循環器トライアルデータベース

ISAR-REACT 3
Intracoronary Stenting and Antithrombotic Regimen: Rapid Early Action for Coronary Treatment 3

目的 clopidogrel前投与後にPCIを施行した安定・不安定狭心症患者において,抗トロンビン薬bivalirudinの有効性をheparinと比較する。
一次エンドポイントは30 日以内の死亡,心筋梗塞(MI),緊急標的血管血行再建術,入院中の重大な出血。
コメント 日本国内で承認されているトロンビンの直接阻害はargatroban(アルガトロバン)のみであり,日本の実地臨床の観点からは未承認のbivalirudinの臨床データを評価するには大変お粗末な状況にある。今回のISAR-REACT 3においても,bivalirudinは非分画heparinに対して有用性は証明されず,このことは日本における治療薬としてのbivalirudinの臨床開発が将来にわたって実施される可能性が極めて低いことを暗示している。(中村中野永井
デザイン 無作為割付け,二重盲検,多施設,intention-to-treat解析。
期間 追跡期間は30日。
登録期間は2005年9月~2008年1月。
対象患者 4570例。18歳以上,安定狭心症または不安定狭心症(トロポニンT値,クレアチンキナーゼMB値は正常)で,PCI施行の2時間以上前に抗血小板薬clopidogrel 600mgを前投与したもの。
除外基準:48時間以内のST上昇型心筋梗塞;トロポニンT>0.03µg/L,CK-MBが標準上限を超えるもの;心原性ショック;余命1年未満,コンプライアンスが低いと思われる悪性腫瘍,その他の疾患(重症肝疾患,腎疾患,膵臓疾患)を合併;出血例;出血性素因;6週間以内の胃腸あるいは泌尿器出血例;大動脈解離;7日以内の経口抗凝固治療;6時間以内の未分画heparinあるいは低分子heparin治療;治療抵抗性の高血圧(>180/110mmHg);ヘモグロビン<100g/L,血小板数<100×109/L;血清クレアチニン>30mg/L,透析など。
■患者背景:平均年齢(bivalirudin群66.9歳,未分画heparin群67.0歳),女性(23.8%, 23.2%),糖尿病(27.0%, 27.9%),喫煙(14.3%, 14.8%),高血圧(88.9%, 89.6%),高コレステロール血症(80.8%, 78.7%),安定狭心症(81.6%, 81.8%),MI既往(32.1%, 30.2%),CABG(12.5%, 10.9%),クレアチニン(両群とも1.0mg/dL),標的血管:左主幹部(4.1%, 3.4%);左前下行枝(40.5%, 38.8%);左回旋枝(25.5%, 25.8%);右冠動脈(28.1%, 30.2%),複雑(type B2, C)病変(67.5%, 67.8%),慢性完全閉塞(6.9%, 6.8%),PCI:薬剤溶出性ステント(88.3%, 87.1%);ベアメタルステント(5.1%, 6.1%);バルーン(6.6%, 6.8%)。
治療法 bivalirudin群(2289例・3869病変):0.75mg/kgをボーラス静注後,1.75mg/kg/時で注入。
未分画heparin群(2281例・3886病変):140U/kgをボーラス静注後,プラセボ注入。
結果 一次エンドポイントはbivalirudin群190例(8.3%)vs 未分画heparin群199例(8.7%)で両群間に有意差はなかった(相対リスク0.94;95%信頼区間0.77~1.15, p=0.57)。
二次エンドポイント(死亡,MI,標的血管の緊急血行再建術)も134例(5.9%)vs 115例(5.0%)で両群間に有意差はなかった(1.16;0.91~1.49, p=0.23)。
重大な出血の発生率はbivalirudin群70例(3.1%)のほうが未分画heparin群104例(4.6%)よりも有意に低かった(0.66;0.49~0.90, p=0.008)。
ステント血栓症は12例(0.5%)vs 9例(0.4%)で両群同様であった(p=0.52)。
★結論★clopidogrel前投与後にPCIを施行した狭心症患者において,bivalirudinは未分画heparinと比較して有効性は認められなかった。しかし,重大な出血の発生はbivalirudin群のほうが有意に抑制された。
ClinicalTrials. gov No:NCT00262054
文献
  • [main]
  • Kastrati A et al for the ISAR-REACT 3 trial investigators: Bivalirudin versus unfractionated heparin during percutaneous coronary intervention. N Engl J Med. 2008; 359: 688-96. PubMed

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収載年月2009.02