循環器トライアルデータベース

BARI 2D
Bypass Angioplasty Revascularization Investigation 2 Diabetes2005514 IRAD[急性大動脈解離]

目的 2型糖尿病,冠動脈疾患を合併した待機的血行再建術例において,早期の血行再建術+積極的薬物治療と積極的薬物治療単独の有効性を比較。さらに,インスリン抵抗性改善薬(チアゾリジンジオン系薬剤)治療とインスリン賦活を比較する。

一次エンドポイントは死亡。
コメント N Engl J Med. 2009; 360: 2503-15. へのコメント
糖尿病の冠動脈病変は進行が早く重症化しやすい。早期からの薬物介入の重要性が指摘されているが,進行した動脈硬化に対する至適糖尿病治療法は確立されていない。また血行再建術に関しては,BMS時代までのPCIはCABG よりも予後改善効果が劣るとの報告も多い。
BARI 2D は虚血性心疾患を合併した糖尿病患者に特化した大規模臨床試験だが,PCI/CABG の優劣を競うこれまでの臨床試験とは趣を異にする。血行再建の方法を担当医に委ねた時点でPCIとCABGの直接比較は困難で,本試験の主眼は,2型糖尿病に合併した冠動脈疾患の治療戦略(血行再建 vs 薬物療法)および糖尿病治療法の選択(インスリン抵抗性改善薬 vs インスリン賦活療法)に置かれた。薬物療法群で42%が血行再建へクロスオーバーしたものの,平均追跡期間5.3年でどちらの群間でも予後には差がなく,COURAGEトライアルを彷彿とさせる結果であった。一方,冠動脈病変の重症度や薬物療法群での予後(PCI群の総死亡;10.2%,CABG群の総死亡;16.4%)から判断してより“重症”に振り分けられたCABG群において,心血管イベント,特に致死性心筋梗塞の合併が薬物療法群より有意に抑制されたことから,糖尿病においてはやはりCABG>PCI≒薬物療法と言えそうである。
また,インスリン抵抗性改善薬とインスリン賦活療法との比較では,前者においてHbA1cが低く肥満が抑制されていたにもかかわらず,エンドポイントはほぼ互角の結果であった。βブロッカーが8割以上,アスピリン・RAS系阻害薬・スタチンが9割以上と徹底的な薬物療法下では,糖尿病治療薬の優劣はつきにくいのかも知れない。一次エンドポイント(総死亡)の結果ともあわせ,BARI 2Dは薬物療法の重要性を再認識させる試験でもある。(中野中村永井
デザイン 無作為割付け,2×2 factorial,多施設(米国,カナダ,ブラジル,メキシコ,チェコ共和国,オーストリアの49施設),intention-to-treat解析。
期間 平均追跡期間は5.3年。
登録開始は2001年1月。登録数が予定より少なかったため,2005年に追跡期間を1.5年延長した。追跡終了は2008年12月1日。
対象患者 2,368例。2型糖尿病(インスリンあるいは経口血糖降下薬治療が必要な症例,あるいは血糖値に基づいて診断),冠動脈疾患(運動負荷試験陽性で血管造影で主要冠動脈に≧50%の狭窄が認められるもの,あるいは≧70%の狭窄を有す古典的狭心症)合併例。全例,待機的PCI・CABG例とした。
除外基準:即時血行再建術を必要とするもの;左主幹部病変;クレアチニン値>2.0mg/dL;HbA1c>13.0%;NYHA III~IV度の心不全;肝機能障害;12か月以内のPCI,CABG施行例。
■患者背景:症候性心筋虚血82.1%,平均糖尿病罹病期間10.4年。
HbA1c 7.7%,インスリン 9.9μU/mL(中央値),総コレステロール169mg/dL, LDL-C 96mg/dL, HDL-C 38mg/dL,血圧 131.7/74.5mmHg,推定糸球体濾過量76.3mL/分/1.73m²(中央値),BMI 31.7kg/m²,目標値達成例:HbA1c<7.0%(39.6%), LDL-C<100mg/dL(59.5%), HbA1c, LDL-C,血圧のすべてがガイドラインの目標値に達しているもの(13.4%)。
治療状況:aspirin 88.0%,RAS阻害薬77.1%,β遮断薬72.9%,スタチン系薬剤74.9%。
治療法 血行再建術の方法(PCI,CABG)で層別し,2×2でランダム化した。
PCI,CABGは担当医が決定。
・PCI群(1605例)
薬物治療群(807例):インスリン賦活群(399例),インスリン抵抗性改善薬群(408例),早期血行再建術群(798例):インスリン賦活群(402例),インスリン抵抗性改善薬群(396例)。
・CABG群(763例)
