循環器トライアルデータベース

PLATO
Platelet Inhibition and Patient Outcomes

目的 現在,急性冠症候群(ACS)への標準的治療として,aspirinとclopidogrelの併用による抗血小板療法が行われている。clopidogrelは体内での代謝で活性化されるプロドラッグであるため,有効性に一貫性がなく,また出血リスクなどの問題もある。
ticagrelorはclopidogrelと同様にP2Y12に拮抗する薬剤であるが,体内での代謝を要さない直接的拮抗薬であり,その拮抗作用はclopidogrelより一貫している。ticagrelorの用量決定試験では,90mg,180mgの1日2回投与の出血リスクは,clopidogrel 75mg/日と有意差がないことが示された。
ACSにおいて,ticagrelorの血管イベントと死亡の抑制効果がclopidogrelよりも優れているかを検証する。

一次エンドポイントは血管死,心筋梗塞(MI),脳卒中の複合エンドポイント発生までの時間。
安全性の一次エンドポイントは大出血。
コメント N Engl J Med. 2009; 361: 1045-57. へのコメント
チエノピリジンとは異なる新たなP2Y12受容体拮抗薬である。プロドラッグでないため現在のclopidogrel抵抗性などのノイズを沈静化するのに役立つ重要な試験であった。本薬は服用時呼吸困難感が起こることが急性心筋梗塞の心不全合併例などでは使い難い可能性がある。また,医薬品消費市場としては世界2位のわが国が本試験に参加していない。日本人と欧米人では出血/血栓リスクが異なる可能性があるため,本試験に参加しても日本での認可承認には関与しない可能性は理解できる。しかし,世界が新薬の有効性・安全性を科学的に評価しようとのチャレンジをするときに,日本のみが部外者であってよいのか?という疑問を残す試験であった。(後藤
デザイン 無作為割付け,二重盲検,多施設(43か国862施設: 日本は参加していない)。intention-to-treat解析。
期間 追跡期間は1年。
登録期間は2006年10月~2008年7月。
対象患者 18,624例。非ST上昇型ACSで発症後24時間以内に入院した患者のうち,次のうち2つ以上を有するもの:(1) 心電図上で虚血を示すSTの変化,(2) 心筋壊死を示すバイオマーカー陽性,(3) 1つ以上のリスク因子(≧60歳; 心筋梗塞既往またはCABG施行; 少なくとも2つの血管に50%以上の狭窄を認める冠動脈疾患; 脳梗塞/一過性脳虚血発作の既往; 50%以上の頸動脈狭窄または脳血管血行再建術; 糖尿病; 末梢動脈障害: 慢性腎機能障害(クレアチニン・クリアランス<60mL/分/1.73m²)。ST上昇型ACSの場合,隣接する複数の誘導で0.1mV以上の持続性ST上昇または新規の左脚ブロックで,かつPCI施行予定の症例は登録。
除外基準: clopidogrelへの禁忌; 24時間以内に血栓溶解療法実施,経口抗凝固薬を要する; 徐脈リスクが高い; シトクロムp450 3Aの強力な阻害薬または誘導薬を要する。
■患者背景:年齢中央値(ticagrelor群62.0歳,clopidogrel群62.0歳),女性(28.4%, 28.3%),BMI(27kg/m²[範囲13~68],27kg/m²[範囲13~70]),白人/黒人/アジア人/その他(91.8%/1.2%/5.8%/1.2%, 91.6%/1.2%/6.0%/1.2%),喫煙(36.0%, 35.7%),高血圧(65.8%, 65.1%),脂質異常症(46.6%, 46.7%),糖尿病(24.9%, 25.1%),心筋梗塞既往(20.4%, 20.7%),PCI施行(13.6%, 13.1%),CABG施行(5.7%, 6.2%),うっ血性心不全(5.5%, 5.8%),非出血性脳卒中(3.8%, 4.0%),末梢動脈疾患(6.1%, 6.2%),慢性腎疾患(4.1%, 4.4%),呼吸困難の既往(15.1%, 14.6%),COPD(5.9%, 5.7%),喘息(2.9%, 2.9%),痛風(2.9%, 2.8%),持続性ST上昇(37.5%, 37.8%),ST下降(50.7%, 51.2%),T波逆転(31.8%, 32.0%),最終診断: ST上昇型心筋梗塞(37.5%, 38.0%),非ST上昇型心筋梗塞(42.9%, 42.5%),不安定狭心症(16.6%, 16.8%),その他(3.0%, 2.7%),Killip分類>2(0.7%, 1.2%),TIMIリスクスコア≧3(45.3%, 44.0%),トロポニンI陽性(79.5%, 80.8%),ST下降>0.1mV(56.6%, 57.7%),TIMIリスクスコア≧5(20.0%, 21.2%)。
