循環器トライアルデータベース

PARTNER
Placement of Aortic Transcatheter Valves

目的 症候性の重度大動脈弁狭窄患者のうち,加齢や左室機能障害,合併症のため外科手術のリスクが高い患者では大動脈弁置換術が行われない。このような高リスク大動脈弁狭窄患者に対する低侵襲性の新治療法として,経カテーテル的大動脈弁置換術(transcatheter aorticーvalve replacement:TAVR,コホートBの初期の発表ではtranscatheter aortic valve implantation:TAVIと表記されている。表記は文献に倣った)*がある。
PARTNERは次の2患者においてTAVR(TAVI)の有効性,安全性を標準治療と比較する試験。
コホートA:手術リスクが高いにもかかわらず手術適応と判断された高リスク大動脈弁狭窄患者,
コホートB:手術不適応の高リスク大動脈弁狭窄患者。

一次エンドポイントは,コホートA:1年後の全死亡,
コホートB:次の2つ:1年後の全死亡;全死亡+再入院の複合エンドポイント。
* 本邦では2010年に高度医療として承認された。
コメント ■コホートA コメント 星田四朗
■コホートB コメント 中村哲也・中野・永井
■コホートAサブ解析 コメント 星田四朗
■コホートBサブ解析 コメント 星田四朗

コホートA(N Engl J Med. 2011; 364: 2187-98.)へのコメント
超高齢者や左室機能低下を伴ったハイリスクの大動脈弁狭窄症では,標準的治療である開胸的大動脈弁置換術に伴う合併症・死亡率が高いのでより侵襲性の少ない治療法が望まれる。ハイリスクの手術適応例に対して経カテーテル的と開胸的の大動脈弁置換術を対比した本研究では,1年後の死亡率は予想よりも低く両者は同等であった。サブ解析では,女性とCABG非施行例で経カテーテル治療群が良好であったが,今後の確認が必要である。経カテーテル治療群では脳卒中や主要血管合併症が多いことが問題であるが,learning curveの途中かもしれない。デバイスの改良(塞栓予防やより細いカテーテルサイズ)も期待できる。経カテーテル治療群では人工弁周囲からの逆流がより多く再手術を要する例もあり,長期の臨床効果は不明である。元の病的な大動脈弁を除去せずに人工弁を入れるので晩期の血栓塞栓症のリスクもあり,抗血小板療法の内容・継続期間も今後の課題である。経大腿アプローチと経心尖アプローチの使い分けもより明確にする必要がある。それでも,リスクの低い大動脈弁狭窄症例にも経カテーテル治療を標準的に行える未来に期待したい。(星田

コホートB(N Engl J Med. 2010; 363: 1597-607.)へのコメント
成人大動脈弁狭窄症で弁の石灰化が高度な例では,第一選択の治療法は大動脈弁置換術である。大動脈弁狭窄症での経皮的バルーン大動脈弁形成術は術後早期から弁閉鎖不全や再狭窄などを生じ,外科手術より長期予後は不良と考えられている。PARTNERにおいては,経カテーテル的大動脈弁置換術が検討された。対象者は平均年齢で83歳と高齢者であったが,生存期間において好成績が得られた。しかしながら,大動脈弁置換術は80歳台でも十分に行うことができるので,年齢だけが経カテーテル的大動脈弁置換術を選択する理由にはならない。生存期間のみでなく被験者のQOLや,特に術者のlearning curveは考慮されるべきであろう。(中村中野永井

コホートAサブ解析(N Engl J Med. 2012; 366: 1686-95.)へのコメント
本研究は,大動脈弁狭窄症のハイリスク例においてTAVR群と開胸手術群の2年後の予後が同等であることを示しており,TAVR治療にとってまた一歩前進である。TAVRの問題点は2つある。1つは術後早期に脳卒中が多いことであるが,長期には脳卒中の頻度がより増加することはない。術中に脳血管filterを挿入すると塞栓起因物質がとらえられており,手技・方法の改良により術後早期の脳卒中の頻度を低下させうると考えられる。もう1つは弁周囲逆流が比較的多くこれが軽度であっても予後と関連することである。弁逆流の原因としては,弁と弁輪の大きさの不一致・弁の位置・元の弁の石灰化の程度,などが考えられるが,今回は使用した弁の大きさが小さいことに由来する可能性がある。今後は,3D-CTなどにより弁輪の大きさをより適切に評価し,デバイスデザインの改良により弁と弁輪の隙間をなくす工夫が望まれる。これら2つが改善できれば2年後の死亡率が30%を超えることはないであろう。(星田

コホートBサブ解析(N Engl J Med. 2012; 366: 1696-704.)へのコメント
ハイリスクのために開胸手術ができない高度大動脈弁狭窄症例に対するTAVR治療は標準治療よりも2年後の臨床転帰・QOLや費用対効果は明らかに良好である。標準治療群の2年後の死亡率は68%であり,症候性大動脈弁狭窄症の予後不良は明確である。TAVR治療は4人に1人の2年後の死亡を抑制し,併存する合併症がより少ないほど臨床効果が大きい。TAVR治療は標準治療より1年目も2年目も同様に死亡率を低下させている(ハザード比:各々0.57, 0.58)。しかし,TAVR治療でも2年間に43%の死亡率があり,全死亡のうち心臓死の比率が標準治療群より低く,TAVR治療が望ましい対象を選別できれば更なる臨床的意義が高まると思われる。今回の対象はPARTNERコホートAよりも合併症・病態がより重篤であるため弁逆流の程度は予後の規定因子ではない。2年後の脳卒中の頻度はTAVR治療が標準治療よりも依然として高いが,術後30日から2年間は脳出血の頻度がTAVR治療でより高くなっており,術後早期と慢性期での脳卒中予防戦略は異なると考えられる。(星田