薬物治療群(385例):インスリン賦活群(194例),インスリン抵抗性改善薬群(191例),早期血行再建術群(378例):インスリン賦活群(190例),インスリン抵抗性改善薬群(188例)。
[各治療]
血行再建術は,早期血行再建術群ではランダム化から4週間以内に施行し,薬物治療群では狭心症進展,急性冠症候群あるいは重症虚血発症例のみ実施。インスリン抵抗性改善薬群とインスリン治療群は,HbA1c<8.0%を持続できない場合はクロスオーバー可とした。
全例,現行ガイドラインに基づく治療を実施:目標HbA1c<7.0%,LDL-C<100mg/dL,血圧<130/80mmHgの他,カウンセリング(禁煙,減量,習慣的な運動)。臨床管理センターが危険因子のコントロール状況をモニターし患者にフィードバックした。
結果 試験終了は92.7%。
[治療]
・血行再建術:6か月以内の施行率は血行再建術群95.4%,薬物治療群13.0%。
5年後,薬物治療群の42.1%(PCI群の43.3%,CABG群の39.7%)が臨床適応により血行再建術を施行。
PCI施行は765例:病変数は平均1.5,多枝病変20.7%,薬剤溶出性ステント34.7%,ベアメタルステント56.0%,非ステント例9.3%。
CABG施行は347例。オフポンプが36.0%,内胸動脈グラフト94.2%;遠位吻合部グラフト数 平均3.0。
・両群の3年後の治療遵守率は90%近く,クロスオーバー率はインスリン抵抗性改善薬群43.4%,インスリン賦活群11.8%。最も投与率の高かった薬剤はインスリン抵抗性改善薬群:metformin(74.6%),thiazolidinedione(62.1%),インスリン賦活群:インスリン(60.7%),sulfonylurea(52.0%)。食事療法のみの糖尿病は5.6%。
[検査値]
3年後のLDL-C達成率82.6%,血圧71.1%。
インスリン抵抗性改善薬群ではインスリン賦活群に比べ,BMIが有意に低く(31.7kg/m² vs 32.5kg/m², p=0.003),HDL-Cが有意に高かった(42mg/dL vs 40mg/dL, p<0.001)。また同群ではHbA1cが有意に低下し(7.0% vs 7.5%, p<0.001),<7.0%も有意に多かった(55.5% vs 40.0%, p<0.001)。さらに,同群ではHbA1c,LDL-C,血圧のすべてが目標値に達したものが有意に多かった(34.8% vs 22.0%, p<0.001)。
[一次エンドポイント:死亡]
・5年生存率に有意な治療群間差は認められなかった。
血行再建術群88.3% vs 薬物治療群87.8%:両群差0.5%:95%信頼区間-2.0~3.1(p=0.97),インスリン賦活群87.9% vs インスリン抵抗性改善薬群88.2%:両群差0.3%;-2.2~2.9(p=0.89)。
[主要二次エンドポイント:主要心血管イベント(死亡,心筋梗塞,脳卒中の複合)]
・主要な心血管イベント非発生率も有意な治療群間差は認められなかった。
血行再建術群77.2% vs 薬物治療群75.9%:両群差1.3%;-2.2~4.9(p=0.70),インスリン賦活群75.4% vs インスリン抵抗性改善薬群77.7%:両群差2.4%;-1.2~6.0(p=0.13)。
[血行再建術:PCI,CABG]
・CABG群とPCI群の患者背景:CABG群はPCI群に比べ,より重症な冠動脈疾患(3枝病変,左前下行枝病変,慢性閉塞病変)が多く,心筋梗塞の既往も多く,血行再建術の既往が少なかった。
・死亡率はCABG群,PCI群いずれも,血行再建術群と薬物治療群間に有意差はなかった。主要心血管イベントはPCI群で血行再建術群と薬物治療群間に有意差はなかったが,CABG群では薬物治療群(30.5%)より血行再建術群(22.4%)で抑制された(p=0.01)。特に非致死的心筋梗塞において,14.6% vs 7.4%とその差が大きかった:層別ランダム化された血行再建術の方法(PCI,CABG)と治療群の相互作用は有意であった(p=0.002)。すなわち,PCIを選択された患者よりもCABGを選択された患者の方が,迅速な血行再建術は薬物治療に比べ効果が有意に大きかった。
[有害事象]
有害イベント,重篤な有害イベント率は両群同等であったが,全低血糖(53.3% vs 73.8%, p<0.001),重症低血糖(5.9% vs 9.2%, p=0.003)はインスリン賦活群に比べインスリン抵抗性改善薬群で有意に少なかった。
★結論★冠動脈疾患を併発した2型糖尿病における死亡,主要心血管イベント抑制効果において,迅速な血行再建術と薬物治療,インスリン抵抗性改善薬とインスリン賦活に有意な差は認められなかった。
ClinicalTrials.gov No: NCT00006305
