循環器トライアルデータベース

ACT NOW

目的 耐糖能異常(IGT),空腹時血糖異常(IFG)患者において,インスリン抵抗性改善薬pioglitazoneが糖尿病の発症を予防できるか,また心血管危険因子への影響を検証する。
一次エンドポイントは,糖尿病の発症(空腹時血糖値≧126mg/dL,2時間後血糖値≧200mg/dL,ブドウ糖負荷試験[OGTT]による確認)。
コメント 日本で唯一使用可能なチアゾリジン薬ピオグリタゾンがIGTから2型糖尿病の新規発症予防効果があるか否かを検討した試験。ピオグリタゾン投与によりIGTから2型糖尿病の新規発症を予防したばかりかIGTからNGTへの改善も認められた。ただし,この試験,糖尿病発症の診断方法に疑問が残る。それは規定期間ピオグリタゾンの治療を行った後,この薬剤をそのまま継続投与したまま糖負荷試験を行っている点だ。同じく新規糖尿病発症予防効果をアカルボースを用いて検討したSTOP-NIDDM,ナテグリニドを用いて検討したNAVIGATORは共に糖負荷試験の当日は休薬している。つまり薬の血糖降下作用をみるのではなく本来の“disease course”への影響をみたいからである。ピオグリタゾンの場合は最低でも数日間の休薬の後,糖負荷試験をすることで真の発症予防が可能かを検証できるのではないかと思われる。この試験の掲載誌New England Journal of Medicineの“To The Editor”にもこの点に関する質問が寄せられており筆者らは現在“wash-out”した試験を施行中であると回答している。(弘世
デザイン 無作為割付け,プラセボ対照,二重盲検,多施設(8施設)。
期間 平均追跡期間は2.2年(中央値2.4年)。
登録期間は2004年1月~2006年3月。
対象患者 602例。18歳以上のIGT(OGTT 2時間値が140~199mg/dL);BMI≧25kg/m²;空腹時血糖値 95~125mg/dL(登録途中で,OGTT 2時間値が170~199mg/dLならば,空腹時血糖値90~125mg/dLのものも組入れた);その他の糖尿病発症の危険因子を1つ以上有するもの。
■患者背景:平均年齢(pioglitazone群53.0歳,プラセボ群51.5歳),BMI(33.0kg/m², 34.5kg/m²),腹囲(男性:110.5cm, 112.2cm, 女性:103.1cm, 103.7cm),白人(156例,171例);ヒスパニック(79例,75例);黒人(57例,44例),IGTのみ(98例,97例),IGT+IFG(205例,202例),糖尿病家族歴(58.4%, 62.2%),妊娠糖尿病(14%, 21%;p=0.07),HbA1c(両群とも5.5%),脂質:総コレステロール(169mg/dL, 173mg/dL);LDL-C(104mg/dL, 108mg/dL),HDL-C(40mg/dL, 41mg/dL);トリグリセライド(122mg/dL, 121mg/dL),血圧(127/74mmHg, 128/74mmHg)。
治療法 pioglitazone群(303例):30mg/日で投与を開始し,1か月後に45mg/日に増量,プラセボ群(299例)。
空腹時血糖値は3か月ごとに測定し,OGTTは1年に1回実施した。
右総頸動脈遠位壁(far wall)評価のために,7施設で高解像度Bモード超音波検査を,ベースライン時,15~18か月後,試験終了時に実施。
結果 追跡を完了したのは,pioglitazone群213例,プラセボ群228例。
試験を完了しなかった161例(それぞれ90例,71例)で,追跡期間(中央値)は7.6か月。追跡終了例との患者背景の違いはなかった。治療中止理由は体重増加(9例,3例)の他は,治療に関連しないものであった。
アドヒアランスは両群とも80%以上で,終了時のpioglitazone群の用量は64%が45mg/日,プラセボ群の相当用量投与は81%。pioglitazone群で45mg/日に増量しなかった,または45mg/日を持続投与しなかったおもな理由は,体重増加と浮腫であった。
[一次エンドポイント:糖尿病の発症]
pioglitazone群2.1%/患者・年 vs プラセボ群7.6%/患者・年 :ハザード比0.28;95%信頼区間0.16~0.49(p<0.001)。
[その他の結果]
血糖値正常化:48% vs 28%(p<0.001)。
空腹時血糖値:-11.7mg/dL vs -8.1mg/dL(p<0.001)。
2時間後血糖値:-30.5mg/dL vs -15.6mg/dL(p<0.001)。
HbA1c:-0.04% vs +0.20%(p<0.001)。
拡張期血圧:-2.0mmHg vs 0.0mmHg(p=0.03)。
頸動脈内膜-中膜肥厚:pioglitazone群はプラセボ群より31.5%抑制(p=0.047)。
HDL-C:+7.35mg/dL vs +4.5mg/dL(p=0.008)。
以上いずれもpioglitazone群のほうが良好であったが,体重増加(3.9kg vs 0.77kg, p<0.001)と浮腫(12.9% vs 6.4%, p=0.007)は同群で多かった。
★結論★耐糖能異常患者においてpioglitazoneはプラセボに比べ糖尿病進展リスクを72%抑制したが,体重増加と浮腫が有意に増加した。
ClinicalTrials. gov No: NCT00220961
文献
  • [main]
  • DeFronzo RA et al: Pioglitazone for diabetes prevention in impaired glucose tolerance. N Engl J Med. 2011; 364: 1104-15. PubMed

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収載年月2012.01