循環器トライアルデータベース

RESOLUTE US(R-US)
Medtronic RESOLUTE US Clinical Trial

目的 小血管の固有冠動脈新規病変を有する糖尿病有病率が比較的高い米国人コホートにおいて,新しいzotarolimus 溶出性ステント(Resolute zotarolimus-eluting coronary stent:R-ZES)*の安全性と有効性を,歴史対照(従来のzotarolimus溶出性ステント[Endeavor zotarolimus-eluting coronary stent:E-ZES]を用いた臨床試験[ENDEAVOR II, ENDEAVOR IV, ENDEAVOR PK, ENDEAVOR II Continued Access trials]のデータ)と比較する。
* zotarolimusを約180日間放出するよう設計された,親水性生体適合性ポリマーを用いたステント。
一次エンドポイントは,12か月後の標的病変不全(TLF:心臓死,心筋梗塞[MI],または臨床症状による標的病変再血行再建術[TLR])。
コメント Resolute zotarolimus-eluting stent(R-ZES)は従来のzotarolimus-eluting stent(E-ZES)と同じ薬剤,同じコバルトクロムのプラットフォームを用いて,新たな水溶性ポリマーを使用した薬剤溶出性ステント(DES)である。ポリマーの変更により薬剤の徐放性を高め,より強力な新生内膜増殖抑制効果を期待して開発されたDESである。RESOLUTE USはR-ZESをhistorical controlであるE-ZESと比較する,米国のFDA承認試験である。
現在,新しいDES のpivotal試験においては,既承認のDESに対する非劣性の証明が要求されている。以前にENDEAVOR IV試験において指摘したが,“Bio Creep”という言葉がある。DESの場合で言うと,late lossの大きなDESが承認された時,次に評価される新しいDESのコントロールとしてこれが使用されるリスクを表現している。ZESを今後評価されるDESのコントロールとして使用することは不適切であると述べた。新しいDESのpivotal試験は,試験開始時点におけるスタンダードケアのDESをコントロールとして施行されるべきであると考える。R-ZESの場合は欧州を中心として市販後に行われたRESOLUTE試験で,現時点でのスタンダードケアのDESであるeverolimus-eluting stentとの比較が行われているため,あえて米国では無作為化試験を行わなかったのであろうと推察されるが,新しいDESのpivotal試験は,試験開始時点におけるスタンダードケアのDESをコントロールとして施行されるべきであるとの基本認識を持つことは重要である。(木村
デザイン 前向き観察研究,多施設(米国の116施設)。
期間 追跡期間は12か月。
登録期間は2008年8月21日~2009年12月16日。
対象患者 1,402例。固有血管の新規狭窄病変に起因する虚血性心疾患で,異なる標的血管の2病変までをステント径2.25~4.0mmのステントで治療予定の成人患者。
除外基準:手技の72時間以内の急性MI,再狭窄による標的血管の治療歴。
■患者背景:平均年齢64.1歳,男性68.3%,既往:MI 21.6%;PCI 32.7%;CABG 8.8%,糖尿病34.4%,高脂血症87.7%,高血圧84.2%,喫煙歴20.9%,安定狭心症56.1%,不安定狭心症41.9%。
標的病変:左前下行枝45.9%;左回旋枝32.2%;右冠動脈31.2%,2枝治療10.4%,TIMI grade 3 96.7%,参照血管径2.59mm,病変長13.06mm,最小内腔径0.77mm,狭窄率70.67%,B2/C病変75.2%。
治療法 冠動脈造影の転帰への影響を避けるため,前向きに臨床転帰を追跡するコホート(1,242例)とプロトコールに指定された冠動脈造影による評価を行う冠動脈造影コホート(160例)にわけて登録。歴史対照のE-ZESの試験では主に2.5~3.5mmのステントで1病変を治療した患者が登録されたことから,臨床転帰追跡コホートのうち同様に2.5~3.5mmのステントで1病変を治療した患者を主解析コホート(1,001例)とした。冠動脈造影コホートのうち100例で血管内超音波検査(IVUS)を実施。
歴史対照と本研究の被験者の違いはpropensity scoreで調整。
結果 [手技結果]
TIMI grade 3 99.7%,最終参照血管径2.64mm,最終最小内腔径:ステント内2.49mm;セグメント内:2.14mm,最終狭窄率(5.02%;18.88%)。
[主解析コホート]
一次エンドポイントはR-ZES群36/982例(3.7%)vs 歴史対照のE-ZESは70/1,076例(6.5%)。R-ZESはE-ZESに対して非劣性であった(率差-2.8%,調整後の片側95%信頼区間上限-1.3%;非劣性のp<0.001[非劣性マージン3.3%])。
12か月後のその他のイベントは,心臓死4例(0.4%),MI 13例(1.3%),TLR 20例(2.0%)。
・糖尿病例(374例):4.3%(心臓死0.5%,MI 0.8%,TLR 3.0%)。
[全例(主解析コホート+2.25mmステント群+4.0mmステント群+2枝治療例)]
12か月後のTLFの発生率は65/1,376例(4.7%),心臓死は9例(0.7%),MIは19例(1.4%),TLRは39例(2.8%)。ARC基準によるdefinite+probableステント血栓症は,2.25mmのステント使用例の2例(0.1%)のみであった。
[冠動脈造影コホート]
8か月後の参照血管径は2.77mm,ステント内最小内腔径は2.40mmで,ステント内遠隔期損失径は0.30mm。IVUS評価による遠隔期ステント圧着不良は1.7%(1/60例)。
[その他]
2.25mmステント群:12か月後のTLFは4.8%(片側95%信頼区間上限8.8%, p<0.001)。
4.0mmステント群:8か月後のセグメント内遠隔期損失径は0.14mm(vs歴史対照のベアメタルステント群0.65mm;優越性のp<0.001)。
★結論★新しいzotarolimus溶出ステントは1年後の再狭窄率が非常に低く,死亡,MI,ステント血栓症などのイベント発生率も低かった。
ClinicalTrials gov. No: NCT00726453
文献
  • [main]
  • Yeung AC et al on behalf of the RESOLUTE US investigators: Clinical evaluation of the Resolute zotarolimus-eluting coronary stent system in the treatment of de novo lesions in native coronary arteries. The RESOLUTE US clinical trial. J Am Coll Cardiol. 2011; 57: 1778-83. PubMed

▲pagetop
EBM 「循環器トライアルデータベース®」
ライフサイエンス出版
ご不明の点はお問い合わせください
収載年月2011.05