治療法 ticagrelor群(9,333例):180mgで投与開始後,90mg×2回/日を投与(PCI前にはローディングドーズ90mgの追加を許可)。
clopidogrel群(9,291例): ランダム化前の5日間にclopidogrelを投与されなかった患者には,clopidogrel 300mgで投与開始後,75mg/日を継続投与(PCI施行前にはローディングドーズ300mgの追加を許可)。clopidogrelをすでに投与されていた患者には,clopidogrel 75mg/日を継続投与。
ランダム化後PCIを施行する患者では,PCI施行前に試験薬の用量調節を下記の要領で実施; ランダム化後24時間以降にPCIを行う場合,ticagrelor群は90mg追加,clopidogrel群は300mg追加; CABG施行の場合,ticagrelor群は24~72時間の中断を推奨,clopidogrel群は5日間の中断を推奨。
両群ともに忍容性があればaspirin 75~100mg/日を投与。aspirin非服用例にはaspirin 325mgのローディングドーズを推奨。ステント留置後6か月間はaspirin 325mg/日を許可。
結果 治療遵守率(中央値)は82.8%,試験薬投与期間中央値は277日。
試験薬投与早期中止率は,ticagrelor群23.4%,clopidogrel群21.5%。
[一次エンドポイント:血管死,MI,脳卒中の複合エンドポイント]
1年後における累積発生率は,ticagrelor群(9.8%)はclopidogrel群(11.7%)にくらべ有意に低かった(ハザード比[HR]0.84;95%信頼区間0.77~0.92, p<0.001)。
[安全性の一次エンドポイント]
大出血の発生に有意な群間差はなかった(11.6% vs 11.2%, HR 1.04;0.95~1.13, p=0.43)。なお,TIMI分類における大出血発生率,致死性あるいは生命を脅かす出血,CABGに関連する大出血や輸血を要する出血にも有意な群間差はなかった。ただし,CABGに関連しない大出血発生率はticagrelor群のほうが有意に高かった。
[二次エンドポイント:全死亡,MI,脳卒中の複合のほか,血管死,心筋梗塞,脳卒中,重篤な再虚血,再虚血,一過性脳虚血発作(TIA),その他の血管血栓イベント複合の発生,MI,心血管死,脳卒中,全死亡]
全死亡,MI,脳卒中の複合エンドポイントの発生率は,ticagrelor群(10.2%)はclopidogrel群(12.3%)に比べ有意に低く(HR 0.84;0.77~0.92, p<0.001),血管死,MI,脳卒中,重篤な再虚血,再虚血,TIA,その他の動脈血栓イベント複合の発生率もticagrelor群(14.6%)はclopidogrel群(16.7%)より有意に低かった(HR 0.88;0.81~0.95, p<0.001)。MI発症率(5.8%vs 6.9%, p=0.005),心血管死(4.0%vs 5.1%, p=0.001),全死亡(4.5% vs 5.9%, p<0.001)もticagrelor群のほうが有意に低かった。脳卒中発症率には有意な群間差はなく,出血性脳卒中発症率については有意差はないものの,ticagrelor群のほうがclopidogrel群より高かった(0.2% vs 0.1%, p=0.10)。
[有害イベント]
ticagrelor群でもっとも頻度の高かった有害イベントは呼吸困難であり,clopidogrel群にくらべ有意に多かった(13.8% vs 7.8%, p<0.001)。呼吸困難による試験薬投与中止も,ticagrelor群はclopidogrel群より有意に多かった(0.9% vs 0.1%, p<0.001)。最初の週におけるventricular pause(心休止)はticagrelor群のほうがclopidogrel群より多かったが,30日後,有意差は消失した。失神やペースメーカ植え込みの発生率には群間差なし。