文献
  • [main]
  • BARI 2D study group: A randomized trial of therapies for type 2 diabetes and coronary artery disease. N Engl J Med. 2009; 360: 2503-15. PubMed
    Boden WE and Taggart DP: Diabetes with coronary disease--a moving target amid evolving therapies? N Engl J Med. 2009; 360: 2570-2. PubMed
  • [substudy]
  • SYTANX高スコアは5年後の主要CVイベントを予測し,CABG適応例では血行再建術のほうが薬物治療よりも転帰が良好だった。
    血行再建術非既往例(1,550例;平均SYNTAXスコア14.6)で,ベースライン冠動脈造影からSYNTAXスコアを後ろ向きに算定した。低スコア(≦22)例:CABG群370例,PCI群849例,中~高スコア(≧23)例:207例,124例。SYNTAXスコアはCABG群(19.5)のほうがPCI群(11.7)より有意に高く,中~高値例が有意に多かった(36% vs 13%)。平均追跡期間は死亡5.3年,その他のイベント4.6年。
    5年後の主要CVイベント(死亡,心筋梗塞,脳卒中の複合エンドポイント)は301例,うち死亡は166例,>1件の急性心筋梗塞150例,>1件の脳卒中38例で,中~高スコア例は低スコア例より有意にリスクが高かった(25.6% vs 21.4%:調整ハザード比1.34;95%信頼区間1.04~1.73)。また,低スコア例におけるCABG施行例のリスクは薬物治療群のほうが高かったが(29.9% vs 早期血行再建術群26.1%),PCI施行例では群間差はなかった(19.2% vs 17.8%)。中~高リスク例ではCABG例で薬物治療群のほうが(30.3% vs 15.3%),PCI例では早期血行再建術群のほうがリスクが高かった(26.5% vs 35.6%):J Am Coll Cardiol. 2017; 69: 395-403. PubMed
  • 2型糖尿病合併CAD患者において,CABG+OMT群はPCI+OMT群より4.5年後の心血管リスクが低い。PCI+OMT群 vs OMT群は有意差なし。
    BARI 2D(2,368例),FREEDOM(1,900例),COURAGE(766例)の患者レベルデータの統合解析。糖尿病合併安定冠動脈疾患(CAD)患者において,CABG+至適内科治療(OMT)群はPCI+OMT群にくらべ中央値4.5年後の死亡・心筋梗塞・脳卒中の複合エンドポイントリスクが有意に低かったが(調整ハザード比0.71),うち脳卒中には差がなかった。有効性が認められたのは3枝疾患,EF≧50%の患者。また,同群はOMT群にくらべ複合エンドポイントとMIのリスクが低かった:J Am Coll Cardiol 2016; 68: 985–95. PubMed
  • 安定CAD患者でのトロポニンT-CVDの予測因子ながら,トロポニンT異常値(≧14ng/L)による早期血行再建術有効例の同定はならず。
    トロポニンT値は緊急血行再建術が有効な急性冠症候群患者の同定に使用されるが,安定CAD患者でも早期血行再建が有効な高リスク患者を同定できるかを検証した結果(ベースライン時に高感度法でトロポニンTを測定した2,285例;追跡期間中央値5年):トロポニンT≧3ng/L(検出限界)は2,277例(99.6%)。トロポニンT異常値例(≧14ng/L:897例[39.3%])は正常値例(<14ng/L)より高齢で(中央値64歳 vs 61歳),男性が多かった(77.8% vs 65.1%)(ともにp<0.001)。
    複合エンドポイント(心血管死,非致死的心筋梗塞,脳卒中)発生率はトロポニンT異常値例のほうが正常値例より高かった(27.1% vs 12.9%:調整ハザード比1.85,p<0.001)。
    異常値例で早期血行再建術群の薬物治療群にくらべた複合エンドポイントの有意な減少はみられなかった(26.5% vs 27.6%)。
    1年後のトロポニンT値測定例のうち,ベースラインから>25%上昇したのは,ベースライン異常値例,糖尿病罹病期間の長い患者,Hb1c高値例:N Engl J Med. 2015; 373: 610-20. PubMed
  • CAD合併糖尿病患者におけるrosiglitazoneと心血管イベント-心血管リスクの増加は認められず。
