循環器トライアルデータベース

GAUSS-2
Goal Achievement after Utilizing an Anti-PCSK9 Antibody in Statin Intolerant Subjects -2

目的 実地臨床でのスタチンの副作用発生率は,ランダム化比較試験よりも高い10~20%とされている。複数のスタチンに不忍容の患者は目標脂質値を達成できないため,心血管リスクが軽減されない。コレステロール吸収阻害薬のezetimibeは,忍容性は良好だがLDL-C低下効果が小さい。
2剤以上のスタチンに不忍容の高コレステロール血症患者において,新規抗PCSK9完全ヒトモノクローナル抗体エボロクマブ(evolocumab)*皮下投与のLDL-C低下効果と安全性を,ezetimibeの経口投与と比較する。

一次エンドポイントは,LDL-Cのベースラインから10週後と12週後の平均値までの変化率,および12週後までの変化率。

* PCSK9(proprotein convertase subtilisin/kexin type 9)はセリンプロテアーゼの一種で,肝臓で合成され血中に分泌される蛋白である。LDL受容体に結合し,LDL受容体の分解を促進する蛋白として知られており,PCSK9の機能獲得型変異をもった先天性疾患がまさに家族性高コレステロール血症と表現型が同一であることから発見された。 evolocumabはこの蛋白に対するモノクローナル抗体製剤で,第II相試験においてLDL-Cの有意な低下と良好な安全性が示されている。
コメント 本試験はACC 2014でLAPLACE-2と一緒に発表されたPCSK9に対するモノクロナール抗体を用いた臨床試験である。スタチン全盛の時代に,新たな治療薬であり,かつスタチンの弱点(スタチン治療によりPCSK9の合成が高まり,LDL受容体の分解を促進するためにスタチンの効果を減弱する)を補強するという意味で,スタチンとの併用でさらなるLDL-Cの低下を期待できる。LAPLACE-2で示されたLDL-Cは25mg/dLくらいにまで低下するようであるが,lower the betterが正しいかという論議は別として,その方法が手に入るという利点は大きい。
スタチンに忍容性のない患者を対象とした本試験では,LDL-C低下療法としては極めて有用な方法となる可能性が示された。これが,安全でさらなる心血管病予防につながるのか検討する大規模臨床試験が始まっているが,その結果を待ちたい。(寺本
デザイン 無作為割付け,二重盲検,多施設(北米,欧州,アジア,アフリカ,オーストラリアの50施設)。
期間 追跡期間は12週。
登録期間は2013年1月~8月。
対象患者 307例。18~80歳,≧2剤の有効量のスタチンに不忍容(筋肉関連副作用のため用量を問わず不忍容,もしくは最小量からの増量不可),NCEP ATPIIIのLDL-C基準による高コレステロール血症患者。
■患者背景:年齢(evolocumab 140mg Q2W+PBO QD群61歳,evolocumab 420mg QM+PBO QD群63歳,ezetimibe QD+PBO Q2W群62歳,ezetimibe QD+PBO QM群60歳),男性(55, 55, 47, 57%),白人(91, 96, 96, 90%),LDL-C(192, 192, 195, 195mg/dL),アポリポ蛋白B(ApoB)(140, 133, 140, 140mg/dL),リポ蛋白(a)(Lp(a))(中央値39, 31, 57, 26nmol/L),HDL-C(51, 54, 52, 48mg/dL),血中遊離PCSK9濃度(285, 266, 317, 295ng/mL),不忍容のスタチン数(3剤:36, 31, 26, 43%;≧4剤:19, 20, 25, 24%),おもな筋肉関連副作用(筋肉痛:78, 79, 78, 88%;筋炎:19, 19, 22, 8%;横紋筋融解症:2, 2, 0, 4%),脂質低下治療(33, 36, 29, 31%),2型糖尿病(19, 15, 22, 31%),高血圧(55, 55, 59, 75%),冠動脈疾患家族歴(30, 35, 20, 43%),心血管リスク因子≧2(52, 37, 39, 69%),NCEPリスク分類(高:50, 57, 63, 63%;中~高:16, 16, 10, 16%;中:19, 16, 18, 16%; 低:16, 12, 10, 6%)。
治療法 下記4群に2:2:1:1の比率でランダム化。
evolocumab 140mg Q2W+PBO QD群(103例):evolocumab 140mg 1回/2週皮下投与+プラセボ1回/日経口投与。
evolocumab 420mg QM+PBO QD群(102例):evolocumab 420mg 1回/月皮下投与+プラセボ1回/日経口投与。
ezetimibe QD+PBO Q2W群(51例):ezetimibe 10mg 1回/日経口投与+プラセボ1回/2週皮下投与。
ezetimibe QD+PBO QM群(51例):ezetimibe 10mg 1回/日経口投与+プラセボ1回/月皮下投与。
結果 試験治療終了はevolocumab群96%,ezetimibe群86%。
試験終了は290例(94%)。
[一次エンドポイント]
LDL-C値の低下はevolocumab群がezetimibe群にくらべて有意に大きかった。
・10週後と12週後の平均LDL-C値のベースラインからの低下率
evolocumab 140mg Q2W群-56.1% vs ezetimibe群-19.2%:群間差-36.9%(p<0.001)。
evolocumab 420mg QM群-55.3% vs ezetimibe群-16.6%:-38.7%(p<0.001)。
・12週後のLDL-C値のベースラインからの低下率
evolocumab 140mg Q2W群-56.1% vs ezetimibe群-18.1%:-38.1%(p<0.001)。
evolocumab 420mg QM群-52.6% vs ezetimibe群-15.1%:-37.6%(p<0.001)。
[安全性]
有害事象による試験治療中止は,evolocumab群8%,ezetimibe群13%。
筋肉痛はそれぞれ16例(8%),18例(18%)で,両群ともにベースライン時のスタチン投与例のほうが非投与例よりも多かった(17% vs 6%;21% vs 17%)。
[その他の脂質]
ApoB,Lp(a)の低下もevolocumab群がezetimibe群より有意に大きかった(p<0.001)。
★結論★スタチンに不忍容の高コレステロール血症患者において,evolocumab 140mg 1回/2週間投与および420mg 1回/月皮下投与は,いずれもezetimibe 10mg 1回/日経口投与にくらべ,12週後のLDL-C低下効果が有意に大きく,忍容性も良好であった。
ClinicalTrials.gov No:NCT01763905
文献
  • [main]
  • Stroes E et al for the GAUSS-2 investigators: Anti-PCSK9 antibodyeEffectively lowers cholesterol in patients with statin intolerance: the GAUSS-2 randomized, placebo-controlled phase 3 clinical trial of evolocumab. J Am Coll Cardiol. 2014; 63: 2541-8. PubMed

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収載年月2014.06