循環器トライアルデータベース

RE-LY
Randomized Evaluation of Long-Term Anticoagulation Therapy

目的 心房細動(AF)患者へのwarfarin(ビタミンK拮抗薬)治療は,脳卒中や死亡を抑制するが同時に出血リスクを伴う。warfarin投与に際しては頻回の血液検査によるモニタリングを要する。
新規の抗凝固薬dabigatranは,トロンビンに直接拮抗し,凝固反応を強力に抑制する経口薬である。絶対生体内利用率は6.5%,投与量の80%が腎臓から排泄される。血中半減期は12~17時間であり,中止により速やかに効果が消失。投与量-効果反応が安定しているため,モニタリングが不要。食物との相互作用もない。dabigatranのパイロットスタディではAFに対する血栓塞栓症予防の有効性と安全性が示されており,150mg×2回/日,220mg×1回/日投与が静脈血栓塞栓症予防に有効とする結果が得られている。
RE-LY試験*は,非弁膜症性AF患者において,110mg×2回/日投与,150mg×2回/日の脳卒中予防に対する有効性をwarfarinと比較する非劣性試験。

一次エンドポイントは,脳卒中(虚血性・出血性は問わない)または全身性塞栓症の初発。安全性の一次エンドポイントは,大出血(ヘモグロビン値2g/dL以上の低下,2U以上の輸血,症候性出血)。
二次エンドポイントは,脳卒中,全身性塞栓症,および死亡。

* 本トライアルはdabigatranの血栓塞栓症治療,予防の適応性を探索するRE-VOLUTION試験プログラムの一環をなすもので,この他に以下の試験がある。
・RE-NOVATE,RE-MODEL: 人工膝関節全置換術後の静脈血栓塞栓症予防効果を検討し,dabigatranの有用性が示された。
・RE-COVER: 静脈血栓塞栓症の急性期治療
・RE-MEDY,RE-SONATE: 静脈血栓塞栓症の二次予防
・RE-DEEM: 心筋梗塞既往のあるACSでの更なる心血管イベント抑制
コメント ■コメント 後藤 信哉
■コメント 井上  博

N Engl J Med. 2009; 361: 1139-51. へのコメント
オープンラベルの試験ではプラセボ効果を完全に否定できないため,新薬の有効性が見かけ上現れやすい。実際,過去に検討された同種同効薬であるximelagatranも,オープンラベルの試験では見かけ上warfarinよりも有効にみえた。後に行われた二重盲検試験では,有効性がwarfarinに対して非劣性であったが勝るものではなかった。また,試験対象者のなかにはINRコントロールの困難な症例が内在していたと予想される。これらがwarfarinに割付けられれば出血事象も多くなる。ランダム化比較試験ではwarfarin群より薬効の標準化された新規経口抗凝固薬,本試験でいえばdabigatran群のほうが出血事象が少なく見えるのは理解できる。しかし,0.5mgのwarfarinの錠剤を用いて緻密に用量コントロールしている日本でも,年間3.36%の大出血がwarfarin治療症例に実際に起こっているだろうか? INR 2-3のwarfarinコントロールを高齢者以外にはガイドラインが推奨しているとはいっても,今回の試験にて改めてINR 2-3を標的としたwarfarin治療にて3%以上の大出血の発症が確認されてもなお現状のままの推奨を継続するべきであろうか?筆者はINR 2のwarfarin治療が行われている本邦の診療とRE-LY試験の環境は乖離していると理解している。また,薬効の標準化されているdabigatranでは,臨床試験にて示された結果通りに将来出血イベントが惹起されることが想定される。dabigatran 110 mg, 150 mg服用症例における重篤な出血イベント発現率は各々年率2.71%, 3.11%であった。生命に危険をおよぼす出血も年率1.22%, 1.45%に認めている。心房細動症例では初発の脳血栓塞栓症が重篤になることを理解するとして,1,000人に対して1年間の使用にて12.2人,14.5人が生命に危険をおよぼす出血を起こす薬剤を予防介入として望む症例がどれだけいるだろうか?「warfarinに対して非劣性,しかし,試験は二重盲検されていないため科学性が高くない,出血は拡大されたwarfarinの出血に比較すれば少ない」との結果にて,経済性に極めて優れたwarfarinと実臨床において対抗できるか否かは今後の本邦における臨床データの蓄積と冷静な議論が必要である(2011.08.23加筆修正)。(後藤


心房細動の血栓塞栓症の予防にwarfarinが有効であることが,多くの臨床試験で示されている。しかし,warfarinにはさまざまな問題点があり,日常臨床の場でその使用を妨げている。まず効果に個人差があり,日差変動が大きく,INRをモニターしつつ投与量の調整が必要である。また多くの薬剤や食品との間に相互作用がある。これらの問題点を克服する新規の経口抗凝固薬の開発が待たれていた。経口抗トロンビン阻害薬のdabigatranの効果をwarfarinと比較したRE-LY試験の結果は,低用量ではwarfarinに劣らない効果と少ない出血合併症,高用量ではwarfarinに勝る抗血栓塞栓症効果を示したが,消化管出血の頻度がwarfarinより多かった。また両用量とも消化器症状がwarfarinの2倍の頻度で認められたが,今後診療の現場に導入された際に,これがどの程度問題になるか気になる。また1日2回の服用が必要であることも問題となろう。いずれにしても,心房細動の血栓塞栓症予防治療は新しい時代を迎えたと言える。(井上