デザイン コホートA:無作為割付け,多施設(米国,カナダ,ドイツの25施設),intention-to-treat解析。
コホートB:無作為割付け,多施設(21施設,うち17施設は米国),intention-to-treat解析。
期間 コホートA
追跡期間は1.4年(中央値)。
登録期間は2007年5月11日~2009年8月28日。
コホートB
追跡期間は1.6年(中央値)。
登録期間は2007年5月11日~2009年3月16日。
対象患者 コホートA
699例。手術による合併症または死亡リスクが高い**にもかかわらず手術適応と判断された高リスクのNYHA心機能分類≧II度の重度大動脈弁狭窄*** 患者。
** 術後30日までの予測死亡リスク≧15%,STSスコア(Society of Thoracic Surgeonsスコア。0~100%で高値ほど手術リスクが高い)>10%。
*** 大動脈弁弁口面積(aortic-valve area: AVA)<0.8cm²,平均大動脈弁圧較差(aortic-valve gradient: AVG)≧40mmHg,最高大動脈弁通過血流速度≧4.0m/秒。
除外基準:二尖または非石灰化大動脈弁,EF<20%,血行再建術を要する冠動脈疾患,弁輪径<18mmあるいは>25mm,重度(4+)の僧帽弁または大動脈弁逆流,重症腎機能障害など。
■患者背景:平均年齢(TAVR群83.6歳, 標準治療群84.5歳),男性(57.8%, 56.7%), STSスコア(11.8, 11.7),NYHA心機能分類III~IV度(94.3%, 94.0%),冠動脈疾患(74.9%, 76.9%),心筋梗塞既往(26.8%, 30.0%),CABG既往(42.6%, 44.2%),PCI既往(34.0%, 32.5%),バルーン大動脈弁形成術既往(13.4%, 10.2%),脳血管疾患(29.3%, 27.4%),末梢血管疾患(43.0%, 41.6%),COPD(43.4%, 43.0%),心房細動(40.8%, 42.7%),永久ペースメーカー(20.0%, 21.9%),肺高血圧(42.4%, 36.4%),衰弱(15.6%, 17.6%)。
心エコー所見 : AVA(0.7cm², 0.6cm²), AVG(42.7mmHg, 43.5mmHg), EF(52.5%, 53.3%)。

コホートB
358例。症候性の高リスク**重度大動脈弁狭窄症***で,大動脈弁置換術不適応患者。
除外基準:二尖または非石灰化大動脈弁,急性心筋梗塞(AMI),血行再建術を要する重度の冠動脈疾患,EF<20%など。
■患者背景:平均年齢(TAVI群83.1歳,標準治療群83.2歳),男性(45.8%, 46.9%),STSスコア(11.2, 12.1),NYHA心機能分類III~IV度(92.2%, 93.9%),冠動脈疾患(67.6%, 74.3%),MI既往(18.6%, 26.4%),インターベンション歴(CABG:37.4%, 45.6%;PCI:30.5%, 24.8%;バルーン大動脈弁形成術:16.2%, 24.4%),脳血管疾患(27.4%, 27.5%),末梢血管疾患(30.3%, 25.1%),COPD(41.3%, 52.5%;p=0.04),クレアチニン>2mg/dL(5.6%, 9.6%),心房細動(32.9%, 48.8%;p=0.04),永久ペースメーカー(22.9%, 19.5%),肺高血圧(42.4%, 43.8%),高度石灰化大動脈(19.0%, 11.2%)。
心エコー所見:AVA(0.6cm², 0.6cm²), AVG(44.5mmHg, 43.0mmHg), EF(53.9%, 51.1%),中等症~重症の僧帽弁逆流(22.2%, 23.0%)。
治療法 コホートA
TAVR群(348例;うち経大腿アプローチ例244例,経心尖アプローチ例104例)と標準治療群(351例;248例,103例):開胸大動脈弁置換術にランダム化
周術期にheparinを投与し,その後2剤併用抗血小板療法(aspirin+clopidogre)を6ヵ月間投与。
コホートB
TAVI群(179例)と標準治療群(179例)にランダム化。
TAVI群:ウシ心膜弁とバルーン拡張機能を備えたステンレス製フレームを用いたデバイスを使用。手技は,全身麻酔下で経食道エコーガイド下にて実施。標準的バルーン大動脈弁形成術により大動脈弁を拡張後,経大腿アプローチにて病変部に人工弁を留置した。手技中はheparin,手技後6か月間はaspirinとclopidogrelを投与。
標準治療群:バルーン大動脈弁形成術などの標準治療。
結果 コホートA
[手技成績]
治療非実施例はTAVR群4例,標準治療群38例。TAVR群から標準治療群への変更は,早期が9例,30日以上経過後が2例。標準治療群からTAVR群への変更は1例。
割付けから治療開始までの時間はTAVR群10.6日 vs 標準治療群15.6日(p<0.001)。
[一次エンドポイント:1年後の全死亡]
有意な群間差は認められず(TAVR群24.2% vs 標準治療群26.8%:ハザード比0.93;95%信頼区間[CI]0.71~1.22, p=0.44),TAVR群は標準治療群に対して非劣性であった(両群間差-2.6%;片側95%CI上限3.0%, p=0.001[非劣性マージン7.5%])。