有害イベントによる試験薬投与中止例は,ticagrelor群はclopidogrel群より有意に多かった(7.4% vs 6.0%, p<0.001)。
★結論★ST上昇型/非ST上昇型ACS患者において,ticagrelorはclopidogrelにくらべ,大出血リスクを上昇させることなく,血管死,心筋梗塞,脳卒中の複合エンドポイントを有意に抑制した。
ClinicalTrials.gov No NCT00391872
文献
  • [main]
  • Wallentin L et al for the PLATO Investigators: Ticagrelor versus clopidogrel in patients with acute coronary syndromes. N Engl J Med. 2009; 361: 1045-57. PubMed
    Schömig A: Ticagrelor -- Is there need for a new player in the antiplatelet-therapy field? N Engl J Med. 2009; 36: 1108-11. PubMed
  • [substudy]
  • ticagrelorと転帰における性差-女性は有害転帰の独立した危険因子ではなく,ticagrelor群の有効性,安全性に性差はなかった。
    ticagrelor群,clopidogrel群の転帰における性差を検討した結果(事前に計画された解析):女性は5,288/18,624例(28.4%)で,≧75歳(23.7% vs 12.2%),脂質異常症(48.2% vs 46.1%),高血圧(76.8% vs 61.0%)が男性より多かった。
    12か月後の有効性(一次エンドポイント:血管死,心筋梗塞,脳卒中の複合エンドポイント)は,女性12.2%,男性10.2%で有意差はなく,全死亡,ステント血栓症においても女性での有意なリスク上昇はなかった。
    安全性(CABG非関連のPLATO定義による大出血)にも有意な性差はみられなかったが,CABG関連大出血は女性のほうが少なかった(調整ハザード比0.57;95%信頼区間0.49~0.67)。
    有効性,安全性のいずれも,治療群と性差に有意な交互作用は認められなかった:Eur Heart J. 2014; 35: 1541-50. PubMed
  • ticagrelorとステント血栓症-clopidogrelよりも発生率が低い。
    ステント植込み例(11,289例[61%])において,ticagrelor群とclopidogrel群のステント血栓症の発生率を比較した結果(追跡期間中央値11.8か月):definiteステント血栓症(ARC定義による)の発生率はticagrelor群がclopidogrel群にくらべ有意に低かった(1.37% vs 1.93%:ハザード比0.67;95%信頼区間0.50~0.90;p=0.009)。definite/ probable(2.21% vs 2.87%;0.75;0.59~0.95, p=0.017),definite/ probable/ possible(2.94% vs 3.77%;0.77;0.62~0.95, p=0.013)ステント血栓症の結果も同様だった。
    サブグループ解析(ST上昇の有無,糖尿病,ステント[ベアメタル/薬剤溶出性],CYP2C19機能喪失型変異,aspirinのローディング用量,ランダム化前のclopidogrel投与量,ランダム化時のGP IIb/IIIa阻害薬使用など)の結果も変わらなかった。また,ticagrelorによるdefiniteステント血栓症リスクの低下は,急性期(<24時間:0.94;0.43~2.05)よりも遠隔期(>30日:0.48;0.24~0.96),亜急性期(24時間~30日後:0.60;0.39~0.93)のほうが大きく,コンプライアンス良好例(試験薬を全時間の≧80%服用)のほうが不良例よりも大きかった。ticagrelor群への割付けは,definiteステント血栓症リスク低下の独立した強力な予測因子であった(0.65;0.48~0.88):Circulation. 2013 ;128: 1055-65. PubMed