    2,191例(平均62.4歳,女性29%)において,rosiglitazone治療による心血管リスクを評価したpost hoc解析の結果(平均追跡期間4.5年):rosiglitazone投与例(992例)はチアゾリジン系薬非投与例(1,199例)にくらべてHbA1cが高く(7.82%, 7.50%;p<0.0001),糖尿病罹病期間が長く(10.8年,10.0年;p=0.05),アルブミン尿が多かった(微量:25%, 20%,顕性:10%, 9%;p=0.02)。
    追跡期間中の死亡はrosiglitazone投与例57例/3,025人・年(1.88/100人・年),チアゾリジン系薬非投与例183例/7,146人・年(2.56/100人・年)。多変量調整後,死亡率には有意差を認めなかったが(ハザード比0.83;95%信頼区間0.58~1.18),死亡+心筋梗塞(MI)+脳卒中(0.72;0.55~0.93, p=0.01)と脳卒中(0.36;0.16~0.86, p=0.02)リスクはrosiglitazone投与例のほうが低かった。MI,うっ血性心不全には差はなかった。最初の6か月間にrosiglitazoneを処方された患者とチアゾリジン系薬非処方例のpropensityスコアマッチング法による解析では,いずれの心血管イベントにも有意差は認められなかった。
    骨折のリスクはrosiglitazone投与例で高く(1.97 vs 1.36/100人・年:1.62;1.05~2.5, p=0.03),女性のほうが高い傾向が示されたものの,有意な交互作用は認められなかった(p=0.55)。propensityスコアマッチング法では女性のrosiglitazone投与例で高い傾向がみられた:Circulation. 2013; 128: 785-94. PubMed
  • CAD合併糖尿病患者における心血管危険因子-臨床試験での厳密なコントロールでも目標達成率は低い。
    COURAGE(2,287例,うち糖尿病766例[34%];登録期間1999~2004年),BARI 2D(2,368例;2001~’05年),FREEDOM(1,900例;2005~’10年)に参加したCAD合併糖尿病患者において,臨床試験での厳密なコントロールにより心血管危険因子(収縮期血圧[SBP],LDL-C,禁煙,HbA1c)の目標達成率が向上するかを評価した結果(追跡期間1年):脂質低下薬,スタチン,ACE阻害薬/ARB,β遮断薬,aspirinの使用率は,1年後に全3試験で増加した。
    1年後の目標LDL-C(<70mg/dL[FREEDOM],<100mg/dL[その他])達成率はベースラインにくらべ増加した(COURAGE糖尿病患者:55→77%, BARI 2D:59→75%, FREEDOM:34→42%)。SBP<130mmHg達成率(37→49%, 49→56%, 40→38%),HbA1c<7.0%達成率(50→48%, 40→51%, 37→45%),非喫煙率(76→86%, 88→90%, 84→94%)もほぼ増加傾向を示したが,全4因子の目標達成率は非常に低かった(7→18%, 14→23%, 4→8%):J Am Coll Caridol. 2013; 61: 1607-15. PubMed
  • 性差-女性は男性にくらべて症候性が多い反面,解剖学的複雑度は低く有意病変も少ないが,狭心症が多い。5年後のCVDは男女同等。
    性差を検証した結果(女性702例[29.6%]・平均年齢62.9歳,男性1,666例・62.2歳):ベースライン時,女性は男性よりも糖尿病罹病期間が有意に長く(12.2年 vs 9.7年),高血圧既往が多く(87.1% vs 80.6%),BMIが高い(32.8 vs 31.3kg/m²)が,心筋梗塞既往(28.0% vs 33.8%),喫煙歴(48.4% vs 74.7%)は少なく,LDL-C<100mg/dL(50.8% vs 63.3%),HbA1c<7.0%(32.3% vs 42.7%)も少なかった。さらに,冠動脈造影上の重症度が有意に低く(myocardial jeopardy index 41 vs 46),有意(狭窄率>50%)病変数(2.3 vs 2.8),完全閉塞(31.1% vs 45.3%)が少なかったにもかかわらず,狭心症が有意に多く(66.5% vs 58.2%),不安定狭心症(18.5% vs 14.4%),CCS分類3,4も多かった。
    CVD治療薬状況に性差はなかったが,硝酸薬(舌下投与),利尿薬は女性のほうが多かった。
