循環器トライアルデータベース

ACCORD
Action to Control Cardiovascular Risk in Diabetes

目的 2型糖尿病患者における心血管疾患発症予防治療戦略を検討する。
高リスクの2型糖尿病患者において,厳格な血糖管理(糖化ヘモグロビン(HbA1c)を正常域まで下げる)が心血管イベントを抑制するかを検討する。

一次エンドポイントは非致死的心筋梗塞(MI),非致死的脳卒中,心血管死。
コメント N Engl J Med. 2008; 358: 2545-59.へのコメント
2型糖尿病は大血管障害の大きな危険因子であるが,糖尿病治療で大血管障害の予防が可能であるか十分なエビデンスが存在しない。ACCORD試験は,まさに厳格な糖尿病治療が心血管病を予防するか検討した大規模臨床試験である。結果としては,心血管病予防については有意差がなく,むしろ中間解析において厳格治療群で死亡率が上昇したということで中止された試験としても記憶に新しいところである。その要因にまで立ち入っていないが,ACCORD試験では治療法を現場に委任しており,その結果としてインスリン治療が多かったということがといえる。そのためか,厳格治療群で体重増加が有意に多く,低血糖も有意に多かったということである。死亡率が上昇したことは真摯に受け止める必要があるし,標準的治療法の確立が重要であることを示すものと思われる。(寺本
デザイン 無作為割付け,double 2×2 factorial*,多施設(アメリカ,カナダの77施設),intention-to-treat解析。
* 血圧コントロール試験(4733例:収縮期血圧<120mmHg vs <140mmHg),脂質コントロール試験(5518例:simvastatin+fenofibrate vs simvastatin+プラセボ)。
期間 平均追跡期間は3.5年。
登録期間は2001年1月~6月(1174例),2003年2月~2005年10月(9077例)。
対象患者 10,251例。HbA1c≧7.5%の2型糖尿病で40~79歳の心血管疾患を合併するもの,あるいは55~79歳で重大なアテローム性動脈硬化,アルブミン尿,左室肥大の解剖学的特徴を有し,2つ以上の心血管疾患の危険因子(脂質異常,高血圧,喫煙中,肥満)を合併しているもの。
除外基準:重症低血糖イベントが頻回に起こる,あるいは最近発生したもの,BMI>45kg/m²,クレアチニン>1.5mg/dLなど。
■患者背景:平均年齢62.2歳,糖尿病罹病期間10年(中央値),BMI 32.2kg/m²,腹囲106.8cm,心血管疾患既往(厳格治療群35.6%,標準的治療群34.8%),女性(38.7%, 38.4%),空腹時血糖値(174.9mg/dL, 175.7mg/dL),血圧(136.2/74.8mmHg, 136.5/75.0mmHg),総コレステロール(両群とも183.3mg/dL),LDL-C(両群とも104.9mg/dL),HDL-C:女性(47.2mg/dL, 46.9mg/dL);男性(38.4mg/dL, 38.8mg/dL),トリグリセライド(中央値)(156mg/dL, 154mg/dL),カリウム(両群とも4.5mg/dL),クレアチニン(両群とも0.9mg/dL)。
治療状況:インスリン(34.1%, 35.7%),metformin(59.7%, 60.0%),SU薬(50.8%, 49.4%),チアゾリジン系(TZD)薬剤(19.5%, 19.2%),降圧薬治療(84.9%, 86.0%),ACE阻害薬(両群とも53.0%),β遮断薬(28.7%, 29.9%),サイアザイド系利尿薬(26.5%, 26.4%),aspirin(54.8%, 54.1%),スタチン系薬剤(61.7%, 62.4%)
治療法 患者は糖尿病治療について教育,生活習慣のカウンセリング(behavioral counseling)を受けた。
厳格血糖コントロール群(5,128例):HbA1c<6.0%を目標,標準的血糖コントロール治療群(5,123例):HbA1c 7.0~7.9%を目標。
使用血糖降下薬は市販されている薬剤から担当医の裁量とした。
結果 厳格血糖コントロール群での死亡リスクの上昇により,2008年2月予定より17か月早く,平均追跡期間3.5年で試験は終了した。2007年12月10日までのデータで解析した結果。
[追跡期間中の血糖降下薬投与状況]
