循環器トライアルデータベース

STS/ACC TVT Registry
Society of Thoracic Surgeons/ American College of Cardiology Transcatheter Valve Therapy Registry

目的 経カテーテル的大動脈弁置換術(TAVR)は,2011年に手術不適応の重度の症候性大動脈弁狭窄への大腿アプローチによる使用がFDAに承認され,2012年に手術可能な高リスク例に適応拡大された(大腿・心尖アプローチ)。しかし,実地臨床での使用実績に関するデータは少なく,臨床試験のように条件付けされた患者を対象に,経験豊富な施設/ 術者が施行するわけではないことから,安全性と有効性の懸念は払拭されていない。
米国ではメディケアの収載条件としてTAVR実施施設の全米登録への参加を義務付け,これを受けて米国胸部外科学会(STS)/米国心臓病学会(ACC)がSTS/ACC TVT Registryを開始した。
このデータを用いて,実地臨床でのTAVRの転帰を評価する。本報は施行から30日後までの転帰。

一次エンドポイントは,入院中の死亡とTAVR後の脳卒中。
コメント JAMA. 2013; 310: 2069-77. へのコメント
臨床試験として,選ばれた大動脈弁狭窄症症例に対する選ばれた施設(35施設)でのTAVRの臨床的有用性がPARTNER試験により明らかとなった。今回の米国224施設のregistry(レジストリ)では,米国のリアルワールドでのSapienデバイス(2011年FDA承認)を使用したTAVRがどのような症例に行われ,どのような効果や安全性を示しているかが検討された。結果としては,手術成功率や合併症はPARTNER試験と大差はなく,各施設の患者のリスクスコアと症例数には相関はみられていない。今回の検討は第一世代デバイスを用いているが,最近の第二・三世代デバイスの結果と遜色ないと思われる。しかし,PARTNER試験よりもこのレジストリでは手術リスクスコアが低いので結果が比較的良かっただけかもしれない。経大腿アプローチが可能な症例の方が経心尖アプローチ例より予後が良好であるのはPARTNER試験と同様であるが,このレジストリのほうが経心尖アプローチの死亡率がより高い。TAVRの30日後の死亡率は7.6%(52%は非心血管死)であり,最近のsurgical AVR (SAVR)の4.2%よりも高いが,TAVRはハイリスク例やinoperable例であるので妥当な数字かもしれない。SAVRではここ20年で30日後の死亡率が半減したが,最近でも施設間で死亡率が2倍異なると報告されている。低侵襲手術のSAVRも最近行われており,TAVRとの住み分けが問題となる。2014年1月にはCoreValveデバイスがFDAの承認を得ているのでリアルワールドでのSapienデバイスとの相違にも興味がある。年数が経過すればTAVRの予後が変わり,施設による臨床成績も異なることが想定される。各施設の症例数や手術リスクスコアは様々なので,これらと臨床転帰との関係が明らかになるであろう。
今回の米国での結果は,他国の各レジストリ:GARY(ドイツ),SOURCE(ヨーロッパ),UK SATIRE(英国),FRANCE2(フランス)とほぼ同様の結果と考えられる。デバイス使用に関するノウハウが世界で共有され,ラーニングカーブの時間が短縮されている。デバイス会社がトレーニングのための教育プログラムを作り,手術時には会社所属のアドバイザーが同席して行っていることも治療効果・安全性の普遍性に役立っている。デバイス会社の記録から考えると12%の症例は除外されているが,これらの症例が予後不良かどうかは不明である。このレジストリは1年後の予後まで追跡する予定であり,長期予後とQOLへの効果について今後の報告に期待したい。(星田
デザイン 登録研究,多施設(米国の224施設)。
期間 追跡期間は30日。
登録期間は2011年11月1日~2013年5月31日。
参加者 7,710例(手術不適応例1,559例[20%],手術可能な高リスク例6,151例[80%])。米国でのSapien Transcatheter Heart Valveを使用したTAVR施行例。
