循環器トライアルデータベース

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Apixaban for the Initial Management of Pulmonary Embolism and Deep-Vein Thrombosis as First-Line Therapy

目的 静脈血栓塞栓症(VTE)の初期治療は抗凝固薬enoxaparinの皮下投与(≧5日)とwarfarinの経口投与(≧3か月)であるが,enoxaparinは連日の皮下投与,warfarinはINRモニタリングという煩わしさがある。経口第Xa因子阻害薬のapixabanは一定用量を投与できることから,この煩わしさを解消し治療を簡素化できる可能性がある。
急性の症候性VTE患者において,apixabanの有効性と安全性をenoxaparin+warfarinによる従来治療と比較する。

有効性の一次エンドポイントは,症候性のVTE再発,VTE関連死の複合エンドポイント。
安全性の一次エンドポイントは大出血。
コメント 本試験の結果は心房細動の脳卒中予防試験に類似している。実臨床でもwarfarin INR 2-3は高い。PT-INR 2-3を目標としたwarfarinより出血が少ないと言っても,日本のようにVTEリスクの低い国でapixabanに必要性を見出せるか否かは今後の課題である。(後藤
デザイン 無作為割付け,二重盲検,多施設(28か国358施設),intention-to-treat解析。
期間 追跡期間は6か月。
登録期間は2008年8月~’12年8月。
対象患者 5,395例。18歳以上,客観的に診断された症候性近位深部静脈血栓症(DVT),肺塞栓症(PE),またはその両方を有する患者。
除外基準:出血リスクが高い,癌患者で低分子量heparin長期治療予定例,provoked VTE(再発の持続的な危険因子がないため抗凝固薬治療不要の症例),<6か月の抗凝固治療予定,ヘモグロビン<9g/dL,血小板数<100,000/mm³,血清クレアチニン>2.5mg/dLなど。
■患者背景:平均年齢(apixaban群57.2歳,従来治療群56.7歳),男性(58.3%, 59.1%),体重(両群とも84.6kg),クレアチニンクリアランス(>80mL/分:64.0%, 65.0%;>50~≦80mL/分:20.4%, 20.1%),DVT(65.0%, 65.9%),PE(両群とも25.2%),DVTの部位(総大腿+腸骨静脈:43.1%, 42.3%;大腿静脈:32.6%, 32.8%;膝窩静脈:24.4%, 24.7%),発症~ランダム化までの時間(両群とも5.0日[中央値]),特発性(unprovoked)VTE(両群とも89.8%),VTE既往(17.2%, 15.1%),ランダム化前のheparin治療(>12~24時間:41.5%, 41.6%;>24~36時間:21.8%, 22.7%)。
治療法 apixaban群(2,691例):10mg×2回/日7日間投与後,5mg×2回/日6か月間投与。
従来治療群(2,704例):enoxaparin 1mg/kg 12時間ごとに1回×5日間以上+warfarin(目標INR 2~3)6か月間投与。
ランダム化から24時間以内に治療を開始。INRは少なくとも月1回測定し,INR≧2.0となったらenoxaparinを中止。
結果 enoxaparinの投与日数は6.5日(中央値),warfarin治療中のINR 2.0~3.0の時間の割合は61%。apixaban群の96%がアドヒアランス≧80%。
[有効性の一次エンドポイント]
apixaban群59/2,609例(2.3%),従来治療群71/2,635例(2.7%)(相対リスク0.84;95%信頼区間0.60~1.18[非劣性マージン<1.80],リスク差-0.4パーセンテージポイント;-1.3~0.4[<3.5])で,apixabanは従来治療に対し非劣性であった(p<0.001)。DVTのみ,PEのみの解析結果も同様であった。
[安全性の一次エンドポイント]
大出血はapixaban群が有意に少なかった(15/2,676例[0.6%]vs 49/2,689例[1.8%];0.31;0.17~0.55;優越性のp<0.001;-1.1パーセンテージポイント;-1.7~-0.6)。
[二次エンドポイント]
全死亡(1.5% vs 1.9%),心血管死(0.1% vs 0.3%),症候性VTE再発+心血管死(2.3% vs 2.9%),症候性VTE再発+全死亡(3.2% vs 3.9%)に有意な群間差は認められなかった。
大出血+重大の定義には該当しないが臨床的に問題となる非大出血はapixaban群のほうが少なかった(4.3% vs 9.7%;0.44;0.36~0.55, p<0.001)。
[その他]
有害事象(67.1% vs 71.5%),重篤な有害事象(15.6% vs 15.2%)は両群で同等で,有害事象による試験治療中止は6.1% vs 7.4%であった。
★結論★急性VTE患者のVTE再発+VTE関連死の抑制において,apixabanはenoxaparinとwarfarinによる従来治療に対して非劣性であり,出血リスクはapixaban群のほうが有意に低かった。
ClinicalTrials gov. No: NCT00643201
文献
  • [main]
  • Agnelli G et al for the AMPLIFY investigators: Oral apixaban for the treatment of acute venous thromboembolism. N Engl J Med. 2013; 369: 799-808. PubMed

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収載年月2013.08