循環器トライアルデータベース

VIASTAR
Viabahn Endoprosthesis with PROPATEN Bioactive Surface [VIA] versus Bare Nitinol Stent in the Treatment of Long Lesions in Superficial Femoral Artery Occlusive Disease

目的 症候性末梢動脈疾患(PAD)の主因は浅大腿動脈(SFA)の狭窄と閉塞である。短い病変では血管内治療の有効性が示されているが,長い病変では十分な結果が得られていない。ポリテトラフルオロエチレン(expanded polytetrafluoroethylene;ePTFE)で被覆したステントは,病変長を問わず,新生内膜増殖を予防することから,大腿膝窩動脈の長病変の開存を改善する可能性がある。また動物試験では,ePTFEグラフト上にヘパリンを固定することで,血小板の沈着と新生内膜肥厚が減少する可能性が示されている。
近位膝窩動脈を含むSFAの長い病変を有する症候性PADの血管内治療において,heparin-bonded ePTFE-covered stent(viabahn endoprosthesis:VIA)はベアメタルステント(BMS)にくらべ12か月後の開存率に優れ,30日以内の合併症は同等かを検討する。

有効性の一次エンドポイントは,一次開存率。
安全性の一次エンドポイントは,手技に関連する重篤な有害事象(手技後30日以内の死亡,心筋梗塞[MI],治療肢の切断,手術・輸血・長期入院を要するアクセス部位および治療部位合併症の複合エンドポイント)。
コメント 一般臨床の現場では「covered stent」は血管拡張時の穿孔に対するbail-out deviceのイメージが強い。今回のVIASTARはヘパリン結合によって抗血栓性を強化したcovered stentを再狭窄予防として浅大腿動脈の血管内治療に応用したトライアルである。
浅大腿動脈は再狭窄率の高い領域で,病変長も規定因子の一つと考えられる。特に20cmを超える病変はTASC IIでも“D”に分類され外科的治療が推奨されている。
従来のePTFE covered stentにheparinを結合させることで臨床成績は向上しているようであるが,そもそもcovered stentにはいくつかの問題点が指摘されている。第一はやはり再狭窄である。被覆された部分に内膜増殖は起こらないが,ステントの両端にはその余地が残っている。実際これまでのregistryでも1年後のprimary patencyは80%弱で,ステント長に無関係な点が特徴的である。さらに問題なのがステント留置部ですべての側枝を閉塞させてしまうことである。一度閉塞したら血流の逃げ道がなく全長に渡って血栓性閉塞を起こすばかりか,治療前に機能していた側副血行路も断たれるため重症下肢虚血に直結することになる。本試験でもcovered stent群で重症な血栓性閉塞が目立った。つまり使い方によっては“凶器”にもなりうる,ハイリスクハイリターンのデバイスということになる。
今回のトライアルでは,BMSに比し開存率やABIは有意に改善したが,臨床症状やそれに基づくTLRでは有意差がつかなかった。drug-eluting stent, drug-eluting balloonなど再狭窄に対抗する新しいツールが出現している現状では,少なくともこれらと同等以上でさらに外科的治療を凌駕する成績が得られない限り,long lesionや繰り返す再狭窄病変などへの限定的な使用にならざるを得ないだろう。(中野中村永井
デザイン 無作為割付け,単盲検,多施設(欧州の7施設),intention-to-treat(ITT)解析およびtreatment per-protocl(TPP)解析。
期間 追跡期間は12か月。
登録期間は2009年3月~’11年3月。
対象患者 141例(平均年齢69歳,男性100例)。Rutherford-Becker分類2~5度(中等症~重症の間欠性跛行と重症下肢虚血)の症候性PAD患者で,長さ10~35cmのSFAおよび近位膝窩動脈の新規動脈硬化性狭窄または閉塞(TransAtlantic Inter-Society Consensus[TASC] II分類B,C,D)を認め,腸骨動脈流入路と流出路脛骨動脈1枝以上が開存しているか,もしくは治療に成功しているもの。
除外基準:未治療の流入路病変,治療枝のステント植込みまたは手術歴,血清クレアチニン>2.5mg/dLなど。
■患者背景:平均年齢(VIA群68.9歳,BMS群69.4歳),男性(67%, 75%),現喫煙(69%,BMS群70%),高血圧(83%, 84%),脂質異常症(両群とも68%),冠動脈疾患(両群とも22%),糖尿病(35%, 36%),腎不全(17%, 7%),抗血栓治療(83%, 86%),スタチン治療(57%, 61%),降圧治療(28%, 32%),Rutherford分類(2度:18%, 17%;3度:68%, 65%;4度:3%, 8%;5度:両群とも11%),ABI(両群とも0.58)。
病変背景:病変長(189.8mm, 173.2mm),ステント植込み部分長(236.8mm, 203.1mm;p=0.01),標的血管径(6.08mm, 6.25mm),閉塞(79%, 70%),TASC II分類(B>10cm:28%, 42%;C:25%, 23%;D:47%, 32%)。
治療法 VIA群(72例) vs BMS群(69例)。
結果 植込みステント数(1本:VIA群26%,BMS群42%;2本:57%, 52%;p=0.04),足首・上腕血圧比(ABI)(ベースライン時:両群とも0.58;退院時:0.93, 0.96)。
[有効性の一次エンドポイント]
各群6例をプロトコールからの逸脱のためITT解析から除外した。
12か月後の一次開存率は,ITT解析では有意な両群間差を認めなかったが(VIA群70.9% vs BMS群55.1%;log-rank検定p=0.11),TPP解析(66例,63例)ではVIA群が有意に高かった(78.1% vs 53.5%;ハザード比2.23[95%信頼区間1.14~4.34];log-rank検定p=0.009)。
ただし,完全閉塞はVIA群に多く(6例 vs 4例),VIA群では3例でバイパス術が施行され,1例で急性下肢虚血に陥った。
病変長≧20cmの病変では,ITT解析(71.3% vs 36.8%;p=0.01),TPP解析(73.3% vs 33.3%;p=0.004)ともにVIA群が有意に高かった。
[安全性の一次エンドポイント]
30日以内の主な合併症は15% vs 13%で,死亡,MI,治療枝の切断は発生しなかった。
[二次エンドポイント:ABI,標的病変再血行再建術(TLR)など]
12か月後のABIはVIA群で有意に改善した(TPP解析:0.94 vs 0.85;p=0.048)。
臨床症状によるTLRの回避率には有意差を認めなかった(84.6% vs 77.0%;p=0.37)。
★結論★大腿膝窩動脈の長病変を有する症候性PAD患者において,TPP解析と,≧20cmの病変を有する患者を対象とした解析では,VIAによる血管内治療はBMSにくらべ臨床的有効性と開存率に有意に優れていた。全病変のITT解析では,プロトコールからの逸脱が8.5%あったため,有意差は認められなかった。
文献
  • [main]
  • Lammer J et al: Heparin-bonded covered stents versus bare-metal stents for complex femoropopliteal artery lesions: the randomized VIASTAR trial (viabahn endoprosthesis with PROPATEN bioactive surface [VIA] versus bare nitinol stent in the treatment of long lesions in superficial femoral artery occlusive disease). J Am Coll Cardiol. 2013; 62: 1320-7. PubMed
    Laird JR and Armstrong EJ: Stents for femoropopliteal disease: are some things better covered up? J Am Coll Cardiol. 2013; 62: 1328-9 PubMed

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収載年月2014.01