循環器トライアルデータベース

AACT
Atrial Arrhythmia Conversion Trial

目的 心房細動(AF)の新規治療薬vernakalantの有効性と安全性を評価する。

一次エンドポイントはAF持続期間が短い(3時間~7日)症例のうち,投与開始から90分以内に1分以上洞調律に復帰した割合。
二次エンドポイントは持続期間の短い症例における試験薬投与開始から洞調律への復帰までの時間,24時間後に洞調律を維持していた患者の割合,持続期間3時間~45日および8~45日の患者のうちAF停止例の割合。
コメント 心房に比較的特異的なK電流を抑制する,新規抗不整脈薬のvernakalantが,持続期間の短い心房細動の停止に有効であることが示された。重篤な副作用が少ないという利点はあるが,停止効果は他の抗不整脈薬と同程度である。ただし持続期間が3日以上になると停止効果は低くなる。(井上
デザイン 無作為割付け,プラセボ対照,二重盲検,多施設(カナダ,米国,スカンジナビアの44施設),intention-to-treat解析。
期間 追跡期間は30日。
対象患者 336例。18歳以上;3時間~45日持続するAF;収縮期血圧>90mmHg,<160mmHg,拡張期血圧<95mmHg,十分な抗凝固治療を受けているもの。
除外基準:洞不全症候群またはQRS>0.14秒でペースメーカー不使用;心拍数<50拍/分;QT実測値>0.440秒;典型的心房粗動;NYHA IV度の心不全;30日以内の急性冠症候群,心筋梗塞,心臓手術;30日以内の試験薬使用など。
■患者背景:年齢(vernakalant群62.3歳,プラセボ群61.5歳),男性(71.9%, 65.2%),AF持続期間中央値(59.1時間,41.8時間),高血圧(41%, 46%),虚血性心疾患(20%, 21%),心筋梗塞(11%, 8%),糖尿病(9%, 7%),心不全(14%, 16%),薬物治療:β遮断薬(57.9%, 61.7%);Ca拮抗薬(18.1%, 23.5%);digoxin(24.9%, 31.3%);I群抗不整脈薬(6.3%, 7.0%);III群抗不整脈薬(5.4%, 4.3%)。
治療法 AFの持続期間により短期間症例(3時間~7日),長期間症例(8~45日)に層別化後,実薬:プラセボ 2:1にランダム化。
vernakalant群(221例:短期間症例145例,長期間症例76例):3.0mg/kgを10分で注入し15分後までに洞調律への復帰がない場合には2.0mg/kgを追加投与。QT間隔実測値>0.550秒または>25%の延長,心拍数<40拍/分または症状を伴い40~50拍/分に低下,収縮期血圧>190mmHgまたは<85mmHg,QRSの50%以上の増加/新規脚ブロック発生,多形性心室頻拍,5秒以上の洞停止,不耐容な副作用が生じた場合は注入中止。心拍数コントロールのためのβ遮断薬,Ca拮抗薬,digoxin治療開始は試験薬注入の2時間前まで,I群/III群抗不整脈薬静注は試験薬注入24時間前まで,経口抗不整脈薬の継続は可とした。他の抗不整脈薬使用,電気的除細動は試験薬注入後2時間まで行わないこととした。
プラセボ群(115例:短期間症例75例,長期間症例40例)。
結果 試験薬開始90分以内に1分以上洞調律に復帰した短期間症例は,vernakalant群75/145例(51.7%)ではプラセボ群3/75例(4.0%)より有意に多かった(p<0.001)。洞調律への復帰はAF持続期間3~48時間の患者でvernakalant群62.1% vs プラセボ群4.9%(p<0.001),3~7日の患者で23.8% vs 0%であった(p=0.048)。試験薬投与開始から90分以内のAF停止は,長期間症例でvernakalant群6/76例(7.9%)vs プラセボ群0/40例(p=0.09),全体で83/221例(37.6%)vs 3/115例(2.6%)であった(p<0.001)。
vernakalant群で多く発生した有害事象は味覚障害(29.9%, 0.9%),くしゃみ(16.3%, 0%),知覚障害(10.9%, 0%),嘔気(9.0%, 0.9%),低血圧(6.3%, 3.5%)であり,vernakalant群における有害事象の持続期間は3~15分であった。有害事象による試験薬の中止はvernakalant群4例,プラセボ群1例であり,重篤な有害事象のうちvernakalantに関連すると考えられたものは3例4件であった(低血圧2件,完全房室ブロック,心原性ショック)。
★結論★短期間持続するAFにおいて,vernakalantの忍容性は良好で迅速な洞調律の復帰をもたらした。
ClinicalTrials.gov No: NCT00468767
文献
  • [main]
  • Roy D et al for the atrial arrhythmia conversion trial investigators: Vernakalant hydrochloride for rapid conversion of atrial fibrillation: a phase 3, randomized, placebo-controlled trial. Circulation. 2008; 117: 1518-25. PubMed

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収載年月2008.10