 1.9;1.004~3.58, p=0.048)であった。
ICM群では若年齢(0.97;0.95~0.99, p=0.038)と心不全の重症度(1.36;1.02~1.81, p=0.034)もVT再発の予測因子であった。
★結論★VTアブレーションの短期成功率はNIDCM患者とICM患者で同等であったが,長期転帰はNIDCM患者のほうが不良であった。アブレーション後のVT誘発の完全消失は,良好な長期転帰に関連した。
文献
  • [main]
  • Dinov B et al: Outcomes in catheter ablation of ventricular tachycardia in dilated nonischemic cardiomyopathy compared with ischemic cardiomyopathy: results from the prospective heart centre of Leipzig VT (HELP-VT) study. Circulation. 2014; 129: 728-36. PubMed

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収載年月2014.10