30日後の全死亡(3.4% vs 6.5%, p=0.07),経大腿アプローチ例(22.2% vs 26.4%, p=0.25)も,経心尖アプローチ例(29.0% vs 27.9%, p=0.41)での比較においても有意な群間差は認められなかった。
[二次エンドポイント:心血管死,NYHA心機能分類,再入院,脳卒中,急性腎障害,血管合併症,出血,6分間歩行距離など]
TAVR群では脳卒中+一過性脳虚血発作(30日後:5.5% vs 2.4%→ 1年後:8.3% vs 4.3%[ともにp=0.04]),重大な脳卒中(modified Rankin Score≧2)(3.8% vs 2.1%[p=0.20]→ 5.1% vs 2.4%[p=0.07]),主要血管合併症(11.0% vs 3.2%→ 11.3% vs 3.5%[ともにp<0.001])のリスクが高く,大出血(9.3% vs 19.5%→ 14.7% vs 25.7%[ともにp<0.001]),新規心房細動(8.6% vs 16.0%[p=0.006]→ 12.1% vs 17.1%[p=0.07])のリスクが低かった。 その他の項目には有意な群間差を認めなかった。
TAVR群では30日後のNYHA心機能分類(p<0.001),6分間歩行距離(p=0.002)が良好であったが,1年後に差は消失した。
★結論★手術適応と判断された高リスクの重度症候性大動脈弁狭窄患者において,TAVRの1年後生存率は大動脈弁置換術と同等であった。ただし,周術期のリスクには重要な差が認められた。

コホートB
[手技成績]
TAVI群:ランダム化からTAVI施行までの時間は6日(中央値)。TAVI非実施は6例で,うち2例は死亡,2例は経大腿アクセス不成功,2例は弁輪径拡大のため手技断念。手技中~手技後24時間に2例が死亡し,3例が脳卒中を発症したが,緊急心手術を要した症例はなかった。
標準治療群:実施された手技の内訳は,バルーン大動脈弁形成術63.7%(ランダム化後30日以内);20.1%(30日以降),大動脈弁置換術6.7%,左室心尖部から下行大動脈までの導管+大動脈弁置換術2.8%,試験参加施設外でのTAVI 2.2%。
[一次エンドポイント:全死亡,全死亡+再入院]
全死亡率はTAVI群が標準治療群に比べて有意に低かった(Kaplan-Meier解析:30.7% vs 50.7%:ハザード比0.55;95%信頼区間0.40~0.74, p<0.001)。
全死亡+再入院の複合エンドポイントもTAVI群のほうで有意に抑制された(42.5% vs 71.6%:0.46;0.35~0.59, p<0.001)。
[二次エンドポイント:脳卒中,血管合併症,NYHAクラス,置換弁の機能など]
1年後の生存例におけるNYHA III~IV度の症例は,TAVI群のほうが低かった(25.2% vs 58.0%, p<0.001)。
30日後のmodified Rankinスコア≧2の神経障害を伴う脳卒中(5.0% vs 1.1%, p=0.06),主要血管合併症(16.2% vs 1.1%, p<0.001)はTAVI群の方が多かった。
TAVI実施後の1年間に弁機能の低下(心エコー上の狭窄または逆流)は認められなかった。
★結論★外科手術不適応の重症大動脈弁狭窄患者において,TAVI群は標準治療群よりも脳卒中および主要血管イベントのリスクが高かったにもかかわらず,全死亡,全死亡+再入院,心症候を有意に抑制した。
ClinicalTrials gov. No: NCT00530894
文献
  • [main]
  • コホートA
    Smith CR et al for the PARTNER trial investigators: Transcatheter versus surgical aortic-valve replacement in high-risk patients. N Engl J Med. 2011; 364: 2187-98. PubMed
    コホートA
    Schaff HV: Transcatheter aortic-valve implantation--at what price? N Engl J Med. 2011; 364: 2256-8. PubMed
  • コホートB
    Leon MB et al fort the PARTNER trial investigators: Transcatheter aortic-valve implantation for aortic stenosis in patients who cannot undergo surgery. N Engl J Med. 2010; 363: 1597-607. PubMed
    コホートB
    Lazar HL: Transcatheter aortic valves-where do we go from here? N Engl J Med. 2010; 363: 1667-8. PubMed
  • [substudy]
  • 【コホートA】
    5年後の転帰-手術高リスク例の5年死亡リスクはTAVR群67.8%(vs SAVR群62.4%),中等度~重度大動脈弁逆流はTAVR群が有意に多く死亡リスクが増大。
    5年後の死亡リスクはTAVR群67.8%(経大腿例63%,経心尖アプローチ例79%),SAVR群62.4%(64%, 60%)で両群間に有意差はなかった(ハザード比1.04;95%信頼区間0.86~1.24, p=0.76)。
