循環器トライアルデータベース

WARCEF
Warfarin vs Aspirin in Reduced Cardiac Ejection Fraction

目的 心不全患者は凝固亢進状態にあり,左室で血栓が形成され,血栓塞栓による死亡,脳卒中リスクが増大するため経口抗凝固薬が使用されているが,その役割は抗血小板薬aspirinのように明確にはなっていない。また十分な追跡期間,検出力を有する大規模臨床試験でのwarfarin,aspirinの比較検証もない。
洞調律の心不全患者において,warfarin,aspirinの有効性を比較する。

一次エンドポイントは,脳梗塞+脳出血+死亡の複合エンドポイント初発。
コメント 二重盲検にて示された本研究のインパクトは大きい。
心不全例は薬剤の種類によらず予後が悪い。心不全例であっても,心房細動のない症例では,ワルファリンを投与する意味がないことを示した意義は大きい。(後藤
デザイン 無作為割付け,二重盲検,多施設(11か国168施設),intention-to-treat解析。
期間 平均追跡期間は3.5年。総追跡期間は8,225例・年。
登録期間は2002年10月~2010年1月。
対象患者 2,305例(米国,カナダ1,119例;欧州,アルゼンチン1,186例)。18歳以上の正常洞調律でEF≦35%のもの;warfarin非禁忌;modified Rankinスコア≦4;心不全薬物治療(β遮断薬,ACE阻害薬[副作用非忍容の場合はARB],hydralazine,硝酸薬)予定例。NYHA I度例は20%未満とした。
除外基準:warfarin,aspirinの明らかな適応症例;心原性塞栓症の高リスク。
■患者背景:平均年齢61歳,血圧124/74mmHg,EFは25%,男性(warfarin群79.3,aspirin群80.7%),BMI 29kg/m²;>30kg/m²(36.6, 37.2%),高血圧(60.8, 61.7%),糖尿病(32.6, 30.4%),心筋梗塞(48.2, 48.7%),虚血性心筋症(42.9, 43.5%),NYHA心機能分類:II度(54.6, 56.0%);III度(30.9, 28.5%),6分間歩行距離(346, 356m),脳卒中・一過性脳虚血発作既往(13.6, 12.0%),modified Rankin scale:0(40.9, 42.3%);1(31.2, 31.0%);2(23.1, 23.0%)。
薬物治療:ACE阻害薬,ARBが約98%,β遮断薬が90%,アルドステロン受容体拮抗薬60%,利尿薬80%,硝酸薬23%,aspirin 58%,スタチン83%。
・心エコーサブスタディー(1,854例[80.4%]):EF≦35%あるいは壁運動指標≦1.2が1,746例(94.2%)。
治療法 6週間の用量調整期後,ランダム化。
warfarin群(1,142例):INR 2~3.5になるよう投与。
aspirin群(1,163例):325mg/日投与。
ダブルダミー法で,warfarin群はwarfarin+aspirinプラセボ,aspirin群はaspirin+warfarinプラセボ。統計解析センターでaspirin群にも適当なINR値を割り振り,全例に実際にwarfarinを投与したかにみえる状態とした。
結果 脱落は34例(1.5%),追跡不能は35例(1.5%)。
INR治療域にあったのは追跡期間の62.6%。INR<2は総治療時間の27.1%,>3.5は10.3%,warfarin群の治療期間中の平均INRは2.5。
[一次エンドポイント]両群間に有意差は認められず。
全体で622例(27.0%):うち,死亡531例(85.4%),脳梗塞84例(13.5%),脳内出血7例(1.1%)。
warfaring群7.47%/年 vs aspirin群7.93%/年:ハザード比(HR)0.93;95%信頼区間0.79~1.10(p=0.40)。
時間依存性解析:warfarinのほうがわずかに有効で,HR経時的変化は0.89/年(0.80~0.998,p=0.046)低下し,追跡4年まで有意傾向を示した(p=0.04)。
複合エンドポイント構成エンドポイント別:死亡,脳出血は両群間に有意差は認められなかったが,脳梗塞はwarfarin群で有意に抑制された(0.72%/年 vs 1.36%/年:0.52;0.33~0.82,p=0.005)。
[その他の結果:二次エンドポイント,出血]
・主要二次エンドポイントである一次エンドポイント+心筋梗塞+心不全による入院に両群間差はなかった(12.70%/年 vs 12.15%/年,p=0.33)。
・脳出血,頭蓋内出血:両群間に有意差はなかった(0.27%/年 vs 0.22%/年)
・大出血,消化管出血,小出血はwarfarin群で有意に増加した。
大出血:1.78%/年 vs 0.87%/年(p<0.001)。
消化管出血:0.94%/年 vs 0.45%/年(p=0.010)。
小出血:11.6%/年 vs 7.34%/年(p<0.001)。
★結論★収縮機能の低下した洞調律患者における脳卒中,死亡抑制効果はwarfarinとaspirinは同等。warfarinによる脳梗塞抑制効果は大出血リスク増大により消失する。
文献
  • [main]
  • Homma S, et al for the WARCEF investigators: Warfarin and aspirin in patients with heart failure and sinus rhythm. N Engl J Med. 2012; 366: 1859-69. PubMed

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収載年月2012.05