循環器トライアルデータベース

UCAS Japan
Unruptured Cerebral Aneurysm Study of Japan

目的 未破裂の脳動脈瘤は偶発的に発見されることが多い。最大径5~7mm以下の動脈瘤はめったに破裂せず,後方還流の動脈瘤は前方還流のものより破裂傾向が強いとの報告があるが,脳動脈瘤の自然歴は明確には示されていない。
日本人の未破裂脳動脈瘤患者において,その自然歴を調査し,破裂の危険因子を探索する。
コメント 未破裂脳動脈瘤の自然歴を日本人で検討した大規模な前向きコホート調査研究である。脳動脈瘤はそのほとんどが,検診などで偶然発見されたものであり,2/3が女性で,好発血管は中脳動脈と内頸動脈領域であったが,破裂瘤は前および後交通動脈に多く見られ,海外で指摘されているように後方還流系に多く見られることはなかった。しかし,動脈瘤は7mm以上になると高率に破裂しやすいこと,瘤の形状がdaughter sac(二次瘤)を形成するものは破裂しやすいことが明らかになったが,海外で報告されているような破裂のリスク因子(くも膜下出血の既往,高血圧,喫煙,多発瘤)は必ずしも世界共通に確立されたものではないことが示された。全体として破裂率は,年間0.95%で海外より高い傾向にあるが,ハイリスク患者は早期に外科治療をうけるため,破裂率は若干過少評価している可能性は残されている。(
デザイン 前向きコホート,多施設(日本の283施設)。
期間 追跡期間は8年(2010年4月14日まで)。
登録期間は2001年1月1日~2004年4月30日。
対象 5,720例・6,697の動脈瘤。20歳以上の最大径3mm以上の未破裂脳動脈瘤を有する脳動脈瘤新規診断例。
除外基準:原因不明または未治療の原因による頭蓋内出血既往例,modified Rankinスコア>2。
■患者背景:年齢62.5歳,≧70歳27.6%,女性66.5%,大半が無症候。
既往(高血圧43.4%[全動脈瘤数の44.3%],糖尿病6.3%[5.9%],高コレステロール血症14.1%[14.0%],多発動脈瘤13.9%[26.4%]),平均最大径5.7mm,最大径分布(3~4mm:46.8%;5~6mm:27.7%;≧7mm:25.5%)。
調査方法 初回受診時に患者の臨床所見,動脈瘤の性状,治療プランを記録。その後3,12,36か月後と5~8年後の臨床状態を受診または電話により調査。追跡期間中の状態の変化,動脈瘤への介入,脳神経系の画像検査を詳細に記録。追跡は動脈瘤破裂または死亡まで。
結果 [脳動脈瘤の特徴]
全動脈瘤のうち偶発的に発見されたものは91%(画像検査理由:検診43.5%,頭痛/めまい47.4%)で,好発部位は中大脳動脈36%,内頸動脈34%。
動脈瘤のサイズは加齢に伴い増大した(≧7mmの動脈瘤検出率:<50歳;18.0%,50歳代;21.4%,60歳代;24.7%,70歳代;32.6%,≧80歳;39.7%;p<0.001)。
2,722例・3,050の動脈瘤が登録後48日(中央値)で破裂前に外科的治療を受けた。
[脳動脈瘤破裂のリスク]
追跡期間中に111の動脈瘤が破裂した(年間破裂率0.95%;95%信頼区間0.79~1.15)。
破裂の危険因子は,動脈瘤の大きさ(3~4mmと比較した5~6mmのハザード比:1.13;0.58~2.22[p=0.71], 7~9mm* :3.35;1.87~6.00, 10~24mm* :9.09;5.25~15.74, ≧25mm* :76.26;32.76~177.54),部位(中大脳動脈にくらべた後方還流:1.90;1.12~3.21(p=0.02),前方還流:2.02;1.13~3.58(p=0.02),動脈瘤にdaughter sacのある場合(1.63;1.08~2.48)であった。 * p<0.001
女性(p=0.05),≧70歳(p=0.34),高血圧(p=0.08),高コレステロール血症(p=0.06)の有意なリスク上昇は認められなかった。
★結論★未破裂動脈瘤の自然歴は動脈瘤のサイズ,部位,形状により異なることが示された。
UMIN-CTR No: C000000418
文献
  • [main]
  • UCAS Japan Investigators: The natural course of unruptured cerebral aneurysms in a Japanese cohort. N Engl J Med. 2012; 366: 2474-82. PubMed

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収載年月2012.08