サブスタディ(Circ J. 2011; 75: 800-5.)へのコメント
欧米人と同様に日本人でもdabigatranが非弁膜症性心房細動の血栓塞栓症予防に有効であることが示された。安全性も確認されたが,消化器症状がdabigatran群で20%台と,RE-LY試験コホート全体の約2倍の頻度でみられている。消化器症状の合併が多いことが日本人に特異的な現象であるのかは明らかではないが,warfarin群の消化器症状の約2倍の頻度であることは日本人コホートでも全体コホートでも同様である。dabigatran使用時には消化器症状に注意を払う必要がある。(井上
デザイン PROBE(prospective, randomized, open, blinded-endpoint),多施設(日本を含む44か国951施設)。
期間 追跡期間中央値は2年。
登録期間は2005年12月22日~2007年12月15日。
対象患者 18,113例。過去6か月間に行われた心電図検査でAFと確診されたもので,次のうち1つ以上を有するもの; (1) 脳卒中あるいは一過性脳虚血発作既往,(2) EF<40%,(3) NYHA心機能分類≧II度,(4) 6か月以内の心不全既往,(5) ≧75歳(糖尿病,高血圧,冠動脈疾患患者は≧65歳)。
除外基準:重篤な心臓弁膜症の既往; 過去14日間における脳卒中,あるいは過去6か月間における重篤な脳卒中; 出血リスクが高い; クレアチニン・クリアランス<30mL/分,活動性肝疾患,妊娠。(プロトコール論文に詳細記載あり)
■患者背景:平均年齢(dabigatran 110mg群71.4歳,150mg群71.5歳,warfarin群71.6歳),男性(64.3%, 63.2%, 63.3%),血圧(130.8/77.0mmHg, 131.0/77.0mmHg 131.2/77.1mmHg),持続性AF/発作性AF/永続性AF(32.4%/32.1%/35.4%, 31.4%/32.6%/36.0%, 32.0%/33.8%/34.1%),CHADS2スコア(2.1, 2.2, 2.1),脳卒中あるいは一過性脳虚血発作既往(19.9%, 20.3%, 19.8%),心筋梗塞既往(16.8%, 16.9%, 16.1%),心不全(32.2%, 31.8%, 31.9%),糖尿病(23.4%, 23.1%, 23.4%),高血圧(78.8%, 78.9%, 78.9%),薬物治療:aspirin(40.0%, 38.7%, 40.6%),ARBまたはACE阻害薬(66.3%, 66.7%, 65.5%),β遮断薬(62.9%, 63.7%, 61.8%),amiodarone(10.4%, 10.9%, 10.7%),スタチン系薬剤(44.9%, 43.9%, 44.4%),プロトンポンプ阻害薬(13.5%, 13.9%, 13.8%),H2受容体拮抗薬(3.7%, 4.0%, 4.3%),合計61日以上にわたるビタミンK拮抗薬の服用(50.1%, 50.2%, 48.6%)。
治療法 dabigatran群:110mg×2回/日群(6,015例),150mg×2回/日群(6,076例)。
warfarin群(6,022例):INR測定(月1回以上)でINR2~3を維持するように,1mg,3mgあるいは5mg錠を利用。
両群ともに,aspirin(<100mg/日),その他の抗血小板薬の使用を許可。quinidineはdabigatranとの潜在的相互作用の疑いのため,試験開始の2年後にプロトコールが変更されるまで許可されていた。追跡開始1年間は肝機能検査を毎月実施。
結果 追跡完了率は99.9%(20例のみ脱落)。
試験薬投与中止例は,1年後はdabigatran 110mg群14.5%,150mg群15.5%,warfarin群10.2%,2年後はそれぞれ20.7%, 21.2%, 16.6%。aspirin投与例は21.1%, 19.6%, 20.8%。warfarin群でINRが治療域内にあったのは試験期間の64%。
[一次エンドポイント]
dabigatran 110mg群,150mg群のいずれも,warfarin群に対する非劣性が認められた(すなわち,dabigatranはwarfarinに有効性が劣らないということ。いずれも非劣性 p<0.001)。dabigatran 110mg群は183例(1.54%/年),150mg群は134例(1.11%/年),warfarin群は202例(1.71%/年)。また,dabigatran 150mg群はwarfarin群にくらべ有意に抑制(相対リスク[RR]0.65;95%信頼区間0.52~0.81, p<0.001)。ただし110mg群とwarfarin群には有意差なし(RR 0.90;0.74~1.10, p=0.30)。
出血性脳卒中発生率は,dabigatran 110mg群,150mg群のいずれも,warfarin群より有意に少なかった。warfarin群0.38%に対し,dabigatran 110mg群では0.12%/年(RR 0.31;0.17~0.56, p<0.001),150mg群では0.10%/年(RR 0.26;0.14~0.49, p<0.001)。
