循環器トライアルデータベース

ALTITUDE Survival

目的 植込み型除細動器(ICD),ICD機能付き心臓再同期治療デバイス(CRT-D)植込み後の遠隔モニタリングが長期生存率に及ぼす影響およびショック療法後の生存率を遠隔モニタリング例で評価する。
コメント Circulation. 2010; 122: 2359-67.へのコメント
遠隔モニタリングによって主治医に患者の変化(不整脈,胸郭インピーダンス)を早期に知らせることにより,早期に適切な対応を取ることが可能になり,この結果,生存率が向上したと考えられる。多数の症例を長期間追跡した結果,前向きの臨床試験と同等の生存率が得られたことも重要である。ショック治療は,その適否にかかわらず,その後の生存率を低下させるが,オーバーセンシングによるショックは生存率に影響しないことが示された。ショック治療が生じたことは,その患者が予後不良であることの指標であることを示唆した意義も大きい。(井上
デザイン 登録研究,多施設(米国の2,096施設)。
期間 追跡期間は28±18か月,2009年2月終了。
参加者 19万4,006例。2004年以降に,Boston Scientific社の遠隔モニタリングシステム(LATITUDE)に対応したICD,CRT-D,またはLATITUDE未対応のCRT(CRT-pacing:CRT-P)を植込んだ患者。
■患者背景:平均年齢67歳,男性74%。
CRT-P例(8,228例):76歳,57%,追跡期間25か月。
調査方法 遠隔モニタリング群(69,556例)と来院群(12万4,450例)別に解析。
遠隔モニタリングの可否は,デバイス植込み時もしくは植込み後の来院時に担当医が決定。
遠隔モニタリング群では,来院(平均2回/年)に加え,ICD植込み例で3±2回/月,CRT-D植込み例で4±2回/月,データ送信を実施。LATITUDEは2006年に上市されたため,2004~2006年のデバイス植込み例は植込み後23.6か月から,2006年以降の植込み例では3.5か月後からモニタリングを開始した。
生存状況はBoston Scientific社に年4回提供されるSocial Security Death Indexにより確認。遠隔モニタリング群ではショック療法前・中・後の心房および心室電図も収集し,ショック療法の実施率とその治療の適切性を分析(デバイスがプログラムに従い持続性の心室性不整脈に対して治療を行った場合を「適切」,上室性不整脈に対して,またはオーバーセンシングによりショック療法を行った場合を「不適切」とした)。
結果 遠隔モニタリング群:ICD例39,546例,CRT-D例30,010例。
通院群:ICD例68,481例,CRT-D例47,741例,CRT-P例8,228例。
遠隔モニタリング群と来院群の間に,年齢,性別,デバイスの種類および植込み年に関する差はなく,同一地域内で比較した両群間の経済状況,教育水準にも差はなかった。
[長期生存率]
デバイス植込み後1年および5年生存率は,ICD植込み例でそれぞれ92%, 68%,CRT-D植込み例で88%, 54%,CRT-P植込み例で82%, 48%であった。
Kaplan-Meier曲線による累積生存率は,ICD植込み例,CRT-D植込み例ともに遠隔モニタリング群のほうが有意に高かった(ICD植込み例:ハザード比0.57, 95%信頼区間0.545~0.593;CRT-D植込み例:0.67, 0.643~0.689;ともにp<0.0001)。
年齢,性別,デバイス植込み年および種類,施設,遠隔モニタリング時の死亡状況で1:1にマッチさせたサブグループ解析(10,272例)でも,結果は同様であった(ICD植込み例:0.56, 0.467~0.667;CRT-D植込み例:0.45, 0.388~0.532;ともにp<0.0001)。
[ショック療法の実施状況]
ショック療法の実施率は,1年後のICD植込み例,CRT-D植込み例の14%, 13%から,5年後にそれぞれ38%, 33%に増加した。ショック療法の70%が適切,30%が不適切であった。
ICD,CRT-Dともにショック療法は死亡リスクの増大に関連し,とくにリスクが高かったのはICD植込み例が適切および不適切なショック療法を受けた場合(2.62, 1.52~4.53)と,CRT-D植込み例が適切なショック療法を受けた場合(2.09, 1.21~3.60)であった。
★結論★実臨床におけるICDまたはCRT-D植込み例の生存率は,臨床試験の報告と変わらなかった。遠隔モニタリングを行った患者の生存率は良好だが,デバイスによるショック療法をもたらした不整脈は死亡リスクの増大と関連した。

[主な結果]
  • 不適切なICDショック関連死-ショック自体による有害作用よりも基礎にある不整脈が関連していると思われる。
    [ALTITUDE Survival by Rhythm Study] ICD,ICD付き心臓再同期治療デバイス(CRT-D)植込み例において,不適切なICDショック関連死のリスクが,基礎疾患としての不整脈によるものなのか,ショック自体によるのかを検討するため,2010年1月1日時に遠隔モニタリングシステム(ALTITUDE)に登録されていた127,134例中,ICD,CRT-Dショックが1回以上自動的に発生した患者のランダムサンプル 3,809例,ALTITUDE Survivalから2,000例,ALTITUDE REDUCE study(J Cardiovasc Electrophysiol. 2011; 22: 1023-9. PubMed)から頻脈性不整脈治療プログラミングのパラメータに基づいたランダムサンプル1,809例を抽出した。初回ショック発生例(3,809例:CRT-D例1,541例,ICD例2,268例;平均年齢64歳,男性78%)と植込み時年齢,植込み年,性別,デバイスをマッチングさせたショック非発生例(3,630例)を比較した結果(平均追跡期間は初回ショックから2.1年,植込みから3.1年):ショック非発生例とくらべ,単形性心室頻拍(ハザード比1.65, p<0.0001),心室細動/多形性心室頻拍(2.10, p<0.0001),心房細動・粗動(1.61, p=0.003)による初回ショック発生例は死亡率が高かった。一方で,洞性頻脈および上室性頻拍(0.97, p=0.86),ノイズ/アーチファクト/過剰検知(0.91, p=0.76)による初回ショック発生例での死亡リスク上昇はみられなかった(Powell BD et al: Survival After Shock Therapy in Implantable Cardioverter-Defibrillator and Cardiac Resynchronization Therapy-Defibrillator Recipients According to Rhythm Shocked: The ALTITUDE Survival by Rhythm Study. J Am Coll Cardiol. 2013; 62: 1674-9.)。 PubMed
  • Saxon LA et al: Long-term outcome after ICD and CRT implantation and influence of remote device follow-up: the ALTITUDE survival study. Circulation. 2010; 122: 2359-67. PubMed
    Lampert R: Survival of patients with implantable cardioverter defibrillators in the era of remote-monitoring: the 5000-foot, high-altitude view. Circulation. 2010; 122: 2353-5. PubMed

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収載年月2011.04
更新年月2014.03