循環器トライアルデータベース

STARS-BNP Multicenter Study
Systolic Heart Failure Treatment Supported by Brain Natriuretic Peptide Multicenter Study

目的 至適薬物治療を受けている慢性心不全(CHF)患者において,脳性ナトリウム利尿ペプチド(BNP)を指標とした治療法の予後を検討する。
一次エンドポイントはCHFに関連した死亡+入院。
コメント BNPガイド下での心不全の治療が,死亡や心不全入院を減少させることはすでに報告されているが,これまでの研究はβ遮断薬の導入率が低かったのに対して,本研究はβ遮断薬の導入下でもBNPガイド治療の有効性を示した点に特徴がある。BNPガイド治療の有用性は,利尿薬,ACE阻害薬/ARB,抗アルドステロン薬,β遮断薬を安心して増量できる点にあるようだ。(
デザイン 無作為割付け,多施設(フランスの大学病院17施設),intention-to-treat解析。
期間 追跡期間は15か月(中央値)。
対象患者 220例。19歳以上。
ACE阻害薬,AII受容体拮抗薬(ARB),β遮断薬,利尿薬などの治療を受けているEF<45%でNYHA II~III度の収縮不全。
除外基準:3か月以内の急性冠症候群,慢性腎不全(血漿クレアチニン>250μmol/L),肝硬変,喘息,慢性閉塞性肺疾患。
■患者背景:平均年齢65歳,男性73%,平均左室拡張終末期径67mm。
喫煙(臨床群53%,BNP群39%,p=0.03),EF(31.8%,29.9%,p=0.05),CHF罹病期間(29か月,31か月),虚血性CHF(48%,55%),高血圧(両群とも30%),糖尿病(19%,16%),脂質異常症(60%,46%)。治療状況:ACE阻害薬もしくはARB (両群とも99%),β遮断薬(97%,99%),spironolactone (22%,25%),furosemide(両群とも全例)。
治療法 BNP群(110例):血漿中BNPレベルを100 pg/mL未満に下げるように治療,臨床群(110例):現在の心不全治療ガイドラインに沿った治療を担当医の意見に従い実施する。通常の検査を行うが,血漿中BNPレベルは測定しない。
結果 最初の3か月はBNP群のほうが治療薬の変更が多く(134例 vs 66例,p<0.05),ACE阻害薬とβ遮断薬の増量もBNP群のほうが有意に多かった(p<0.05)。BNP群で治療を変更した例でBNPレベルにより治療を調整したものは106例(79%)であった。
BNP群において,BNPレベルはベースライン時352pg/mL→ 3か月後284pg/mLに有意に低下した(p=0.03)。BNPが100pg/mL未満のものは16%から33%に有意に増加した(p=0.04)。
一次エンドポイントはBNP群25例(24%),臨床群57例(52%)(p<0.001)とBNP群で有意に抑制された。
イベント回避率もまたBNP群のほうが臨床群よりも有意に良好であった(BNP群84% vs 臨床群73%,p<0.01)。
全死亡は両群に有意差はなかった(BNP群7例 vs 臨床群11例)。うちCHF関連死はBNP群3例,臨床群9例であった。その他の6例はCHFとは関係のない死亡であった。
入院に関しても両群に有意な差はなかった(52例 vs 60例)が,心不全による入院は22例 vs 48例でBNP群で低下した(p<0.0001)。
★結論★至適な薬物治療を行っているCHF患者において,BNPレベルを指標とした治療はCHF関連死,入院のリスクを低下させる。これは主にACE阻害薬およびβ遮断薬の増量によるものであった。
文献
  • [main]
  • Jourdain P et al: Plasma brain natriuretic peptide-guided therapy to improve outcome in heart failure: the STARS-BNP Multicenter Study. J Am Coll Cardiol. 2007; 49: 1733-9. PubMed

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収載年月2007.09