[安全性の一次エンドポイント]
大出血発生率は,dabigatran 110mg群(2.87%/年)はwarfarin群(3.57%/年)にくらべ有意に少なかった(RR 0.80;0.70~0.93, p=0.003)。ただし150mg群(3.32%/年)とwarfarin群間には有意差なし(RR 0.93;0.81~1.07, p=0.32)。
生命を脅かす出血,脳内出血,大・小出血はいずれも,dabigatran 150mg群(1.45%, 0.30%, 16.42%),110mg群(1.22%, 0.23%, 14.62%)はwarfarin群(1.80%, 0.74%, 18.15%)にくらべ有意に少なかった。
消化管出血については,dabigatran 150mg群はwarfarin群より有意に多かった。
N Engl J Med. 2010;363: 1875-6. PubMedに基づき数値を訂正。
[二次エンドポイント]
全死亡に有意な群間差なし。warfarin群4.13%/年に対し,dabigatran 110mg群では3.75%/年(RR 0.91;0.80~1.03, p=0.13,150mg群では3.64%/年(RR 0.88;0.77~1.00, p=0.051)。
[その他]
主要血管イベントと大出血,死亡の複合エンドポイントの発生率は,warfarin群7.64%/年に対しdabigatran 110mg群7.09%/年(RR 0.92;0.84~1.02, p=0.10),150mg群6.91%/年(RR 0.91;0.82~1.00, p=0.04)であり,150mg群で少なかった。
[有害イベント]
warfarin群よりもdabigatran群で多く見られた有害イベントは,消化器症状(上腹部痛,腹痛,腹部不快感,消化不良)のみ。warfarin群5.8%に対し,dabigatran 110mg群では11.8%(p<0.001),150mg群では11.3%(p<0.001)。dabigatranの肝毒性は認められなかった。
★結論★AF患者において,dabigatran 110mgの脳卒中および全身性塞栓症予防効果はwarfarinに劣らず,大出血発生率を低下させた。さらにdabigatran 150mgの有効性は,warfarinを凌ぐ可能性も示唆され,大出血リスクはwarfarinと同程度であった。
ClinicalTrials.gov No: NCT00262600
文献
  • [main]
  • Connolly SJ et al for the RE-LY steering committee and investigators: Dabigatran versus warfarin in patients with atrial fibrillation. N Engl J Med. 2009; 361: 1139-51. PubMed
    Gage BF: Can We Rely on RE-LY? N Engl J Med. 2009; 361: 1200-2. PubMed
  • Ezekowitz MD et al: Rationale and design of RE-LY: randomized evaluation of long-term anticoagulant therapy, warfarin, compared with dabigatran. Am Heart J. 2009; 157: 805-10. PubMed
  • [substudy]
  • 心臓弁膜症を合併したAF患者は22%。dabigatran 群,warfarin群の有効性,安全性の比較結果に弁膜症は影響しなかった。
    人工弁置換術患者,重大な僧帽弁狭窄症,介入が必要な心臓弁膜症(VHD)患者は除外されていたが,その他のVHD合併患者(3,950例[21.8%])は含まれていた。それら弁膜症合併心房細動(AF)患者におけるpost hoc解析の結果。
    VHD:僧帽弁逆流3,101例(17.1%),大動脈弁逆流817例(4.5%),大動脈弁狭窄471例(2.6%),三尖弁逆流1,179例(6.5%),軽度僧帽弁狭窄193例(1.1%)。
    VHD合併例は非合併例より高齢(中央値74歳 vs 72歳),持続性AF(34.0% vs 31.4%),女性(40.7% vs 35.2%),心不全既往(39.7% vs 29.8%),冠動脈疾患(32.5% vs 26.5%),中等度の腎機能障害(21.8% vs 17.5%)が多かった。
    大出血リスクはVHD例のほうが高かった(ハザード比[HR]1.32;95%信頼区間1.16~1.5)が,脳卒中,全身性塞栓症リスクは同等であった(1.09;0.88~1.33)。
    dabigatran 110mg群では大出血リスクがwarfarin群より低く(VHD合併例:0.73;0.56~0.95,非合併例:0.84;0.71~0.99),150mg群では同等だった(0.82;0.64~1.06, 0.98;0.83~1.15)。脳卒中,全身性塞栓症リスクは150mg群がwarfarin群より低く(0.59;0.37~0.93, 0.67;0.52~0.86),VHD合併の有無を問わずwarfarin群と同等であった。
