循環器トライアルデータベース

MARVAL
MicroAlbuminuria Reduction with VALsartan

目的 微量アルブミン尿を有する2型糖尿病患者において,レニン・アンジオテンシン系の抑制による尿中アルブミン排泄量(UAER)減少効果が降圧効果に依存するものか否かを,ARB valsartanとCa拮抗薬amlodipineとの比較により検討する。
一次エンドポイントは24週間後のUAERの変化率。
コメント 2型糖尿病に対する微量蛋白尿抑制効果をvalsartanとamlodipineで直接比較した試験である。これまでの多くの成績同様,元々の高血圧の有無に関係なく,ARBの方が微量蛋白尿抑制効果が強いことを示した。しかし注意すべき点が2つある。一つは,valsartan群の高血圧を有する症例では降圧利尿薬の追加が許される8週以降になってはじめてamlodipine群の降圧レベルに追いついていることである。また降圧利尿薬の併用率も55%対50%でvalsartan群に多い。ARBは降圧利尿薬の併用なしには十分な降圧ができないというこのような成績はARBとCa拮抗薬を直接比較したVALUE試験,CASE-J試験でも認められている現象である。ARBの降圧効果は降圧利尿薬の併用なしには得られにくいという事実は知っておく必要がある。したがって本論文の結論にあるように,ARBはCa拮抗薬と同じレベルの降圧が得られるならば,微量蛋白尿抑制効果はCa拮抗薬よりも強い,という条件付きの結論になる。
もう一つは,HbA1cの変化率は両群間で差は認められなかったことから,微量蛋白尿抑制効果は糖代謝そのものの改善に由来するものではないことを示している。レニン・アンジオテンシン系抑制薬の蛋白尿抑制効果のメカニズムは,従来からいわれているように,輸出細動脈の拡張による糸球体内圧の減少,糸球体毛細血管の透過性の改善などが関与しているとされ,また蛋白尿の存在自体がその後の腎機能にも影響することも明らかになっている。(桑島
デザイン 無作為割付け,二重盲検,多施設(英国の31施設),intention-to-treat解析。
期間 追跡期間は24週間。
登録期間は1998年3月~1999年12月。
対象患者 332例。35~75歳;持続性微量アルブミン尿:試験開始前5週間の非連続3回の夜間尿の中央値が20~200μg/分;正常クレアチニン;血圧<180/105mmHg。
除外基準:35歳未満に発症し最初の年にインスリンを投与する1型糖尿病;ランダム化前5週間にACE阻害薬,ARB,Ca拮抗薬を投与していたもの;妊娠の可能性のある女性;ACE阻害薬を要する心不全を6か月以内に発症したもの;3か月以内の心筋梗塞,PTCA,脳血管イベントなど。
■患者背景:平均年齢(valsartan群59歳,amlodipine群57歳),男性(82.2%, 77.3%),BMI(30.9kg/m², 30.7kg/m²),高血圧(63.3%, 66.8%),総コレステロール(197.2mg/dL, 201.1mg/dL),カリウム(4.4mmol/L, 4.3mmol/L),クレアチニン(97.3μmol/L, 93.3μmol/L)。
治療法 valsartan群(169例):80mg/日,amlodipine群(163例):5mg/日。
4週間後に降圧目標値135/85mmHgを達成できない場合は両群とも用量を倍増し,必要に応じ8週後からbendrofluazide 2.5mg/日,12週後からdoxazosinを追加投与。
結果 試験薬の平均用量はvalsartan 122mg, amlodipine 8mg。
試験を終了したのは291例(valsartan群146例,amlodipine群145例)。
脱落の主な理由は有害イベント(それぞれ8例,7例),プロトコール違反(7例,5例)。

一次エンドポイントはvalsartan群で大幅に有意に低下。
valsartan群(ベースライン時57.9μg/分→ 24週間後33.7μg/分;ベースライン時の56%[95%信頼区間49.6~63.0]),amlodipine群(55.4μg/分→ 53.7μg/分;92%[81.7~103.7])と,valsartan群で有意に減少した(p<0.001)。
valsartan群の有効性は高血圧例,正常血圧例を問わずみられた。
正常アルブミン尿への回復も同群で有意に多かった:29.9% vs 14.5%(p=0.001)。

降圧は両群同様。
収縮期血圧:valsartan群(ベースライン時147mmHg→ 24週間後135mmHg;-11.2mmHg),amlodipine群(148mmHg→ 136mmHg;-11.6mmHg);群間平均変化は-1.1mmHg(-5.1, 3.0, p=0.610),拡張期血圧:それぞれ85mmHg→ 78mmHg;-6.6mmHg, 86mmHg→ 79mmHg;-6.5mmHg;-1.2mmHg(-3.3, 1.0, p=0.296)。経時的な血圧変化も両群同様で,いずれの時点でも両群間に有意差はみられなかった。これは,高血圧例,正常血圧例いずれでも同様であった。
★結論★微量アルブミン尿を有する2型糖尿病患者において,血圧値,降圧度が同様であれば,valsartanはamlodipineよりも正常血圧例も含め尿中アルブミン排泄量を減少する。これはvalsartanの血圧に依存しない抗蛋白尿効果であることが示唆される。
文献
  • [main]
  • Viberti G et al for the microalbuminuria reduction with valsartan (MARVAL) study investigators: Microalbuminuria reduction with valsartan in patients with type 2 diabetes mellitus: a blood pressure-independent effect. Circulation. 2002; 106: 672-8. PubMed

▲pagetop
EBM 「循環器トライアルデータベース®」
ライフサイエンス出版
ご不明の点はお問い合わせください
収載年月2008.06