metformin:厳格群94.7%, 標準群86.9%, インスリン分泌促進剤:86.6%, 73.8%;glimepiride(78.2%, 67.6%), repaglinide(50.2%, 17.7%), TZD薬:91.7%, 58.3%; rosiglitazone(91.2%, 57.5%), α-グルコシダーゼ阻害薬(23.2%, 5.1%), インクレチン(17.8%, 4.9%);exenatide(12.1%, 4.0%), インスリン(77.3%, 55.4%), ボーラスインスリン(55.3%, 35.0%)。
使用薬剤数:インスリン非投与;1~2剤(54.6%, 62.9%),3剤(59.1%, 32.8%),4~5剤(10.5%, 2.1%),インスリン併用;インスリンのみ(17.9%, 17.4%),1~2剤(64.6%, 46.4%),3剤(52.0%, 16.3%),4~5剤(10.3%, 1.2%)
[HbA1c]
厳格群:試験開始時8.1%(中央値)→ 4か月後6.7%→ 1年後6.4%で試験終了時まで維持,標準群:8.1%(中央値)→ 7.5%→ 7.5%で試験終了時まで維持。
[血圧,降圧治療]
降圧治療例は91%, 92%で血圧は126.4/66.9mmHg, 127.4/67.7mmHg(p=0.002/<0.001)であったが,ACE阻害薬の使用率は厳格群で低かった(69.7% vs 71.9%, p=0.02)。

[一次エンドポイント]
723例:厳格群352例(6.9%;2.11%/年),標準群371例(7.2%;2.29%/年):ハザード比(HR)0.90(95%信頼区間0.78~1.04, p=0.16)。
[二次エンドポイント]
全死亡:257例(5.0%;1.41%/年) vs 203例(4.0%;1.14%/年):HR 1.22(1.01~1.46, p=0.04),心血管死:135例(2.6%;0.79%/年) vs 94例(1.8%;0.56%/年):1.35(1.04~1.76, p=0.02)。
非致死的MI:186例(3.6%;1.11%/年) vs 235例(4.6%;1.45%/年):0.76(0.62~0.92, p=0.004)。
非致死的脳卒中:67例(1.3%;0.39%/年) vs 61例(1.2%;0.37%/年):1.06(0.75~1.50, p=0.74)。
致死的・非致死的うっ血性心不全:152例(3.0%;0.90%/年) vs 124例(2.4%;0.75%/年);1.18(0.93~1.49, p=0.17)。
[有害事象]
治療(medical assistance)を必要とした低血糖は3.1%/年 vs 1.0%/年(低血糖によるものと考えられる死亡が各群1例),3年目の体重増加は3.5kg vs 0.4kg,>10kgの増加は27.8% vs 14.1%で厳格群が有意に多かった。
★結論★2型糖尿病で高リスク患者において,糖化ヘモグロビン値を正常化するための厳格血糖コントロール治療は標準治療に比べ死亡リスクが増大し,有意な心血管疾患抑制効果も認められなかった。
ClinicalTrials. gov No: NCT00000620
文献
  • [main]
  • The action to control cardiovascular risk in diabetes study group: Effects of intensive glucose lowering in type 2 diabetes. N Engl J Med. 2008; 358: 2545-59. PubMed
  • [substudy]
  • 血糖コントロール強度と虚血性心疾患-4.8年後の発生は厳格群のほうが少ない。
    血糖コントロール強度が虚血性心疾患に及ぼす影響を検討した結果(平均治療期間3.7年+追跡延長1.2年=総追跡期間4.8年):治療期間中1,263例,総追跡期間中1,619例発生。
    致死的・非致死的心筋梗塞(MI)は,厳格血糖コントロール群が標準治療群より有意に少なかった(治療期間中:1.15% vs 1.41%;ハザード比[HR]0.80, p=0.015;総追跡期間中:1.25% vs 1.46%;0.84, p=0.021)。非致死的MI(各追跡期間中のHR:0.78, 0.81),血行再建術(0.89, 0.84),不安定狭心症(0.83[p=0.074], 0.81),MI+血行再建術+不安定狭心症(0.89, 0.87)の結果もほぼ同様であったが,致死的MIと新規狭心症には有意差を認めなかった。HbA1c達成値で調整すると,全項目の有意差が消失した:Lancet. 2014; 384: 1936-41. PubMed