    頭蓋内出血(VHD合併のHR 1.20, p=0.3)および死亡リスク(propensity調整HR:1.09, p=0.18)はVHD合併とは独立してdabigatran両群がwarfarin群より低かった:Circulation. 2016; 134: 589–98. PubMed
  • 抗凝固療法と腎機能の変化-eGFRは12か月以降にwarfarin群でdabigatran群より大きく低下。とくに糖尿病,warfarin使用歴のある患者で顕著。
    [背景]ビタミンK拮抗薬は腎血管の石灰化と関連し,腎機能の低下を促進する可能性がある。
    クレアチニンを測定した患者において,warfarin群,dabigatran 2用量群のeGFRの経時的変化を検証したpost hoc解析の結果(16,490例;warfarin群5,594例・dabigatran 110mg群5,424例・150mg群5,472例;平均追跡期間30か月):eGFRは全群で低下。12か月後までは低下に有意差はなかったが,以後はwarfarin群で大きく低下した(30か月後:warfarin群-3.68mL/分 vs dabigatran 110mg群-2.57mL/分[p=0.0009],150mg群-2.46mL/分[p=0.0002])。18か月後以降のeGFR>25%低下リスクは,dabigatran群が有意に低かった(warfarin群とくらべたハザード比:110mg群0.81,150mg群0.79)。
    TTR<65%のINRコントロール不良例(INR<2.0%[30.8%],INR>3.0%[12.9%])は,24か月後,30か月後の低下がdabigatran群より大きかった(p<0.005)。また,糖尿病患者,warfarin使用歴のある患者は低下が顕著であった:J Am Coll Cardiol. 2015; 65: 2481-93. PubMed
  • 腎機能とdabigatran-腎機能低下例は予後不良。dabigatranの有効性は腎機能を問わなかったが,重大な出血リスクはeGFR≧80mL/分例で低かった。
    ベースライン時の腎機能別(クレアチニンに基づくCockcroft-GaultおよびCKD-EPI式で評価した推算糸球体濾過量[eGFR][17,591例],シスタチンCに基づくeGFR[6,190例])に転帰を検討した結果:eGFR(≧80:Cockcroft-Gault式32.6%;CKD-EPI式21.6%, 50~<80:47.6%;59.6%, <50mL/分:19.8%;18.8%)。脳卒中・全身性塞栓症,全死亡は腎機能低下とともに増加した。この関連はいずれの腎機能評価式でもみられた。脳卒中・全身性塞栓症はdabigatran 150mg×2回/日群でwarfarin群より少なく,110mg×2回/日群は同等で腎機能との有意な交互作用はみられなかった。
    一方,重大な出血はいずれの式でも腎機能低下例でリスクが高かった(Cockcroft-Gault 式:eGFR≧80例1.98% vs 50~<80例3.30%;<50mL/分5.48%/年)。ただし,2用量群のwarfarin群にくらべたリスクの低下には式による違いがみられた:Circulation. 2014; 129: 961-70. PubMed
  • アジア人におけるdabigatran-出血リスクは非アジア人にくらべ高い傾向だが,dabigatranの有効性は人種を問わず認められた。
    アジア人(2,782例[15%];中国,香港,日本,韓国,台湾,インド,マレーシア,フィリピン,シンガポール,タイの10か国)と非アジア人(15,331例;34か国)とで結果を比較した結果:アジア人は非アジア人にくらべ低年齢(68.0歳,72.1歳),低体重で(66kg, 86kg),血圧は同等(129.0/77.6mmHg, 131.3/76.9mmHg)。warfarin群のアジア人(880例)は非アジア人(4,909例)よりもINRが治療域内(2~3)にあった時間が少なく(平均54.5%, 66.2%),INR<2の時間が多かった(35.4%, 19.8%)。
    一次エンドポイントは,warfarin群(アジア人3.06%/年,非アジア人1.48%/年)と比較すると,dabigatran 110mg群は同等(2.50%/年,1.37%/年),150mg群は有意に低く(1.39%/年,1.06%/年),治療×地域の有意な交互作用は認められなかった。
    出血性脳卒中のリスクはwarfarin群のアジア人で非アジア人よりも有意に高かったが(0.75%/年 vs 0.32%/年;ハザード比[HR]2.4;95%信頼区間1.3~4.7;p=0.007),dabigatran群では人種を問わず低下した(110mg群:アジア人0.11%/年,非アジア人0.12%/年,150mg群:0.17%/年,0.09%/年)。
    大出血の発生率はアジア人のdabigatran群(110mg群2.22%/年,150mg群2.17%/年)でwarfarin群(3.82%/年)にくらべ有意に低かった(非アジア人はそれぞれ2.99%/年,3.52%/年,3.53%/年):Stroke. 2013; 44: 1891-6. PubMed
