循環器トライアルデータベース

DAPC
Diabetic Atherosclerosis Prevention by Cilostazol

目的 日本を含むアジアの2型糖尿病患者において,アテローム性動脈硬化の進展抑制効果を2種類の抗血小板薬aspirinとホスホジエステラーゼ阻害薬であるcilostazolとで比較する。
一次エンドポイントは左右の総頸動脈の最大内膜-中膜肥厚(CCA-maximumおよびmean IMT)の変化。
コメント エンドポイントがIMTというサロゲートエンドポイントである,ランダム化されているが二重盲検されていないのでプラセボ効果がありえる,などの欠点をかかえているが,試みた仮説はchallengingである。過去にCREST試験(Circulation. 2005 ;112: 2826-32. PubMed)で示されたcilostazolの血管狭窄進展抑制効果と大きく矛盾しない結果であった。(後藤
デザイン PROBE(prospective, randomized, open, blinded-endpoint),多施設(4か国20施設:日本[13施設],韓国[5施設],中国[1施設],フィリピン[1施設])。
期間 追跡期間は2年。
実施期間は2004年11月~’08年8月。
対象患者 297例(日本168例,韓国91例,中国29例,フィリピン9例)。40~85歳の2型糖尿病患者で,末梢血管疾患(PAD)が疑われる*もの,PADの症状を有するもの。
* 足関節-上腕血圧比(ABI)<1.0,両方の頸動脈の拍動が弱い,あるいは膝窩動脈または足背動脈の片側の拍動が弱い症例。
除外基準:1型糖尿病あるいは二次性糖尿病;Fontaine分類≧IIbの重症PAD;Modified Rankin Scale≧4の脳血管障害;狭心症あるいは心筋梗塞の既往例;重篤な肝機能障害あるいは腎機能障害(クレアチニン≧1.5mg/dL);うっ血性心不全;出血傾向あるいは出血例など。
■患者背景(日本:cilostazol群82例,aspirin群86例,韓国:45例,46例,中国:15例,14例,フィリピン:3例,6例)
平均年齢(cilostazol群64.2歳,aspirin群62.9歳),男性/女性(81/64例,74/78例),糖尿病罹病期間(13.3年,12.2年),BMI(24.3kg/m², 24.7kg/m²),喫煙:喫煙歴(32%, 29%);喫煙中(14%, 17%),HbA1c(両群とも7.2%),総コレステロール(193mg/dL, 187mg/dL),HDL-C(51mg/dL, 48mg/dL),トリグリセライド(133mg/dL, 143mg/dL),LDL-C(117mg/dL, 111mg/dL),血圧(131/73mmHg, 131/76mmHg),ABI:右(両群とも1.05);左(1.03, 1.06),脳血管疾患既往(12%, 11%);一過性脳虚血発作(両群とも4%);脳梗塞(両群とも7%)。
治療状況:血糖低下薬:経口(76%, 78%);インスリン(24%, 29%);食事療法のみ(11%, 7%),降圧薬(56%, 54%),高コレステロール治療薬(30%, 40%);スタチン系薬剤(26%, 36%)。
治療法 すでに抗血小板薬を投与していたものは,wash-out期間を設けず試験薬に変更した。
cilostazol群(145例):100~200mg/日。200mg/日を推奨したが,年齢,腎機能,その他の症状を考慮し漸増投与とした。
aspirin群(152例):81~100mg/日。両群とも治療期間は2年。
試験期間中,次の薬剤は投与不可:sarpogrelate, hydrochloride, ticlopidine hydrochloride, dipyridamole, beraprost sodium, limaprost alfadex, warfarin potassium。
結果 [一次エンドポイント:CCA-maximum IMT,CCA-mean IMT]
最大IMT,平均IMTともにcilostazol群のほうが有意に進展を抑制した。
・左CCA-maximum IMT
cilostazol群(vs aspirin群):ベースライン時1.237mm(vs 1.080mm)→ 1年後1.148mm*(vs 1.088mm);平均変化-0.059mm(vs 0.001mm)→ 2年後1.134mm**(vs 1.128mm*);平均変化-0.088mm(vs 0.059mm)。
両群を比較すると,2年後の左CCA-maximum IMTの進展抑制効果はcilostazol群のほうが有意に大きかった(p<0.001)。
・左CCA-mean IMT
cilostazol群(vs aspirin群):ベースライン時0.939mm(vs 0.876mm)→ 1年後0.896mm(vs 0.858mm);平均変化-0.017mm(vs -0.022mm)→ 2年後0.887mm*(vs 0.892mm);平均変化-0.043mm(vs 0.028mm)。
両群を比較すると,2年後の左CCA-mean IMTの進展抑制効果はcilostazol群のほうが有意に大きかった(p=0.004)。
・右CCA-maximum IMT
cilostazol群(vs aspirin群):ベースライン時1.094mm(vs 1.053mm)→ 1年後1.053mm(vs 1.056mm);平均変化-0.048mm(vs -0.008mm)→ 2年後1.042mm(vs 1.087mm*);平均変化-0.042mm(vs 0.045mm)。
両群を比較すると,2年後の右CCA-maximum IMTの進展抑制効果はcilostazol群のほうが有意に大きかった(p=0.003)。
・右CCA-mean IMT
cilostazol群(vs aspirin群):ベースライン時0.839mm(vs 0.826mm)→ 1年後0.810mm(vs 0.840mm);平均変化-0.028mm(vs 0.005mm)→ 2年後0.816mm(vs 0.866mm;p<0.01 vs ベースライン時);平均変化-0.024mm(vs 0.048mm)。
両群を比較すると,2年後の右CCA-mean IMTの進展抑制効果はcilostazol群のほうが有意に大きかった(p<0.001)。
脂質値,HbA1cなどで調整後も,cilostazol群のaspirin群に対する総頸動脈IMT抑制効果は有意であった。
* p<0.05 vs ベースライン時,** p<0.001 vs ベースライン時
[二次エンドポイント:主要心血管イベント]
両群間に有意差はなかった:cilostazol群4例,aspirin群3例。
[安全性]
死亡:cilostazol群0例,aspirin群2例,重篤な有害イベントによる試験中止例:5例,4例。
★2型糖尿病患者において,cilostazolは心血管イベントのサロゲートマーカーである総頸動脈内膜-中膜肥厚の進展をaspirinより抑制した。
UMIN臨床試験ID: C000000215
文献
  • [main]
  • Katakami N et al: The phosphodiesterase inhibitor cilostazol induces regression of carotid atherosclerosis in subjects with type 2 diabetes mellitus: principal results of the diabetic atherosclerosis prevention by cilostazol (DAPC) study: a randomized trial. Circulation. 2010; 121: 2584-91. PubMed

▲pagetop
EBM 「循環器トライアルデータベース®」
ライフサイエンス出版
ご不明の点はお問い合わせください
収載年月2010.08