循環器トライアルデータベース

ATHENA
A Placebo-Controlled, Double-Blind, Parallel Arm Trial to Assess the Efficacy of Dronedarone 400mg bid for the Prevention of Cardiovascular Hospitalization or Death from Any Cause in Patients with Atrial Fibrillation/Atrial Flutter

目的 心房細動患者(AF)において,新規III群抗不整脈薬dronedaroneが心血管イベントによる入院および死亡を抑制するかを検討する。
一次エンドポイントは心血管イベントによる初回入院,全死亡。
コメント dronedaroneはamiodaroneからヨード分子を除去して,amiodaroneの副作用を軽減するために開発された。確かに本研究では甲状腺機能異常や肺合併症の発生は抑制されている。プラセボに比べて発作性・持続性心房細動例の予後(全死亡,心血管イベントによる入院)を改善し,とくに心血管死を有意に抑制した。しかしながら,ANDROMEDAではdronedaroneは,有症候性の心不全をもつ例の死亡率を有意に高めている。この点が親化合物のamiodaroneとは異なるもので,心機能低下例へのdronedarone投与は推奨されない。(井上
デザイン 無作為割付け,プラセボ対照,二重盲検,多施設(37か国551施設),intention-to-treat解析。
期間 平均追跡期間は平均21か月。
登録期間は2005年6月~’06年12月30日。2007年12月30日終了。
対象患者 4,628例。6か月以内の12誘導ECGでAF・心房粗動が記録され,2回目のECGで洞調律であった発作性・持続性のAF/粗動患者:次の要件を1つ以上満たすもの:70歳以上(死亡率が低かったため2006年3月8日より75歳以上,または1つ以上の危険因子を有する70歳以上に変更),高血圧(2種類以上の降圧薬により治療中);糖尿病;脳卒中・一過性脳虚血発作・全身性塞栓の既往;Mモード心エコー上の左房径≧50mm,EF≦40%。
除外基準:永続性AF,血行動態的に不安定な状態(4週以内の非代償性心不全など),NYHA心機能分類IV度のうっ血性心不全(CHF),大手術の予定,急性心筋炎,心拍数<50拍/分,PR間隔>0.28秒,臨床的に問題となる洞不全の既往(ペースメーカー非治療例)など。
■患者背景:平均年齢71.6歳,女性46.9%,AF/粗動25.0%,器質的心疾患59.6%,高血圧86.3%,冠動脈疾患30.4%,NYHA II~III度のCHF既往21.2%,EF<45% 11.9%。治療状況:β遮断薬70.6%,Ca拮抗薬13.8%,digoxin 13.6%,ACE阻害薬またはARB 69.5%,スタチン系薬剤 38.7%,ビタミンK拮抗薬60.2%,aspirin 44.0%。
治療法 dronedarone群(2301群):400mg×2回/日,プラセボ群(2327例)にランダム化。
結果 一次エンドポイント(心血管イベントによる入院,全死亡)はdronedarone群734例(31.9%)vsプラセボ群917例(39.4%):ハザード比0.76;95%信頼区間0.69~0.84(p<0.001)で,このうち心血管イベントによる初回の入院は675例(29.3%)vs 859例(36.9%):0.74;0.67~0.82(p<0.001),全死亡は116例(5.0%)vs 139例(6.0%):0.84;0.66~1.08(p=0.18)。
心血管死は63例(2.7%)vs 90例(3.9%):0.71;0.51~0.98(p=0.03)で,これは主に不整脈死の抑制,26例(1.1%)vs 48例(2.1%):0.55;0.34~0.88(p=0.01),によるものであった。
投与の中止はdronedarone群696例(30.2%)vsプラセボ群716例(30.8%)で,このうち有害イベントによるものが290例(12.7%)vs 187例(8.1%)(p<0.001)。dronedarone群ではプラセボ群に比べ徐脈,QT延長,下痢,悪心,発疹,血清クレアチニン値上昇の頻度が有意に高かったが,肺症状,間質性肺疾患,甲状腺機能の異常については両群間に差はなかった。
★結論★心房細動患者において,dronedaroneはプラセボに比べ心血管イベントによる入院および死亡の発生率を有意に低下させた。
文献
  • [main]
  • Hohnloser SH et al for the ATHENA investigators: Effect of dronedarone on cardiovascular events in atrial fibrillation. N Engl J Med. 2009; 360: 668-78. PubMed
  • [substudy]
  • 安定うっ血性心不全合併患者においてdronedaroneによる死亡率の増加は認められず。
    ANDROMEDA試験で認められたEF低下+亜急性代償性心不全患者におけるdronedaroneによる死亡リスクの増大を,ATHENA試験のサブグループで検証(post hoc analysis):NYHA心機能分類II~III度,EF≦0.40の安定うっ血性心不全(CHF)患者(209例:dronedarone群95例,プラセボ群114例)の解析結果:dronedarone群ではプラセボ群に比べ一次エンドポイント(ハザード比0.78;95%信頼区間0.52~1.16),全死亡(0.71;0.34~1.44)ともに低下した(いずれも本試験と同等レベル)。NYHA IV度の間欠的CHFによる入院はdronedarone群42例,プラセボ群54例であった(0.78;0.52~1.17):Eur Heart J. 2010; 31: 1717-21. PubMed
  • CHADS2スコア2の心房細動患者でdronedaroneは有意に脳卒中を抑制。
    (post hoc analysis)ベースライン時の平均CHADS2スコアは2で,経口抗凝固薬治療,抗血小板薬治療のいずれかを実施していたのは60%。dronedarone群で脳卒中リスクが有意に低下した:1.2%/年 vs 1.8%/年;プラセボ群と比べたハザード比0.66(0.46~0.96, p=0.027)。脳梗塞(0.9%/年 vs 1.3%/年:0.68;0.44~1.05, p=0.081),脳出血(両群とも0.2%/年),致死的脳卒中(0.4%/年 vs 0.5%/年),脳卒中あるいは一過性脳虚血発作:1.6%/年 vs 2.3%/年(0.70:0.51~0.97, p=0.031)。dronedarone群の有効性は抗凝固療法の有無を問わず,CHADS2スコアの高い症例で大きかった(≧2 vs <1, p=0.03):Circulation. 2009; 120: 1174-80. PubMed

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収載年月2009.04
更新年月2010.06