循環器トライアルデータベース

REVERSE
Resynchronization Reverses Remodeling in Systolic Left Ventricular Dysfunction Trial

目的 QRS間隔延長を有するNYHA III~IV度の心不全患者(HF)において転帰を改善することが証明されている心臓再同期治療(CRT)の有効性を,無症候性~軽度の症候性HF患者において評価する。

一次エンドポイントは12か月後のHF転帰(悪化,不変,改善)。
コメント J Am Coll Cardiol. 2008; 52: 1834-43. へのコメント
至適薬物療法下の軽症心不全例(QRS≧120ms)で,初めてCRTが左室機能を改善することが示された。対象が軽症心不全であるがゆえに死亡率,心不全症状,QOLに有意な変化はみられなかった。今後は,長い追跡期間での評価が必要である。(井上
デザイン 無作為割付け,二重盲検,多施設(米国,カナダ,欧州の73施設),intention-to-treat解析。
期間 追跡期間は12か月。
登録期間は2004年9月~’06年9月。
対象患者 610例。ACC/AHA Stage C,NYHA I度(以前は症候性で現在無症候性)またはII度(軽度の症候性)のHF症状が3か月以上持続しているもので,以下が確認されたもの:洞調律;QRS≧120msの洞調律;EF≦40%;左室(LV)拡張末期径≧55mm,HFの至適薬物治療(安定用量のACE阻害薬・ARB,β遮断薬)を3か月以上受けているもの。
除外基準:3か月以内にNYHA III~IV度,HFによる入院,心ペーシングの必要,以前のデバイスによるペーシング,永続性・持続性心房性不整脈など。
■患者背景:年齢(CRT-ON群62.9歳,CRT-OFF群61.8歳),男性(78%, 80%),NYHA II度(82%, 83%),虚血(56%, 51%),糖尿病(22%, 24%), QRS幅(153ms, 154ms),EF(26.8%, 26.4%),LV拡張末期径(6.9cm, 7.0cm),CRT-ICD植込み(82%, 85%)。
治療状況:ACE阻害薬(79%, 79%),ARB(21%, 20%),β遮断薬(96%, 94%),利尿薬(81%, 77%)。
治療法 ベースライン時評価(NYHA心機能分類,QOL[Minnesota Living with Heart Failure Questionnaire,Kansas City Cardiomyopathy Questionnaire],6分間歩行,12誘導心電図によるQRS間隔,ドプラー心エコーによる心機能および僧帽弁閉鎖不全症の重症度)の後,CRT system(ICD有または無)を植込み,インフォームドコンセント取得から21日以内に植込み成功例をランダム化
CRT-ON群(419例):両室ペーシング+心房非ペーシング(自己心拍数>35拍/分の場合),CRT-OFF群(191例):心房心室非ペーシング(自己心拍数>35拍/分の場合)。
12か月後の評価前のクロスオーバーは禁止(NYHA III~IV度の慢性HF悪化を除く。その後は欧州を除く全例でCRT-ONのプログラミングを推奨)。
一次エンドポイントは次の3分類で評価した。「悪化」:死亡,HF悪化による入院,HF悪化によるクロスオーバー・治療中止,NYHA心機能分類悪化,植込み前より中程度~著明な症状悪化),「不変」,「改善」:NYHA心機能改善,中等度~著明な症状改善。
結果 CRT植込みからランダム化までの平均日数は4.8日。
12か月後の「悪化」はCRT-ON群16% vs CRT-OFF群21%であった(p=0.10)。
左室収縮末期容積指数(LVESVI)はCRT-ON群 -18.4mL/m² vs CRT-OFF群 -1.3mL/m²とCRT-ON群で改善が大きかった(p<0.0001)。6分間歩行距離の変化(12.7m vs 18.7m;p=0.52), Minnesota score(-8.4 vs -6.7;p=0.26), Kansas City score(8.7 vs 8.5;p=0.91)にCRTによる改善はみられなかった。HF関連の入院は17件 vs 15件, HFによる初回の入院までの時間はCRT-ON群で有意な延長がみられた(ハザード比0.47, p=0.03)。死亡率は2.2% vs 1.6%(p=0.63)。合併症発生率は両群間に有意差はなかった(p=0.64)。
★結論★ACC/AHA Stage C ,NYHA I~II度の軽症心不全患者において,CRT(+至適薬物療法,±除細動)により12か月間のHFによる入院リスクの低下, LVリモデリングの改善が得られた。