  • ticagrelorと総イベント-初発・再発イベントはclopidogrel群よりも低下。
    一次エンドポイント発生後の再発・続発イベントを含む総イベントを検証した結果:ticagrelor群189例 vs clopidogrel群205例(p=0.40)。ticagrelor群の再発・続発イベント/死亡に対するハザード比は0.80,NNTは54。
    一次エンドポイント発生例のうち1イベントのみの発生例は1,570例,318例は複数回発生した。複数回発生した症例はより高齢で,糖尿病,心筋梗塞(MI)・CABG既往,腎機能障害,高血圧が多く,男性がより少なかった。またST上昇型MI(STEMI)例では再発・続発イベント発生が少なく,一方で非STEMI例はイベント複数回発生例が多い傾向にあった(p<0.001)。
    心血管死,死亡,MI,脳卒中,(重症)虚血再発,一過性脳虚血発作,動脈血栓性イベントの総イベント数はticagrelor群のほうが少なかった(2,030 vs 2,290イベント:率比0.88;95%信頼区間0.82~0.95, p<0.001)。また再発も同群で少なく(740 vs 834イベント, p=0.01),再発・続発イベント/死亡に対するハザードは有意に低下した(0.83;0.75~0.91, p<0.001)。
    大出血,CABGに関連しないTIMI大出血の再発は少なく,有意な群間差もなかった:Circulation 2013; 127: 673-80. PubMed
  • PPIによる心血管イベントリスク増大はclopidogrel群のみならずticagrelor群でもみられた。
    プロトンポンプ阻害薬(PPI)投与例(6,539例)と1年後の一次エンドポイントとの関連(vs 非投与例[12,060例]):clopidogrel+PPI群13.0% vs PPI非投与群10.9%(ハザード比1.20;95%信頼区間1.04~1.38),ticagrelor+PPI群11.0% vs PPI非投与群9.2%(1.24;1.07~1.45)。
    PPI群とPPI以外の消化器疾患治療群の一次エンドポイント発生に有意差はなかった:clopidogrel群(0.98;0.79~1.23),ticagrelor群(0.89;0.73~1.10)が,PPI例はgastric treatmentを受けていない例に比べ有意にリスクが高かった:Circulation. 2012; 125: 978-86. PubMed
  • ACS急性期にticagrelor群で多くみられた心休止は徐脈性イベント増加と関連せず。
    2,908例(ticagrelor群1,472例,clopidogrel群1,436例)において,7日連続心電図(cECG)の解析により,3秒以上持続するventricular pause(心休止)の発生率を群比較した結果(PLATO cECGサブスタディ):cECG評価例は,ランダム化後1週間(ランダム化時)2,866例(98.5%),1か月後1,991例(68.4%),両時点1,949例(67.0%)。心休止発生率は,ランダム化時はticagrelor群のほうが有意に高かったが(84例[5.8%]vs 51例[3.6%]:相対リスク1.61;95%信頼区間1.14~2.26, p=0.006),1か月後には全体的に減少し,両群同等となった(2.1% vs 1.7%)。心休止の多くは無症候性,洞房結節起源(66%)で,夜間に発生していた。ticagrelor群でその後の徐脈性有害事象(失神,ペースメーカー植込み,心停止など)の増加は認められなかった:J Am Coll Cardiol. 2011; 57: 1908-16.。 PubMed
  • 非侵襲性治療のACSでもticagrelorはclopidogrelよりも有効。
    ランダム化時に非侵襲性治療を予定されていた5,216例(ticagrelor群2,601例,clopidogrel群2,615例)の結果:初回入院時に冠動脈造影を実施したのは2,183例(41.9%),1,065例(20.4%)がPCI,208例(4.0%)がCABGを施行し,非侵襲性治療で追跡を終了したのは3,143例(60.3%)。