  • 血糖コントロール強度と年齢-厳格群では<65歳例で心血管死リスクが高い。
    厳格血糖コントロール群,標準コントロール群の転帰の年齢による違い(<65歳 vs ≧65歳)を検討した結果:≧65歳例(6,776例)は<65歳例(3,475例)にくらべ糖尿病罹病期間が長く(中央値:10年 vs 9年),女性(25% vs 40%),少数民族(34% vs 39%)が少なく,体重・腹囲・BMI・HbA1c・拡張期血圧・空腹時血糖値・脂質値が低かった。
    達成HbA1cレベルは,厳格群,標準群のいずれも年齢に関係なく同等であった。しかし,標準群で≧65歳例のほうがわずかに低かった。
    一次エンドポイントは,<65歳例では治療強度の違いによる差は認められなかった(厳格群1.61%/年vs 標準群1.72%/年;ハザード比[HR]0.94;95%信頼区間0.78~1.15)。一方,≧65歳例では厳格コントロール群のほうが少なかった(2.76%/年vs 3.10%/年;0.84;0.69~1.03)。心血管死は<65歳例で厳格群のリスクが高く,≧65歳例では差がなかった(HR:1.71 vs 0.97;交互作用p=0.03)。
    重症低血糖は,治療の強度を問わず≧65歳例に多かった(厳格群:4.45% vs <65歳2.45%/年,標準群:1.36% vs 0.80%/年):Diabetes Care 2014; 37: 634-43. PubMed
  • 体重増加の決定因子-厳格群で関連した因子はHbA1c高値例におけるHbA1c低下。インスリン・TZDの投与開始も影響。
    体重増加の決定因子を検討した結果(8,929例:厳格血糖コントロール群4,425例,標準コントロール群4,504例):体重増加は厳格群のほうが標準群より有意に大きく(2年後:3.0kg vs 0.3kg),増加の2/3は最初の2年間に認められ,標準群では2年後以降の増加はみられなかった。
    2年間の体重増加と独立して関連した因子は,若年,男性,アジア人,喫煙歴なし,高HbA1c,BMI 25~35kg/m²,腹囲高値,インスリン使用,metformin服用。
    厳格群でHbA1cが低下し,体重が増加した症例は59.9%,HbA1c低下・体重減少は28.8%,HbA1c不変・体重増加は6%。HbA1c低下と体重増加の関連はベースラインHbA1c高値例のみでみられ,<7.8%だったものではHbA1cの低下に伴い体重が減少した。
    体重変化のうち薬物治療によるものが占める割合は15%未満で,もっとも影響が大きかったのはチアゾリジン系薬剤(TZD)の投与開始。厳格群ではインスリン・TZD非投与例で最初の2年間に体重が2.9kg低下した一方,試験開始後に投与を開始したものは4.6~5.3kg増加した:Diabetes Care. 2013; 36: 2162-8. PubMed
  • 厳格血糖コントロール群で,認識したか否かにかかわらず低血糖の発生が多かった。
    認識された低血糖発生回数と死亡リスクとに負の関係が示されたが,臨床的な重要性は不明確。
    2009年まで低血糖と死亡を追跡した10,096例において,低血糖の頻度と死亡の関係を評価した結果:低血糖に関する情報は,4か月ごとの定期受診時に患者への質問票調査により収集。
    受診直前7日間の低血糖(自己測定血糖<70mg/dL)の平均発生回数は,厳格血糖コントロール群1.06回,標準的血糖コントロール群0.29回。総受診回数のうち認識されなかった低血糖を報告した受診回数の割合は,厳格群5.8%,標準群2.6%。
    低血糖発生回数/年(updated annualized number of hypoglycemic episodes)を含めたモデルでは,厳格群で有意な死亡リスクの低下が認められたが(ハザード比0.93;95%信頼区間0.9~0.97, p<0.001),標準群では認められなかった(0.98;0.91~1.06, p=0.615)。厳格群では,医学的処置を要する低血糖の既往のある患者のほうが既往のない患者よりもこの関係が顕著であった(交互作用p=0.048)。認識されなかった低血糖(updated annualized number of intervals of hypoglycemia unawareness)を含めたモデルでは,両群ともに死亡との有意な関係はみられなかった:Diabetes Care. 2012; 35: 409-14. PubMed