文献
  • [main]
  • Linde C et al on behalf of the REVERSE (REsynchronization reVErses Remodeling in Systolic left vEntricular dysfunction) study group: Randomized trial of cardiac resynchronization in mildly symptomatic heart failure patients and in asymptomatic patients with left ventricular dysfunction and previous heart failure symptoms. J Am Coll Cardiol. 2008; 52: 1834-43. PubMed
    Leclercq C et al: Cardiac resynchronization for asymptomatic or mildly symptomatic heart failure. A bridge too far? J Am Coll Cardiol. 2008; 52: 1844-6. PubMed
  • [substudy]
  • 長期(54.8か月後)予後-CRTの左室逆リモデリング効果が示され,死亡,心不全入院リスクが低下した。
    CRT-ON群(419例)の平均54.8か月後の結果:追跡終了例(3年後;95%→4年後;89%→5年後;86%)。
    心エコーによる左室収縮末期容積係数:1年目に最大の低下を示し(-18.4mL/m², p<0.0001),2年目も改善(-5.2mL/m², p<0.0001),それ以降5年にわたり有効性は維持された。平均低下は-23.5mL/m²(p<0.0001)。拡張期末期容積係数(平均低下は-25.4mL/m², p<0.0001),EF(6.0%増加)も同様に改善し,その効果は持続した。6分間歩行距離は1年目に18.6m,2年後に18.8m延長し,QOLも改善した。
    死亡は53例。心不全による死亡が40%,突然心臓死が19%,非心臓死が42%。5年死亡率は13.5%;平均年間死亡率2.9%。
    5年後の心不全による初回入院率は22.0%,年間4.8%。
    左室リード関連の合併症は51例(12.2%)・63件。大半がCRT植込みから3か月以内に発生。5年後は12.5%:Eur Heart J. 2013; 34: 2592-9. PubMed
  • CRTによる1年後の構造的,機能的逆リモデリングは非虚血性心不全で顕著。
    心エコー実施はCRT-ON群340/419例,CRT-OFF群163/191例。
    逆リモデリング:退院前の電源オン時に左室容積(左室収縮期容積係数[LVESVI],左室拡張末期容積係数[LVEDVI]),EF,僧帽弁逆流(MR),myocardial performance index(MPI)は有意に変化したが,左室容積およびEFの変化は退院前~12か月後の変化と相関せず:LVESVI(r=0.11, p=0.31),LVEDVI(r=0.10, p=0.38),EF(r=0.07, p=0.72)。12か月後のCRT-ON群の電源オフ時に左室容積,MR,MPIの有意な変化なし。
    非虚血性 vs 虚血性:CRT-ON群の非虚血性患者における左室容積の低下およびEFの増加は,虚血性患者の3倍であった:Circulation. 2009; 120: 1858-65. PubMed
  • 欧州コホートにおいてCRTは24か月後のリモデリング,症状および転帰を有意に改善。
    35施設。262例(CRT-ON群180例,CRT-OFF群82例)。
    ■患者背景:欧州コホートは非欧州コホートよりも年齢,有病率(虚血性心疾患,末梢動脈疾患,心筋梗塞既往,高血圧),BMI,CRT-D植込み率が低く,QRS間隔,6分間歩行距離が大きかった。
    HF:24か月後の「悪化」はCRT-ON群19% vs CRT-OFF群34%(p=0.01)。
    左室収縮末期容積係数:-27.5±31.8mL/m² vs -2.7±25.8mL/m²(p<0.0001)。
    心不全による入院,死亡までの時間:CRT-ON群が有意に長かった(ハザード比0.38, p=0.003):J Am Coll Cardiol. 2009; 54: 1837-46. PubMed

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収載年月2009.04
更新年月2013.12