    一次エンドポイントはticagrelor群295例(12.0%) vs clopidogrel群346例(14.3%):ハザード比0.85;95%信頼区間0.73~1.00(p=0.04)。全死亡は6.1% vs 8.2%:0.75;0.61~0.93(p=0.01)。大出血は11.9% vs 10.3%:1.17;0.98~1.39(p=0.08),CABG非関連大出血は4.0% vs 3.1%:1.30;0.95~1.77(p=0.10)は,ticagrelor群のほうが多かった:BMJ. 2011; 342: d3527. PubMed
  • CABG施行例においても,ticagrelorはclopidogrelに比べてCABG関連出血リスクを増大することなく死亡を抑制。
    CABG施行例は1,899例(10.2%),このうち試験薬の休薬後7日以内にCABGを施行した1,261例(6.8%)の解析結果:本試験の結果と同様にticagrelor群(10.6%)がclopidogrel群(13.1%)より一次エンドポイントを抑制した(ハザード比0.84;95%信頼区間0.60~1.16, p=0.29)。心血管死はticagrelor群4.1% vs clopidogrel群7.9%(0.52;0.32~0.85, p<0.01),全死亡は4.7% vs 9.7%(0.49;0.32~0.77, p<0.01),非心血管死0.7% vs 2.0%(0.35;0.11~1.11, p=0.07)。CABG関連大出血には有意な群間差は認められなかった(81.3% vs 80.1%, 1.01, 0.90~1.15, p=0.84):J Am Coll Cardiol. 2011; 57: 672-84. PubMed
  • ACS患者におけるticagrelorの有効性は,糖尿病や血糖コントロールの影響を受けず。
    糖尿病例4,662例(25%。うちインスリン治療例は1,036例),非糖尿病例13,951例における解析結果:糖尿病例は非糖尿病例に比べて高血圧および脂質異常症合併例,心血管疾患既往例が多かった。また,試験中の侵襲的治療予定例,冠動脈造影施行例,PCI例は少なかったが,CABG例は多く,退院時ST上昇型心筋梗塞診断例が少なかった(すべてp<0.0001)。
    多変量調整後,糖尿病は一次エンドポイント,全死亡,大出血のリスクと有意に関連した。糖尿病例においてticagrelorは本試験と同様に,一次エンドポイント(ticagrelor群14.1% vs clopidogrel群16.2%:ハザード比0.88;95%信頼区間0.76~1.03),全死亡(7.0% vs 8.7%:0.82;0.66~1.01),ステント血栓症(1.6% vs 2.4%:0.65;0.36~1.17)を抑制し,大出血(PLATO出血基準)は増加しなかった(14.1% vs 14.8%:0.95;0.81~1.12)。
    HbA1c値≧中央値(6.0%)の患者(7,890例)においても,ticagrelorはclopidogrelと比較して出血リスクを増大させることなく(0.98;0.86~1.12),一次エンドポイント(0.80;0.70~0.91),全死亡(0.78;0.65~0.93),ステント血栓症(0.62;0.39~1.00)を抑制した。
    糖尿病,血糖コントロール(血糖値,HbA1c),または糖尿病のタイプ(インスリン治療の有無,1型/2型)と治療との有意な交互作用は認められなかった:Eur Heart J. 2010; 31: 3006-16. PubMed
  • primary PCI施行が予定されているST上昇型ACSにおいてもticagrelorの有効性が認められた。
    primary PCIを施行するST上昇型ACS,左脚ブロック例(7,544例:ticagrelor群3,752例,clopidogrel群3,792例。平均年齢59歳)の結果:一次エンドポイントは9.4% vs 10.8%:0.87;0.75~1.01(p=0.07)で,PLATO全例の結果と同様に,clopidogrel群と比べたticagrelor群の有効性が認められた。ST上昇型ACS,左脚ブロックと治療とに有意な交互作用はみられなかった(p=0.29)。ticagrelor群での大出血リスク増大もなかった(0.98;0.83~1.14, p=0.76):Circulation. 2010; 122: 2131-41. PubMed
