循環器トライアルデータベース

WHICH?
Which Heart Failure Intervention is Most Cost-Effective & Consumer Friendly in Reducing Hospital Care

目的 退院後の慢性心不全(CHF)患者において,看護師主導の集学的CHF管理プログラムを在宅で行う場合(home-based intervention:HBI)とCHF専門外来で行う場合(clinic-based intervention:CBI)とで,予後を比較する。

一次エンドポイントは,12~18か月間の予定外の全入院および全死亡。
コメント 心不全患者のQOLや予後は,きめ細かいケアによって左右されることはわかっているが,この研究は,心不全専門医のクリニックで定期的にフォローする場合(CBI)と専門ナースの家庭訪問によりフォローする場合(HBI)のどちらがよい結果が得られるかを比較したものである。死亡率はHBIの方がやや良好であったが,有意差はなかった。一方,入院日数は,有意にHBIで短く,それだけ医療費も少なくて済み,きめ細かい指導がQOLの改善につながることを示唆した。このような解析は,背景の医療環境によって左右されるが,今回の対象は独居者が55%で平均年齢71歳の心不全患者(NYHA II/IIIが85%)であることを銘記する必要があろう。(
デザイン PROBE(prospective, randomized, open, linded-Endpoints),多施設(オーストラリアの三次医療機関3施設),intention-to-treat解析。
期間 追跡期間は平均14.7か月(生存例は17.4か月)。
試験期間は2008年6月~2011年3月31日。
対象患者 280例。18歳以上,心臓専門医によるCHF診断後に退院・帰宅した患者で,NYHA心機能分類II~IV度の症状が持続しており,急性心不全による最近の入院歴が1回以上あるもの。
除外基準:病院の半径30km圏外に居住,末期状態など。
■患者背景:平均年齢71歳(HBI群70歳,CBI群73歳;p=0.046),男性73%,独居55%,教育期間<12年19%,高血圧63%,喫煙歴69%,BMI 28.3kg/m²,2型糖尿病39%,CHF診断後39.6か月,EF 30.1%,NYHA II/III度85%,虚血性心筋症57%,CHFによる入院歴58%,急性心不全48%,血圧116/66mmHg,冠動脈疾患57%,心房細動61%,軽度認知障害40%,うつ症状35%。入院:主診断がCHF 66%,入院期間8.9日,冠動脈集中治療室滞在4.9日。
薬物治療:ACE阻害薬/ARB 76%,β遮断薬71%,spironolactone 39%,ループ利尿薬83%,digoxin 32%。
治療法 HBI群(143例):退院後7~14日以内にCHF専門看護師が家庭を訪問して詳細な臨床的評価,家庭環境の評価,家族/介護者のカウンセリング,社会的支援・対処能力の評価,服薬歴の確認,食事・水分摂取の評価,体重計などの器具の確認,移動性・地域医療へのアクセスの評価,“home medicines review”のための地域薬剤師の紹介,家庭医との緊密な連携を実施。家庭医と心臓専門医に報告後,管理計画(電話によるフォローアップ,他の医療専門家への紹介,家庭訪問)を立案。患者が再入院した場合はCHF専門看護師による管理の成功/不成功を再評価。
CBI群(137例):退院後CHF専門外来において,HBI群と同様の看護師主導の管理を実施。他の医療サービスの利用制限はなし。
結果 [一次エンドポイント]
有意な群間差は認められなかった:HBI群102例(71%) vs CBI群104例(76%)(調整後ハザード比0.97;95%信頼区間0.73~1.30, p=0.861)。
予定外の全入院:96例(67.1%)vs 95例(69.3%)(p=0.887)。
全死亡:31例(21.7%)vs 38例(27.7%)(0.75;0.45~1.23, p=0.252)。
[二次エンドポイント]
予定外の入院の期間はHBI群のほうが有意に短かった(中央値4.0日vs 6.0日;p=0.004)。
HBI群ではCBI群にくらべて全入院と心血管関連入院の期間が有意に減少したが(それぞれ-35%, p=0.003;-37%, p=0.025),CHFによる入院には有意差はなかった(-24%;p=0.218)。
累積入院日数≧25日の患者64例(22.9%)が全入院の75%を占め,このうちCBI群の患者が43例(67%)であった(調整後オッズ比2.55;1.37~4.73, p=0.003)。
医療費は,HBI群で主に入院日数が短縮したことにより有意に削減された(393万豪ドル vs 553万豪ドル;1日当たりの中央値34豪ドル vs 52豪ドル,p=0.030)。
★結論★在宅での集学的CHF管理プログラム実施による全死亡および全入院の減少はCHF専門外来での実施と同等であったが,在宅での実施は入院日数の短縮により医療費が有意に削減された。
文献
  • [main]
  • Stewart S et al: Impact of home versus clinic-based management of chronic heart failure: the WHICH? (Which Heart Failure Intervention Is Most Cost-Effective & Consumer Friendly in Reducing Hospital Care) multicenter, randomized trial. J Am Coll Cardiol. 2012; 60: 1239-48. PubMed

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収載年月2013.05