  • 5年後の転帰からみても,高リスク2型糖尿病患者における厳格血糖コントロール治療(HbA1c<6.0%を目標)は全死亡リスクが増大し推奨できない。
    厳格血糖コントロール群での死亡リスクが上昇したため平均治療期間3.7年で早期に終了した後,標準治療(HbA1c 7.0~7.9%を目標)に切り替え,さらに17か月追跡した全試験終了時(5年後)の結果。
    一次エンドポイント(非致死的MI,非致死的脳卒中,心血管死の複合エンドポイント):試験早期終了前(厳格血糖コントロール群2.0%/年 vs 標準群2.2%/年:ハザード比0.90;0.78~1.03, p=0.13),全試験終了時(0.91;0.81~1.03, p=0.12),切り替え後~全試験終了時(0.94;0.74~1.21)と,いずれも両群間に有意差はなかった。
    全死亡リスク:それぞれ,1.21;1.02~1.44(p=0.03), 1.19;1.03~1.38(p=0.02), 1.15;0.87~1.51と,いずれも厳格血糖コントロール群で上昇。切り替え後~全試験終了時の有意な群間差はなかった。
    非致死的MI:試験早期終了前(1.08% vs 1.35%:0.79;0.66~0.95, p=0.01),全試験終了時(1.18% vs 1.42%:0.82;0.70~0.96, p=0.01)と,厳格群で有意に抑制された。
    心血管死:試験早期終了前は厳格群で高い傾向(0.71% vs 0.55%:1.27;0.99~1.63, p=0.07),全試験終了時は同群で有意に高かった(0.74% vs 0.57%:1.29;1.04~1.60, p=0.02):N Engl J Med. 2011; 364: 818-28. PubMed
  • 厳格な血糖コントロールによる複合細小血管障害の有意な抑制効果は認められず。
    厳格血糖コントロール群での死亡リスク上昇による試験早期終了後,厳格血糖コントロール治療群は標準的コントロールに移行して観察。移行時の複合一次エンドポイント(腎障害+糖尿病網膜症:透析あるいはESRD,腎移植,クレアチニン上昇[>291.7μmol/L],または網膜光凝固あるいは硝子体切除術)初発は厳格群443/5,107例 vs 標準群444/5,108例: ハザード比1.00;95%信頼区間0.88~1.14(p=1.00),複合二次エンドポイント(一次エンドポイント+末梢神経障害)は1,591/5,107例 vs 1,659/5,108例:0.96;0.89~1.02(p=0.19),試験終了時(2009年6月まで,追跡期間中央値5年):複合一次エンドポイント(556/5,119例 vs 586/5,115例:0.95;0.85~1.07, p=0.42),複合二次エンドポイント(1,956/5,119例 vs 2,046/5,115例:0.95;0.89~1.01, p=0.12)と,いずれの時点でも,厳格な血糖コントロール群での細小血管障害リスクの低下は認められなかった。しかし,アルブミン尿,いくつかの眼の合併症(視力低下や水晶体摘出など),神経障害(ミシガン神経障害スクリーニングスコア≧2の神経障害など)の発症は遅らせた。試験終了時,一次エンドポイントを含む15の細小血管障害評価項目のうち7項目で厳格群の方が勝っていた(p<0.05)★考察★細小血管障害に対する厳格血糖コントロールの有効性は,同群での総死亡,心血管死の上昇,体重増加,重症低血糖増加のリスク-ベネフィットを勘案しなくてはならない:Lancet 2010; 376: 419-30. PubMed
  • 血糖コントロール+脂質コントロール治療は糖尿病性網膜症の進展を抑制したが,血糖コントロール+血圧コントロール治療は抑制せず(ACCORD Eye study)。
    2,856例について17段階あるEarly Treatment Diabetic Retinopathy Study(ETDRS) Severity Scaleの3段階以上の進展あるいは,レーザー光凝固法または硝子体切除術の必要な糖尿病網膜症の進展で網膜症の進行を評価:4年後,糖尿病網膜症は厳格血糖コントロール群7.3% vs 標準コントロール群10.4%:調整オッズ比0.67;95%信頼区間0.51~0.87(p=0.003)。
