循環器トライアルデータベース

OSCAR
Olmesartan and Calcium Antagonists Randomized

目的 標準用量のARB単剤で血圧コントロール不良の高齢日本人高リスク高血圧患者において,高用量のARB単剤療法(olmesartan 40mg/日)と標準用量のARB(olmesartan 20mg/日)+Ca拮抗薬併用療法の心血管イベント予防効果を比較する。

一次エンドポイントは,致死的・非致死的心血管イベント(脳血管障害,冠動脈疾患,心不全,その他の動脈硬化性疾患,糖尿病合併症,腎機能低下)+非心血管死の複合エンドポイント。
コメント ARB オルメサルタン(olmesartan)単独で降圧目標(140/90mmHg)に達成しない65歳から84歳の高齢者高血圧に対してolmesartanを増量するか,Ca拮抗薬(アムロジピンまたはアゼルニジピン)を併用するか,のどちらが心血管イベント抑制に有効かを比較した日本発医師主導型臨床試験である。この問題はARBを第一選択薬として使用してきた日本の臨床医にとっては日常悩むことの多いテーマであったと思われる。
本試験の結果から得られることは2点ある。一つは,すでにolmesartanを第一選択薬としているのに降圧不十分な例では,Ca拮抗薬併用のほうがolmesartanを増量するよりも血圧がよく下がるという点,もう一つは全体では一次エンドポイントに有意差はなかったものの心血管合併症のある例では併用群のほうが有意に抑制していたという点である。
同様の試験として我が国のADVANCED-J試験があり,やはりARBを増量するよりもCa拮抗薬を併用したほうが降圧効果の増強がみられ,降圧目標値の達成率も高かったという結果を示している。
私自身は高齢者高血圧患者に対してARBを第一選択薬とすることはほとんどないのでこの試験結果は参考にならないが,用量に依存して降圧効果が調整可能な点を考慮すると,高齢者にはARBよりもCa拮抗薬が選択薬としてふさわしいことを示している。
本試験では,高用量ARB群の達成血圧が135.0/74.3mmHgであるのに対して,Ca拮抗薬併用群は132.6/72.6mmHgである。このことは心血管合併例では降圧度に依存して心血管疾患が抑制されること,そして84歳までの高齢者でも血圧を133/73mHgまでさげたほうが心血管合併症予防に有用であるという二つの重要なことを示唆している。(桑島
デザイン PROBE(prospective, randomized, open, blinded-endpoint),多施設,intention-to-treat解析。
期間 追跡期間は3年(中央値)。
対象患者 1,164例。65~84歳,血圧≧140/90mmHgの外来高血圧患者で,2型糖尿病または心血管疾患(CVD:脳血管疾患,心疾患,血管疾患,腎機能不全)合併例。
■患者背景:平均年齢73.6歳,男性(高用量ARB群43.9%,ARB+Ca拮抗薬群44.5%),BMI(24.3, 23.8kg/m², p=0.02),血圧(158.2/85.2, 157.2/84.6mmHg),心拍数(73.9, 72.9拍/分),推算糸球体濾過量(66.5, 67.9mL/分/1.73m²),高脂血症(49.5%, 46.1%),総コレステロール(197.5, 199.9mg/dL),HDL-C(56.0, 57.0mg/dL),空腹時血糖(119.9, 114.6mg/dL),現飲酒(31.0%, 33.0%),服用降圧剤数(0:29.9%, 28.8%;1:43.1%, 44.4%;2:21.8%, 22.9%;≧3:5.2%, 3.9%),血糖降下薬(38.8%, 36.2%),脂質低下薬(36.9%, 36.0%),抗血小板薬(30.5%, 31.2%),CVD(70.1%, 69.5%;脳卒中:19.2%, 16.4%;無症候性脳血管疾患:18.3%, 16.9%;心筋梗塞:2.8%, 3.6%;安定狭心症:11.4%, 10.9%;心不全:7.1%, 8.2%;左室肥大:16.8%, 16.7%),2型糖尿病のみ(CVD非合併)(29.9%, 30.5%)。
治療法 run-in期間中に全例にARB olmesartan 標準用量20mg/日を単剤投与し,目標血圧(<140/90mmHg)未達成の忍容性良好な患者を下記2群にランダム化。
高用量ARB群(578例):olmesartan 40mg/日。
ARB+Ca拮抗薬群(586例):olmesartan 20mg/日+amlodipine 2.5または5mg/日もしくはazelnidipine 8mg/日または16mg/日。
目標血圧を達成できない場合は,利尿薬またはβ遮断薬を追加。
結果 追跡率は92.8%。
追跡終了時の服薬遵守率は両群で同等(高用量ARB群87.5% vs ARB+Ca拮抗薬群90.3%)。
他の降圧薬の追加は高用量ARB群のほうが多かった(6か月後:26.2% vs 12%,3年後:40.7% vs 23%)。
[降圧]
3年後の平均血圧は,高用量ARB群(135.0/74.3mmHg)がARB+Ca拮抗薬群(132.6/72.6mmHg)よりも有意に高かった(平均差:収縮期血圧2.4mmHg[p=0.03],拡張期血圧1.7mmHg[p=0.02])。
目標血圧達成率はARB+Ca拮抗薬群のほうが高かった(62.1% vs 70.5%, p=0.003)。
[一次エンドポイント]
有意な両群間差は認められなかった(58例[10.03%] vs 48例[8.19%]:ハザード比1.31;95%信頼区間0.89~1.92, p=0.17)。
致死的・非致死的心血管イベント(49例 vs 37例:1.44;0.94~2.21),非心血管死(9例 vs 11例:0.85;0.35~2.06)も両群で同等であった。
3年間で1件の一次エンドポイントを予防するためのNNTは54例。
[二次エンドポイント:複合一次エンドイベント構成各イベント,有害事象など]
いずれのエンドポイントにも有意な群間差を認めなかった:脳血管疾患(24例 vs 15例),冠動脈疾患(6例 vs 7例),心不全(12例 vs 8例),その他の動脈硬化性疾患(3例 vs 2例),糖尿病合併症(2例 vs 4例),腎機能低下(2例 vs 1例)。
重篤な有害事象にも有意差はなかった(47例[8.1%] vs 51例[8.7%], p=0.75)。
[サブグループ]
CVD合併例では,一次エンドポイントリスクは高用量ARB群が有意に高かったが(51例 vs 34例:1.63;1.06~2.52, p=0.03),CVD非合併例では同群のほうが低い傾向が示された(7例 vs 14例:0.52;0.21~1.28, p=0.14);交互作用p=0.02。糖尿病の影響はみられなかった(交互作用p=0.17)。
CVD合併の有無を問わず,目標血圧達成例は非達成例にくらべ一次エンドポイントの発生率が有意に低かった。
★結論★ARB単剤で血圧コントロール不良の高リスク高齢高血圧患者において,ARB+Ca拮抗薬群は高用量ARB群よりも3年後の血圧の低下が大きかったが,心血管イベント/非心血管死リスクには有意な群間差を認めなかった。ただし,CVD合併例ではARB+Ca拮抗薬群のほうがイベントリスクが低かった。
ClinicalTrials gov No: NCT00134160
文献
  • [main]
  • Ogawa H et al fo the olmesartan and calcium antagonists randomized (OSCAR) study group: Angiotensin II receptor blocker-based therapy in Japanese elderly, high-risk, hypertensive patients. Am J Med. 2012; 125: 981-90. PubMed
    Rich MW: Hypertension in older adults: progress and limitations. Am J Med. 2012; 125: 949-50. PubMed

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収載年月2014.07