    中等度~重度大動脈弁逆流例は14%, 1 %でTAVR群のほうが有意に多く(p<0.0001),TAVR群で同例の5年後の死亡リスクが高かった(72.4% vs ≦軽度の大動脈弁逆流例56.6%):Lancet. 2015; 385: 2477-84. PubMed
  • 【コホートB】
    5年後の転帰-手術不適応例の5年死亡リスクはTAVR群(71.8%)のほうが標準治療群(93.6%)より有意に低く,NYHA I~II度が有意に多かった。
    標準治療群のTAVR群へのクロスオーバーは20例,脱落10例のため標準治療群の生存例は5例のみ。
    5年後の死亡リスクはTAVR群71.8%,標準治療群93.6%でTAVR群のほうが有意に低かった(ハザード比0.50;0.39~0.65, p<0.0001)。
    生存例でNYHA心機能分類I~II度だったものは,TAVR群42/49例(86%),標準治療群3/5例(60%)。TAVR群の大動脈弁弁口面積は1.52cm²,平均大動脈弁圧較差10.6mmHg:Lancet. 2015; 385: 2485-91. PubMed
  • 【コホートA,Bの解析】
    TAVR後の死亡時期と死因-経大腿アプローチは手術高リスク例で早期全死亡リスクが,手術不適応例で心血管死リスクがより低い。
    ランダム化後の死亡時期と死因(心血管[CV]死,非CV死,不明)を治療群別に比較した結果(2012年4月25日まで追跡):コホートAの全死亡は275例(20例はランダム化から手技までに死亡)。死亡率はTAVR経心尖アプローチ(TA)群と大動脈弁置換術(AVR)群で早期に最大となり,3~6か月後に低下。経大腿アプローチ(TF)群は早期死亡率が他より低かったが,低下は緩やかで,全群が6か月後には一般住民レベルまで低下した。TF群とAVR群は1~1.5年後に再びやや増加した。TF群はCV死37%,非CV死43%,不明20%,TA群は22%, 41%, 37%,AVR群は33%, 43%, 24%。早期CV死リスクはTF群,早期非CV死リスクはAVR群が最も高かった。
    コホートBの全死亡は237例。TF群の死亡率はコホートA同様緩やかに低下。一方,標準治療群は早期に最大となり,6か月後に低下したが,一貫してTF群,一般住民レベルより高かった(60%/年 vs TF群20%/年)。死因は,TF群がCV死40例,非CV死32例,不明30例,標準治療群が67例,21例,47例。CV死リスクは標準治療群が一貫してTF群より高く,非CV死リスクは早期にTF群でやや上昇したものの,両群でほぼ同様に推移した:J Am Coll Cardiol. 2014; 64: 158-68. PubMed
  • 【コホートA,B,試験終了後に追加したランダム化症例,登録研究の解析】
    遠隔期(≧30日)大出血と予後-発生率6%で,30日~1年後の死亡と強く関連。
    TAVR後の遠隔期(≧30日)大出血(major late bleeding complication: MLBC)の発生率,予測因子,30日~1年後の死亡への影響を検討した結果(30日後の生存例2,401例;追跡期間は1年):MLBC発生は142例(5.9%),発生までの期間は132日(中央値),6か月以内の発生は91例(64.1%)。もっとも多かったのが消化管40.8%,次いでneurological 15.5%,外傷・転倒7.8%。
    MLBC発生例は非発生例にくらべ男性,高血圧,心房細動(AF)が多く,ヘモグロビンと白血球数が低値で,手技関連では26mm弁の使用が多く,成功率が低く,弁塞栓が多かった。また,30日以内の大出血とAFが多かったが,脳卒中,血管合併症には差がなかった。
    多変量解析後,MLBCの予測因子は30日後の中等度~重度の弁周囲逆流,ベースライン・30日後のAF・心房粗動,30日後の左室重量増加,ベースラインヘモグロビン低値であった。
    MLBC発生は30日~1年後の死亡,心臓死,脳卒中,再入院と有意に関連。透析を要する腎不全のリスクも高かった(3.9% vs 1.5%, p=0.02)。MLBCは30日~1年後の死亡の強い予測因子であった(調整ハザード比3.83, p<0.001):J Am Coll Cardiol. 2014; 64: 2605-15. PubMed
  • 【コホートA,登録研究の解析】
    人工弁-患者ミスマッチと転帰-発生率はTAVR群46%,SAVR群60%で,SAVR群では生存率および左室筋重量退縮低下と関連。
    体格にくらべ植込んだ弁が小さい人工弁-患者ミスマッチ(prosthesis-patient mismatch: PPM)の発生率を調査し,左室心筋重量の退縮および死亡への影響を検討した結果(2,211例;追跡期間は2年):心エコーによる有効弁口面積係数>0.85cm²/m²を非PPM,0.65~≦0.85cm²/m²を中等度PPM,<0.65cm²/m²を重症PPMとした。手技後初回エコーでのPPM発生率は,TAVR群(304例;46.4%[重症19.7%,中等度26.6%])がSAVR群(270例;60%[28.1%, 31.9%])より有意に低く,TAVR-登録研究群(1,637例)は43.8%(13.6%, 30.2%)。7日後(47% vs 61%),30日後(42% vs 57%)もTAVR群のほうが低かった。大動脈弁輪径<20mm例での重症PPMもTAVR群が有意に少なかった(19% vs 33.7%)。
