循環器トライアルデータベース

ADVANCED-J
Amlodipine versus Angiotensin II Receptor Blocker; Control of Blood Pressure Evaluation Trial in Diabetics

目的 2型糖尿病合併高血圧患者では,高血圧のみの患者よりも低い目標血圧値が推奨されているが,標準降圧療法で降圧不十分な患者に対する至適治療を検討した研究は少ない。
標準用量のARBで降圧不十分な2型糖尿病合併高血圧患者において,ARBの増量とCa拮抗薬amlodipine併用の降圧効果を比較する。予定追跡期間は3年で,本報は1年後(一次エンドポイント)の本結果。

一次エンドポイントは1年後の早朝の家庭血圧の変化。
コメント わが国の高血圧治療ガイドラインは,糖尿病を合併した高血圧ではACE阻害薬またはARBを第一選択薬とし,降圧目標もより低い達成血圧を求めている。しかし現実にはACE阻害薬やARBでは十分な降圧が得られないことのほうが多い。本試験はオープン試験,かつ小規模で大規模臨床試験といえるものではないが,臨床医が実臨床で悩むことの多いARB増量か,あるいはCa拮抗薬追加かの選択に対して一つの結論を示した点で意義がある。
本試験はARBの増量よりもCa拮抗薬アムロジピンを追加した方が,早朝の高血圧を抑制できることを明確に示している。かつ二次エンドポイントながらARB群では,糸球体濾過率やBNPを悪化させているのは,従来ARBの心腎保護作用とはまったく逆の結果である。これらは数字で示されるデータであり,オープン試験では許容されるエンドポイントである。アムロジピンのほうが降圧効果が強く,かつ心保護効果も強いことは,二重盲検法で行われたVALUE試験ですでに示されており,すでに決着ずみなのである。また降圧に要する併用降圧薬の数もARB群のほうが多いことはCASE-J試験でも示されていることである。
糖尿病合併高血圧ではCa拮抗薬アムロジピンを第一選択薬としてまず降圧させることが重要である。(桑島
デザイン 無作為割付け,オープン,多施設。
期間 追跡期間は3年。
登録期間は2004年9月~2006年2月。
対象患者 263例。8週間以上のARB通常用量投与で降圧不十分の20歳以上の2型糖尿病合併高血圧患者(8週間の観察期間の最終5日間における早朝の家庭血圧が≧130/80mmHg)。
除外基準:二次性高血圧,重度の肝・腎機能障害,試験薬に対する過敏症の既往。
■患者背景:年齢65.1歳,BMI約25kg/m²,男性(amlodipine併用群58.8%,ARB増量群64.4%),喫煙者(24.4%, 20.5%),罹病期間(高血圧:6.8年,6.7年;糖尿病:8.1年,6.0年;p=0.014),脂質異常症(47.3%, 43.2%),既往(心血管疾患:両群とも約15%;糖尿病性腎症:22.1%, 18.9%;糖尿病性網膜症:22.9%, 24.2%;糖尿病性神経障害:15.3%, 12.1%),ベースライン時のARB投与率(candesartan 約30%,losartan 約13%,telmisartan 約21%,valsartan 約30%,olmesartan 約6%)。
治療法 8週間の観察期間中に,標準用量のARB(candesartan 8mg, losartan 50mg, telmisartan 40mg, valsartan 80mg, olmesartan 20mg)を1日1回朝投与,その後試験治療を実施。
amlodipine併用群(131例):ARB標準用量+amlodipine 5mg/日。
ARB増量群(132例):ARBを最大用量まで増量(candesartan 12mg, losartan 100mg, telmisartan 80mg, valsartan 160mg, olmesartan 40mg)。
観察期間中にARBと併用した降圧薬を試験期間中も継続投与。原則として降圧薬の変更は認めなかった。
結果 [試験中の併用薬]
降圧薬併用例はamlodipine併用群32.1%,ARB増量群59.8%(p<0.001)。内訳は,α遮断薬(24.4%, 37.9%;p=0.017),β遮断薬(13.7%, 23.5%;p=0.042),利尿薬(3.1%, 13.6%;p=0.002),Ca拮抗薬(0.8%, 3.8%)。
抗糖尿病薬の併用は両群で同等。
[一次エンドポイント:1年後の早朝家庭血圧]
早朝の家庭血圧はamlodipine併用群でARB増量群にくらべて有意に大きく低下した。ベースライン時の血圧はamlodipine併用群158.2/82.5mmHg,ARB増量群157.3/84.4mmHgで,8週後は142.7/76.3mmHg, 155.0/83.1mmHg(群間差:収縮期血圧[SBP],拡張期血圧[DBP]ともにp<0.001),1年後は139.6/74.6mmHg, 149.1/78.1mmHg(群間差:SBP;p<0.001, DBP;p=0.010)。
[二次エンドポイント:降圧目標達成率,バイオマーカーの変化など]
早朝家庭血圧の降圧目標(<125/80mmHg)達成率は,8週後はamlodipine併用群のほうが有意に高かったが(11.3% vs 2.7%;p=0.015),1年後に有意差は消失した(8.8% vs 5.5%)。
推算糸球体濾過量は1年後にARB増量群で有意に低下したが(72.34→ 69.22mL/分/1.73m²;p=0.005),amlodipine併用群の低下は有意に至らず(70.82→ 69.80mL/分/1.73m²)。
頸動脈内膜-中膜肥厚は1年後にARB増量群で増加(0.864→ 0.886mm),amlodipine併用群で低下(0.879→ 0.872mm;群間比較p=0.073)。
BNPはARB増量群で増加,amlodipine併用群で低下した(p=0.049)。
[有害事象]
有害事象発生率はamlodipine併用群38.9%,ARB増量群34.1%,有害事象による試験中止例はそれぞれ4例(3.1%),6例(4.5%)であった。
★結論★標準用量のARBで降圧不十分な2型糖尿病合併高血圧患者において,amlodipineの追加併用はARBの増量にくらべ家庭血圧の降圧効果に優れる。
UMIN CTR No: C000000017
文献
  • [main]
  • Miyauchi K et al for the ADVANCED-J investigators: Management of home blood pressure by amlodipine combined with angiotensin II receptor blocker in type 2 diaberes. Circ J. 2012; 76: 2159-66. PubMed

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収載年月2012.08