循環器トライアルデータベース

CONDI

目的 遠隔虚血プレコンディショニング(RIC)は,心臓から離れた部位に短時間の虚血を誘発することにより心筋の再灌流障害を予防する新しいアプローチである。上腕に血圧カフを巻き付け,膨張と解除を繰り返すことにより虚血を誘発する。
2010年に,ST上昇型心筋梗塞(STEMI)患者を対象としたランダム化比較試験において,primary PCI(pPCI)前に救急車内で行うRICは30日後の心筋サルベージを改善し,安全性も良好であることが報告された(Lancet 2010; 375: 727-34. PubMed)。今回は,この試験の追跡期間を延長し,RICが長期臨床転帰にもたらす有効性を検討する。

一次エンドポイントは,主要有害心・脳血管イベント(MACCE;全死亡,心筋梗塞[MI],心不全による再入院,虚血性脳卒中/一過性脳虚血発作の複合エンドポイント)。
コメント 遠隔虚血プレコンディショングの方法は,興味深い治療手技である。虚血心筋そのものについてのプレコンディショニングは,かなり以前から実験的検討等が行われてきた。一方,遠隔虚血プレコンディショニングはカフによる上肢の駆血,カフの開放による上肢血流の再開を反復することにより,心筋のダメージ(再灌流障害)を減らすことができるという治療法である。救急隊が簡便に実施できるというメリットもある。カフの駆血と解放を繰り返している間に,心筋保護の効果が発揮されていることを客観的にモニタリングできる方法があると望ましいと考える。CONDIでは,長期にわたる予後も検討し,主要心・脳血管イベントに有意な改善があったとしている。(中村中野永井
デザイン 無作為割付け,単施設(デンマーク),per-protocol・intention-to-treat解析。
期間 追跡期間は3.8年(中央値)。
登録期間は2007年2月~’08年11月。
対象患者 333例。18歳以上,発症後12時間以内,心電図の2連続誘導以上で≧0.1mVのST上昇を認める患者。
除外基準:病院到着時に診断未確定,MI既往,CABG既往,胸痛持続時間>12時間。
■患者背景(Lancet 2010; 375: 727-34. PubMed):平均年齢(RIC+pPCI群62歳,pPCI群63歳),男性(76%, 75%),BMI(両群とも26kg/m²),喫煙(56%, 57%),高血圧(38%, 24%),脂質異常症(15%, 19%),梗塞責任動脈(左前下行枝:39%, 43%;右冠動脈:44%, 42%;回旋枝:16%, 13%),臨床的に重大な罹患枝数(1:67%, 66%;2:19%, 20%;3:13%, 12%),発症からバルーン拡張までの時間(中央値:190分,188分),TIMI flow grade(0:48%, 53%;III:33%, 27%),責任病変へのステント植込み(91%, 92%),服薬状況(heparin:両群とも100%, aspirin:97%, 96%, clopidogrel:95%, 97%, abciximab:83%, 87%)。
治療法 RIC+pPCI群(166例):救急搬送中に RIC(上腕に設置した血圧カフの膨張[200mmHg]と解除を5分ずつ×4サイクル)を実施後,pPCIを施行。
pPCI群(167例):RICを行わずにpPCIを施行。
結果 追跡不能例なし。
[一次エンドポイント]
per-protocol解析(RIC+pPCI群126例,pPCI群125例)において,MACCEのリスクはRIC+pPCI群のほうが有意に低かった(17例[13.5%] vs 32例[25.6%]:ハザード比0.49;95%信頼区間0.27~0.89, p=0.018)。
intention-to-treat解析(166例,167例)の結果も同様であった(0.62;0.39~0.99, p=0.045)。
[二次エンドポイント:一次エンドポイントを構成する各イベント]
per-protocol解析において,全死亡リスクはRIC+pPCI群のほうが有意に低かった(5例[4.0%] vs 15例[12.0%]:0.32;0.12~0.88, p=0.027)。
その他のイベントのリスクもRIC+pPCI群が低い傾向であったが,有意には至らなかった。
★結論★STEMI患者において,pPCI前のRICは長期臨床転帰を改善すると思われる。
ClinicalTrials gov No: NCT01665365
文献
  • [main]
  • Sloth AD et al for the CONDI investigators: Improved long-term clinical outcomes in patients with ST-elevation myocardial infarction undergoing remote ischaemic conditioning as an adjunct to primary percutaneous coronary intervention. Eur Heart J. 2014; 35: 168-75. PubMed

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収載年月2014.05