    1年後の左室心筋重量の退縮は,TAVR群ではPPM例,非PPM例で差はなかったが,SAVR群ではPPM例のほうが有意に小さかった。非PPM例ではSAVR群の退縮がTAVR群より有意に大きかった。登録研究群ではPPM例で退縮が小さい傾向がみられた。多変量解析後,SAVR群と登録研究群ではPPMは独立して1年後の左室心筋重量退縮の低下と関連したが,TAVR群では関連はみられなかった。
    また,重症PPMはSAVR群で2年後の死亡の独立した予測因子であったが,TAVR群では予測因子ではなかった。登録研究群全例では,重症PPMは1年後の死亡を予測しなかったが,手技後の大動脈弁逆流非発生例では独立して予測した:J Am Coll Cardiol. 2014; 64: 1323-34. PubMed
  • AVR後の転帰不良と関連因子-6か月後の死亡・QOL不良と関連したのは6分間歩行距離,大動脈弁圧較差(AVG)など10因子。
    TAVR後1年でおよそ4例中1例が死亡し,死亡は回避してもQOLが著しく不良なままの例が少なくないことから,コホートA+B+登録研究でTAVRを 施行しQOLを評価した患者において,転帰不良(死亡+QOL)との関連因子を用いて新しい転帰予測モデルを作成し,その予測能を検証した結果 (2,137例[平均年齢84歳・男性53%・AVG 44mmHg];追跡期間は6か月):ランダム分割によりコホートの2/3をモデル作成コホート,1/3を検証コホートとした。QOLはKansas City Cardiomyopathy Questionnaire Overall Summary Scale(KCCQ-OS)により評価。転帰不良は,死亡,QOL不良(KCCQ-OS<45),QOL低下(KCCQ-OSのベースラインからの低下≧10)と定義。6か 月後の転帰不良は704例(33%),うち死亡400例(19%),QOL不良は260例(12%),QOL低下は44例。
    転帰不良と関連した因子は,6分間歩行距離(+10mでリスクは3%低下),高AVG(+10mmHgで18%低下),男性,糖尿病,不整脈,クレアチニ ン,大動脈圧,BMI,酸素依存性肺疾患,Mini-Mental Stateスコアの10因子。これらを用いて作成したモデルの予測能は中等度であった(c統計量0.66;検証コホートで 0.64):Circulation. 2014; 129: 2682-90. PubMed
  • 【コホートA+B,登録研究の解析】
    TAVR後の左脚ブロック-10.5%に発生し,半年~1年後も58%が持続。1年後のおもなCVDとは関連しないものの,永久ペースメーカー植込みが増加し,収縮機能は改善せず。
    TAVR後の新規左脚ブロック(LBBB)の発生率,持続性とその関連因子および予後を検証した結果(PARTNER試験およびその後の登録研究から1,151例[平均年齢84.1歳, STS score 11.1, logistic Euroscore 24.7];追跡期間1年):永久ペースメーカー植込み既往,心室内伝導障害例は除外し,新規LBBB発生は退院時/7日後の心電図で評価した。
    新規LBBBの発生は121例(10.5%)で,30日後も持続したのは57.9%,6か月~1年後は57.8%。LBBBを予測した因子はCABG既往のみであった。
    新規LBBB発生は1年後の死亡,再入院,脳卒中,心筋梗塞とは関連しなかったが,入院中(新規LBBB 発生例8.3% vs 非発生例2.8%)および退院~1年後(4.7% vs 1.5%)の永久ペースメーカー植込みの増加と関連。また,EFはLBBB発生例では改善せず,非発生例で改善した(ベースライン時:54.4% vs 55.4%→1年後:53.4% vs 57.4%)。この差は,ベースライン時にEFが低かった(<35%)症例で最も大きかった:Eur Heart J 2014; 35: 1599-607. PubMed
  • 【コホートA】
    手技後の出血性合併症-SAVR群のほうがTAVR群よりも多く,1年後の死亡率が高かった。
    30日後の大出血合併症(modified Valve Academic Research Consortium定義)とその予測因子,および1年後の死亡との関連を検討した結果(657例):30日以内の大出血は開胸手術(SAVR)群71/313例(22.7%),TAVRの経大腿アプローチ群27/240例(11.3%),経心尖アプローチ群9/104例(8.8%)でSAVR群のほうが有意に多かった(p<0.0001)。
    大出血の独立した予測因子は,TAVRの経大腿アプローチ群では重大な血管合併症と周術期の血行動態サポート,経心尖アプローチ群ではSAVRへの変更が必要な重大な手技関連合併症,SAVR群ではヘモグロビン低値。
    30日後の大出血は1年後の死亡の強い独立した予測因子であった。ただし,出血例の1年後死亡率はSAVR群のほうがTAVR群よりも高く(全例:大出血例38.7% vs 大出血非発生例21.6%,SAVR群:44.2% vs 19.7%,TAVR群:28.1% vs 23.1%),出血と死亡の関係への治療の有意な交互作用が認められた:J Am Coll Cardiol 2014; 63: 1100-9. PubMed
  • 【コホートA】
    糖尿病患者におけるSAVR,TAVR-糖尿病合併例は42%で,TAVR群のほうが1年後の死亡,腎不全が少なく,脳卒中リスクの上昇もなかった。
