循環器トライアルデータベース

SAKURA
Study of Assessment for Kidney Function by Urinary Microalbumin in Randomized Trial

目的 L型Ca拮抗薬は糸球体の輸入細動脈を拡張させるが輸出細動脈には作用しないため,糸球体内圧が増大し,糸球体に害を及ぼす。一方,L/N型Ca拮抗薬は,糸球体の輸出・輸入細動脈を支配する末梢交感神経のN型Caチャネルにも作用して両細動脈を拡張させるので,糸球体内圧は下がる。CARTER試験では,レニン-アンジオテンシン系(RAS)阻害薬で治療した顕性蛋白尿患者において,L/N型Ca拮抗薬のcilnidipine群でL型Ca拮抗薬のamlodipine群にくらべ尿蛋白が減少したが,糖尿病患者サブグループでは差がみられなかった。この結果から,糖尿病性神経障害が進行した症例では,交感神経を阻害するcilnidipineの効果が発揮されないのではないかと考えられた。しかし,腎神経機能が損なわれていない初期の腎症患者ではcilnidipineの腎保護作用が得られる可能性がある。
RAS阻害薬で治療中の2型糖尿病と微量アルブミン尿を合併した高血圧患者において, cilnidipineとamlodipineの腎保護作用を比較する。

一次エンドポイントは,尿中アルブミン-クレアチニン比(UACR;自然対数値)のベースラインから12か月後までの変化。
コメント 著者らはCARTER試験で,すでに尿蛋白/Cr比300mg/g以上の顕性蛋白尿を有する慢性腎臓病患者でL/N型Ca拮抗薬cilnidipineがL型Ca拮抗薬amlodipineよりも尿蛋白抑制効果が強いと報告している。
SAKURA試験は,微量蛋白尿を伴う糖尿病性腎症患者で,すでにRAS系抑制薬を投与されている患者において同様の比較を行った試験であるが,結果的にはcilnidipineの優位な点は見いだせなかった。L/N型Ca拮抗薬cilnidipineが,糸球体の輸出・輸入細動脈を支配する交感神経のN型チャネルに作用して細動脈を拡張させ,糸球体内圧を減少させることによる蛋白尿抑制効果を期待したが,結果は理論通りにはならなかった。症例数が365例と少ないうえに,ベースラインの尿中アルブミン/クレアチニン比が両群で大きく異なっているなどの問題はあるが,このようなネガティブな結果も報告することは意義がある。(桑島
デザイン 無作為割付け,オープン,多施設(日本の77施設)。
期間 追跡期間は1年。
対象患者 365例。2型糖尿病および微量アルブミン尿(随時尿でUACR 30~<300mg/g)を有する高血圧患者(診察室血圧≧130/80mmHg~<180/110mmHg)で,RAS阻害薬(ARB/ACE阻害薬)で治療中の患者。
■患者背景:平均年齢(cilnidipine群63.27歳,amlodipine群64.39歳),男性(62.6%, 68.8%),BMI(26.27kg/m², 25.42kg/m²;p=0.040),脂質異常症(48.6%, 49.5%),糖尿病性神経障害(14.5%, 12.4%),糖尿病性網膜症(12.3%, 9.1%),血清クレアチニン(Cr)値(0.77mg/dL, 0.78mg/dL),推算糸球体濾過量(eGFR)(71.85mL/分/1.73m², 73.48mL/分/1.73m²),CKDステージ(2:118例,117例;3:40例,38例;4:両群とも1例),HbA1c(6.44%, 6.41%),血圧(146.56/81.46mmHg, 145.37/80.17mmHg),UACR(111.50mg/g, 88.29mg/g;p=0.040;自然対数値:4.37, 4.28),おもな服用薬(ARB:88.8%, 86.6%;ACE阻害薬14.0%, 19.9%;利尿薬:11.2%, 8.1%;スタチン14.5%, 12.9%)。
治療法 cilnidipine群(179例):10mg/日より開始,5~20mg/日に調節。
amlodipine群(186例):5mg/日より開始,2.5~10mg/日に調節。
目標血圧は<130/80mmHg。RAS阻害薬と試験薬の併用で目標を達成できない場合は,別のクラスの降圧薬を追加。治療期間は1年。
結果 最終投与量はcilnidipine群10.27mg/日,amlodipine群4.87mg/日。
[降圧作用]
血圧は両群で同等に低下した(終了時:130.40/73.37mmHg,129.65/71.75mmHg)。
[一次エンドポイント]
12か月間のUACRの変化には有意な群間差を認めなかった。
UACR値は両群ともに3~6か月後までは低下したが,その後増加に転じベースライン値に近づく傾向がみられた(cilnidipine群:111.50→ 81.71[6か月後]→ 107.93mg/g;amlodipine群:88.29→ 75.73[3か月後]→ 89.07mg/g)。自然対数値の変化は両群ともに-2.1で,推定群間差は0.00(95%信頼区間-0.16~0.17;p=0.96)であった。
[その他]
ベースラインからの血清Crの変化(0.77→ 0.79, 0.78→ 0.81mg/dL),eGFRの変化(71.85→ 71.07, 73.48→ 70.89 mL/分/1.73m²)には有意な群間差はみられなかった。
[サブグループ]
目標血圧達成例ではcilnidipine群でのUACRの変化が大きかったが,有意差には至らなかった(自然対数値の群間差:-0.37 vs -0.26;p=0.524)。目標未達成例では,両群ともにUACRは低下しなかった。
[有害事象]
重度の有害事象は,cilnidipine群2例(脳卒中・間質性肺炎各1例),amlodipine群5例(大腸癌2例,脳卒中・急性膵炎・心筋梗塞各1例)であった。
★結論★RAS阻害薬で治療中の2型糖尿病と微量アルブミン尿を有する高血圧患者において,L/N型Ca拮抗薬cilnidipineのL型Ca拮抗薬amlodipineを上回るアルブミン尿改善効果は示されなかった。
UMIN ID: UMIN000001247
文献
  • [main]
  • Ando K et al: Comparison of the antialbuminuric effects of L-/N-type and L-type calcium channel blockers in hypertensive patients with diabetes and microalbuminuria: the study of assessment for kidney function by urinary microalbumin in randomized (SAKURA) trial. Int J Med Sci. 2013; 10: 1209-16. PubMed

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収載年月2013.10