■患者背景:年齢中央値84歳,男性50%,手術による死亡リスク*中央値7%(施設による差が大:1.2~17.4%),NYHA心機能分類III/IV度81%,冠動脈疾患69%,心臓手術歴1回27%,脳卒中既往13%,末梢動脈疾患31%,5m歩行時間>6秒 72%,心房細動41%,永久ペースメーカー/ICD植込み19%,TAVR前の僧帽弁機能不全中等度26%,Kansas City Cardiomyopathy Questionnaire-12による症状が維持した場合の満足度(全く不満足45%,ほぼ不満足30%)。
* STS predicted risk of operative mortalityによる推定死亡リスク(範囲:0~100%)。
・手技背景:施行場所(ハイブリッド手術室57%,ハイブリッドカテーテル室28%,カテーテル室14%),待機的TAVR 89%,アクセス部位(経大腿64%,経心尖29%),経大腿アプローチでのアクセス法(カットダウン63%,皮下36%)。
調査方法
結果 [手技成績]
デバイス植込み成功(血管アクセス成功,適切な解剖学的部位への単一デバイスの留置,中等度~重度の大動脈弁逆流を伴わない適切な弁機能,デリバリーシステムの回収成功)率は92%。
術中の死亡は0.8%であったが,開胸術への移行例(94例[1%])では46例(49%)が死亡した。
[入院中の転帰]
死亡は427例(5.5%),脳卒中は156例(2.0%)。
その他の合併症は,透析を要する腎不全1.9%,重大な血管損傷6.4%,急性腎不全5.5%,大出血3.5%,心房細動新規発症6.0%,新規のペースメーカー植込み6.6%。
ICU滞在期間は46時間,入院期間は6日(ともに中央値)で,生存例の63%が退院後自宅へ戻り,29%がリハビリ施設などへ転院した。
ベースライン時とTAVR後の心エコーデータのある4,918例のうち,僧帽弁逆流の減少は49%,不変は40%,悪化は11%。
高リスク例では,死亡は経大腿アプローチ3.8%,非経大腿アプローチ8.2%,手術不適応例では5.4%, 7.1%,脳卒中はそれぞれ2.2%, 1.6%, 1.9%, 3.3%であった。
[30日後の転帰]
30日後の結果が報告されたのは,114施設(転帰の報告率>80%)・3,133例。
死亡率は243例(7.6%)(うち非心血管死52%),脳卒中は90例(2.8%)であった。
新規透析導入の腎不全は2.5%,大動脈弁への再インターベンションは0.5%,NYHA III/IV度は12%に減少した。
★結論★米国におけるTAVR施行患者のデバイス植込み成功率は92%,入院中の死亡率は5.5%,脳卒中発生率は2.0%であった。
ClinicalTrials.gov No:NCT01737528

[主な結果]
  • 米国のリアルワールドでのMitraClipシステムを使用した経カテーテル的僧帽弁術の手技後MR≦グレード2は92%,1年後の死亡率は25.8%,心不全による再入院は20.2%。
    [背景]米国では,手術不適応例の症候性で一次性の重症(グレード≧3+僧帽弁逆流[MR])僧帽弁閉鎖不全患者においてMitraClipシステムを使用した経カテーテル的僧帽弁術が2013年10月24日に承認されて以来,>250施設で>3,000例の患者で施行されている。
    僧帽弁閉鎖不全に対する経カテーテル的僧帽弁形成術(MitraClipシステム)市販後1年の成績。’13年11月~’15年9月の施行例145施設・2,952例(年齢82歳*,男性55.8%,NYHA III~IV度85.0%,EF 55%*,酸素依存の肺疾患14.2%,フレイル50.3%,STS死亡リスク:弁形成術例6.1%*,弁置換術9.2%*,変性MR 85.9%,僧帽弁:圧較差≧5mmHg 9.2%;弁口面積<4cm² 20.5%,重症三尖弁逆流16.0%,使用clip 1つ66.5%,入院期間2日*,自宅への退院85.9%)。
    解析例はメディケア,メディケイド(CMS)の診療報酬請求データとリンクしていた139施設・1,867例:CMS非リンク例より高齢(83 vs 78歳*),心筋梗塞既往(25.4% vs 30.5%),機能性MR(15.9% vs 20.3%)が少なかった。残存MRが減少しなかったものにくらべグレード≦2例達成例は,入院期間が短く(2日vs 3日),入院中の死亡率が低かった(2.1% vs 10.2%)。* 中央値
    手技後の急性期手技成功率(残存MR≦2)は91.8%。
    <30日後の転帰>入院中も含め死亡率は5.2%,心不全による再入院率は4.9%,MitraClip再施行例は1.3%。心臓手術非実施で30日後に生存していたものの退院時MR≦2は95.5%。
