循環器トライアルデータベース

J-RHYTHM II
Japanese Rhythm Management Trial II for Atrial Fibrillation

目的 発作性心房細動(AF)を合併した高血圧患者において,ARB candesartanによる降圧治療はCa拮抗薬amlodipineによる治療よりもAFの頻度抑制に対して有効であるという仮説を検証する。
一次エンドポイントは治療前と追跡終了時のAFの頻度(1か月に発症した日数)の差。
コメント 心房細動(AF)を合併した高血圧では予防の観点からARBを推奨する不整脈専門家,高血圧専門家が多かった。しかしこの結論は,LIFEなどの一部の臨床試験の二次エンドポイントから得られた結論であり,その信頼性は極めて乏しいものであった。にもかかわらず高血圧治療ガイドライン2009では,心房細動予防のためにはRA系阻害薬を推奨した。その後,心房細動再発を一次エンドポイントに設定したGISSI-AFやANTIPAFなどの臨床試験ではARBのAF予防効果は完全に否定された。
本試験はわが国の不整脈専門家が中心となって行った臨床試験であるが,テレモニタリングというAF発作の検出精度の高い方法で行われた方法でも,ARBのAF再発頻度抑制効果を見いだすことはできなかった。
本論文の結論では,二次エンドポイントを強調するような記述を排除し,カンデサルタンにはアムロジピンを上まわる発作性心房細動予防効果を認めなかったと言い切っている点は評価できる。(桑島
デザイン 無作為割付け,オープン,多施設(日本の48施設)。
期間 登録期間は2006年9月~2008年8月。
対象患者 318例。6か月以内の発作性AF*既往;≧140/90mmHg,あるいは降圧治療を必要とする高血圧患者。
* 登録前6か月以内に実施したECG上で7日以内に自然に治まる発作が認められたもの。
除外基準:狭心症既往;1週間以上停止しない持続性AFおよび永続性AF;心筋梗塞発症から1か月以内に発症したAFなど。
■患者背景:平均年齢(candesartan群66.0歳,amlodipine群65.1歳),男性(69.0%, 68.8%),AF罹病期間:<1年(25.9%, 23.1%);1~<5年(36.1%, 41.3%);≧5年(27.2%, 25.6%),合併症:塞栓症既往(7.6%, 7.5%);心不全(両群とも2.5%);弁膜症(5.7%, 8.8%);糖尿病(9.5%, 8.8%),EF(69.1%, 66.2%;p=0.003),左房径(38.9mm, 39.3mm)。
治療法 最初の1か月(4週間)はそれまでの治療を変更せずAFおよび高血圧治療を継続した。この観察期の後,下記2群にランダム化。
candesartan群(158例):4~8mg/日で投与開始し最大12mg/日投与。最大用量でも目標血圧(130/85mmHg)に達しない場合は,その他の降圧薬である利尿薬,β遮断薬,α遮断薬の使用可。
amlodipine群(160例):2.5mg/日で投与を開始し最大5mg/日投与。最大用量でも目標血圧(130/85mmHg)に達しない場合は,その他の降圧薬である利尿薬,β遮断薬,α遮断薬の使用可。
ジヒドロピリジン系Ca拮抗薬,candesartan以外のRAS阻害薬の投与不可,抗血栓治療薬は日本のガイドラインに従い継続することとした。抗不整脈薬はI群薬(disopyramide, procainamide, quinidine, aprindine, pilsicainide, propafenone, cibenzoline)のみの使用に限り,参加医の判断で薬剤選択,変更を行った。
観察期間1か月間と追跡期間中は症状による伝送心電図(TTM)を毎日送るよう患者に求めた。追跡期間の最後に心エコーとAFのQOL質問票(AFQLQ)を評価した。
試験開始時の治療状況:降圧治療例(75.9%,77.5%),利尿薬(12.7%,5.6%;p=0.029),β遮断薬(30.4%,31.3%),抗血小板薬(29.1%,30.0%),抗凝固療法(50.6%,55.0%),スタチン系薬剤(16.5%,15.0%)。
結果 観察期間にTTMに記録された全発作性AF(症候性および非症候性)はcandesartan群3.8日/月 vs amlodipine群4.8日/月(p=0.116)。症候性が半数以下で両群とも1.4日/月。
試験薬の平均用量はcandesartan群8.0mg/日,amlodipine群4.3mg/日。
降圧:試験開始時の血圧はcandesartan群139.5/81.0mmHg,amlodipine群140.7/82.5mmHg。経時的降圧は両群とも穏やかに低下したが,amlodipine群のほうが降圧度が有意に大きかった(p<0.0001)
[一次エンドポイント]
追跡終了時のAFの頻度は,candesartan群2.1日/月 vs amlodipine群2.4日/月で両群間に有意差はなく(p=0.512),症候性AFは1.0日/月 vs 0.8日/月(p=0.544)。
一次エンドポイント(観察期と最終月のAFの頻度差) も群間差は認められなかった(p=0.351)。
[二次エンドポイント:心血管イベント,post hoc analysis]
心血管イベント:脳卒中(candesartan群0% vs amlodipine群1.8%),持続性AFへの進展(8.2% vs 15.0%;p=0.080)。AFQLQは両群同等。
post hoc解析:収縮期血圧:低値(≦126mmHg・108例),中等度(126~139mmHg・95例),高値(≧139mmHg・105例)にAF頻度低下の有意な群間差はみられなかった。
★結論★高血圧を有するAF患者におけるcandesartanによる降圧治療は発作性AF頻度の抑制でamlodipineにまさらなかった。
UMIN臨床試験登録システム(UMIN-CTR) identifier: C000000427
文献
  • [main]
  • Yamashita T, et al.; on behalf of the J-RHYTHM II investigators: Randomized trial of angiotensin II-receptor blocker vs. dihydropiridine calcium channel blocker in the treatment of paroxysmal atrial fibrillation with hypertension (J-RHYTHM II study). Europace. 2011; 13: 473-9. PubMed

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収載年月2011.04