    糖尿病合併例(275例[42%])における予後を非合併例(382例)と比較した結果:糖尿病例(SAVR群130例[経大腿アプローチ88例,経心尖アプローチ42例],TAVR群145例[103例,42例]),非合併例(183例[133例,50例],199例[137例,62例])。
    糖尿病合併例では,1年後の死亡率はTAVR群がSAVR群にくらべ有意に低く(18.0% vs 27.4%;ハザード比0.60, p=0.04),両アプローチで同様の結果であったが,非合併例では両群間に有意差はみられなかった。また,脳卒中は両群とも3.5% であったが,>30日の透析を要する腎不全はTAVR群のほうが少なかった(0% vs 6.1%, p=0.003):J Am Coll Cardiol 2014; 63: 1090-9. PubMed
  • 【コホートBのサブ解析】
    手術不適応の原因とTAVR-技術的問題のみが原因の不適応例は23%で,合併症が原因の場合よりも2年後の死亡率が低く,QOLが良好。
    手術不適応の臨床的・技術的原因別にTAVR後の長・短期予後を検証した結果(369例;ランダム化比較試験[RCT]から175例,RCT後の登録から194例):技術的な原因による手術不適応例は85例(23%)で,残りの臨床的原因による不適応例より若く,心機能が保たれ,STSスコアおよびlogistic EuroSCOREが低かった。
    技術的原因でもっとも多かったのはporcelain aorta(全周性石灰化を伴った大動脈:42%),胸壁照射(25%),臨床的原因は複数の合併症(48%:高STSスコアの高齢者,肺疾患,脳血管疾患,CABG既往など),衰弱(frailty:31%)。
    手技後の入院期間が技術的原因例のほうが短かった(5.34日 vs 5.86日,p=0.04)ことを除き,臨床的原因例との周術期,30日後の転帰の違いはみられなかった。2年後の死亡率は技術的原因例のほうが臨床的原因例よりも有意に低かったが(23.3% vs 43.8%),いずれも標準治療群(67.4%)にくらべると有意に低かった。技術的原因例では1年後のQOLも大きく改善した:JACC 2014; 63: 901-11. PubMed
  • 【コホートAのサブ解析】
    TAVR,外科的大動脈弁置換術と性差-女性(85歳)はTAVR群,特に経大腿アプローチ例の2年死亡率が低い。
    経カテーテル的大動脈弁置換術(TAVR),外科的大動脈弁置換術(SAVR)後2年間の転帰における性差を後ろ向きに解析した結果(699例;女性300例[TAVR群84.5歳,SAVR群85.3歳]):ベースライン時,女性は男性より冠動脈疾患・CABG・末梢血管疾患・糖尿病既往,クレアチニン高値例が少なかった。
    女性ではTAVR群でSAVR群にくらべ30日後/入院中の脳卒中発症率が高かったものの(5.4% vs 0.7%, p=0.02),死亡は同群が低い傾向で(6.8% vs 13.1%, p=0.07),この差は6か月後(12.2% vs 25.8%, p<0.001),2年後(28.2% vs 38.2%, p=0.049)も持続した。長期死亡率の差は経大腿アプローチ例(女性39.3%)で顕著で(23.4% vs 36.9%, p=0.02),経心尖アプローチ例(49%)では差はみられなかった。
    一方,男性では30日後/入院中の死亡率はTAVR例のほうが低かったが(6.0% vs 12.1%, p=0.03),追跡期間全体では差はなかった:J Am Coll Cardial. 2014; 63: 1522-8. PubMed
  • 【コホートA+B+登録研究の解析】
    慢性肺疾患合併とTAVR-非合併例より転帰は不良ながら,TAVRは標準治療より優れ,大動脈弁置換術と同等。
    TAVRを施行した慢性肺疾患(CLD)合併患者における転帰をCLDの重症度に従い評価,さらにコホートA,Bでの転帰を比較した結果(追跡期間は2年):ランダム化比較試験(コホートA,B)とは別に,登録は継続。解析時の2,533例中,CLD合併患者は1,108例。うち,コホートA,BのCLD例は454例:コホートA;TAVR群149例,開胸大動脈弁置換術[SAVR]群138例,コホートB;TAVR群72例,標準治療95例。いずれのコホートもベースライン時の患者背景にCLDの有無による違いはなかった。
    コホートB のCLD合併例の全死亡率:TAVR群 vs 標準治療群;30日後12.5% vs 2.1%→1年後37.5% vs 52.2%→2年後52.0% vs 69.6%(p=0.04)。
    コホートAのCLD合併例の2年後死亡率:TAVR群35.2% vs SAVR群33.6%(p=0.92)。
    [コホートA+B+登録のTAVR施行例]CLD合併例は非合併例より若く,STSスコア,肺動脈圧が高く,NYHA IV度,末梢血管疾患,脳血管疾患が多く,永続性ペースメーカーの植込みが少なかった。1年後の死亡率(23.4% vs 19.6%, p=0.02),死亡+再入院(34.8% vs 30.8%, p=0.02)はCLD合併例のほうが非合併例より有意に高かった。CLD合併例の1年後の死亡の独立した予測因子は,6分間歩行距離<50m,酸素依存性であった:J Am Coll Cardiol. 2014; 63: 269-79. PubMed
  • 【コホートAのサブ解析】
    手技前の僧帽弁逆流(MR)と転帰-30日後のMRは両群で改善するも,2年後の死亡リスクが標準治療群のMR重症度が高い例で上昇。一方,TAVR群では上昇せず。