  • dabigatran 2用量群の長期(2.3年)延長試験RELY-ABLEの結果-大出血発生率は150mg群のほうが高く,脳卒中と死亡は同等。
    RE-LY試験の最終評価時にdabigatranを投与していた5,851例(150mg群2,937例,110mg群2,914例)における延長試験(Long-term Multicenter Extension of Dabigatran Treatment in Patients with Atrial Fibrillation:RELY-ABLE[NCT00808067];35か国598施設,アジア12%)の結果(追跡期間中央値2.3年;投与開始から平均4.3年):dabigatranの投与は二重盲検で継続,推定クレアチニンクリアランス<30mL/分で投与中止(その後≧30mL/分となった場合は再開)。延長試験参加者の平均年齢は71歳,男性は150mg群65%,110mg群66%,高血圧既往は78%, 80%(p=0.02),CHADS2スコアは両群とも2.1。
    脳卒中+全身塞栓症(150mg群1.46%/年,110mg群1.60%/年;ハザード比0.91;95%信頼区間0.69~1.20),死亡(3.02%/年,3.10%/年),虚血性脳卒中(1.15%/年,1.24%/年),出血性脳卒中(0.13%/年,0.14%/年)には有意差はみられなかった。
    一方,大出血(3.74%/年,2.99%/年;1.26;1.04~1.53),小出血(9.70%/年,8.19%/年;1.21;1.07~1.36)の発生率は150mg群が有意に高かった。
    重篤な有害事象はそれぞれ1,067例(36.3%),982例(33.7%)。消化不良は156例(5.3%),141例(4.8%)であった:Circulation. 2013; 128: 237-43. PubMed
  • dabigatranと抗血小板薬の併用-warfarinを上回る有効性に影響はないものの,大出血リスク増大の可能性。
    抗血小板薬(aspirinあるいはclopidogrel)併用例(6,952例[38.4%])でのサブグループ解析の結果:dabigatran 110mg×2回/日群は脳卒中,全身性塞栓症(一次エンドポイント)低下において抗血小板薬併用例(ハザード比0.93;95%信頼区間0.70~1.25),非併用(0.87;0.66~1.15)のいずれもwarfarin群に対し非劣性(交互作用p=0.738)。また大出血は併用(0.82;0.67~1.00),非併用(0.79;0.64~0.96)ともwarfarinより少なかった。
    一方,150mg×2回/日群でも一次エンドポイントにおけるwarfarinに対する非劣性が示されたが,併用例(0.80;0.59~1.08)では非併用例(0.52;0.38~0.72)より有効性が減弱(交互作用p=0.058)。大出血は併用例(0.93;0.76~1.12),非併用(0.94;0.78~1.15)で同等。時間依存性解析によると,大出血リスクは抗血小板薬1剤の併用で上昇したが2剤併用ではさらに増大した。絶対リスクが最も小さかったのはdabigatran 110mg×2回/日群:Circulation. 2013; 127: 634-40: Circulation. 2013; 127: 634-40. PubMed
  • warfarin用量調節アルゴリズムへのアドヒアランスの高さはINR至適範囲内時間の改善と関連。
    warfarin群(6,022例;44か国912施設)において,warfarin投与アルゴリズム,time in therapeutic International Normalized Ratio range (INR至適範囲内時間:TTR) の変動と臨床転帰の関連性を評価した結果:warfarin群に奨励された用量調節アルゴリズムは,INR≦1.50で+15%, 1.51~1.99で+10%, 2.00~3.00は調整なし,3.01~4.00で-10%, 4.00~4.99で1日休薬後に-10%, 5.00~8.99でINRが治療域になるまで休薬,その後-15%/週。用量の調節は週1回とし,アルゴリズム推奨用量の±5%以内が投与された場合を「アルゴリズム一致」と定義した。
    アルゴリズム一致率と国ごとの平均TTRには強い関連性が認められた(R2=0.65)。施設間のTTR変動の87%,国間の変動の55%はアルゴリズム一致度により説明できた。アルゴリズムに一致した投与はTTRの強力な予測因子であり,複合エンドポイント(脳卒中+全身性塞栓症+大出血)の独立した予測因子であった。施設レベルでアルゴリズム一致度が10%上昇すると,TTRは6.12%増加し(95%信頼区間[CI]5.65~6.59),複合エンドポイントは8%低下した(ハザード比0.92;95%CI 0.85~1.00):Circulation. 2012; 126: 2309-16. PubMed
  • 心房細動患者でトロポニンI,NT-proBNPは,脳卒中・死亡リスクの予測に有用。
