循環器トライアルデータベース

ALLAY
Aliskiren in Left Ventricular Hypertrophy

目的 左室肥大を合併した高血圧肥満患者において,直接的経口レニン阻害薬aliskiren+ARB losartan併用投与の左室肥大退縮効果は,losartan単独投与より優れているかを検討。また高血圧患者におけるaliskirenの左室肥大退縮効果のlosartanに対する非劣性を,さらにaliskiren単独投与,losartanとの併用投与の安全性,忍容性を検証する。
主要評価項目はMRIで評価した左室筋重量係数(left ventricular mass index: LVMI)。
コメント レニン阻害薬は新しい降圧機序を有する期待の降圧薬であり,数年後には市場を賑わせることが予想されるが,現在までのところエビデンスというには十分ではないが,期待にそぐわない結果が発表されている。本試験では左室肥大を合併した高血圧患者におけるレニン阻害薬aliskirenの左室肥大退縮効果がARB losartanに劣らないとの仮説を証明するための非劣性試験であり,結果においてその仮説は証明されたことになる。MRIという左室重量の評価も心エコー図に比べると客観的な方法を用いている点でも信頼性はある。両薬剤の併用において,降圧を超えた心肥大退縮効果をみとめなかった点は,過剰なRA系の抑制は臓器保護の面では限界があるという昨今の大規模臨床試験の流れを支持するものといえよう。(桑島
デザイン 無作為割付け,二重盲検,多施設(8か国77施設)。
期間 追跡期間は9か月。
対象患者 465例。高血圧既往あるいは新規診断例。血圧が≧140/90mmHg,しかし<180/110mmHgのもの,心エコーで左室壁厚が≧13mmと確認されたもの,BMI>25kg/m²。
除外基準:EF<40%;ACE阻害薬/ARBの継続投与が必要なもの;登録時にACE阻害薬/ARB投与例で3か月のwash-out期間を終了できなかったもの;重度の血圧上昇例;クレアチニンが>1.7mg/dLの男性,>1.5mg/dLの女性,カリウム≧5.2mEq/L,重度の肥満(BMI≧42kg/m²);ペースメーカー,ICD植込み;次の既往:6か月以内の心筋梗塞,CABG,PCI,一過性脳虚血発作,脳卒中。
■患者背景:平均年齢(aliskiren群58.4歳,losartan群59.2歳,併用投与群58.8歳),女性(27.3%, 23.0%, 22.7%),BMI(31.2kg/m², 30.7kg/m², 31.2kg/m²),糖尿病既往(22.7%, 22.4%, 27.3%),血圧(145.7/89.2mmHg, 146.1/89.0mmHg, 144.2/88.4mmHg),推定糸球体濾過量(87.3mL/分/1.73m², 83.1mL/分/1.73m², 84.8mL/分/1.73m²)。
降圧薬治療状況:降圧薬治療例(90.3%, 86.8%, 84.4%),ACE阻害薬(26.0%, 24.3%, 24.7%),ARB(20.1%, 20.4%, 20.8%),Ca拮抗薬(51.9%, 42.8%, 39.0%),利尿薬(39.6%, 40.1%, 40.3%),β遮断薬(36.4%, 34.2%, 35.1%)。
治療法 ACE阻害薬/ARB非投与例は,2週間のスクリーニング後ランダム化するが,それまでの降圧薬はランダム化まで継続投与,投与例は3か月のwash-out期間を設けるがACE阻害薬/ARB以外の降圧薬治療はランダム化まで継続した。wash-out期間中,血圧コントロールのため非RAA系抑制薬の投与は可とした。ランダム化時はそれまでの降圧薬治療は中止した。
aliskiren群(154例):150mg→ 2週間後に300mgに漸増投与,losartan群(152例):50mg→ 100mg,併用投与群(154例):aliskiren 150mg→ 300mg+losartan 50mg→ 100mg。2週間後に全例漸増投与し34週間投与した。
ランダム化から1週間以内に降圧の安全性を評価した。この時点で必要なら利尿薬を追加。
目標血圧(非糖尿病:<140/90mmHg,糖尿病:<130/80mmHg)に達しない場合は,利尿薬,Ca拮抗薬,α遮断薬,血管拡張薬の追加は二重盲検の段階ならいつでも可としたが,その他のRAA系抑制薬,β遮断薬は不可。
左室筋重量はベースライン時と終了時にMRIで評価した。
結果 [降圧]
治療群間に差はなかった:aliskiren群-6.5/3.8mmHg vs losartan群-5.5/3.7mmHg vs 併用投与群-6.6/4.6mmHg(各治療群での試験開始時 vs 終了時p<0.0001,治療群間p=0.81)。
[LVMI]
全群で有意に減少した(p<0.0001):-4.9g/m²(5.4%) vs -4.8g/m²(4.7%) vs -5.8g/m²(6.4%)。
併用群でのlosartan群と比較した有意な減少は認められなかった(p=0.52)。サブグループ(性別,65歳以上・未満,BMI 30kg/m²以上・未満,糖尿病の有無,LVMI,ACE阻害薬/ARB投与の有無)での差もみられなかった。
[aliskiren群のlosartan群に対する非劣性]
LVMI減少効果におけるaliskiren群のlosartan群に対する非劣性が認められた(p<0.0001 for noninferiority)。
[安全性,忍容性]
aliskiren群,併用群の忍容性は良好でlosartan群と同等であった。有害イベントはaliskiren群59.1%,losartan群53.9%,併用群55.8%(p=0.670),有害イベントによる投与中止はそれぞれ2.6%, 6.6%, 3.2%(p=0.201),重篤な有害イベントは6.5%, 8.6%, 6.5%(p=0.768)でいずれも3群間に有意差はなかった。
★結論★aliskirenの左室筋退縮効果はlosartanと同等であるが,aliskiren+losartan併用投与によるlosartan単独投与を凌ぐ,降圧効果とは独立した有意な退縮効果は認められなかった。
文献
  • [main]
  • Solomon SD et al for the aliskiren in left ventricular hypertrophy (ALLAY) trial investigators: Effect of the direct renin inhibitor aliskiren, the angiotensin receptor blocker losartan, or both on left ventricular mass in patients with hypertension and left ventricular hypertrophy. Circulation. 2009; 119: 530-37. PubMed

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収載年月2009.02