循環器トライアルデータベース

VALIDD
Valsartan in Diastolic Dysfunction

目的 拡張不全を併発した高血圧患者において,レニン・アンジオテンシン・アルドステロン系(RAAS)抑制薬は,RAAS抑制薬以外の降圧薬に比べ拡張機能を改善するかを検討。
一次エンドポイントは38週後の側壁側の拡張早期僧帽弁弁輪部運動(E')の変化。
コメント 心エコー上の僧帽弁弁輪の弛緩速度(E')は,拡張早期の左室弛緩機能を反映すると考えられるが,本研究においてvalsartanと他の降圧薬治療との間に有意差が認められず,薬剤の種類によらず降圧が左室弛緩能の改善(E'の増加)に有効であることが示された。本研究の対象症例が左室肥大を有していないため心筋線維化も軽度と考えられ,ARBの降圧効果を上回る作用が発揮されなかった可能性も考えられる。(
デザイン 無作為割付け,プラセボ対照,二重盲検,多施設(アメリカ,カナダの41施設),intention-to-treat解析。
期間 追跡期間は38週。心エコースクリーニング期間は2004年9月~2005年3月。
対象患者 384例。45歳以上;ステージ1~2の本態性高血圧(平均血圧>140/90mmHg)既往;治療例および非治療例;1年以内の心不全による入院歴なし;3か月以内のRAAS抑制薬非投与。
除外基準:EF≦50%;ACE阻害薬/アンジオテンシン受容体拮抗薬に対する不忍容/禁忌歴;ステージ3の高血圧(平均座位収縮期血圧≧180mmHg,座位拡張期血圧≧110mmHg);血清クレアチニン濃度>221μmol/L;コントロール不良の糖尿病(HbA1c>8.5%)。
■患者背景:平均年齢(valsartan群61.1歳,プラセボ群60.2歳),女性(53%, 49%),BMI(30.1kg/m², 30.7kg/m²),白人(76%, 77%),推定糸球体濾過量(eGFR)(88.7mL/分/1.73m², 87.6 mL/分/1.73m²),eGFR<60mL/分/1.73m²(16%, 15%),血清クレアチニン(0.91mg/dL, 0.90mg/dL),相対壁厚(0.39, 0.39),左室筋重量(135.8g, 137.2g)。既往:糖尿病(13%, 12%),高脂血症(53%, 52%),冠動脈疾患(13%, 14%)。治療状況:降圧薬非投与(23%, 25%),β遮断薬(41%, 34%),利尿薬(44%, 38%),Ca拮抗薬(38%, 37%),スタチン系薬剤(35%, 30%)。
治療法 標準の降圧療法(利尿薬,β遮断薬,Ca拮抗薬,α遮断薬)に加え,valsartan群(186例):160mg/日より投与を開始し,1週間後に320mg/日へ漸増投与,プラセボ群(198例)にランダム化。目標血圧値<135/80mmHg。
試験中,valsartan以外のアンジオテンシン受容体拮抗薬,ACE阻害薬,アルドステロン拮抗薬の使用は禁止した。
ベースライン時および試験終了時に心エコーを実施。
結果 試験薬以外の降圧薬使用率は,プラセボ群のほうがvalsartan群に比べて多かった(Ca拮抗薬:78% vs 51%[p=0.0001],利尿薬:81% vs 69%[p=0.01])。試験薬の目標用量達成率は97%。
血圧はvalsartan群で平均12.8/7.1mmHg,プラセボ群で9.7/5.5mmHgそれぞれ低下したが,有意な両群間差はみられなかった。
一次エンドポイントはvalsartan群で0.60cm/秒増加(p<0.0001),プラセボ群で0.44cm/秒増加(p<0.0001)したが,有意な両群間差は認められなかった(p=0.29)。
治療に関する有害事象はみられなかった。
★結論★拡張不全を併発した高血圧患者において,降圧薬の種類に関係なく血圧低下により拡張機能が改善された。
ClinicalTrials.gov No.: NCT00170924
文献
  • [main]
  • Solomon SD et al for the valsartan in diastolic dysfunction (VALIDD) investigators: Effect of angiotensin receptor blockade and antihypertensive drugs on diastolic function in patients with hypertension and diastolic dysfunction: a randomised trial. Lancet. 2007; 369: 2079-87. PubMed

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収載年月2007.10