循環器トライアルデータベース

ADVANCE III
Avoid Delivering Therapies for Non-sustained Arrhythmias in ICD Patients III

目的 植込み型除細動器(ICD)治療は,適切・不適切を問わず予後に悪影響を及ぼす可能性があり,これを回避するための最適なプログラミングが模索されている。不整脈の検出設定時間(インターバル)を延長すると,作動前に速い心室頻拍(fast VT)を安全に自然停止させられることが示されている。
ICD植込み例において,VT検出設定インターバルを標準的な18/24から30/40に延長した場合に,抗頻拍ペーシング(ATP)およびショックが減少するかを検討する。

一次エンドポイントはICD治療(ATP+ショック)の総数。
コメント ICDの作動が多くなるとそれが不適切な場合ばかりではなく,適切な作動の場合も患者に悪影響を及ぼす。適切な作動でも頻度が増すと死亡率が2~5倍になる(MADIT-II,SCD-HeFTなど)。非持続性VTに対する作動を回避するためには,検出インターバルを延長するか,対象とするVTは速いVTに限ることにすればよい。
本研究では検出インターバル延長,VT周期<200msによりICD作動回数を減らすことができた。心配される失神,QOL,死亡については標準インターバル群と差がみられず,本研究の仮説の妥当性が示された。(井上
デザイン 無作為割付け,単盲検(患者を盲検化),多施設(欧州,中東,ロシア,アフリカの94施設),intention-to-treat解析。
期間 追跡期間は12か月(中央値)。
登録期間は2008年3月~’10年12月。
対象患者 1,902例。18歳以上,ICD/ICD機能付き心臓再同期治療デバイス(CRT-D)の新規植込み例。
除外基準:ICD植込み既往,Brugada症候群,QT延長,肥大型心筋症,回復可能な原因によるVTなど。
■患者背景:平均年齢65歳,男性84%,二次予防25%,NYHA心機能分類III~IV度50%,虚血性60%,EF 30%,植込みデバイス(CRT-D 40.7%:二腔ICD 30.6%;単腔ICD 28.7%)。
既往:血行再建術(検出インターバル延長群41.8%,標準インターバル群41.5%),心血管疾患による入院(49.2%, 49.0%),高コレステロール血症(53.0%, 52.0%),糖尿病(29.0%, 29.3%)。
投薬状況:ACE阻害薬/ARB(81.0%, 80.0%),抗不整脈薬(18.4%, 21.4%),β遮断薬(81.0%, 81.2%),利尿薬(76.4%, 80.4%),抗血小板薬(56.2%, 58.3%),抗凝固薬(30.5%, 32.2%),脂質低下薬(56.0%, 56.7%)。
治療法 検出インターバル延長群(948例):VT検出のインターバルを30/40に設定。
標準インターバル群(954例):標準的な18/24に設定。
ICDは周期≦320msで治療を開始するようプログラミング。周期200msまでの速いVTにはATP,ショックは周期<200msの心室細動にのみ作動。
結果 [一次エンドポイント]
記録された心室性不整脈は530件。
ATP+ショックは検出インターバル延長群のほうが有意に少なかった(346回[42/100人・年] vs 標準インターバル群557回[67/100人・年]:発生率比0.63;95%信頼区間0.51~0.78, p<0.001)。
ATPも同群で有意に少なく(142回[23/100人・年] vs 308回[37/100人・年]:0.58;0.47~0.72, p<0.001),ショックも減少傾向であった(154回[19/100人・年] vs 249回[30/100人・年]:0.77;0.59~1.01, p=0.06)。
[二次エンドポイント:不適切なショック,死亡,失神,QOLなど]
不適切なショック(5.1 vs 11.6/100人・年:0.55;0.36~0.85, p=0.008)と入院(42.1 vs 51.7/100人・年:0.81;0.68~0.98, p=0.03)は検出インターバル延長群が有意に少なかった。
QOLの尺度である平均EQ-5Dスコアは両群で有意に上昇した(0.70→ 0.80, 0.72→ 0.81;ともにp<0.001)。
不整脈による失神(3.1 vs 1.9/100人・年:1.60;0.76~3.41),死亡(49例[5.5/100人・年] vs 57例[6.3/100人・年]:ハザード比0.87;0.57~1.32)には有意な群間差は認められなかった。
★結論★ICD植込み例において,検出インターバル延長群では標準インターバル群よりATPおよびショック,不適切なショックが少なかった。
ClinicalTrials.gov No.:NCT00617175
文献
  • [main]
  • Gasparini M et al: Effect of long-detection interval vs standard-detection interval for implantable cardioverter-defibrillators on antitachycardia pacing and shock delivery: the ADVANCE III randomized clinical trial. JAMA. 2013; 309: 1903-11. PubMed
    Raitt MH: Reducing shocks and improving outcomes with implantable defibrillators. JAMA. 2013; 309: 1937-8. PubMed

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収載年月2013.09