循環器トライアルデータベース

ABCD
Alternans Before Cardioverter Defibrillator

目的 心機能の低下した(EF≦40%)冠動脈疾患で非持続性心室頻拍合併例において,非侵襲性のマイクロボルトT波交互脈検査(MTWA)がICD植込みの有効な症例を同定する能力を,侵襲性が高い電気生理検査(EPS)と比較する非劣性試験。

一次エンドポイントは1年後のICD作動および心臓突然死,抗頻拍ペーシング。
コメント 冠動脈疾患で心機能低下,非持続性心室頻拍を合併する例では,MTWAとEPSが陰性の場合の予後は良好であることが示された。非虚血性心疾患例も対象に入れた,より長期の追跡試験が必要である。(井上
デザイン コホート研究,多施設(アメリカ,ドイツ,イスラエルの43施設)。
期間 平均追跡期間は1.6年,中央値1.9年。
2006年6月30日まで追跡。
対象 566例。18歳以上の虚血性心疾患でEF≦40%,非持続性心室頻拍(NSVT)合併例。
除外基準:(1)不安定冠動脈疾患(CAD),NYHA心機能分類Ⅳ度の心不全,心停止既往,持続性心室性不整脈,失神,(2)28日以内の心筋梗塞,冠動脈バイパス術,PCI,(3)永続性心房細動,(4)抗不整脈薬。
■患者背景:平均年齢65.4歳,男性84%,NYHA心機能分類:Ⅰ度30%;Ⅱ度51%;Ⅲ度19%, EF 28%,MI既往75%,CABG既往57%,PCI既往47%,CADによる左室機能異常65%,狭心症21%,危険因子:糖尿病31%,高脂血症75%,高血圧63%,治療状況:ACE阻害薬またはARB 89%,β遮断薬86%,スタチン系薬剤81%,利尿薬61%。
調査方法 全例にMTWAおよびEPSを実施。両検査のどちらか一方が陽性の場合はICDを必ず植込むこととし,両検査とも陰性の場合,MTWA不確定でEPS陰性の場合は患者と医師が相談して植込みを判断した。
MTWA検査およびEPS検査の結果(陽性;+,陰性;-,不確定;ind)から6グループに分類した:MTWA (+)/EPS (-), MTWA (-)/EPS (+), MTWA (+)/EPS (+), MTWA (-)/EPS (-), MTWA (ind)/EPS (+), MTWA (ind)/EPS (-)。
結果 MTWA陽性は46%,陰性は29%,不確定が25%,EPS検査は陽性40%,陰性60%であった。ICD植込みは87%(495/566例)で,MTWA陽性あるいはEPS陽性例の97%,MTWA陰性あるいは不確定で,EPS陰性の67%が植込んだ。
1年以上の追跡例は494例(87%),2年の追跡を終了したのは362例(64%)。
一次エンドポイント(1年後のICD作動および心臓突然死,抗頻拍ペーシング)は39例(7.5%),2年後は65例(14.0%):ICDの作動55例(ショック51例,抗頻拍ペーシング4例),心臓突然死10例であった。
各検査結果別のイベント発生率は以下の通り。両検査とも陽性の場合はイベント発生率が高く,陰性の場合は低かった。
MTWA (+)/EPS (-)群(166例):ICD植込み 153例;一次エンドポイント6.5%,2年後12.0%。
MTWA (-)/EPS (+)群(66例):66例;7.8%, 15.3%。
MTWA (+)/EPS (+)群(94例):94例;11.1%, 15.7%。
MTWA (-)/EPS (-)群(99例):68例;2.3%, 10.1%。
MTWA (ind)/EPS (+)群(62例):62例;14.8%, 22.9%。
MTWA(ind)/EPS (-)群(79例):52例;4.6%, 11.0%。
イベント発生率は両検査陰性例(2.3%)のほうが両検査陽性(MTWA(ind)も含む)(12.6%)よりも有意に低かった(p=0.017)。
1年後における両検査の陽性的中率(MTWA 9.5%, EPS 11.1%)と陰性的中率(95.3%, 95.1%)に有意差はなかった。
カプランマイヤーによるEPS検査とMTWA検査の経時的なイベント予測能をみると,EPS検査は9か月以降有意となった(ハザード比2~3)。一方,MTWA検査は検査結果に関わらずEPS検査よりも6か月までの臨床転帰を有意に予測したが,6か月以降は有意ではなくなった。
★結論★冠動脈疾患で非持続性心室頻拍合併例では,MTWAによるICD植込み適応の同定能はEPSと同等であった。
ClinicalTrials gov No: NCT00187291
文献
  • [main]
  • Costantini et al for the ABCD trial investigators: The ABCD (alternans before cardioverter defibrillator) trial: strategies using T-wave alternans to improve efficiency of sudden cardiac death prevention. J Am Coll Cardiol. 2009; 53: 471-9. PubMed
    Feld GK and Clopton P: Comparability of noninvasive microvolt T-wave alternans versus invasive ventricular programmed stimulation to guide implantable cardioverter-defibrillator implantation in patients at risk of sudden death. J Am Coll Cardiol. 2009; 53: 480-2. PubMed

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収載年月2009.06