循環器トライアルデータベース

ATLAS ACS-TIMI 46
Anti-Xa Therapy to Lower Cardiovascular Events in Addition to Aspirin with or without Thienopyridine Therapy in Subjects with Acute Coronary Syndrome- Thrombolysis in Myocardial Infarction 46 Trial

目的 aspirin単独投与またはthienopyridine系薬剤と併用投与している急性冠症候群(ACS)後の安定患者において,経口直接作用型Xa因子阻害薬rivaroxabanの安全性と有効性を評価し,最適用量と投与法を検討するphase II試験。
有効性の一次エンドポイントは6か月以内の死亡,心筋梗塞(MI),脳卒中,血行再建術を要する重度の虚血再発までの時間。
安全性の一次エンドポイントは臨床的に重大な出血(TIMI大出血,TIMI小出血,治療を要する出血)。
コメント 急性冠症候群を惹起する冠動脈閉塞血栓は血小板とフィブリンの混合血栓である。血小板血栓の形成を阻害する抗血小板薬としては,アスピリン/チエノピリジンが広く使用されているが,抗凝固薬としてのワルファリンはほとんど使用されていなかった。
rivaroxabanは活性化第Ⅹ因子の特異的阻害薬である。ワルファリンと異なり個人ごと/個人のおかれた環境による薬効のばらつきが少ない。そこで,抗血小板薬に加えて,Xa阻害薬を追加することによる血栓イベントの阻害効果の増強を期待して本試験を施行した。本試験は探索的なphase II試験である。Xa阻害薬の追加により血栓イベントの抑制とともに出血イベントの増加がみられた。phase IIIの大規模試験による仮説の検証が期待される。(後藤
デザイン 無作為割付け,プラセボ対照,二重盲検,多施設(27か国297施設),intention-to-treat解析。
期間 追跡期間は210日。
試験期間は2006年11月17日~’08年9月19日。
対象患者 3491例。18歳以上(2007年10月15日以前は75歳まで),安静時に10分以上持続するACSを示唆する症状を有し,入院後1~7日で,ST上昇型心筋梗塞(STEMI)の診断,または非STEMI・不安定狭心症の診断と次のうち1つ以上を有するもの:心酵素マーカー上昇,1mm以上のST逸脱,TIMIリスクスコア3以上。
除外基準:ヘモグロビン濃度<100g/L,血小板数<90000/μL,頭蓋内出血の既往,warfarin治療の継続・予定,30日以内のPCIの予定,重度の併発疾患(心原性ショック,腎機能障害[クレアチニンクリアランス<30mL/分],重大な肝疾患),生存の見込み<6か月。
■患者背景:年齢(rivaroxaban群57.2歳,プラセボ群57.8歳),男性(77.6%, 76.3%),既往:MI(20.8%, 21.6%);高血圧(57.4%, 56.9%);糖尿病(19.4%, 19.1%),脂質代謝異常(44.4%, 43.6%),喫煙(61.9%, 62.6%),白人(95.8%, 94.0%),STEMI(52.3%, 52.0%),PCI(63.3%, 64.2%),β遮断薬(89.8%, 89.7%),ACE阻害薬・ARB(79.9%, 82.9%),スタチン系薬剤(88.5%, 88.4%),Ca拮抗薬(16.6%, 14.8%)。
治療法 試験実施地のガイドラインに基づき医師がチエノピリジン系薬剤の使用を判断し,stratum 1(761例):aspirin(75~100mg/日)単独投与,stratum 2(2730例):aspirin+チエノピリジン系薬剤併用投与に層別化。
stratumごとにrivaroxaban群(2331例:stratum 1[508例],stratum 2[1823例]),プラセボ群(1160例:stratum 1[253例],stratum 2[907例])にランダム化。
rivaroxabanの用量/日は5mg(stratum 1[154例],stratum 2[153例]),10mg(stratum 1[195例],stratum 2[851例]),15mg(stratum 2[353例],20mg(stratum 1[157例],stratum 2[446例])とし,各用量についてstratumごとに1日1回または2回投与にランダム化(プラセボ群: rivaroxaban×1回/日群:rivaroxaban×2回/日群=1:1:1)。
治療期間は180日。
結果 [有効性の一次エンドポイント:死亡,MI,脳卒中,血行再建術を要する重度の虚血再発]
rivaroxaban群126/2331例(5.6%) vs プラセボ群79/1160例(7.0%):ハザード比(HR)0.79;95%信頼区間0.60~1.05(p=0.10)で,rivaroxaban×1回/日投与例の発生率は5.9%,×2回/日投与例は5.4%(p=0.60),プラセボ群に対するHRはstratum 1:0.53;0.33~0.84, stratum 2:0.99;0.69~1.42であった(交互作用;p=0.034)。
[安全性の一次エンドポイント:臨床的に重大な出血]
rivaroxaban群はstratum 1でstratum 2に比べ有意に低く(p<0.0001),1日1回投与で12.1%,1日2回投与で11.3%であった(p=0.52)。プラセボ群に対するHRはstratum 1:3.96(1.40~11.23), stratum 2:3.66(2.54~5.27)であり(p=0.90),両stratumにおいて5mg:2.21(1.25~3.91), 10mg:3.35(2.31~4.87), 15mg:3.60(2.32~5.58), 20mg:5.06(3.45~7.42)(p<0.0001)と用量依存的に上昇した。
[その他]
有効性の二次エンドポイント(死亡,MI,脳卒中)はrivaroxaban群87/2331例(3.9%)vs プラセボ群62/1160例(5.5%):0.69;0.50~0.96(p=0.0270)とrivaroxaban群で低下。
最も頻度の多い有害事象は胸痛であった:rivaroxaban群10.7%,プラセボ群10.2%。
★結論★ACS後の安定患者において,rivaroxabanの経口投与により主要な虚血性イベントは抑制し得るが,出血リスクが用量依存的に増大した。低用量でのphase III試験が進行中である。
ClinicalTrials.gov No: NCT00402597
文献
  • [main]
  • Mega JL et al on behalf of the ATLAS ACS-TIMI 46 study group: Rivaroxaban versus placebo in patients with acute coronary syndromes (ATLAS ACS-TIMI 46): a randomised, double-blind, phase II trial. Lancet. 2009; 374: 29-38. PubMed
    Gurm HS and Eagle K: Rivaroxaban in acute coronary syndromes: too soon to know? Lancet. 2009; 374: 3-4. PubMed

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収載年月2010.05