循環器トライアルデータベース

R3F
Registre Français de la FFR

目的 冠血流予備量比(FFR)は,PCI施行予定の患者における冠動脈血行再建術のガイドとして有効なことが示唆されている。しかし,実臨床における診断冠動脈造影(CAG)時のFFR測定の実態,FFRが血行再建戦略の選択に及ぼす影響,FFRに基づく治療の安全性に関するデータはない。
CAG時にFFRを施行した患者において,(1)治療法変更の割合と(2)治療法を変更した場合の安全性を評価する。

エンドポイントは,死亡,心筋梗塞(MI),再血行再建術,脳卒中,主要心イベント(MACE:死亡+MI+予定外の再血行再建術)。
コメント 中等度狭窄を有する症例を対象に,FFRによる治療戦略の変更(reclassification)を検証した登録研究である。PCI施行予定症例を対象としてFFRガイドでのPCI適応や意義を論じたこれまでの大規模臨床試験(DEFER・FAME・FAME2)と異なり,CAGとFFRを連続的に施行し,CAG後とFFR後とでの治療戦略(薬物療法・PCI・CABG)の変化を比較した。
FFR前後での治療戦略の分布には大きな変化はなかったが,個々の症例で比較すると実に43%で変更となり,改めてCAGでの中等度狭窄の曖昧さが実感される。一方,それぞれの治療戦略決定の基準も示されておらず,reclassificationの有無で予後に差がないことを根拠にその有用性を強調するのは論理の飛躍と言わざるを得ない。(中野中村永井
デザイン 登録研究,多施設(フランスの20施設)。
期間 追跡期間は379日(中央値)。
登録期間は2008年10月~’10年6月。
参加者 1,075例。CAGにて虚血の有無を断定できない病変(目視で35~65%)を1病変以上有する連続症例。
■患者背景:年齢64.7歳,男性75.3%,冠動脈疾患家族歴23.5%,喫煙53.7%,高血圧65.5%,脂質異常症64.6%,糖尿病35.8%,MI既往25.2%,PCI歴39.0%,安定症例80.5%(狭心症23.1%,非典型例10.6%,胸痛なし46.8%),非侵襲的虚血検査61.4%(負荷心電図23.8%,負荷SPECT 18.1%,負荷心エコー12.7%),EF≧50% 82.8%,β遮断薬62.2%,ACE阻害薬49.8%,スタチン76.9%,aspirin 79.1%,ADP拮抗薬64.8%。
CAG背景:罹患枝数(狭窄率>50%)(0:13.9%,1枝:38.5%,2枝:28.0%,3枝/左主幹部:19.6%),FFR対象病変数1,422,病変部位(左前下行枝58.4%,右回旋枝19.9%),平均狭窄率52.7%,平均病変長12.8mm,平均FFR 0.82,FFR≦0.8 36.9%。
調査方法 最初にCAGの結果に基づいて血行再建戦略(内科的治療,PCI,CABG)を選択後,FFR測定を行い,最終的な戦略を決定。FFRのカットオフ値は0.8とした。
FFR後の治療法変更例の割合を算出。また,FFRによる治療法変更の安全性を評価するため,治療法変更例におけるMACE発生率を,治療法非変更例と比較。
結果 [治療法変更率(CAG後→ FFR測定後)]
内科的治療:55%→ 58%, PCI:38%→ 32%, CABG:7%→ 10%。
FFR測定後の治療法変更例は464例(43%)で,CAG後の分類別にみると,内科的治療からの変更は33%,PCIからは56%,CABGからは51%であった。
FFRに基づく治療法の実施例は1,028/1,075例(95.7%)。
[非侵襲的虚血検査の影響]
非侵襲的虚血検査を行った患者(61.4%)では,検査結果がCAG後の治療法決定に有意な影響を及ぼした(p=0.01)。非侵襲的検査の結果が陽性に近づくほど,CAGで血行再建術が選択される割合が増加した(PCI:陰性30%→不確定36%→陽性41%;CABG:0%→ 4%→ 8%)。
[1年後の臨床転帰]
1年後のMACEにFFR後の治療法変更例と非変更例の差はみられなかった(11.2% vs 11.9%, p=0.78)。個別のイベントの結果も同様であった(死亡:2.1% vs 3.1%,MI:1.5% vs 2.0%,予定外の血行再建術:8.4% vs 9.0%)。
ほとんどの患者(>90%)は1年後も無症候性で,再分類例と非再分類例の差もみられなかった(94.0% vs 93.8%, p=0.75)。
[サブグループ]
インスリン治療を要する糖尿病,EF<50%,3枝病変の患者はそれらを認めない患者にくらべMACEの発生率が高い傾向であったが,治療法変更の影響は認められなかった(糖尿病:変更例16.6% vs 非変更例16.1%;EF<50%:11.5% vs 17.5%;3枝病変:14.1% vs 18.5%)。
★結論★診断冠動脈造影時のFFR測定により約半数の患者の血行再建法が変更された。また,変更治療法を行っても主要心イベントは増加しないことが確認された。

[主な結果]
  • Van Belle E et al for the investigators of the registre Français de la FFR–R3F: Outcome impact of coronary revascularization strategy reclassification with fractional flow reserve at time of diagnostic angiography: insights from a large French multicenter fractional flow reserve registry. Circulation. 2014; 129: 173-85. PubMed

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収載年月2014.05