    5年後のCVD(死亡,心筋梗塞,脳血管疾患)は26% vs 22%で男女間に有意差はなく,血行再建術,慢性心不全も同様であった。しかし,女性における狭心症合併率の高さは持続し(オッズ比1.51,p<0.0001),Duke Activity Status指標は低かった:J Am Coll Cardiol. 2013; 61: 1767-76. PubMed
  • 2型糖尿病,CAD合併例における狭心症-CVD,死亡リスクに心臓の症状は関連しない。
    ベースライン時の心臓に関する症状(狭心症,それに相当する症状,症状なし)ごとに,5年間のCVD(死亡,死亡+非致死的MI+非致死的脳卒中)の複合の発生を検証したpost-hoc解析の結果:狭心症(A群)1,434例,狭心症に相当する症例(E群)506例,いずれにも該当しない無症候のもの(N群)424例。追跡期間3年で,喫煙率,HbA1c,LDL-C,血圧は低下,HDL-Cは上昇したが,小さいながらも有意にBMIが増加した。長時間作用型硝酸薬の服用は低下し,β遮断薬,Ca拮抗薬は増え,A群では硝酸薬,Ca拮抗薬の服用が有意に多かった。N群のPCI施行率はA群,E群より低かったが,CABGは3群間に差はなかった。5年後のN群の血行再建術率は25%,E群32%,A群35%(p<0.001)。
    5年後の累積死亡は316例:A群12%,E群14%,N群10%(p=0.3),CVD複合エンドポイントは548例:A群24%,E群24%,N群21%(p=0.5)。N群とくらべたハザード比:死亡(A群1.11;99%信頼区間0.81~1.53,E群1.17;0.81~1.68),複合エンドポイント(1.17;0.92~1.50, 1.11;0.84~1.48):J Am Coll Cardiol. 2013; 61: 702-11. PubMed
  • 2型糖尿病,冠動脈疾患合併例の臨床転帰に対する年齢の影響は認められず。
    年齢による層別解析(<60歳,60~69歳,≧70歳)の結果:早期血行再建術群と薬物治療群が臨床転帰に及ぼす効果は,年齢による影響を受けなかった(年齢と血行再建術の交互作用:死亡p=0.99,主要心血管イベントp=0.081,狭心症p=0.98)。介入後,患者の狭心症(p<0.001)および健康状態は年齢を問わず有意に改善した。高齢層ほど追跡期間中の健康状態の悪化が大きかった(年齢×時間の交互作用p<0.01):J Am Coll Cardiol. 2011; 58: 810-9. PubMed
  • インスリン抵抗性改善薬群では,インスリン抵抗性が低下し,線溶能および炎症状態が改善。
    薬物治療例(インスリン賦活群1,179例→1年後1,099例→3年後985例,インスリン抵抗性改善薬群1,157例→1,115例→988例)での結果:ベースライン時の高値(D-ダイマー,フィブリノーゲン,CRP)は両治療群とも予後が不良。インスリン賦活群とは対照的にインスリン抵抗性改善薬群では,血漿インスリンが低下し,線溶マーカー(プラスミノーゲン活性化抑制因子タイプ1,組織プラスミノー ゲン活性化因子),炎症マーカー(CRP)および凝固マーカー(フィブリノーゲン)が低下した(各p<0.001):Circulation. 2011; 124: 695-703. PubMed
  • 足首・上腕血圧比(ABI)異常はCAD合併2型糖尿病患者によくみられ,多くは無症候性。
    ABI値が得られた2,240例において,ABIの分布とABI異常の規定因子を解析した結果:ABI正常(0.91~1.3)は1,489例(66%),低値(≦0.9)は430例(19%),高値(>1.3)は182例(8%),noncompressible(NC)arteryは139例(6%)。ABI低値例のうち68%は無症候性(跛行はみられず)。ABI低値に関連した因子は喫煙,女性,黒人,高血圧,高齢,CRP高値,糖尿病罹病期間,BMI低値,ABI高値に関連した因子は男性,非黒人,非喫煙,BMI高値で,NC arteryは糖尿病罹病期間,BMI高値,高血圧と関連した:Diabetes Care. 2011; 34: 464-7. PubMed
  • 狭心症の増悪,新規発症,再血行再建術は早期血行再建術群で有意に減少。