  • ACS患者におけるticagrelorの有効性は,CYP2C19およびABCB1遺伝子多型の影響を受けず。
    遺伝子解析を実施した10,285例におけるサブグループ(CYP2C19の機能喪失型変異/機能獲得型変異,ABCB1の一塩基多型の有無*)解析結果。
    * clopidogrelを投与したACS例において,CYP2C19の機能喪失型変異は虚血性イベント,ステント血栓症リスクの増大と関連し,機能獲得型変異は出血リスク増大と関連することが示されており,ABCB1の一塩基多型はイベント発生率に影響を及ぼす可能性が示されている。
    CYP2C19の遺伝子型にかかわらず,一次エンドポイントの発生率はticagrelor群がclopidogrel群よりも低かった:機能喪失型変異のある患者(8.6% vs 11.2%:ハザード比0.77;95%信頼区間0.60~0.99, p=0.0380);機能喪失型変異のない患者(8.8% vs 10.0%:0.86;0.74~1.01, p=0.0608)(交互作用のp=0.46)。clopidogrel群の機能獲得型変異のある患者は,機能獲得型変異のない患者,機能喪失型変異のある患者に比べて大出血の発生率が高かったが(11.9% vs 9.5%, p=0.022),薬剤とCYP2C19遺伝子型の有意な交互作用は認められなかった。
    ABCB1の遺伝子型にかかわらず,一次エンドポイント発生率はticagrelor群のほうが低かった:低発現群9.5% vs 10.5%(p=0.40),中発現群8.5% vs 9.8%(p=0.11),高発現群8.8% vs 11.9%(p=0.0104)(交互作用のp=0.39)。大出血のリスクについても遺伝子多型の影響は認められなかった:Lancet. 2010; 376: 1320-8. PubMed
  • CKDを合併した非ST上昇型ACS患者において,ticagrelorはclopidogrelに比べ大出血リスクを有意に増大することなく,虚血性イベント,死亡を有意に抑制した。
    CKD(クレアチニンクリアランス<60mL/分:3,237例)合併例:一次エンドポイント:ticagrelor群17.3% vs clopidogrel群22.0%;ハザード比0.77(95%信頼区間0.65~0.90) vs 正常腎機能例(11,965例) 。総死亡:10.0% vs 14.0%;0.72(0.58~0.89),大出血:15.1% vs 14.3%;1.07(0.88~1.30),致死的出血:0.34% vs 0.77%:0.48(0.15~1.54),CABG非関連出血:8.5% vs 7.3%:1.28(0.97~1.68)。クレアチニンクリアランスと割付けられた治療法の相互作用は有意ではなかった:Circulation. 2010; 122: 1056-67. PubMed
  • 早期侵襲的治療が予定されているACS例においても,ticagrelorはclopidogrelよりも有効である。
    侵襲的治療が予定されていた13,408例(72.0%,うち約77%がPCI施行):ticagrelor群(6,732例),clopidogrel群(6,676例)の結果:一次エンドポイントはticagrelor群569例(360日後のイベント比9.0%) vs clopidogrel群668例(10.7%):clopidogrel群と比べたticagrelor群のハザード比0.84;95%信頼区間0.75~0.94(p=0.0025)。
    総重大出血率(689例[11.5%] vs 691例[11.6%]:0.99;0.89~1.10, p=0.8803)も,GUSTO基準による重大出血率(185例[2.9%] vs 198例[3.2%]:0.91;0.74~1.12, p=0.3785)も両群間に差はみられなかった:Lancet. 2010; 375: 283-93. PubMed

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収載年月2009.09
更新年月2014.08