    <1年後の転帰>1年死亡率は25.8%,心不全による再入院率は20.2%,死亡,心不全入院複合37.9%,MitraClip再施行例6.2%,脳卒中2.7%。死亡,心不全入院リスクは変性MRのほうが機能性MRより低かった(死亡率:24.7% vs 31.2%,入院率:20.5% vs 32.6%,複合:35.7% vs 49.0%)。
    <死亡,心不全による再入院との関連変数>多変量解析後,死亡,再入院リスクと有意な関係がみられたのは,加齢,低EF,手技後のMR不良,中等度~重度の肺疾患,透析,重症三尖弁逆流(Sorajja P et al: Outcomes with transcatheter mitral valve repair in the United States: An STS/ACC TVT registry report. J Am Coll Cardiol. 2017; 70: 2315-27.)。 PubMed
  • 米国における2012~’15年の経カテーテル的弁治療2016年年次報告(TAVR 54,782例,僧帽弁形成術3,745例[valve-in-valve術,valve-in-ring術349例])。
    FDA承認デバイスを使用した経カテーテル弁治療を2012~’15年に施行した登録患者,手技の背景,傾向,転帰(2016年年次報告)。
    大動脈弁置換術(TAVR:54,782例・418施設):[登録数]2012年4,627→’13年9,052→’14年16,295→’15年24,808例(p<0.0001)。[施行施設数]198→277→347→414施設。
    MitraClipによる僧帽弁形成術(3,745例・176施設):2013年48例→’14年1,141例→’15年2,556例(19→99→173施設),僧帽弁valve-in-valve術,valve-in-ring術(349例・98施設)は,5→96→248例,3→48→90施設。
    [患者・手技背景]<TAVR施行例>年齢中央値83歳,’12~’15年の4年間で変化はなかったが,≦80歳での施行がいくらか増加。施行率に有意な性差はなく(男性52%,女性48%),白人が94%。STS PROMは’15年に7%から6%に,TVTリスクスコア(TVT PROM;入院中の死亡リスク)は4%から3%に低下した。
    全身麻酔は’12年の97.6%から’15年は82.6%に低下した反面,中等度鎮静剤使用は2.2%から16.6%に増加。バルーン拡張型弁の使用は74.9%で’13年が多かった(96.9%)が,自己拡張型弁が承認され’15年には66.4%に低下。経大腿動脈アクセスが75.9%から86.6%に増加し,経心尖アクセスは14.5%から6.1%に減少した。
    <僧帽弁形成術例>年齢中央値81歳。’14年の82歳から’15年は81歳に低下。男性54.5%,STS PROMは’14年~’15年が6.1%,在宅酸素療法が14.5%。valve-in-valve術,valve-in-ring術例は高リスクだった(STS PROMは11%)。
    [転帰]<TAVR例>死亡率は,入院中(5.7%→5.2%→4.1%→2.9%),30日後(7.5%→7.1%→6.0%→4.6%),1年後(’14年まで:25.8%→22.2%→21.6%)は低下した。脳卒中は,入院中は2.1%で2.2%→2.1%→2.2%→2.0%,30日後は2.1%で2.3%→2.3%→2.2%→1.9%に低下し,1年後は3.8%で3.7%→3.7%→4.0%。手技後の心房細動は’12~’13年の6.9%から’15年は3.7%に低下したが,30日後のペースメーカー植込みが11.8%で’13年の8.8%から’15年は12%に増加した。大出血非発生は91.6%で87.1%から93.1%に改善した。
    <僧帽弁形成術例>入院中死亡率は’14年2.9%→’15年2.1%,僧帽弁逆流grade≦2への低下が85.2%→86.6%。valve-in-valve術,valve-in-ring術例の入院中死亡率は7.2%,30日後死亡率は8.5%。
    ★結論★TVT Registryは,急速に進化する新技術を使用した弁治療の質,患者の安全性,傾向をモニターできる革新的登録研究である(Grover FL, et al for the STS/ACC TVT registry: 2016 annual report of the Society of Thoracic Surgeons/American College of Cardiology transcatheter valve therapy registry. J Am Coll Cardiol. 2017; 69: 1215-30.)。 PubMed