    バイオマーカー解析(6,189例):心血管危険因子,CHADS2スコア,CHA2DS2-VAScリスクスコアで調整後に転帰を評価した。トロポニンI層別:<0.010μg/L(2,663例);0.010~0.019μg/L(2,006例);0.020~0.039μg/L(1,023例);≧0.040μg/L(497例)。トロポニンI高値(≧0.020μg/L)例は1,520例(24.6%)。NT-proBNP層別:<387ng/L(1,547例);387~800ng/L(1,547例);801~1,402ng/L(1,544例);>1,402ng/L(1,551例)。
    脳卒中,全身性塞栓症は独立してトロポニンI(層別最大値2.09%/年 vs 最低値0.84%/年:ハザード比1.99;95%信頼区間1.17~3.39, p=0.0040),NT-proBNP(2.30%/年 vs 0.92%/年:2.40;1.41~4.07, p=0.0014)と関連した。血管死とも独立して相関した(6.56%/年 vs 1.04%/年:4.38;3.05~6.29, p<0.0001, 5.00%/年 vs 0.61%/年:6.73;3.95~11.49, p<0.0001)。
    血栓塞栓症のc統計量はトロポニンI+NT-proBNP:0.68(p<0.0001 vs トロポニンI),心血管危険因子+トロポニンI+NT-proBNP:0.72(p<0.0001 vs 心血管危険因子):Circulation. 2012; 125: 1605-16. PubMed
  • dabigatran群で心筋梗塞リスクが非有意ながら上昇したが,その他の心筋虚血イベントの増加はみられず。
    心筋梗塞(MI)はdabigatran群:110mg×2回/日群0.82%/年,150mg×2回/日群0.81%/年 vs warfarin群0.64%/年で,warfarin群と比べた110mg群のハザード比(HR)は1.29(95%信頼区間0.96~1.75, p=0.09),150mg群は1.27(0.94~1.71, p=0.12)。
    MI+不安定狭心症+心停止+心臓死の複合エンドポイントは110mg群3.16%/年,150mg群3.33%/年 vs warfarin群3.41%:110mg群のHR(vs プラセボ群)0.93(0.80~1.06, p=0.28),150mg群0.98(0.85~1.12, p=0.77)。
    事前に特定していたnet(正味)臨床ベネフィット(脳卒中,全身性塞栓症,MI,肺塞栓,大出血,全死亡)は,110mg群7.34%/年(HR 0.92, p=0.09), 7.11%/年(0.90, p=0.02) vs 7.91%/年。
    心筋虚血イベントに対するdabigatran vs warfarinの相対効果は,ベースライン時のMI,冠動脈疾患の既往の有無にかかわらず一貫していた:Circulation. 2012; 125: 669-76. PubMed
  • warfarinでINRがコントロールされている場合を除き,出血・脳梗塞高リスク患者において,dabigatran高用量は費用対効果に優れる。
    Markov model(70歳以上のAF,5万ドル/質調整生存年を費用対効果の閾値とし,dabigatranのコストは9ドル/日で計算)で評価した結果:大出血リスクが3%/年以内の患者は,費用対効果は脳梗塞リスクに依存した。
    CHADS2スコアが低い(スコア0)低リスク患者で費用対効果に優れたのはaspirinのみ,スコアが1~2の中等度リスク患者では出血リスクが高く,INRコントロールが不良(INRが治療域内にあった時間<57.1%)でなければ,warfarinが優れていた。またスコアが3以上の高リスク患者ではINRコントロールが良好(INRが治療域内にあった時間>72.6%)でない場合にdabigatran 150mg×2回/日が費用対効果に優れた。
    dabigatran 110mg×2回/日,抗血小板薬2剤(aspirin, clopidogrel)には費用対効果は認められなかった:Circulation. 2011; 123: 2562-70. PubMed
  • dabigatranの出血リスクは年齢により異なる-75歳未満では頭蓋内・外出血リスクはwarfarinより低いが,75歳以上では用量に関係なく頭蓋内出血リスクは低いものの,頭蓋外出血リスクは同等あるいは上昇。
    ・dabigatranの用量による出血リスク:110mg×2回/日は大出血リスクがwarfarinより低下(2.87% vs 3.57%, p=0.002)したが,150mg×2回/日のリスクは同等(3.31% vs 3.57%, p=0.32)。
    ・頭蓋内出血:年齢(低用量:<75歳でリスク低下,≧75歳で同等,高用量:<75歳で低下,≧75歳で増大傾向)による有意な交互作用が認められた。
    110mg×2回/日群:<75歳(1.89% vs 3.04%, p<0.001),≧75歳(4.43% vs 4.37%, p=0.89);p for interaction<0.001。
    150mg×2回/日群:<75歳(2.12% vs 3.04%, p<0.001),≧75歳(5.10% vs 4.37%, p=0.07);p for interaction<0.001。
    ・頭蓋外出血:150mg×2回/日群(3.02% vs 2.84%, p=0.36)。