    [コホートA:TAVR群331例,標準治療:外科的大動脈弁置換術(SAVR)群299例]ベースライン時の中等度~重度のMRが転帰に及ぼす影響を検討した結果(追跡期間は2年): MR例は,TAVR群65例(19.6%),SAVR群63例(21.2%)。
    30日後のMR改善例:TAVR群30例(57.7%)vs SAVR群25例(69.4%),不変例:36.5% vs 27.8%,悪化例:5.8% vs 2.8%で,いずれも両群間に有意差はなかった。
    2年後の死亡率:TAVR群ではベースライン時のMRの重症度と死亡率に関連はみられなかったが(中等度~重度MR例37.0% vs軽度以下のMR例32.7%:調整ハザード比1.14;95%信頼区間0.72~1.78, p=0.58),SAVR群では中等度~重度のMR例のほうが有意に高かった(49.1% vs 27.9%:1.96;1.26~3.06, p<0.01);MRの重症度と両治療の2年後の死亡への影響に有意差はなかったものの交互作用がみられた(p=0.05 for interaction):Circulation. 2013; 128: 2776-84. PubMed
  • 緊急valve-in-valve,弁塞栓症の予測因子と転帰-TAVRの重篤な続発症で発生率はvalve-in-valve 2.5%,塞栓症 1%。1年後の死亡リスクが増大するが,技術的に回避可能。
    不適切な弁留置位置(malpositioning)による経カテーテル的大動脈弁留置術(TAVR)の不成功は,1つ目の弁の中に2つ目の人工弁を経カテーテル的に挿入するバルブインバルブ(valve-in-valve:TV-in-TV)の施行や弁塞栓症(TVE)を伴うが,これらの合併症に関する報告は限定的である。
    PARTNER試験コホートA+Bと同試験に付随する登録研究の連続症例2,554例において,緊急TV-in-TV,TVEの関連因子および転帰をこれら合併症の有無別に検証した結果:TV-in-TV施行例は63例(2.47%),TVE発生例は26例(1.01%)。
    TV-in-TV施行理由の61例(96.8%)は重大な大動脈弁逆流で,その主な理由は malpositioning(25例)の他,弁尖不全(33例)であった。TV-in-TVの独立した予測因子は男性,CABG既往,低EF。心エコー上の大動脈弁機能はTV-in-TV非施行例と同等ながら,TV-in-TVは1年後の心血管死の独立した予測因子で(ハザード比1.86;95%信頼区間1.03~3.38, p=0.041),全死亡は非有意の上昇傾向がみられた(1.43;0.88~2.33, p=0.15)。
    TVE発生例は男性が多く,体表面積が大きかった。TVEのほとんどが技術的,解剖学的な原因によるもので,16例(61.5%)に複数の弁を植込んだ。多変量解析の結果,TVEは1年後の全死亡の独立した予測因子(2.68;1.34~5.36, p=0.0055)であったが,心血管死との有意な関係はなかった(1.30;0.48~3.52, p=0.60)。
    TV-in-TV,TVEはTAVRの重大な合併症であるが,多くが技術的,解剖学的な理由によるもののため適切な手技計画により予防できると考えられる:J Am Coll Cardiol 2013; 62: 418-30. PubMed
  • 【コホートA+コホートBのサブ解析】
    経大腿アプローチによるTAVR後の重度血管合併症は15%で,死亡リスク上昇と関連。
    経大腿アプローチ例419例(コホートA:242例,コホートB:177例)での血管合併症(VC)の結果:第1世代デバイス使用による22-F,24-Fシースを用いて実施された。
    30日以内の重度なVCは64例(15.3%),軽度なVCは50例(11.9%)。重大なVCで最も多かったのが,血管解離(62.8%),穿孔(31.3%),アクセス部位の血腫(22.9%)。重度VCは30日後の死亡率,大出血,輸血,透析が必要な腎機能不全発症率が,また1年後の死亡率が有意に高かったが,軽度のVCでの有意な上昇はみられなかった。
    重度VCの有意な唯一の予測因子は女性(ハザード比2.31;95%信頼区間1.08~4.98, p=0.03)。1年後の死亡を独立して予測したのは,重度VC,ベースライン時の腎疾患:J Am Coll Cardiol. 2012; 60: 1043-52. PubMed
  • 【コホートAのサブ解析】
    TAVRでの性差:生存率は短期,長期とも女性のほうが良好。
    カナダコホート(641例;女性329例[平均年齢83歳],男性312例[82歳])での結果:バルーン拡張型人工心臓弁使用が97%。
    女性のほうが,経心尖アプローチ例(51.7% vs 38.1%),主要血管合併症(12.4% vs 5.4%, p=0.003),大・生命を脅かす出血(21.6% vs 15.8%, p=0.08)が多く,ベースライン時の大動脈弁圧較差が高く,腎機能不良ながら,左室収縮機能は良好であった。一方,男性はより合併症(心筋梗塞・血行再建術既往,慢性閉塞肺疾患)が多かった。
    調整後の男性とくらべた女性の30日後全死亡のオッズ比は0.39;95%信頼区間0.19~0.80(p=0.01)で,この女性でのベネフィットは2年後も持続していた(ハザード比0.60;0.41~0.88, p=0.008):J Am Coll Cardiol. 2012; 60: 882-6.。 PubMed