  • TAVR施行患者のリスク背景に性差がみられ,また女性のほうが男性より入院中の合併症,出血リスクは高かったものの,1年後の死亡率は有意に低かった。
    2011年11月~’14年9月のTAVR施行例において,入院中,1年後の転帰を男女(女性11,808例[49.9%],男性11,844例[51.1%])で比較した。
    女性は男性にくらべ,高齢(82.28歳 vs 81.67歳),冠動脈疾患(PCI既往:29.5% vs 41.9%,CABG:16.4% vs 46.1%),心房細動(38.9% vs 42.7%),糖尿病(35.0% vs 39.5%),重症慢性肺疾患(12.9% vs 14.6%)の合併が少ない反面,porcelain aorta(大動脈石灰化:7.7% vs 6.0%),中等度~重度の僧帽弁逆流(31.5% vs 26.4%)が多く,糸球体濾過量が低く(61.2 vs 63.3 ml/分),STSスコアが有意に高かった(9.0% vs 8.0%)。また,女性は男性より非経大腿アプローチが多かった(45.0% vs 34.0%)。女性は使用弁サイズが小さかったものの,弁のcover index≧8%が多かった(66% vs 54%)。
    デバイス関連の合併症は少なかったが女性のほうが多く,また入院中の合併症も女性のほうが有意に多かった(8.3% vs 4.4%:調整ハザード比1.70)。有害心イベント(MACE)に男女差はなかったが,女性で出血リスクが高い傾向も示された(8.0% vs 6.0%:1.19)。しかし,1年後の死亡率は男性にくらべ女性のほうが有意に低く(21.3% vs 24.5%:0.73;95%信頼区間0.63~0.85, p<0.001),MACEも少なかった(25.3% vs 28.1%)。臨床的に重大な出血に男女間の有意差はなかった(28.2% vs 25.3%)(Chandrasekhar J, et al for the STS/ ACC TVT registry: Sex-based differences in outcomes with transcatheter aortic valve therapy: TVT registry from 2011 to 2014. J Am Coll Cardiol. 2016; 68: 2733-44.)。 PubMed
  • 米国でのMitraClip市販後初期成績-手技成功率は約91%。8割以上で弁逆流グレードが改善し自宅退院。
    2013年に外科手術不適応,症候性の重度原発性僧帽弁閉鎖不全(MR)に対する適応でFDAが承認したMitraClipによる僧帽弁形成術を,同年11月~’14年8月に施行した564例において,入院中および30日後の有効性,安全性を評価した結果:年齢中央値83歳,男性56%,NYHA III~IV度86.0%,手技施行前年の心不全による入院60.5%,MRグレード4:77.1%, 3:17.7%,変性MR 90.8%,機能性MR 14.4%,STS(Society of Thoracic Surgeons)-PROMスコア(形成術群7.9%,置換術群10.0%),植込み適応は形成術(STS-PROMスコア≧6%) 46.4%,置換術(≧8%)44.0%,フレイル57.3%
    MitraClip植込み例は96.8%。A2-P2部への植込みが最多(78.4%)。入院期間中央値は3日。
    植込み後のMRグレード≦2+への改善93%,入院中の死亡13例(2.3%;心血管関連死4例),30日後の死亡率5.8%,自宅への退院84.0%。手技合併症は8.0%,入院中の脳卒中1.2%,VARC-2定義の大出血3.9%。デバイス関連の有害イベント1.4%。手技の成功率(手技後のMRグレード≦2+,開胸術回避,入院中死亡回避の複合)は90.6%。
    単変量解析で植込み後のMRグレード≦2+への改善と有意な関係がみられたのは,左室拡張末期径,A2-P2部への植込み,ベースライン時MRグレード・僧帽弁圧較差,施設の施行数。多変量解析で手技成功と有意に関連したのはA2-P2部への植込み。