    ・dabigatran 150mg×2回/日群は110mg×2回/日群より大出血リスクが高く(3.31% vs 2.87%, p=0.04),これはおもに消化管出血によるものであった(1.85% vs 1.36%, p=0.002)。
    ・年齢による交互作用は頭蓋外出血で認められたが,頭蓋内出血ではみられず年齢に関係なくdabigatranはwarfarinよりリスクを低下した:Circulation. 2011; 123: 2363-72. PubMed
  • 日本人コホートにおけるdabigatranの有効性および安全性はRE-LY試験コホート全体と差はない。
    日本人コホート(49施設,326例,dabigatran 110mg群107例,150mg群111例,warfarin群108例[70歳以上の日本人ではINR 2.0~2.6],試験実施期間2007年3月~2009年3月)の解析結果:
    ・患者背景:日本人コホートはRE-LYコホート全体に比べて脳卒中/全身性塞栓症/一過性脳虚血発作の既往例が多く(33.1% vs 21.8%),心筋梗塞既往例が少なかった(5.5% vs 16.6%)。その他の患者背景(平均年齢71.2歳;男性76.7%;CHADS2スコア2.2[0~1:31.3%, 2:34.0%, 3以上:34.7%],うっ血性心不全31.0%,aspirin投与35.9%,warfarin投与歴なし56.1%)はほぼ同様。
    ・試験薬の投与期間は1.3年(中央値)。INR値別の時間時間の割合は<2.0が36.8%, 2.0~3.0が57.6%, >3.0が5.6%で,コホート全体(22.2%, 64.4%, 13.5%)よりもINR値が低い傾向を示した。
    ・dabigatranの有効性,安全性はコホート全体とほぼ同様であった。
    一次エンドポイントは110mg群2例(1.38%/年),150mg群1例(0.67%/年),warfarin群4例(2.65%/年)で,warfarin群と比較した相対リスク(RR)は110mg群0.52, 150mg群0.25。
    大出血はそれぞれ8例(5.53%/年),5例(3.33%/年),5例(3.31%/年)で,dabigatran群とwarfarin群とに有意な差はなかった。消化管大出血の発生率はそれぞれ2.11%/年,0.67%/年,0.67%/年。warfarin群と比較した全出血のRRは,110mg群0.79,150mg群1.06。
    ・もっとも多くみられた有害事象は消化器症状で(21.7%, 27.3%, 10.2%),消化器症状による投薬中止は1/106例(0.9%), 5/110例(4.5%), 0/108例(0%)であった。肝毒性はみられなかった:Circ J. 2011; 75: 800-5. PubMed
  • 除細動後30日以内の脳卒中および大出血リスクは,除細動前の経食道心エコーの有無にかかわらず,dabigatran 2用量とwarfarinで同等。
    試験期間中に実施された除細動1,983件(dabigatran 110mg群647件,150mg群672件,warfarin群664件)の解析結果:ランダム割付け後60日以内に除細動が予定された場合,安全のため事前の経食道心エコーの実施を推奨した。経食道心エコー実施率はdabigatran 110mg群25.5%,150mg群24.1%,warfarin群13.3%で(vs warfarin群;ともにp<0.0001),うち1.8%, 1.2%, 1.1%に左心耳内血栓が認められた。実施された除細動のほとんどは電気的除細動で(85.6%, 81.9%, 83.3%),退院時の正常洞調律回復率は87.5%, 88.7%, 89.6%。除細動前に試験薬が3週間以上投与されていた割合は,dabigatran 2用量群(76.4%, 79.2%)がwarfarin群(85.5%)よりも少なかった(ともにp<0.01)。30日以内の脳卒中および全身性塞栓症の発生率は全群で低く(0.8%, 0.3%, 0.6%;すべて有意な群間差なし),除細動前の経食道心エコーの有無による差もみられなかった。大出血の発生率も全群で低く(1.7%, 0.6%, 0.6%),有意な群間差はなかった:Circulation. 2011; 123: 131-6. PubMed
  • 脳卒中または一過性脳虚血発作(TIA)既往例において,dabigatran 2用量の脳卒中または全身性塞栓症予防効果はwarfarinと同等。
    事前に計画された脳卒中またはTIA既往のサブグループ(dabigatran 110mg群1,195例,150mg群1,233例,warfarin群1,195例)の解析結果:脳卒中および全身性塞栓症の発生率において,warfarin群(65例[2.78%/年])と比較したdabigatran 2用量群の有意差は認められなかった(110mg群:55例[2.32%/年];相対リスク0.84, 95%信頼区間0.58~1.20,150mg群:51例[2.07%/年];0.75, 0.52~1.08)。大出血の発生率はwarfarin群に比べてdabigatran 110mg群で有意に低かったが(0.66, 0.48~0.90),150mg群は同等(1.01, 0.77~1.34)。dabigatranの有効性に対する脳卒中/TIA既往の影響が認められた評価項目は,血管死のdabigatran 110mg群 vs warfarin群のみであった(脳卒中/TIA既往者:0.63, 0.43~0.092;非既往者:0.98, 0.82~1.17;交互作用p=0.038):Lancet Neurol. 2010; 9: 1157-63. PubMed