  • 【コホートAのサブ解析】
    2年後の死亡,脳卒中,症状改善,弁の血行動態はTAVR群と開胸手術群で同等。ただし弁周囲逆流はTAVR群に多く,遠隔期の死亡と有意に関連。
    高リスクの重度大動脈弁狭窄症患者における長期(2年以上;中央値727日)転帰:2年後の全死亡率はTAVR群と開胸手術群で同等(33.9% vs 35.0%;ハザード比0.90;95%信頼区間0.71~1.15, p=0.41)。心血管死も両群で同等(21.4% vs 20.5%, p=0.80)。脳卒中発生率は30日後の時点ではTAVR群に多い傾向であったが(4.6% vs. 2.4%, p=0.12),その後TAVR群8例,開胸手術群12例に発生し,全期間(3年)では有意差を認めなかった(1.22;0.67~2.23, p=0.52)。生存例における2年後の平均NYHA心機能分類も両群で同等(1.72 vs 1.70, p=0.87)。
    弁口面積の改善は両群で同等で,2年後も持続した。弁周囲逆流はTAVR群に多く(6.9% vs 0.9%, p<0.001),軽度の弁逆流であっても遠隔期死亡の増加と関連した(p<0.001):N Engl J Med. 2012; 366: 1686-95. PubMed
  • 【コホートBのサブ解析】
    TAVRは1年後に認められた死亡および再入院の抑制,症状および弁の血行動態の改善を2年後も維持。
    手術不適応の重度大動脈弁狭窄症患者の長期転帰(2年):2年後の全死亡率はTAVI群で有意に低く(43.3% vs 68.0%, p<0.001),この効果は1年後以降も持続していた(2年目:18.2% vs 35.1%,ハザード比0.58;95%信頼区間0.36~0.92, p=0.02)。心臓死も同様の結果であった(2年後:31.0% vs 62.4%, p<0.001;2年目:13.2% vs 32.1%;0.48;0.29~0.81;p=0.004)。脳卒中発生率はTAVI群が高かったが(13.8% vs 5.5%, p=0.01),これは術後30日までの脳梗塞(6.7% vs 1.7%, p=0.02)と30日以降の脳出血(2.2% vs 0.6%, p=0.16)によるものであった。2年後の再入院率は標準治療群のほうが高かった(35.0% vs 72.5%, p<0.001)。2年後の生存例における心機能の改善はTAVR群のほうが良好であった(NYHA心機能分類I/II:83.1% vs 42.5%, p<0.001)。TAVRの死亡抑制は合併症のない患者ほど有効である可能性が示された。
    弁口面積の増加と大動脈弁圧較差の低下も持続的に認められ,弁周囲逆流の悪化はみられなかった:N Engl J Med. 2012; 366: 1696-704. PubMed
  • 【コホートBのサブ解析】
    手術不適応の重度大動脈弁狭窄患者におけるTAVRの費用対効果-質調整生存年1.3年延長,増分費用は約8万ドル。
    手術不適応の重症大動脈弁狭窄患者において,TAVRの費用対効果を検討した結果:TAVR群の平均入院日数は10.1日(手技後8.6日)で,初期の平均手技費用は$42,806,医師報酬を含む総入院費は$78,542。12か月の追跡期間中の医療費は,入院回数が標準治療群の2.2回/患者からTAVR群の1.0回/患者に減少したことによりTAVR群のほうが低くなったが($29,289 vs $53,621),初期費用も加えた1年間の累積医療費はTAVR群のほうが高かった($106,076 vs $53,621;すべてp<0.001)。TAVRは平均余命を1.6年(質調整生存年[QALY]で1.3年)延長し,増分費用は$79,837であったことから,増分費用対効果比は$50,212/獲得生存年,$61,889/QALYとなった:Circulation. 2012; 125: 1102-9. PubMed
  • 【コホートBのサブ解析】
    手術不適応の重度大動脈弁狭窄患者において,TAVRは標準治療より手技後1年間の健康関連QOLを有意に改善。
    手術不適応例において1,6,12か月後の健康関連QOLを評価した結果:Kansas City Cardiomyopathy Questionnaire(KCCQ)の総スコア(0~100,スコアが高いほど良好)は,両群ともにベースライン(TAVR群36.2,標準治療群34.4;p=0.44)から改善したが,改善度はTAVI群のほうが有意に大きかった(TAVI群:1か月後61.6→6か月後70.7→12か月後69.4,標準治療群:49.2→50.5→47.0;群間差13.3→20.8→26.0[すべてp<0.001])。12-item short form(SF-12)General Health Surveyの身体的健康スコアも同様に全時点でTAVI群が良好であった(群間差:4.5→5.5→5.7[すべてp<0.001])。SF-12の精神的健康については,1か月後は有意差を認めなかったが,6か月後以降はTAVR群が良好であった(0.6→3.2[p=0.003]→6.4[p<0.001]):Circulation. 2011; 124: 1964-72. PubMed

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収載年月2011.01
更新年月2015.04