    市販前の臨床試験参加施設(42/61施設)での施行例(391例)は,非参加施設(試験とは異なるアプローチで実施)での施行例(179例)にくらべ,酸素依存およびフレイルが少なく,変性MRが多く,拡張末期径および僧帽弁狭窄率が低かった。また,透視時間,放射線被曝量が少なく,MRグレード≦1への改善が多かったにもかかわらず,手技・デバイス関連有害イベントに差はみられなかった(Sorajja P et al: Initial experience with commercial transcatheter mitral valve repair in the United States. J Am Coll Cardiol. 2016; 67: 1129-40.) 。 PubMed
  • ≧90歳でのTAVR-施行例の約16%が≧90歳で,<90歳にくらべ30日・1年後死亡率が有意に高いが,死亡リスクの高い例であることを考慮すると絶対差は小さい。30日後のQOLは低いが,1年後は差がない。
    [背景]米国では2050年にnonagenarian(≧90歳)人口が870万人に到達すると推定されており,QOLや生存率の低下につながる重度大動脈弁狭窄症患者の増加に直面することになるが,この世代でのTAVRの有効性は明らかではない。
    TAVR施行時(2011年11月~’14年9月)に≧90歳(3,773例[15.7%]・年齢中央値92歳;≧100歳が24例)だった症例の30日・1年後の転帰を<90歳(20,252例・82歳)と比較した。
    [患者背景]女性(≧90歳群51.8%,<90歳群49.3%),5m歩行時間(8.7秒,8.0秒),赤血球・全血輸血(44.8% vs 38.3%)*,入院期間中央値*(両群とも6日),ICU滞在時間中央値*(46 vs 44時間)。* p<0.001
    [30日・1年後の転帰]死亡は30日後(232例[推定累積発生率8.8%]vs 755例[5.9%]:調整ハザード比1.46),1年後(570例[24.8%]vs 2,324例[22.0%]:1.20)ともに≧90歳群のほうが有意に高かった(相対差12.7%;絶対差2.8%)。ただし,同群はベースライン時のSTS PROM(Predicted Risk of Operative Mortality)スコア(中央値9.2% vs 6.3%)が高かったため,実際の死亡率と推定死亡率の比は同等であった(0.81 vs 0.72)。
    30日後の心不全も同群で高かったが(5.3% vs 4.3%:1.35[p=0.003]),1年後の心不全(14.9% vs 14.5%),脳卒中(30日後:2.9% vs 2.4%,1年後:4.4% vs 3.9%),心筋梗塞,大動脈弁置換術再施行には差はなかった。
    [QOL]施行前の自己申告QOLは≧90歳群のほうが良好であったが(12-item Kansas City Cardiomyopathy Questionnaire[KCCQ]スコア:41.7 vs 37.5),30日後は同群のほうが低く(70.8 vs 72.9),1年後は同等であった(79.2 vs 81.3)(Arsalan M et al: Should transcatheter aortic valve replacement be performed in nonagenarians?: Insights from the STS/ACC TVT registry. J Am Coll Cardiol. 2016; 67: 1387-95.)。 PubMed
  • 米国でのTAVRの3年推移-2014年施行例も高齢・多併存疾患・症候性で,’12~’13年にくらべより高リスク。中等度鎮静薬使用の増加など手技は改善し,入院中の死亡率は低下した。
    2014年施行のTAVRの患者背景,入院中の手技の特徴,転帰を’12~’13年と比較した結果(26,414件):使用デバイスはSAPIEN, SAPIEN XT, CoreValve。
    [施行実績と死亡率]3年間で登録施設数(156→252→348施設),累積TAVR施行件数(4,590→13,629→26,414件)は増加,死亡率は低下した(5.54%→5.21%→4.38%)。