    ベースライン時の狭心症に関する情報が得られた2,364例(平均62.4歳)の解析結果:早期血行再建術群では,薬物治療群に比べて,狭心症の増悪(3年目の年間発生率:8% vs 13%, p<0.001),ベースライン時非狭心症例(930例)における狭心症新規発症(3年目の累積発生率:37% vs 51%, p=0.001),再血行再建術(薬物治療群では最初の血行再建術)(18% vs 33%, p<0.001)が有意に減少。ベースライン時狭心症例(1,434例)のうち1年間の狭心症非発症率も,早期血行再建術群のほうが高かった(3年目:66% vs 58%, p=0.003)。これらの有効性は,CABG群のほうがPCI群よりも大きかった:Circulation. 2011; 123: 1492-500. PubMed
  • 早期の血行再建術は薬物治療に比べ健康状態を小さいながらも有意に改善。
    Duke Activity Status Index (DASI: 身体活動の指標:12項目で評価[最低0~最高58.2]),RAND Energy/ Fatigue(エネルギー,気力,疲労感,疲弊の指標:5項目(0~100)),Health Distress(健康状態に対する失望,悩み,心配の指標:4項目0~100),Self-Rated Health(Likertスケール:0~100)で評価。
    1年後,早期の血行再建術群は薬物治療群に比べ,DASI(1.32ポイント;p<0.001),Energy(1.36ポイント;p=0.02),Self-Rated Health(1.77ポイント;p=0.007)を有意に改善したが,Health Distressは改善しなかった(-0.47, p=0.46)。効果は4年後も持続。これらの4種類の評価はインスリン治療群間では違いはみられなかった:Circulation. 2010; 122: 1690-9. PubMed
  • PCI例では死亡,心筋梗塞抑制で血行再建術と薬物治療間に差はなく,CABG例では心筋梗塞を血行再建術,インスリン抵抗性改善薬併用の方が有意に抑制。
    [全体]全死亡は316例,うち心臓死は43%で治療群間に有意差はみられなかった:全死亡;血行再建術群11.7% vs 薬物治療群12.2%,心臓死:5.9% vs 5.7% (p=0.38),心臓突然死:4.0% vs 4.2。
    心筋梗塞(MI)初発は279例。11.5% vs 14.3%,死亡,MIの複合:21.1% vs 22.7%。
    [PCI群]全死亡:10.8% vs 10.2%,心臓死:5.0% vs 4.2%(p=0.16),心臓突然死:3.8% vs 3.4%
    MI:12.3% vs 12.6%,死亡,MIの複合:21.1% vs 19.6%,心臓死,MIの複合:16.0% vs 14.2%(p=0.045)。
    [CABG群]全死亡:13.6% vs 16.4%,心臓死:8.0% vs 9.0%,心臓突然死:4.3% vs 6.0%。
    MI:10.0% vs 17.6%(p=0.003),死亡,MIの複合:21.1% vs 29.2%(p=0.010),心臓死,MIの複合:15.8% vs 21.9%(p=0.03)。
    [インスリン賦活群]
    全死亡12.1%,心臓死6.0%,心臓突然死4.2%。
    MI:13.6%,死亡,MIの複合:22.7%,心臓死,MIの複合17.1%。
    [インスリン抵抗性改善薬群]
    全死亡11.8%,心臓死5.7%,心臓突然死4.0%。
    MI:12.2%,死亡,MIの複合:21.2%,心臓死,MIの複合15.6%:Circulation. 2009; 120: 2529-40. PubMed
  • PCI適応例では,早期の血行再建術は有意にコスト高で薬物治療(+待機的血行再建術)の方が費用対効果が高い。
    2005例での検証:医療コストは薬物治療群よりの血行再建術群方が高く,血行再建術法により有意な相互作用がみられた(p<0.0001)。CADが広範にわたる症例が対象となるCABG群:4年のコストは血行再建術8万900ドル vs 薬物治療6万600ドル(p<0.0001),PCI群:7万3,400ドル vs 6万7,800ドル(p<0.02),インスリン抵抗性改善薬群7万1,300ドル,インスリン賦活群7万200ドル。コスト増の有意な(p<0.05)独立した因子はベースライン時のインスリン使用と使用量,女性,白人,BMI≧30,アルブミン尿。4年間の費用対効果は早期血行再建術より薬物治療が,インスリン抵抗性改善薬よりインスリン賦活の方が高かった。費用対効果の生涯予測も薬物治療の方がPCI(生存年ごとに600ドル追加)より高かった:Circulation. 2009; 120: 2550-8. PubMed

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収載年月2009.07
更新年月2017.02