  • ビタミンK拮抗薬曝露歴にかかわらずdabigatran 2用量はwarfarinよりも有効。
    ビタミンK拮抗薬(VKA)投与歴の有無によるサブ解析結果:dabigatranの有効性評価に対するVKA曝露歴の影響を評価できるよう,過去のVKA投与期間の合計が62日以内の患者(VKA-naive例;9,123例[50.4%],投与歴のないものは5,748例[32.7%])とVKA曝露歴のある患者(VKA-experienced例;8,989例[49.6%])が等割合で登録された。
    warfarin群でINRが治療域内(2~3)であった時間の割合は,VKA-naive例62%,VKA-experienced 例67%。
    一次エンドポイントのリスクは,dabigatran 110mg群のVKA-naive例,VKA-experienced例ともにwarfarin群と同等(相対リスク0.93;95%信頼区間0.70~1.25, p=0.65, 0.87;0.66~1.15, p=0.32:交互作用p=0.72)。dabigatran 150mg群はVKA-naive例,VKA-experienced例ともにwarfarin群よりも有意に低かった(0.63;0.46~0.87, p=0.005, 0.66;0.49~0.89, p=0.007:交互作用p=0.84)。
    大出血リスクは,VKA-experienced例のdabigatran 110mg群でwarfarin群よりも有意に低かったが(0.74;0.60~0.90, p=0.003),VKA-naive例のdabigatran 110mg群,VKA-naive例,VKA-experienced例のdabigatran 150mg群はいずれもwarfarin群と有意差なし(交互作用のp値は110mg群 vs warfarin群0.25,150mg群 vs warfarin群0.90)。
    頭蓋内出血:warfarin群と比較して,VKA-naive例,VKA-experienced例のdabigatran 110mg群(0.27;0.14~0.52[p<0.001], 0.32;0.18~0.56[p<0.001]:交互作用p=0.66), 150mg群(0.46;0.27~0.78, p=0.005, 0.40;0.24~0.67[p<0.001]:交互作用p=0.71)ともに有意に低かった:Circulation. 2010; 122: 2246-53. PubMed
  • 各施設におけるINRコントロールの質*は,warfarinと比較したdabigatranの有効性に影響を及ぼさず。
    * INR治療域内(2.0~3.0)持続時間(time in therapeutic range: TTR)
    906施設18,024例において,INRコントロールのサロゲートであるTTRがエンドポイントに及ぼす影響を検討した結果:dabigatran群はINRを用いていないため,warfarin投与例のTTRを施設ごとに平均し(cTTR),これを同一施設内の対象者の平均TTRとした。cTTRを四分位数により層別したうえで(cTTR<57.1%[4,510例],57.1~65.5%[4,564例],65.5~72.6%[4,445例],>72.6%[4,505例]),dabigatran 110mg群,150mg群とwarfarin群を比較。
    一次エンドポイントに関し,dabigatran 2用量群とwarfarin群の比較にcTTRは影響を及ぼさなかった(dabigatran 110mg群との交互作用のp=0.89,150mg群とのp=0.20)。頭蓋内出血についてもcTTRの影響は認められなかった(p=0.71, p=0.89)。
    dabigatran 150mg群の大出血発生率はcTTR低値ではwarfarin群よりも低く,高値では同等であったが(交互作用のp=0.03),110mg群の大出血発生率はcTTRにかかわらずwarfarin群よりも低かった(p=0.50)。
    心血管イベント(脳卒中,全身性塞栓症,肺塞栓症,心筋梗塞,死亡,大出血の複合エンドポイント)は,dabigatran 110mg群,150mg群ともにcTTR低値ではwarfarin群よりも発生率が低く,cTTR高値ではwarfarin群と差がなかった(p=0.036, p=0.0006)。全死亡についても同様の結果が得られた(p=0.066, p=0.052)。
    全血管イベント,非出血性イベント,死亡抑制においてdabigatran群の有効性はINRコントトール不良例で良好例よりも大きかった:Lancet. 2010; 376: 975-83. PubMed

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収載年月2009.09
更新年月2017.06