    [患者背景]’14年も大きな変化はなく,平均年齢81.0歳(vs ’12~’13年82.0歳),男性52.3%(vs 48.8%),STS予測死亡リスク8.34%,NYHA心機能分類III~IV度およそ83%,5m歩行テストに基づくフレイル82%,Kansas City Cardiomyopathy Questionnaire(健康状態)スコア中央値39.1(vs 37.3~37.5)。
    患者の多くが複数の併存疾患を有し,有意差のみられた既往はCABG(30.5% vs 32.2%),大動脈生体弁(2.6% vs 1.9%),大動脈弁バルーン形成術(12.7% vs 14.8%),頸動脈内膜除去術・ステント(8.3% vs 6.9%),施行前2週間以内の心不全(78.4% vs 75.1%),30日以内の心臓手技(8.3% vs 9.5%)など。心筋梗塞既往(25.4% vs 25.2%),心房細動既往(41.6% vs 40.1%)も多かった。STSリスクスコアは低下した(中央値6.69 vs 7.05~6.82)。
    [心臓の評価]中等度~重度の逆流(大動脈弁:19.2% vs 21.5%,僧房弁:28.7% vs 30.5%,三尖弁:24.0% vs 24.1%),有意な冠動脈閉塞病変のないもの(36.2% vs 37.6%)は減少傾向。病変数(主に1枝,3枝)に変化はなく,EF<30%は7.8% vs 7.0%。
    [手技]TAVR施行理由としてのハートチームのリスク判断は,「非常に高い」が減り(39% vs 86%),「高い」が増加(56% vs 6%)。>90%が待機的。カテーテル室での施行は10~13%のみで大半がハイブリッド手術室。アクセス部位は,’12年は経大腿動脈が多かったが,’13年には経心尖が並び,’14年は再び経大腿動脈が増加。穿刺部止血デバイス使用の大腿アクセスも増加し’14年は66.8%であった。また,中等度鎮静は有意に増加した(5.1% vs 1.6%)。
    [転帰]植込み成功率に差はなかったが(97.4% vs 97.0%),Valve Academic Research Consortium(VARC)-1基準の成功率(93.7% vs 91.7%),施行後の圧較差正常(<20mmHg)例は’14年が有意に多かった(95.5% vs 93.5%;ともに p<0.0001)。
    [合併症,出血]入院中の合併症は約1/3に発生したが,手技関連の合併症は<2%と少なかった。手技中に最も多かった合併症は新規ペースメーカー・ICD植込みで,時間とともに増加した(11.0% vs 6.8%;傾向p<0.0001)。新規心房細動発症は5.7% vs 6.9%。出血と血管合併症は減少したが(大出血:4.2% vs 5.5%,生命を脅かす・障害を伴う出血:4.3% vs 6.4%,全血管合併症:4.2% vs 5.6%),脳卒中は変化なし(2.2% vs 2.1%)。急性腎機能障害発症は2.5%,新規透析導入は1.8%。施設の報告による退院時の大動脈弁逆流はわずかながら有意に減少した(軽度:21.9% vs 22.5%,中等度~重度:4.8% vs 5.3%:傾向p<0.0001)。
    [入院期間,死亡率]‘14年の入院期間は平均6.2日で短縮傾向がみられた(傾向p<0.0001)。入院中の死亡率も低下した(4.4% vs 5.3%, p=0.0004)が,心臓死には変化はなかった(48.7% vs 49.0%)(Holmes DR et al for the STS/ACC TVT Registry: Annual outcomes with transcatheter valve therapy: from the STS/ACC TVT Registry. J Am Coll Cardiol. 2015; 66: 2813-23.)。 PubMed
  • Mack MJ et al for the STS/ACC TVT Registry. Outcomes following transcatheter aortic valve replacement in the United States. JAMA. 2013; 310: 2069-77. PubMed
    Bonow RO: Improving outlook for elderly patients with aortic stenosis. JAMA. 2013; 310: 2045-7. PubMed

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収載年月2014.03
更新年月2018.01