    血糖コントロール+脂質コントロール(ACCORD Lipid・1593例):fenofibrate群6.5% vs プラセボ群10.2%:0.60;0.42~0.87(p=0.006)。
    血糖コントロール+血圧コントロール(ACCORD Blood Pressure・1263例):厳格降圧群10.4% vs 標準降圧群8.8%:1.23;0.84~1.79(p=0.29):N Engl J Med. 2010; 363: 233-244. PubMed
  • 重症低血糖のリスク増大は,4か月後のHbA1c値の低下と関連せず,血糖コントロール不良と関連。
    重症低血糖*と患者背景およびHbA1c値の変化との関連性を探索(追跡データのある10,209例:厳格血糖コントロール群5,117例,標準的血糖コントロール群5,092例)。
    * 救急処置または入院を要する低血糖(hypoglycaemia requiring medical assistance: HMA),HMAおよび非医療の介助(hypoglycaemia needing any assistance: HA),2003年3月以降は血糖値<50mg/dLあるいは糖質の摂取,ブドウ糖の静注,グルカゴンの皮下注・筋注で速やかに回復する症状の記録を追加)。
    1回以上のHMA 717例(7.0%):厳格群(538例);1回403例(7.9%),2回85例(1.7%),3回以上50例(1.0%),標準群(179例);それぞれ134例(2.6%),35例(0.7%),10例(0.2%)。HAは1091例で厳格群の方が多かった。
    HMAリスクの増大と関連した因子は,女性(p=0.03),アフリカ系アメリカ人(p<0.0001 vs 非ヒスパニック系白人),年齢(1歳増加で3%のリスク増大,p<0.0001),高校課程未修了(p<0.05 vs 大卒),インスリン使用(p<0.0001)など。HbA1cがベースラインから4か月間で1%低下するごとに,HMAリスクは標準群で28%(95%信頼区間19~37%),厳格群で14%(4~23%)低下した。また,両群においてHMAリスクはHbA1cの平均追跡値が1%増加するごとに増大した(標準群:ハザード比1.76, 1.50~2.06,厳格群:1.15, 1.02~1.21):BMJ. 2010; 340: b5444. PubMed
  • 症候性の重症低血糖は死亡リスク増加と関連。しかし,本結果でみられた厳格血糖コントロール群での死亡率上昇の原因は重症低血糖ではない。
    重症低血糖*と死亡との関係を検証(低血糖評価データのある10,194例:厳格血糖コントロール群5,106例,標準的血糖コントロール群5,088例)。
    * 救急処置または入院を要する低血糖(hypoglycaemia requiring medical assistance: HMA),HMAおよび非医療の介助(hypoglycaemia needing any assistance: HA),2003年3月以降は血糖値<50mg/dLあるいは糖質の摂取,ブドウ糖の静注,グルカゴンの皮下注・筋注で速やかに回復する症状の記録を追加。
    死亡例は451例で,このうち低血糖との明確な(definite)関連が認められたのは厳格群の1例のみで,可能性(possible)は38例,推定(probable)は3例,その他の死亡は関連なしと考えられた。死亡例のうちHAなし377例,HMAなし400例,HA≧1回74例,HMA≧1回 51例。最も死亡率が高かったのはHMA(15.3%),HA(7.6%)で,いずれも3回以上の症例であった。
    厳格群における死亡率は,HA≧1回の症例で0回の症例よりも高かった(2.8%/年vs 1.2%/年;調整ハザード比1.41, 95%信頼区間1.03~1.93)。標準群でも同様のパターンがみられた(3.7% vs 1.0%, 2.30, 1.46~3.65)。HMA≧1回の症例では死亡リスクは厳格群で標準群に比して有意に低く(0.55, 0.31~0.99),HA≧1回の症例でも厳格群で標準群よりも低い傾向がみられた(0.74, 0.46~1.23):BMJ. 2010; 340: b4909. PubMed

▲pagetop
EBM 「循環器トライアルデータベース®」
ライフサイエンス出版
ご不明の点はお問い合わせください
収載年月2008.07
更新年月2014.09