循環器トライアルデータベース

WARFASA
Aspirin for the Prevention of Recurrent Venous Thromboembolism (the Warfarin and Aspirin)

目的 静脈血栓塞栓症(VTE)の再発リスクは抗凝固療法終了後も持続する。抗凝固療法の期間を延長すれば再発のリスクは低下するが,出血のリスクも増大する。
VTE患者において,ビタミンK拮抗薬治療終了後のaspirinの二次予防効果を検討する。
有効性の一次エンドポイントは症候性で客観的に確認できるVTE(深部静脈血栓症+非致死的・致死的肺塞栓症)の再発。

安全性の一次エンドポイントは大出血。
コメント 深部静脈血栓症に対する抗血小板薬アスピリンの有効性については長らく議論が継続している。本研究ではワルファリン治療を受けたのちの症例に対して,アスピリンによる治療の継続を受けた症例と,継続を行わなかった症例の比較を行った。
多くの過去の研究が示したように,本研究でもアスピリンによる治療の有効性を示した。ワルファリン治療を行ったのち,すべてをやめるよりはアスピリンを継続したほうがよい場合もあるのだ。本論文は同時にeditorialが発表されており,静脈血栓塞栓症におけるアスピリンの重要性のメカニズムを解説しているので一読の価値がある。(後藤
デザイン 無作為割付け,プラセボ対照,二重盲検,多施設,intention-to-treat解析。
期間 試験期間は24.6か月,治療期間は23.9か月(いずれも中央値)。
登録期間は2004年5月~’10年8月。
対象患者 403例。>18歳,初発の症候性近位深部静脈血栓症/肺塞栓症に対し,6~18か月間のビタミンK拮抗薬治療(目標INR 2.0~3.0)を行った患者。
■患者背景:年齢(aspirin群61.9歳,プラセボ群62.1歳),男性(65.8%, 61.9%),BMI(27.1kg/m², 27.5kg.m²),白人(99.0%, 98.9%),深部静脈血栓症(59.5%, 65.9%),肺塞栓症(40.5%, 34.1%),ビタミンK拮抗薬投与期間:6か月(37.1%, 31.5%);12か月(54.1%, 56.8%);18か月(8.8%, 11.7%)。
治療法 ビタミンK拮抗薬治療終了後2週間以内に,下記2群にランダム割付け。
aspirin群(205例):100mg 1日1回投与。
プラセボ群(197例)。プラセボ群198例中,1例は試験薬を投与せず。
予定治療期間は2年としたが,延期も可とした。
結果 試験治療の早期中止はaspirin群16例,プラセボ群15例。
イベント発症時に試験を終了したため,治療期間が2年より短くなったものが,それぞれ10例,11例。>2年は58例,55例で,追跡不能は3例,4例。
[有効性の一次エンドポイント]
VTE再発率はaspirin群がプラセボ群よりも有意に低かった(aspirin群28/205例[6.6%/年] vs プラセボ群43/197例[11.2%/年]:ハザード比0.58;95%信頼区間0.36~0.93, p=0.02)。試験薬投与期間中の再発率もaspirin群で低かった(23例[5.9%/年] vs 39例[11.0%/年]:0.55;0.33~0.92, p=0.02)。
年齢,性別,肺塞栓症/深部静脈血栓症,抗凝固療法期間で調整後も,aspirinの再発予防効果は認められた(0.53;0.32~0.85, p=0.009)。
[有効性の二次エンドポイント]
死亡(6例[1.4%/年] vs 5例[1.3%/年]:1.04;0.32~3.42),その他の二次エンドポイント(非致死的心筋梗塞,不安定狭心症,脳梗塞,一過性脳虚血発作,急性下肢虚血:8例[1.9%/年] vs 5例[1.3%/年]:1.43;0.47~4.37)ともに,有意な両群間差は認められなかった。
[安全性のエンドポイント]
大出血は各群1例,臨床的に重要な非大出血は各群3例。
[有害事象]
有害事象による試験治療中止は5例(胃痛,皮膚反応,腎不全)。
★結論★ビタミンK拮抗薬治療終了後の静脈血栓塞栓症患者において,aspirinの投与により再発リスクは低下し,大出血のリスク上昇もみられなかった。
ClinicalTrials.gov No.: NCT00222677
文献
  • [main]
  • Becattini C et al for the WARFASA investigators: Aspirin for preventing the recurrence of venous thromboembolism. N Engl J Med. 2012; 366: 1959-67. PubMed
    Becker RC: Aspirin and the prevention of venous thromboembolism. N Engl J Med. 2012; 366: 2028-30. PubMed

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収載年月2012.10